RAGE

1980年代初頭、イギリスで勃発した「NWOBHM (ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)」の波動は、ドーバー海峡を越え、ドイツの若者たちに強烈な衝撃を与えた。

Biography

ジャーマン・ヘヴィメタル・インスティテゥーション
RAGE (レイジ)

ドイツの鉄壁、その40年に渡る進化の軌跡

1980年代初頭、イギリスで勃発した「NWOBHM (ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)」の波動は、ドーバー海峡を越え、ドイツの若者たちに強烈な衝撃を与えた。ノルトライン=ヴェストファーレン州 (North Rhine-Westphalia) の工業地帯を中心に、後に「ジャーマン・メタル (German Metal)」と称される独自のシーンが形成されていく中で、ハロウィン (Helloween)、ランニング・ワイルド (Running Wild)、グレイヴ・ディガー (Grave Digger) と並び、「ジャーマン・メタル四天王 (The Big Four of German Speed/Power Metal)」の一角としてシーンを牽引し続けてきたのが、レイジ (RAGE) である。

中心人物であるピーター・“ピーヴィー”・ワグナー (Peter "Peavy" Wagner) によって1984年に結成されて以来、レイジ (RAGE) は40年以上にわたり一度も解散することなく活動を継続している稀有なバンドである。RAGEの音楽性は、初期の純粋なスピード・メタル (Speed Metal) から、キャッチーなメロディを擁するパワー・メタル (Power Metal)、そしてオーケストラを大胆に導入したシンフォニック・メタル (Symphonic Metal)、さらにはプログレッシブな展開を見せるテクニカルなメタルへと、時代とともに柔軟かつ貪欲に進化を遂げてきた。

第1章: 起源 - アヴェンジャー (Avenger) の時代 (1983-1986)

1.1 結成前夜: ヘルネの地下室から

レイジ (RAGE) の物語は、1983年のドイツ、ヘルネ (Herne) で幕を開ける。当時、クラシックギターの教育を受けていた若きピーヴィー・ワグナー (Peavy Wagner) は、ビートルズ (The Beatles) からの影響を受けつつも、モーターヘッド (Motörhead) のような荒々しいエネルギーに魅了され、エレクトリック・ベースとボーカルへと転向を決意した。

1983年初頭、ピーヴィーはアヴェンジャー (Avenger) を結成する。初期のラインナップには、ボーカルのピーター・バーツ (Peter Burtz)、ギタリストのヨッヘン・シュローダー (Jochen Schröder) とアルフ・マイヤーラトケン (Alf Meyerratken)、ベーシストのクラウス・ミューラー (Klaus Müller)、ドラマーのヤン・イルディラル (Jan Yildiral) が名を連ねていた。しかし、この編成は長くは続かず、同年後半にはバーツとイルディラルが脱退し、スティーラー (Steeler) に加入するという分裂劇が起きる。

1.2 『Prayers of Steel』 とスピード・メタルの萌芽

1984年、ピーヴィーはベースとボーカルを兼任するフロントマンとしての地位を確立し、ドラマーにヨルグ・マイケル (Jörg Michael) を迎える。ヨルグ・マイケルは後にストラトヴァリウス (Stratovarius) やランニング・ワイルド (Running Wild) など数多くのバンドで活躍することになる、ジャーマン・メタル界を代表するドラマーであるが、彼のキャリアの初期におけるアヴェンジャー (Avenger) でのプレイは、既にその非凡な才能―特にツーバスによる疾走感―を示唆するものであった。

彼らは1984年にデビューアルバム『プレイヤーズ・オブ・スティール (Prayers of Steel)』をウィッシュボーン・レコード (Wishbone Records) からリリースする。このアルバムは、NWOBHMの影響を色濃く残しつつも、ドイツ特有の硬質で攻撃的なリフワーク、いわゆる「ジャーマン・スラッシュ」の原点とも言えるサウンドを展開していた。特に、ピーヴィーのハイトーン・スクリームと、ヨッヘン・シュローダー (Jochen Schröder) らのツインギターが生み出すハーモニーは、当時のアンダーグラウンド・シーンで注目を集めた。

1.3 転機: 同名バンドとの競合と「RAGE」の誕生

1985年にはEP『デプレイヴド・トゥ・ブラック (Depraved to Black)』をリリースし、その音楽性をより洗練されたスピード・メタルへと昇華させていく。しかし、順順調に見えたバンド活動に法的な壁が立ちはだかる。イギリスに同名の「アヴェンジャー (Avenger)」というバンドが既に存在しており、活動を継続するためには改名が不可欠となったのである。

当初、新しいバンド名の候補として「フューリアス・レイジ (Furious RAGE)」が挙がっていたが、よりシンプルでインパクトのある名称が好ましいという判断から、最終的に 「レイジ (RAGE)」 に短縮された。この決定は、単なる名称変更以上に、バンドがよりシリアスで国際的な市場を見据えたプロフェッショナルな集団へと脱皮する契機となった。「怒り」を意味するその名は、彼らのアグレッシブなサウンドを体現する完璧な象徴となったのである。

第2章: ノイズ・レコード (Noise Records) 時代 - スピード・メタルからの脱却と黄金期の到来 (1986-1993)

2.1 ノイズ・レコードとの契約と初期の進化

改名後、彼らは当時ハロウィン (Helloween) やクリエイター (Kreator) などを擁し、ジャーマン・メタルの総本山となっていたノイズ・レコード (Noise Records) と契約を締結する。

『Reign of Fear』 (1986)
1986年5月12日、レイジ (RAGE) 名義での第一弾アルバム『レイン・オブ・フィアー (Reign of Fear)』がリリースされた。この作品は、アヴェンジャー (Avenger) 時代の楽曲構成を継承しつつも、より複雑なリズム展開やプログレッシブな要素を取り入れようとする実験精神が見られた。

『Execution Guaranteed』 (1987)
翌1987年の『エクセキューション・ギャランティード (Execution Guaranteed)』では、ギタリストのトーマス・“ギネス”・グリューニング (Thomas "Guinness" Grüning) に代わり、元ウォーロック (Warlock) のルディ・グラーフ (Rudy Graf) が加入。これにより、ヨッヘン・シュローダー (Jochen Schröder) とのツインギター体制が強化され、よりメロディアスで構築美のあるサウンドへと変化した。

2.2 黄金のトリオ編成 (リフュージ・イヤーズ): ピーヴィー、マンニ、クリス

1988年、レイジ (RAGE) の歴史において最もファンから愛され、商業的にも最初の成功を収めた「黄金期」のラインナップが完成する。音楽的な方向性の違いからヨルグ・マイケル (Jörg Michael) らが脱退した後、ピーヴィー・ワグナー (Peavy Wagner) は、トリオ編成への移行を決断する。新たに加わったのは、ギタリストのマンニ・シュミット (Manni Schmidt) と、ドラマーのクリス・エフティミアディス (Chris Efthimiadis) である。

このトリオ編成への移行は、バンドのサウンドに「空間」と「自由度」をもたらした。マンニ・シュミット (Manni Schmidt) のギタープレイは、鋭利なリフワークと流麗なソロを兼ね備え、バッキングとリードを自在に行き来するスタイルでバンドの音圧を一人で支えた。一方、クリス・エフティミアディス (Chris Efthimiadis) のドラミングは、パンクやハードコアの影響を感じさせる突進力と独特のグルーヴを持っており、前任者のヨルグ・マイケルとは異なる「野生味」をバンドに注入した。

『Perfect Man』 と代表曲の誕生 (1988)
1988年リリースの『パーフェクト・マン (Perfect Man)』は、この新体制による化学反応が爆発した傑作である。特に収録曲「ドント・フィアー・ザ・ウィンター (Don't Fear the Winter)」は、キャッチーなサビのメロディと疾走感が完璧に融合しており、今日に至るまでレイジ (RAGE) のライブで演奏され続けるアンセムとなった。

『Secrets in a Weird World』 (1989)
続く1989年の『シークレッツ・イン・ア・ウィアード・ワールド (Secrets in a Weird World)』では、バンドはよりプログレッシブでテクニカルなアプローチを試みた。

2.3 日本でのブレイクと国際的成功: 『Trapped!』 と 『The Missing Link』

1990年代に入ると、レイジ (RAGE) はキャリアの頂点の一つを迎える。

『Trapped!』 (1992) - 日本市場の開拓
1992年リリースのアルバム『トラップト! (Trapped!)』は、アクセプト (Accept) の作品で知られるプロデューサー、スヴェン・コンクエスト (Sven Conquest) を迎え、サウンドプロダクションが劇的に向上した。「シェイム・オン・ユー (Shame on You)」や「ソリタリー・マン (Solitary Man)」といった楽曲は、特に日本のメタルファンの琴線に触れ、初の来日公演が実現した。

『The Missing Link』 (1993) - バランスの頂点
翌1993年にリリースされた『ザ・ミッシング・リンク (The Missing Link)』は、多くのファンや評論家によって「レイジ (RAGE) の最高傑作の一つ」と見なされている。グランジやオルタナティブ・ロックが台頭し、伝統的なヘヴィメタルが冬の時代を迎えていた90年代初頭において、RAGEは一切の妥協なく純粋なパワー・メタルを貫いた。

2.4 マンニ・シュミットの脱退と黄金期の終焉

しかし、頂点を極めた直後の1994年初頭、マンニ・シュミット (Manni Schmidt) が突如バンドを脱退する。後のインタビューでマンニは、当時の脱退理由について「音楽ビジネスや音楽制作そのものに疲弊していた」と語っている。この脱退により、第一期黄金時代 (Refuge Years) は幕を閉じた。

第3章: 変革と実験 - 4人編成とオーケストラの導入 (1994-1999)

3.1 兄弟のリズム隊とスヴェン・フィッシャーの加入

マンニの脱退という危機に際し、ピーヴィーはバンドをトリオから4人編成 (カルテット) へと再編することを決断する。新たに加入したのは、ドラマーであるクリス・エフティミアディスの実弟、スピロス・エフティミアディス (Spiros Efthimiadis) と、元ピラカンダ (Pyracanda) のギタリスト、スヴェン・フィッシャー (Sven Fischer) であった。

3.2 『Black in Mind』: スラッシュへの回帰とダークな世界観

新体制で制作された1995年のアルバム『ブラック・イン・マインド (Black in Mind)』は、これまで以上にダークでスラッシュ・メタル寄りのアグレッションが特徴である。タイトル曲「ブラック・イン・マインド (Black in Mind)」や「セント・バイ・ザ・デヴィル (Sent by the Devil)」は、バンドの新たな代表曲となった。

3.3 『Lingua Mortis』: シンフォニック・メタルの先駆者として

1996年、レイジ (RAGE) はヘヴィメタルの歴史において極めて重要な、そして革新的な実験を行う。それがアルバム『リングア・モルティス (Lingua Mortis)』である。これは、プラハ交響楽団 (Prague Symphony Orchestra) を起用し、過去の楽曲や新曲をフル・オーケストラ・アレンジで録音した作品である。これは後のシンフォニック・メタル・ブームや、メタリカ (Metallica) の『S&M』に先駆けるプロジェクトであった。

3.4 『End of All Days』 から 『XIII』 への進化

同1996年には、通常のスタジオ・アルバム『エンド・オブ・オール・デイズ (End of All Days)』もリリースされ、「ハイヤー・ザン・ザ・スカイ (Higher than the Sky)」というライブにおける最大のアンセムが生み出された。しかし、1999年の『ゴースツ (Ghosts)』制作中、メンバー間の関係が悪化し、バンド史上最大の分裂劇が発生する。

第4章: ヴィルトゥオーゾの時代 ― ヴィクター・スモールスキとマイク・テラーナ (1999-2015)

4.1 新たなる天才の加入: スモールスキとテラーナ

バンド存続の危機に際し、ベラルーシ出身のギタリスト、ヴィクター・スモールスキ (Victor Smolski) が加入。さらに、イングヴェイ・マルムスティーン (Yngwie Malmsteen) やガンマ・レイ (Gamma Ray) での活動で知られるアメリカ人ドラマー、マイク・テラーナ (Mike Terrana) が加入し、「スーパー・トリオ」が誕生した。

4.2 テクニカル・パワー・メタルの頂点: 『Unity』 と 『Soundchaser』

2002年の『ユニティ (Unity)』と2003年の『サウンドチェイサー (Soundchaser)』において、RAGEのスタイルは完成の域に達する。ヴィクターの超絶技巧ギターとマイクのパワフルかつ複雑なドラミングが融合し、独自の「テクニカル・パワー・メタル」が確立された。

4.3 マイク・テラーナの脱退とLMOプロジェクト

2006年の『スピーク・オブ・ザ・デッド (Speak of the Dead)』リリース後、マイク・テラーナが脱退し、アンドレ・ヒルガース (André Hilgers) が加入。2013年にはオーケストラとの融合を極めた『LMO』をリリースした。

4.4 ヴィクター体制の終焉: エゴの衝突と決別

しかし、15年に及ぶヴィクターとのパートナーシップは2015年に終わりを迎える。ピーヴィーは、バンドの民主的な運営が困難になったことなどを理由に、ヴィクターおよびアンドレとの決別を発表した。

第5章: 原点回帰と再構築 - 現在のRAGE (2015-Present)

5.1 「本物のバンド」への回帰: マルコスとラッキーの加入

2015年、ピーヴィーはギタリストのマルコス・ロドリゲス (Marcos Rodriguez) と、ドラマーのヴァシリオス・“ラッキー”・マニアトプロス (Vassilios "Lucky" Maniatopoulos) を迎え、90年代中期のストレートなメタルへと回帰する。

5.2 「Refuge」 プロジェクトと4人編成への拡大

この時期、ピーヴィーはかつての黄金期メンバーと「レフュージ (Refuge)」を始動。一方、本家レイジでは2020年にマルコスが脱退し、ステファン・ウェーバー (Stefan Weber) とジーン・ボーマン (Jean Bormann) を加入させ、再び4人編成となった。

5.3 40周年とダブルアルバム 『Afterlifelines』

2023年にステファン・ウェーバーが活動休止となり、再びトリオ編成となる。2024年、結成40周年を記念して2枚組の大作『アフターライフラインズ (Afterlifelines)』をリリース。「アグレッション」と「シンフォニー」という二つの歴史を総括する集大成となった。

5.4 未来への希望: 『A New World Rising』 (2025)

2025年9月26日、通算27作目となるスタジオ・アルバム『ア・ニュー・ワールド・ライジング (A New World Rising)』がリリースされた。「破壊的な思考からの脱却」や「自由 (Freedom)」をテーマにした、極めてポジティブでエネルギッシュな作品となっている。

第6章: 日本との絆と独自のリリース展開 (The Japanese Connection)

レイジ (RAGE) は、1992年のアルバム『Trapped!』の成功と初来日公演以来、日本において熱狂的な支持を集め続けている。

6.1 日本独自の企画盤とボーナストラック

  • 『Live from the Vault』 (1997): 日本限定でリリースされたミニアルバム。
  • 『The Best from the Noise Years』 (1998): ノイズ・レコード時代の楽曲を集めた日本独自のベスト・アルバム。
  • 日本語歌唱曲: アルバム『Speak of the Dead』の日本盤ボーナス「Michi-Shiroi (道-白い)」では、全編日本語での歌唱に挑戦している。

6.2 来日公演の頻度

2024年4月には結成40周年記念ツアーの一環として来日するなど、頻繁に来日公演を行っている。

第7章: ディスコグラフィ (Discography)

7.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)

発売年 (Year) タイトル (Title) 日本盤タイトル / 備考 (Japanese Title / Notes) レーベル (Label)
1985 Prayers of Steel プレイヤーズ・オブ・スティール
※Avenger名義。日本盤再発にはEP曲追加。
Wishbone
1986 Reign of Fear レイン・オブ・フィアー
※記念すべきデビュー作。日本盤(VICP-23073等)あり。
Noise
1987 Execution Guaranteed エクセキューション・ギャランティード
※日本盤(VICP-23072)。
Noise
1988 Perfect Man パーフェクト・マン
※代表曲「Don't Fear the Winter」収録。
Noise
1989 Secrets in a Weird World シークレッツ・イン・ア・ウィアード・ワールド
※プログレッシブな傑作
Noise
1990 Reflections of a Shadow リフレクションズ・オブ・ア・シャドウ Noise
1992 Trapped! トラップト!
※日本でのブレイク作。
Noise
1993 The Missing Link ザ・ミッシング・リンク
※最高傑作との呼び声高い作品。
Noise
1994 10 Years in RAGE テン・イヤーズ・イン・レイジ
※10周年記念。未発表曲の再録集。
Noise
1995 Black in Mind ブラック・イン・マインド
※4人編成での初アルバム。
GUN
1996 Lingua Mortis リングア・モルティス
※オーケストラ・アルバム。
GUN
1996 End of All Days エンド・オブ・オール・デイズ
※日本盤ボーナス: 「How We Treat Each Other」等。
GUN
1998 XIII サーティーン
※オーケストラ・コンセプト作。
GUN
1999 Ghosts ゴースツ
※エフティミアディス兄弟在籍ラスト
GUN
2001 Welcome to the Other Side ウェルカム・トゥ・ジ・アザー・サイド
※ヴィクター&マイク加入後初フルレンス。
GUN
2002 Unity ユニティ
※テクニカル路線の傑作。
SPV
2003 Soundchaser サウンドチェイサー
※同名のマスコットが登場
SPV
2006 Speak of the Dead スピーク・オブ・ザ・デッド
※組曲構成。日本盤ボーナス 「Michi-Shiroi」。
Nuclear Blast
2008 Carved in Stone カーヴド・イン・ストーン
※アンドレ・ヒルガース加入後初。
Nuclear Blast
2010 Strings to a Web ストリングス・トゥ・ア・ウェブ Nuclear Blast
2012 21 トゥエンティ・ワン Nuclear Blast
2013 LMO LMO (Lingua Mortis Orchestra名義)
※実質的なRAGEのアルバム
Nuclear Blast
2016 The Devil Strikes Again ザ・デヴィル・ストライクス・アゲイン
※新トリオによる原点回帰作。
Nuclear Blast
2017 Seasons of the Black シーズンズ・オブ・ザ・ブラック Nuclear Blast
2020 Wings of RAGE ウィングス・オブ・レイジ SPV
2021 Resurrection Day レザレクション・デイ
※4人編成作品。
SPV
2024 Afterlifelines アフターライフラインズ
※40周年記念ダブルアルバム。
SPV
2025 A New World Rising ア・ニュー・ワールド・ライジング
※最新作。ポジティブな世界観。
SPV

7.2 主要EP・ミニアルバム・ライブ盤 (Selected EPs, Mini-Albums & Live)

発売年 タイトル (Title) 備考 (Notes)
1985 / 1989 Depraved to Black / Invisible Horizons Avenger名義のEP。 / アルバム未収録トラックを含むEP。
1991 Extended Power 日本でも人気のあるEP。
1992 Beyond the Wall 日本盤(VICP-15020)。アコースティック・バージョン等を収録。
1994 Refuge 日本限定EP (VICP-15028)。名曲「Refuge」収録。
1997 Live from the Vault 日本限定企画盤(VICP-60078)。未発表音源集。
1998 In Vain: RAGE in Acoustic アコースティック・アルバム。
2002 The Best from the Noise Years 日本限定ベスト (VICP-60386)。
2022 Spreading the Plague EP。アルバム未収録曲を収録

第8章: メンバー・バイオグラフィ (Members Biography)

現在のメンバー (Current Members)

ピーター・“ピーヴィー”・ワグナー (Peter "Peavy" Wagner)

担当: ボーカル、ベース (Vocals, Bass)
在籍期間: 1984年-現在
解説: バンドの創設者、リーダー、そして唯一のオリジナルメンバー。彼のソングライティング能力と、特徴的な声質―野太い中音域から力強いハイトーンまで―がレイジ (RAGE) のアイデンティティそのものである。また、彼は熱心な化石収集家 (特に恐竜の骨) としても知られ、その知識は専門家レベルに達している。

ヴァシリオス・“ラッキー”・マニアトプロス (Vassilios "Lucky" Maniatopoulos)

担当: ドラムス、バック・ボーカル (Drums, Backing Vocals)
在籍期間: 2015年-現在
解説: 元々はクリス・エフティミアディスのドラム・テクニシャン。自身のバンドではボーカルを務めているため、レイジにおいても非常に強力かつ安定したバック・コーラスを提供している。

ジーン・ボーマン (Jean Bormann)

担当: ギター (Guitars)
在籍期間: 2020年-現在
解説: 若手実力派ギタリスト。マンニ・シュミット時代の攻撃的なリフワークへの理解が深く、新曲においても主要なソングライティング・パートナーとなっている。

主な元メンバー (Notable Former Members)

  • マンニ・シュミット (Manni Schmidt) [Gt: 1987-1994]: バンドの第一期黄金時代を支えた伝説的ギタリスト。
  • クリス・エフティミアディス (Chris Efthimiadis) [Dr: 1987-1999]: 初期〜中期のレイジの屋台骨を支えたドラマー。
  • ヴィクター・スモールスキ (Victor Smolski) [Gt/Keys: 1999-2015]: クラシック音楽の要素を本格的に導入した天才音楽家。
  • マイク・テラーナ (Mike Terrana) [Dr: 1999-2006]: マシーンのように正確かつパワフルなドラミングで知られる。
  • マルコス・ロドリゲス (Marcos Rodriguez) [Gt: 2015-2020]: ピーヴィーの友人であり、ファン出身のギタリスト。

Conclusion

レイジ (RAGE) の40年に及ぶ歴史は、単なる「ヘヴィメタル・バンドの生存記録」ではない。それは、創始者であるピーヴィー・ワグナーの不屈の精神と、彼がその時々に選んだ優れたミュージシャンたちとの化学反応の記録である。RAGEは、アヴェンジャーとしてスピード・メタルの黎明期を駆け抜け、ノイズ・レコード時代にパワー・メタルの礎を築き、90年代にはオーケストラとの融合という未知の領域を開拓した。そして21世紀には超絶技巧の追求を経て、現在は再びバンドとしての「原点」―友情、エネルギー、そして自由―へと回帰し、2025年の最新作『A New World Rising』で新たな全盛期を迎えようとしている。

日本のファンにとって、レイジ (RAGE) は単なる海外のバンドではなく、共に成長し、共に時代を歩んできた「戦友」のような存在である。数多の日本盤リリースや来日公演がその証左であり、RAGEの音楽はこれからも、国境や世代を超えて響き続けるであろう。

Trivia

このバンドが1984年に結成されたとき、名前はRAGEではなくAVENGERだった。その名義でデビュー作『Prayers Of Steel』とEP『Depraved To Black』を1985年に出している。

出典: RAGE 公式サイト Biography

改名の理由は単純だった。イングランドに既に同じ名前を掲げる別のバンドがいたのである。そこで彼らはRAGEに変えた。ただし当初考えていたのはRAGEではなく「Furious Rage」で、それが最終的に短く詰められて今の名前になった。

出典: RAGE 公式サイト Biography

国際的な突破口となったのは1992年の『Trapped!』だった。そして公式サイトの記述によれば、その最初のハイライトになったのが日本でのツアーである。1990年代初頭の彼らは、ランニング・ワイルド、U.D.O.、モーターヘッド、サクソンといった面々とツアーを回り始めていた。

出典: RAGE 公式サイト Biography

1996年の『Lingua Mortis』について、公式サイトははっきりした言い方をしている。ドイツのメタル勢による史上初のクラシカル・アルバムだった、というのである。ここから、このバンドとオーケストラの長い付き合いが始まった。

出典: RAGE 公式サイト Biography

1998年3月に出た13作目は、そのまま『XIII』と題された。リンガ・モルティス・オーケストラを起用したこの作品はチャートで大きな成功を収め、のちにドイツのRock Hard誌が編んだ『史上最高のロック&メタル・アルバム500選』で272位に選ばれている。

出典: RAGE 公式サイト Biography

2001年、彼らの曲「Straight To Hell」がドイツ映画『Der Schuh des Manitu』で使われた。この映画は今日に至るまで、ドイツ映画史上でも屈指の興行成績を収めた作品の一つである。そして2025年、同じ曲がその続編にあたる『Das Kanu des Manitu』で再び使われた。公式サイトは、これによって新しい世代の聴き手にこの曲が届いたと書いている。

出典: RAGE 公式サイト Biography

2007年、彼らはベラルーシのミンスクの交響楽団を伴ってヨーロッパを回った。その公演で楽団が名乗ったのが「リンガ・モルティス・オーケストラ」である。同じ年の8月、ヴァッケン・オープン・エアで8万人を前に行われた公演は映像に収められ、翌2008年2月に出た『Carved in Stone』のボーナスとして付けられた。

出典: RAGE 公式サイト Biography

2009年、彼らはドイツの全国放送の音楽コンテスト番組に出演している。各ジャンルからドイツの代表的なアーティストが集まる「Bundesvision Song Contest 2009」で、司会はドイツで最も有名なテレビ司会者シュテファン・ラープだった。RAGEはこの番組で3位に入っている。公式サイトはこれによってバンドの人気がさらに高まったと書いている。

出典: RAGE 公式サイト Biography

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News

【国内】RAGE、10月24日「FULL METAL JAPAN 2026」の出演をキャンセル Peavy Wagnerが9月に右股関節の手術

バンドはPeter "Peavy" Wagner(vo/b)が9月に右股関節の手術を受け、療養と回復期間を考慮して少なくとも2026年内の活動が困難になったとして、2026年に予定していた残りのフェス出演をすべて取りやめると発表。主催者はRAGEに代わる出演アーティストを調整中としている。

出典: FULL METAL JAPAN 公式(2026年9月1日)

ニュース一覧 →

Albums

A New World Rising CD
/

スピードと重さを保ちながら、RAGEの欧州メタルを前進させる力強い一作。

Afterlifelines CD
/

トリオの攻撃性とオーケストラの広がりを二枚組で提示する大作。

Resurrection Day CD
/

ツイン・ギター体制で攻撃性と叙情性を増幅した、RAGEの再生を告げる第25作。

Wings of Rage CD
/

疾走感、重厚なリフ、哀愁を一体化した、RAGEの正統派パワー/スラッシュ・メタル作。

Seasons of the Black CD
/

パワー・メタルの疾走感とスラッシュの切れ味を、ダークなドラマへまとめたRAGEの一作。

The Devil Strikes Again CD
/

スピード、重さ、テクニカルな展開を一体化させ、RAGEの攻撃性を鋭く再点火した作品。

21 CD
/

硬質なリフと複雑な展開で、RAGEがパワー・メタルの攻撃性と知性を両立させた一作。

Strings to a Web CD
/

パワー・メタルの鋭さと壮大な構成を結び、RAGEの表現力を広げた一作。

Carved in Stone CD
/

重いリフと交響的な色彩を交差させ、RAGEがドラマティックなパワー・メタルを磨き上げた一作。

Speak of the Dead CD
/

オーケストラを伴う大作と直線的なメタルを並置し、RAGEが表現の振れ幅を示した第十九作。

Soundchaser CD
/

鋭いリフと複雑な展開を結び、RAGEがSF的世界観を描いた重厚なコンセプト作。

Unity CD
/

強靭なリフと緻密な展開を融合し、RAGEがヘヴィ・メタルの多面性を示した一作。

Welcome to the Other Side CD
/

RAGEがパワー・メタルの骨格へプログレッシヴな展開を織り込み、陰影豊かなドラマを築いた13作目。

Ghosts CD
/

内省的なメロディと柔らかなアレンジを用い、RAGEがヘヴィネスの別の表情を見せた異色作。

XIII CD
/

オーケストラの色彩とヘヴィ・メタルの推進力を結び、RAGEが壮大な表現へ踏み込んだ意欲作。

End of All Days CD
/

オーケストラ的な厚みを残しつつ、パワー/ヘヴィ・メタルの直進力を強化したRAGEの12作目。

Lingua Mortis CD
/

プラハ交響楽団と過去曲を再構築し、シンフォニック・メタルの先駆性を示したRAGEの11作目。

Black in Mind CD
/

ラヴクラフト的な暗さを題材に、RAGEが鋭いリフとドラマ性を高密度に結んだ第8作。

10 Years in Rage CD
/

新曲、未発表曲、セルフ・リメイクを通して、RAGEの10年を力強く総括したアニヴァーサリー作。

The Missing Link CD
/

スピード、重さ、メロディを緊密に結び、RAGEがパワー/スラッシュの緊張感を高めた一作。

Trapped! CD
/

硬いリフと疾走感、叙情的な歌を結び、RAGEがパワーとスラッシュの境界を力強く進んだ第七作。

Reflections of a Shadow CD
/

鋭いスピード感と内省的なメロディを重ね、RAGEがパワー・メタルの表現を深めた第五作。

Secrets in a Weird World CD
/

スピード感と陰りあるメロディを結び、RAGEが独自のパワー・メタル像を固めた5作目。

Perfect Man CD
/

疾走するリフとメロディの陰影を結び、RAGEが新編成でパワー・メタルの輪郭を鮮明にした第四作。

Execution Guaranteed CD
/

鋭いスピード・メタルの推進力に劇的な曲展開を重ね、RAGEの初期衝動を強く刻んだ一枚。

Reign of Fear CD
/

スピード感のあるリフと荒々しい歌で、RAGEが新たな名前の下に攻撃的なドイツ産メタルを打ち出した初作。