ROYAL HUNT

1980年代後半、欧州のヘヴィ・メタル・シーンは大きな転換期を迎えていた。

Biography

ロイヤル・ハント (ROYAL HUNT)
ネオクラシカル・プログレッシブ・メタルの全貌と軌跡

デンマークから世界へ響く王家の旋律

1980年代後半、欧州のヘヴィ・メタル・シーンは大きな転換期を迎えていた。ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル (NWOBHM) の余波が落ち着き、より細分化されたジャンルが台頭する中で、デンマークのコペンハーゲン (Copenhagen, Denmark) において、一つの特異な音楽プロジェクトが産声を上げた。その名はロイヤル・ハント (Royal Hunt)。

キーボーディストであり、バンドの絶対的な主宰者であるアンドレ・アンダーセン (André Andersen) によって1989年に結成されたこのバンドは、クラシック音楽の厳格な構築美と、ハード・ロックのダイナミズムを融合させた「ネオクラシカル・プログレッシブ・メタル (Neoclassical Progressive Metal)」というスタイルを確立し、瞬く間にシーンの寵児となった。ROYAL HUNTの音楽は、単なる速弾きや技巧の展示にとどまらず、映画音楽のような壮大さ、緻密に計算されたコーラス・ワーク、そしてドラマティックな展開を特徴としており、聴く者を異世界への旅へと誘う力を持っている。

第1章: 創世記と初期の衝動 (1989-1992)

1.1 アンドレ・アンダーセンの原風景

ロイヤル・ハント (Royal Hunt) の歴史を語る上で、中心人物であるアンドレ・アンダーセン (André Andersen) の生い立ちを避けて通ることはできない。彼はロシアのモスクワ (Moscow, Russia) で生まれ、グルジア (Georgian) の王家の血を引く家系に育った。5歳からピアノを始め、徹底的なクラシック音楽の英才教育を受けた彼は、モーツァルト (Mozart) やパガニーニ (Paganini) といった巨匠たちの作品に深く傾倒していった。

しかし、14歳の時に運命的な出会いが訪れる。ディープ・パープル (Deep Purple) の名盤『イン・ロック (In Rock)』を偶然手にしたことで、彼はロック・ミュージックの持つエネルギーと自由さに衝撃を受けたのである。以降、彼はクラシックの技巧 (チョップス) とロックの形式美を融合させることに没頭し、リック・ウェイクマン (Rick Wakeman) やジョン・ロード (Jon Lord) といった「ロック・キーボードの開拓者」たちを崇拝するようになった。

1984年、デンマーク (Denmark) へ移住したアンドレは、自身の創作拠点となる「ミランド・スタジオ (Mirand Studio)」を設立する。このスタジオこそが、後のロイヤル・ハント (Royal Hunt) サウンドが生み出される聖域 (サンクチュアリ) となる場所であった。時間を気にせず録音に没頭できる環境を手に入れた彼は、クラシック、プログレッシブ・ロック、そしてストレートなハード・ロックを融合させた独自の楽曲群を作り上げていった。

1.2 バンドの結成と『ランド・オブ・ブロークン・ハーツ』

1989年、アンドレ・アンダーセン (André Andersen) は自身のビジョンを具現化するためにバンドを結成する。「ロイヤル・ハント (Royal Hunt)」というバンド名は、アンドレ・アンダーセンが“高貴さ”と“探求”のイメージを重ねて命名したものである。

初期のラインナップは、アンドレに加え、ベースのスティーン・モーゲンセン (Steen Mogensen)、ドラムのケネス・オルセン (Kenneth Olsen)、そしてボーカルのヘンリック・ブロックマン (Henrik Brockmann) によって固められた。ヘンリックの声質は、力強さと同時にロマンティックな悲哀を帯びており、初期の楽曲に独特の叙情性を与えた。

1992年、デビュー・アルバム『ランド・オブ・ブロークン・ハーツ (Land of Broken Hearts)』がリリースされた。このアルバムは、北欧的な透明感と哀愁、そしてアンドレのキーボードを中心としたきらびやかなサウンド・プロダクションが特徴である。

特筆すべき楽曲と日本でのブレイク:

  • 「ランニング・ワイルド (Running Wild)」: オープニングを飾るこの曲は、バッハ (Bach) を彷彿とさせるキーボードのフレーズが疾走する、ROYAL HUNTのスタイルの雛形といえる楽曲である。
  • 「マーシャル・アーツ (Martial Arts)」: インストゥルメンタル曲でありながら、日本で爆発的な人気を博した。新日本プロレス (NJPW) のスター選手である蝶野正洋 (Masahiro Chono) が入場テーマ曲として使用したことで、プロレス・ファンを含む一般層にまでその旋律が浸透したのである。この楽曲を含むシングルは日本国内だけで15万枚以上を売り上げたとされる。

アルバムのレコーニングにおいて、ギター・パートは公式にはアンドレ・アンダーセン (André Andersen) のクレジットとなっている箇所が多いが、実際には後に正式メンバーとなるヤコブ・キエール (Jacob Kjaer) が、「Running Wild」や「One By One」などで重要なギター・プレイ (アンクレディテッド) を提供していたことが判明している。

第2章: 道化師の涙とシンフォニックへの傾倒 (1993-1994)

2.1 『クラウン・イン・ザ・ミラー』の進化

デビュー作の成功を受け、バンドは休むことなく次作の制作に取り掛かる。1993年にリリースされた2ndアルバム『クラウン・イン・ザ・ミラー (Clown in the Mirror)』では、ヤコブ・キエール (Jacob Kjaer) が正式にギタリストとしてクレジットされ、バンドとしてのアンサンブルがより強固なものとなった。

このアルバムは、前作のメロディック・ハード・ロック路線を踏襲しつつも、よりプログレッシブでシンフォニックな要素を強めた作品として評価されている。タイトル・トラックの「Clown in the Mirror」や「Legion of the Damned」に見られるように、楽曲構成は複雑化し、歌詞の世界観もより内省的でダークな色合いを帯びるようになった。アンドレのソングライティングは、単なるキャッチーなメロディ作りから、アルバム全体を通したドラマの構築へとシフトしていた。

2.2 ヘンリック・ブロックマンの脱退とD.C. クーパーの加入

順風満帆に見えたバンドだったが、ボーカリストの交代という大きな試練が訪れる。2作でその声を響かせたヘンリック・ブロックマン (Henrik Brockmann) がバンドを去ることとなった。一般的に、フロントマンの交代はバンドのアイデンティティを揺るがす危機となりうるが、ロイヤル・ハント (Royal Hunt) にとって、これは黄金時代への扉を開く契機となった。

1994年、バンドはアメリカ (USA) 出身のボーカリスト、D.C. クーパー (D.C. Cooper) を迎え入れる。ペンシルベニア州 (Pennsylvania) 出身のクーパーは、かつて著名なオペラ歌手の下でトレーニングを受けた経験を持ち、圧倒的な声量、広い音域、そして劇場的な表現力を兼ね備えていた。彼の加入により、アンドレ・アンダーセン (André Andersen) はボーカル・メロディの制約から解放され、より難易度が高く、スケールの大きな楽曲を作曲することが可能となったのである。

第3章: 黄金時代の到来と傑作『パラドックス』 (1995-1998)

3.1 『ムービング・ターゲット』の衝撃

D.C. クーパー (D.C. Cooper) を擁する新体制で制作された1995年のアルバム『ムービング・ターゲット (Moving Target)』は、バンドの評価を決定づける傑作となった。このアルバムにおいて、ネオクラシカルな美意識とヘヴィ・メタルの攻撃性、そしてクーパーの伸びやかなボーカルが完璧な融合を果たしている。

アルバムの詳細分析:

  • 「ラスト・グッドバイ (Last Goodbye)」: バンド史上最高の名曲の一つと称される。哀愁漂うメロディと疾走感が同居し、クーパーの感情表現が光る。
  • 「ファー・アウェイ (Far Away)」: 美しいバラードであり、シングルとしても大ヒットした。この曲は、1995年に発生した阪神・淡路大震災 (Great Hanshin Earthquake) の犠牲者に捧げられたことでも知られており、日本のファンとの精神的な結びつきをより強固なものにした。
  • 「1348」: ヨーロッパ全土を襲ったペスト (黒死病) をテーマにした楽曲。歴史的な題材を扱うアンドレの手腕が発揮されている。

この時期のツアーは、バンドの演奏力がピークに達していたことを証明している。その模様はライブ・アルバム『1996』およびビデオ作品として記録され、世界中のファンにROYAL HUNTのライブ・パフォーマンスの凄まじさを知らしめた。

3.2 不朽のコンセプト・アルバム『パラドックス』

1997年、ロイヤル・ハント (Royal Hunt) はキャリアの頂点とも言える4作目のアルバム『パラドックス (Paradox)』を発表する。この作品は単なる楽曲の寄せ集めではなく、深遠なテーマを持ったコンセプト・アルバムであった。

コンセプトとストーリーライン: 本作のテーマは「信仰と神、そして宗教を取り巻く複雑さと矛盾」である。物語は、圧政を敷く王を殺害した「キングスレイヤー (Kingslayer)」と呼ばれる男が主人公である。彼は罪の意識と追及から逃れるために古い教会に逃げ込み、そこで神との対話、あるいは自己との問答を繰り広げる。

  • 「サイレント・スクリーム (Silent Scream)」や「ティアリング・ダウン・ザ・ワールド (Tearing Down the World)」では、主人公が自身の行動 (暴力による解放) を正当化しようとする姿が描かれる。
  • 物語が進むにつれ、「タイム・ウィル・テル (Time Will Tell)」や「イッツ・オーヴァー (It's Over)」において、彼は罪悪感に苛まれ、自身の運命を受け入れていく。

音楽的達成: ゴスペル・クワイアの導入や、さらに重厚になったオーケストレーションは、プログレッシブ・メタルというジャンルの枠を超えた芸術性を作品に与えた。

ライブ盤『クロージング・ザ・チャプター』: このアルバムの完全再現ライブを収録した『クロージング・ザ・チャプター (Closing the Chapter)』(1998年) は、スタジオ盤の緻密さを損なうことなく、ライブならではの熱量を加えた名盤として、今なお高く評価されている。

3.3 予期せぬ決別

しかし、『パラドックス (Paradox)』による成功の絶頂にあった1998年、バンドに激震が走る。音楽的方向性の違いや内部の軋轢により、D.C. クーパー (D.C. Cooper) がバンドを解雇されたのである。このニュースは世界中のファンに衝撃を与え、バンドは最大の武器であった「声」を失うこととなった。

第4章: ジョン・ウェスト時代とSFへの傾倒 (1999-2003)

4.1 『フィア』による再出発

クーパーの後任として白羽の矢が立ったのは、アーテンション (Artension) での活動で知られるジョン・ウェスト (John West) であった。ジョン・ウェストの声質はクーパーのようなオペラティックなクリアさとは異なり、ブルージーでハスキーな成分を含んだ、よりロック色の強いものであった。

1999年にリリースされた『フィア (Fear)』は、この新ボーカリストの特性に合わせるかのように、よりダークでモダンなサウンドへと変化した。「Cold City Lights」や「Lies」といった楽曲は、都会の闇や欺瞞をテーマにしており、前作の宗教的荘厳さとは対照的なリアリズムを感じさせた。一部のファンはスタイルの変化に戸惑ったものの、ジョン・ウェストの実力は疑いようがなく、バンドは新たなフェーズへと進んだ。

4.2 レイ・ブラッドベリ三部作: 『ザ・ミッション』

2001年、アンドレ・アンダーセン (André Andersen) は再び壮大なコンセプトに取り組む。SF作家レイ・ブラッドベリ (Ray Bradbury) の名作『火星年代記 (The Martian Chronicles)』をベースにしたトリロジー・プロジェクトである。このプロジェクトは以下の3つのリリースで構成された:

  1. シングル『インターベンション (Intervention)』(2000年)
  2. フルアルバム『ザ・ミッション (The Mission)』(2001年)
  3. EP『ザ・ウォッチアーズ (The Watchers)』(2001年) - 70分を超える長尺EPとされる。

『ザ・ミッション (The Mission)』では、火星への移住、異星文明との接触、そして人類の愚かさといったテーマが、シンセサイザーを多用した近未来的なサウンドで描かれた。「Surrender」やタイトル曲「The Mission」は、ジョン・ウェストの力強いボーカルと相まって、スペース・オペラのような広がりを見せた。この時期、バンドは韓国 (Korea) の釜山 (Pusan) で開催されたオープンエア・フェスティバルにヘッドライナーとして出演し、25,000人の観衆を熱狂させた。

4.3 『アイウィットネス』と崩壊の危機

2003年のアルバム『アイウィットネス (Eyewitness)』は、メディアや情報操作をテーマにした作品であったが、バンド内部では再び分裂の危機が迫っていた。長年アンドレの右腕としてギター・サウンドを支えてきたヤコブ・キエール (Jacob Kjaer) と、結成メンバーであるベーシストのスティーン・モーゲンセン (Steen Mogensen) が相次いで脱退したのである。オリジナル・メンバーはついにアンドレ一人となり、ロイヤル・ハント (Royal Hunt) は実質的にアンドレのソロ・プロジェクトに近い形での再構築を余儀なくされた。

第5章: 再構築とマーク・ボールズの登板 (2004-2010)

5.1 『ペーパー・ブラッド』と新メンバー

2005年の『ペーパー・ブラッド (Paper Blood)』では、ギタリストにスウェーデン出身のマーカス・ジデル (Marcus Jidell)、ベーシストにペル・シェランダー (Per Schelander) を迎え、ドラムにはアラン・ソーレンセン (Allan Sørensen) が復帰した。マーカス・ジデルのギターは、前任者よりもモダンでヘヴィなトーンを持っており、バンドのサウンドに厚みを加えた。「Break Your Chains」のような疾走曲は往年のファンを喜ばせたが、ジョン・ウェストとの関係は2007年3月に終焉を迎えた。

5.2 驚愕の起用: マーク・ボールズと『パラドックスII』

次なるボーカリストとして発表されたのは、ネオクラシカル・メタルの巨星イングヴェイ・マルムスティーン (Yngwie Malmsteen) のバンドで活躍したマーク・ボールズ (Mark Boals) であった。彼のハイトーン・ボイスは、バンドのルーツである様式美メタルに回帰するのに最適であった。

2008年、バンドは勝負に出る。最高傑作の続編となる『コリジョン・コース…パラドックスII (Collision Course... Paradox II)』を発表したのである。

  • 続編としての挑戦: 名盤の続編を作ることは諸刃の剣であるが、マーク・ボールズの歌唱力と、アンドレの緻密な構成力により、このアルバムは高い評価を得た。「Tears of the Sun」などの楽曲は、第一作の緊張感を受け継ぎつつ、より現代的なプロダクションで仕上げられている。

5.3 10作目『X』

2010年の『X(テン)』は、70年代ロックの雰囲気を強く押し出した作品となった。しかし、ファンの間では「D.C. クーパーの復帰」を望む声が年々高まっており、マーク・ボールズ時代は過渡期としての意味合いを強めていった。

第6章: 王の帰還と現代への布石 (2011-2014)

6.1 『ショー・ミー・ハウ・トゥ・リヴ』: D.C. クーパー復帰

2011年、世界中のファンやプロモーターからの熱烈なリクエストに応え、ついにD.C. クーパー (D.C. Cooper) の復帰が実現した。このニュースは「王の帰還」としてシーンを賑わせた。復帰第一弾アルバム『ショー・ミー・ハウ・トゥ・リヴ (Show Me How To Live)』は、まさにファンが待ち望んだ「ロイヤル・ハント (Royal Hunt)」そのものであった。

新体制のラインナップも強力であった:

  • ジョナス・ラーセン (Jonas Larsen) (Guitar): デンマークのギター・コンテスト「Copenhagen Guitar Battle」で2年連続優勝した実力者。
  • アンドレアス・パスマーク (Andreas Passmark) (Bass): 堅実なプレイでリズムを支える。

アルバム・タイトル曲「Show Me How To Live」や「Hard Rain's Coming」は、往年のメロディセンスと現代的な音圧が融合しており、完全復活を印象付けた。

6.2 『ア・ライフ・トゥ・ダイ・フォー』

2013年の『ア・ライフ・トゥ・ダイ・フォー (A Life To Die For)』では、本物のクラシック弦楽器奏者やクワイアを起用し、シンフォニックな要素を極限まで追求した。タイトル曲は8分を超える大作であり、映画のサウンドトラックのような壮大さを持っている。

第7章: ディストピア・サーガと現在の活動 (2015-2026)

7.1 『デビルズ・ダズン』と新ドラマー

2015年、ドラマーとしてアンドレアス・"ハボ"・ヨハンソン (Andreas "Habo" Johansson) が加入する。彼はナルニア (Narnia) やロブ・ロック (Rob Rock) での活動で知られるパワフルなドラマーであり、バンドに新たな推進力をもたらした。アルバム『デビルズ・ダズン (Devil's Dozen)』は、キャッチーさとプログレッシブさがバランスよく配置された作品となった。

7.2 壮大なる二部作『ディストピア』

2020年から2022年にかけて、バンドは再びレイ・ブラッドベリ (Ray Bradbury) の作品、特に『華氏451度 (Fahrenheit 451)』にインスパイアされたコンセプト・アルバム『ディストピア (Dystopia)』二部作を発表した。

  • 『ディストピア パート1 (Dystopia Part 1)』(2020年)
  • 『ディストピア パート2 (Dystopia Part 2)』(2022年)

このプロジェクトの特筆すべき点は、ゲスト・ボーカリストの豪華さである。物語の登場人物を演じ分けるために、以下のシンガーたちが参加した:

  • マッツ・レヴィン (Mats Levén) (ex-Yngwie Malmsteen, Candlemass)
  • マーク・ボールズ (Mark Boals) (元メンバー)
  • ヘンリック・ブロックマン (Henrik Brockmann) (初代ボーカリスト)
  • ケニー・リューブケ (Kenny Lubcke) (長年のバッキング・ボーカル)

歴代のボーカリスト (ブロックマン、クーパー、ボールズ) が一つの作品で共演するという、ファンにとっては夢のような企画が実現したのである。物語は、検閲や思想統制が行われるディストピア社会における個人の葛藤を描いており、現代社会への痛烈なメッセージとなっている。

7.3 最新作『ビハインド・ザ・カーテン』と2026年への展望

2025年、バンドはクラウドファンディング・キャンペーン「Royal Hunt Camp 2025」を通じて、ファンと直接つながる新しい制作モデルを採用した。その成果としてリリースされたのが、ダブル・ディスク仕様のマキシシングル/EP『ビハインド・ザ・カーテン (Behind The Curtain)』である。

  • リリース日: 北米・欧州は2025年11月5日、日本は先行して2025年10月29日。
  • 内容: 新曲「Ride into the Sunset」や、2023年のライブ音源 (「Last Goodbye」、「The Mission」)、アコースティック・バージョンなどを収録。付属のDVDにはドキュメンタリーや舞台裏の映像が収められている。

2024年のフェスティバル・シーズン (スペインの「Leyendas Del Rock」など) では、D.C. クーパーとハボ・ヨハンソンのスケジュール調整がつかず、一時的にマーク・ボールズとダニエル・ラッシュ・ニールセン (Daniel Rasch Nielsen) が代役を務める場面もあったが、バンドの核となる活動は続いている。2026年1月には、世界最大のメタル・クルーズ・フェスティバル「70000 Tons of Metal」への出演が決定しており、その航海はまだ終わることを知らない。

第8章: ディスコグラフィ

8.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)

発売年 (Year) タイトル (Title) ボーカル (Vocalist) 備考・ハイライト (Notes)
1992 Land of Broken Hearts
(ランド・オブ・ブロークン・ハーツ)
Henrik Brockmann デビュー作。「Martial Arts」収録
1993 Clown in the Mirror
(クラウン・イン・ザ・ミラー)
Henrik Brockmann よりプログレッシブな展開へ。
1995 Moving Target
(ムービング・ターゲット)
D.C. Cooper クーパー加入。「Last Goodbye」「Far Away」収録の名盤。
1997 Paradox
(パラドックス)
D.C. Cooper 神と信仰を問うコンセプト作。バンドの最高傑作とされる。
1999 Fear
(フィア)
John West ウェスト加入。ダークでモダンな作風。
2001 The Mission
(ザ・ミッション)
John West 『火星年代記』に基づくSFコンセプト作。
2003 Eyewitness
(アイウィットネス)
John West メディア社会を批判。初期メンバー脱退前の最後の作品。
2005 Paper Blood
(ペーパー・ブラッド)
John West Marcus Jidell (Gt)加入。
2008 Collision Course... Paradox 2
(コリジョン・コース…パラドックスII)
Mark Boals ボールズ加入。『Paradox』の続編。
2010 X
(X)
Mark Boals 10作目。70年代ロックへのオマージュ。
2011 Show Me How To Live
(ショー・ミー・ハウ・トゥ・リヴ)
D.C. Cooper クーパー復帰作。原点回帰のサウンド。
2013 A Life To Die For
(ア・ライフ・トゥ・ダイ・フォー)
D.C. Cooper オーケストラを多用した壮大な作品。
2015 Devil's Dozen
(デビルズ・ダズン)
D.C. Cooper Habo (Dr)加入。
2018 Cast In Stone
(キャスト・イン・ストーン)
D.C. Cooper 重厚なリズムとメロディの融合。
2020 Dystopia Part 1
(ディストピア パート1)
D.C. Cooper 『華氏451度』コンセプト第一弾。多数のゲスト参加。
2022 Dystopia Part 2
(ディストピア パート2)
D.C. Cooper サーガ完結編。

8.2 ライブ・アルバム (Live Albums)

発売年 タイトル (Title) 内容 (Content)
1996 1996 (Double Live) 日本でのライブを収録。初期の熱狂を伝える。
1998 Closing the Chapter
(クロージング・ザ・チャプター)
『Paradox』完全再現ライブ。
2006 2006 Live サンクトペテルブルク (St. Petersburg) でのライブ。
2016 Cargo
(カーゴ)
ProgPower USA フェスティバルでのライブ。
2017 2016 25周年記念ライブ盤。

8.3 EP・シングル・その他 (EPs, Singles & Others)

  • The Maxi (1993)
  • Far Away (1995) - アコースティック版を含む。
  • Message to God (1997)
  • Intervention (2000) - 『The Mission』への布石。
  • The Watchers (2001) - 70分超の長尺EP。未発表曲やライブ音源を含む。
  • Hard Rain's Coming (2011)
  • Behind The Curtain (2025) - 最新ダブルディスクEP。

第9章: メンバー・プロフィール詳細

現メンバー (Current Members)

  • アンドレ・アンダーセン (André Andersen)
    • 担当: Keyboards, Guitars (Studio), Bass (Studio), Backing Vocals
    • 在籍: 1989-現在
    • 人物: バンドの頭脳であり心臓。ステージでは要塞のように積み上げられたキーボードに囲まれて演奏するスタイルがトレードマーク。読書家であり、短期間に大量の本を読むことから、深い文学的素養が歌詞に反映されている。
  • D.C. クーパー (D.C. Cooper)
    • 担当: Lead Vocals
    • 在籍: 1994-1999, 2011-現在
    • 人物: ペンシルベニア州出身。元サイレント・フォース (Silent Force)。その圧倒的な声量と表現力で「ロイヤル・ハントの声」として認識されている。救急救命士 (EMT) の資格を持つという一面もある。
  • アンドレアス・パスマーク (Andreas Passmark)
    • 担当: Bass
    • 在籍: 2009-現在
    • 人物: スウェーデン出身。ナルニア (Narnia) やストームウインド (Stormwind) でも活動。アンダーセンの複雑な楽曲をボトムで支える安定感が持ち味。
  • ジョナス・ラーセン (Jonas Larsen)
    • 担当: Lead Guitar
    • 在籍: 2011-現在
    • 人物: デンマーク出身。カバー・バンド「Highway Jam」で活動していたところをアンドレに見出された。正確無比なピッキングとメロディックなソロ・ワークが特徴。
  • アンドレアス・"ハボ"・ヨハンソン (Andreas "Habo" Johansson)
    • 担当: Drums
    • 在籍: 2015-現在
    • 人物: スウェーデン出身。パスマークの紹介で加入。エネルギッシュなパフォーマンスで、バンドのライブ・サウンドを活性化させた。

主な元メンバー (Notable Former Members)

  • ヘンリック・ブロックマン (Henrik Brockmann) (Vo): 初代ボーカル。脱退後はイーヴル・マスカレード (Evil Masquerade) などで活動。
  • ジョン・ウェスト (John West) (Vo): 3代目ボーカル。アーテンション (Artension) との掛け持ちで活動した。
  • マーク・ボールズ (Mark Boals) (Vo): 4代目ボーカル。イングヴェイ・マルムスティーン (Yngwie Malmsteen) の『Trilogy』での歌唱で有名。
  • ヤコブ・キエール (Jacob Kjaer) (Gt): 黄金期を支えたギタリスト。アンドレとのコンビネーションは絶品であった。
  • スティーン・モーゲンセン (Steen Mogensen) (Ba): 創設メンバー。長年にわたりバンドを支えた。脱退後はコーナーストーン (Cornerstone) を結成。
  • ケネス・オルセン (Kenneth Olsen) (Dr): 初代ドラマー。
  • アラン・ソーレンセン (Allan Sørensen) (Dr): 『Paradox』期のドラマー。

不変の美学

ロイヤル・ハント (Royal Hunt) の35年は、変化の激しい音楽業界において、自身の美学を貫き通した稀有な例である。アンドレ・アンダーセン (André Andersen) という絶対的な指導者の下、ROYAL HUNTは流行に迎合することなく、クラシック音楽の荘厳さとロックの熱量を融合させ続けてきた。

特に日本との関係は特筆に値する。ROYAL HUNTの音楽が持つ「哀愁」や「構築美」は、日本人の琴線に触れるものであり、プロレスの入場曲としての普及も相まって、ROYAL HUNTは日本において特別な地位を築いている。

最新作『ビハインド・ザ・カーテン』や『ディストピア』サーガが示すように、ROYAL HUNTの創作意欲は衰えを知らない。社会的なメッセージを内包したコンセプト・アルバムを作り続けるROYAL HUNTが現在進行形のプログレッシブ・メタル・バンドであることを証明している。ロイヤル・ハント (Royal Hunt) の探求の旅は、これからも続いていく。

Albums

Dystopia Part II CD
/

壮麗な鍵盤と劇的な展開で、ディストピア世界を描き切るROYAL HUNTの続編。

Dystopia CD
/

複数の歌声と壮麗な鍵盤でディストピアを描く、ROYAL HUNTのコンセプト大作。

Cast in Stone CD
/

クラシカルな鍵盤とD.C.クーパーの歌を軸に、ROYAL HUNTのドラマ性を再確認した第14作。

Devil's Dozen CD
/

荘厳な鍵盤、硬質なリフ、劇的な歌でROYAL HUNTのクラシカルなメタル像を深化させた一作。

A Life to Die For CD
/

クラシカルな鍵盤と劇的なヴォーカルで、ROYAL HUNTの壮大なプログレッシヴ・メタルを描く一作。

Show Me How to Live CD
/

D.C. COOPER復帰後のROYAL HUNTが、劇的な鍵盤と大きな歌メロを取り戻した一作。

X CD
/

劇的な鍵盤と重厚なリフで、ROYAL HUNTのシンフォニック・メタルを再確認する一作。

Collision Course... Paradox 2 CD
/

壮麗なアレンジとドラマティックな歌を重ね、ROYAL HUNTがシンフォニック・メタルの世界を拡張した一作。

Paper Blood CD
/

ドラマティックな鍵盤と重いギターを結び、ROYAL HUNTがプログレッシヴ・メタルの緊張感を高めた一枚。

Eyewitness CD
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緻密な鍵盤アレンジとドラマティックな歌で、ROYAL HUNTが洗練されたプログレッシヴ・メタルを描いた第七作。

The Mission CD
/

壮大な物語とプログレッシヴな編曲で、ROYAL HUNTがドラマティックなシンフォニック・メタルを展開したコンセプト作。

Fear CD
/

シンフォニックな鍵盤と劇的な歌を重ね、ROYAL HUNTがプログレッシヴなメロディック・メタルを深めた一作。

Paradox CD
/

ドラマティックな鍵盤と重いリフを連ね、ROYAL HUNTが物語性あるプログレッシヴ・パワーを描いた代表作。

Moving Target CD
/

D.C.クーパーの歌を得て、ROYAL HUNTがクラシカルな構築美とパワー・メタルを大きく飛躍させた第3作。

Clown in the Mirror CD
/

ネオクラシカルな鍵盤と劇的なメロディで、ROYAL HUNTのシンフォニックな個性を鮮明にした第2作。

Land of Broken Hearts CD
/

André Andersenの華麗な鍵盤と劇的なコーラスで、ROYAL HUNTがプログレッシヴ・パワーの出発点を刻んだデビュー作。