HELLOWEEN

ドイツ・ハンブルク (Hamburg) 出身のバンド、ハロウィン (HELLOWEEN)は、現代ヘヴィメタル (Heavy Metal) の体系において、単なる一バンドの枠を超えた記念碑的な存在として位置づけられる。

Biography

鋼鉄の守護神: ハロウィン (HELLOWEEN)
軌跡、音楽的進化、産業的影響

1. 欧州パワーメタルの創世記とハロウィンの史的意義

ドイツ・ハンブルク (Hamburg) 出身のバンド、ハロウィン (HELLOWEEN)は、現代ヘヴィメタル (Heavy Metal) の体系において、単なる一バンドの枠を超えた記念碑的な存在として位置づけられる。HELLOWEENは1980年代中盤、NWOBHM (New Wave of British Heavy Metal) の様式美と、スラッシュメタル (Thrash Metal) の攻撃性、そしてクラシック音楽に由来する劇的なメロディ展開を融合させ、「ジャーマン・パワーメタル (German Power Metal)」 あるいは「メロディック・スピードメタル (Melodic Speed Metal)」と呼ばれるサブジャンルを確立した「始祖」である。

2. 黎明期: ハンブルクの地下水脈 (1978-1983)

ハロウィンの歴史的起源は、1970年代後半の西ドイツ (West Germany)、ハンブルクの活気ある音楽シーンにまで遡る。この時期、後にバンドの中核となる人物たちが、数多のローカルバンドを経て離合集散を繰り返していた。

2.1 ジェントリー (Gentry) の結成と初期衝動

1976年から1978年にかけて、当時ドラマー志望であったカイ・ハンセン (Kai Hansen)と、ギタリストのピート・シールク (Piet Sielck) が中心となり、「ジェントリー (Gentry)」というバンドが結成された。このバンドこそがハロウィンの直接的な祖先にあたる。

当時のラインナップは極めて流動的であったが、ハンセンとシールクは「よりヘヴィで、よりパワフルなサウンド」を追求していた。特筆すべき逸話として、1978年に開催されたハンブルクのローカル・ロックフェスティバルでの優勝が挙げられる。文献によれば、この優勝の裏には、ピート・シールクの母親が会場でポテトチップスを配り、観客の票を買収に近い形で集めたという微笑ましいが戦略的なエピソードが残されている。これは、彼らが音楽的な実力だけでなく、コミュニティを巻き込む初期の求心力を持っていたことを示唆している。

2.2 セカンド・ヘル (Second Hell) とリズム隊の確立

1980年頃、ジェントリーはメンバー不足に陥り、ハンセンとシールクは新たなリズム隊を探していた。この時期に加入したのが、パンクバンド「トラウムシッス (Traumschiss)」でプレイしていたベーシスト、マーカス・グロスコフ (Markus Grosskopf)と、ドラマーのインゴ・シュヴィヒテンバーグ (Ingo Schwichtenberg)である。

グロスコフはセックス・ピストルズ (Sex Pistols) やラモーンズ (Ramones) に影響を受けたパンク畑の出身であり、彼のアグレッシブかつメロディアスなベースラインは、既存のメタル・ベーシストとは一線を画していた。また、インゴ・シュヴィヒテンバーグのドラミングは、後に「マシンガン・ドラミング」と形容されるほどの驚異的なツーバス連打を特徴としており、この二人の加入によってバンドの「スピード」の基盤が完成した。バンド名は一時「セカンド・ヘル (Second Hell)」へと改名され、より過激なサウンドへと変貌を遂げていく。

2.3 アイアン・フィスト (Iron Fist) とピート・シールクの離脱

その後、バンド名は「アイアン・フィスト (Iron Fist)」 へと変更されたが、ここで大きな転機が訪れる。創設メンバーの一人であるピート・シールクが、サウンドエンジニアとしてのキャリアを追求するために渡米し、バンドを脱退したのである。シールクは後にアイアン・セイヴィアー (Iron Savior) を結成し、ハンセンと再共演することになるが、この時点ではバンドを去る決断を下した。

シールクの後任として、バンド「パワーフール (Powerfool)」からマイケル・ヴァイカート (Michael Weikath)が加入する。ヴァイカートの加入は、バンドに決定的な化学反応をもたらした。ハンセンの持つ直情的なスピード感とアグレッションに対し、ヴァイカートは流麗なメロディセンスと構築美を持ち込んだのである。この二人のギタリストの対比と融合こそが、後のハロウィン・サウンドの核となる「ツインリード・ギター」の原型となった。

3. 疾走の時代: スピードメタルの革新 (1984-1986)

3.1 ハロウィン (Helloween) の誕生とノイズ・レコード契約

1984年、バンド名は最終的に「ハロウィン (Helloween)」に決定された。この名称はホラー映画『ハロウィン (Halloween)』に着想を得つつ、「Hell (地獄)」の綴りを含ませることでメタルとしてのアイデンティティを強調したものである。また、ロゴマークの「O」をジャック・オー・ランタン (カボチャ) にするアイデアは、ドラマーのインゴ・シュヴィヒテンバーグによるものであった。

HELLOWEENは当時、新興のメタル・レーベルであったノイズ・レコード (Noise Records) と契約を結ぶ。最初期の公式音源は、1984年のコンピレーション・アルバム 『Death Metal』に収録された「Oernst of Life」 と 「Metal Invaders」の2曲である。このコンピレーションには、ランニング・ワイルド (Running Wild)、ヘルハマー (Hellhammer)、ダーク・アヴェンジャ (Dark Avenger) が参加しており、当時のジャーマン・メタルシーンの勃興を生々しく記録している。

3.2 『Walls of Jericho』の衝撃

1985年、5曲入りのミニアルバム 『Helloween』を経て、初のフルレンス・アルバム 『Walls of Jericho (ウォールズ・オブ・ジェリコ)』がリリースされた。このアルバムは、音楽的な暴虐性とメロディの美しさが奇跡的なバランスで同居していた。「Ride the Sky」や「Guardians」、「How Many Tears」 といった楽曲は、BPM (Beats Per Minute) の限界に挑むような疾走感を持ちながら、サビでは聴衆が合唱できるキャッチーなメロディを持っていた。カイ・ハンセンがギターを弾きながらスクリームに近いハイトーンで歌うスタイルは、初期ハロウィンのトレードマークとなったが、同時に彼にとって大きな肉体的負担となっていた。

4. 黄金時代: 守護神伝の伝説 (1987-1989)

4.1 マイケル・キスク (Michael Kiske) の発見と加入

1986年、カイ・ハンセンはギタープレイに専念するため、ヴォーカルの座を退くことを決意する。バンドは新たなシンガーを探し求め、ハンブルクのローカルバンド「イル・プロフェシー (III Prophecy)」で歌っていた18歳のマイケル・キスク (Michael Kiske) に白羽の矢を立てた。

当初、キスクはハロウィンの音楽性を「速すぎてノイジーだ」と評し、加入に難色を示していたが、ヴァイカートの執拗な説得により加入を承諾した。キスクの声は、4オクターブ近い声域と、エルヴィス・プレスリー (Elvis Presley) やジェフ・テイト (Geoff Tate) を彷彿とさせる豊かな表現力を持っており、ハンセンの荒々しいスタイルとは対照的であった。この「声」を得たことで、ハロウィンはスピードメタル・バンドから、より普遍的な魅力を持つメロディック・メタル・バンドへと進化を遂げる。

4.2 『Keeper of the Seven Keys』 二部作の世界的成功

1987年に発表された『Keeper of the Seven Keys: Part I (守護神伝-第一章-)』と、翌1988年の『Keeper of the Seven Keys: Part II (守護神伝-第二章-)』は、バンドの評価を決定づける歴史的傑作となった。

  • Part I: ハンセン作曲の長尺曲 「Halloween」や、キスクのハイトーンが冴え渡る「A Little Time」を収録。バンドはアメリカ市場への足がかりを築く。
  • Part II: ヴァイカート作曲の「Eagle Fly Free」や「Dr. Stein」、ハンセン作曲の「I Want Out」など、代表曲が目白押しのアルバムとなり、ドイツ国内だけでゴールドディスクを獲得。

特に1988年8月20日、イギリスのドニントン・パーク (Donington Park) で開催された「モンスターズ・オブ・ロック (Monsters of Rock)」への出演は、HELLOWEENのキャリアのハイライトとなった。アイアン・メイデン (Iron Maiden)、KISS、ガンズ・アンド・ローゼズ (Guns N' Roses)、メガデス (Megadeth) といった巨星たちと肩を並べ、10万人の観衆を前に演奏したことで、ハロウィンは「次世代のメインストリーム」として世界中から注目を集めた。

4.3 カイ・ハンセンの脱退: 最初の亀裂

しかし、栄光の影でバンド内部は疲弊していた。過酷なツアースケジュール、マネージメントとの金銭的なトラブル、 tender音楽的な方向性の相違が表面化していた。特にカイ・ハンセンは、バンドが大きくなるにつれて自由な音楽活動が制限されることにストレスを感じていた。1989年、アルバム『Live in the U.K.』のリリースを最後に、創設者であるカイ・ハンセンがバンドを脱退するという衝撃的なニュースが発表された。彼はその後、自らのバンドであるガンマ・レイ (Gamma Ray) を結成し、初期ハロウィンのスタイルを継承・発展させていくこととなる。

5. 混迷と崩壊: EMI期の悲劇 (1990-1993)

5.1 ローランド・グラポウ (Roland Grapow) の加入と方向性の喪失

ハンセンの後任として、ハンブルクで自動車整備工をしていたローランド・グラポウ (Roland Grapow)が抜擢された。彼は技術的に優れたギタリストであったが、ソングライティングにおけるハンセンの不在は大きかった。

1991年、メジャーレーベルEMIに移籍して発表された 『Pink Bubbles Go Ape (ピンク・バブルズ・ゴー・エイプ)』は、バンドの迷走を象徴する作品となった。「Heavy Metal Hamsters」のようなコミカルな楽曲や、ポップなプロダクションは、従来のメタルファンを困惑させた。当時、マイケル・キスクは「メタル」というジャンルの閉鎖性に嫌悪感を抱き始めており、より多様な音楽性を志向していたが、これは「Keeper」 路線の継続を望むファンやヴァイカートとの間に溝を作ることとなった。

5.2 『Chameleon』 とインゴ・シュヴィヒテンバーグの解雇

1993年のアルバム 『Chameleon (カメレオン)』では、その乖離が決定的となった。シンセサイザー、ホーンセクション、アコースティック・ギターを多用し、グランジやポップス、プログレッシブ・ロックに接近したこのアルバムは、商業的に惨敗した。さらに、ドラマーのインゴ・シュヴィヒテンバーグの精神状態が悪化。統合失調症と薬物依存により演奏が不可能となり、バンドを解雇された。ツアーではリッチー・アブデル・ナビ (Richie Abdel-Nabi) が代役を務めたが、バンドの演奏力は低下し、観客動員数も激減した。

最終的に、ヴァイカートはバンドを立て直すため、マイケル・キスクを解雇するという苦渋の決断を下す。キスクはこれに深く傷つき、以降長年にわたってヘヴィメタルシーンから姿を消すこととなる。

6. 再生: アンディ・デリス (Andi Deris) 時代の幕開け (1994-2000)

6.1 新体制の構築と『Master of the Rings』

1994年、ヴァイカートとグロスコフは、ピンク・クリーム69 (Pink Cream 69) のヴォーカリストであったアンディ・デリス (Andi Deris) を新フロントマンに迎えた。またドラムには元ガンマ・レイのウリ・カッシュ (Uli Kusch)が加入した。

デリスの加入は、ハロウィンにとって最大の幸運であった。彼はキスクのような超人的なハイトーン・ヴォイスは持っていなかったが、中音域の表現力に優れ、何より傑出したソングライターであった。1994年のアルバム『Master of the Rings (マスター・オブ・ザ・リングス)』は、正統派パワーメタルへの回帰を宣言する作品となり、「Sole Survivor」 や 「Where the Rain Grows」 といった楽曲でファンを熱狂させ、バンドは見事に復活を遂げた。

6.2 悲劇を超えて: 『The Time of the Oath』 とインゴの死

1995年、元ドラマーのインゴ・シュヴィヒテンバーグがハンブルクの地下鉄に飛び込み、自ら命を絶つという痛ましい事件が起きた。この悲劇はバンドメンバー、そして元盟友のカイ・ハンセンに深い衝撃を与えた。1996年のアルバム『The Time of the Oath (タイム・オブ・ジ・オウス)』は、インゴに捧げられた作品となった。ノストラダムスの予言をテーマにしたダークでシアトリカルなこのアルバムは、バンドの結束を強固にし、ライブ盤『High Live (ハイ・ライヴ)』もリリースされるなど、第二の黄金期を迎えた。

6.3 『Better Than Raw』と実験的要素の成功

1998年の『Better Than Raw (ベター・ザン・ロウ)』では、ダウンチューニングやモダンなヘヴィネスを取り入れつつ、ハロウィンらしいメロディを維持することに成功した。ウリ・カッシュのテクニカルなドラミングと作曲能力も開花し、バンドはクリエイティブなピークを迎えていた。

7. 暗黒の亀裂: 『The Dark Ride』 と分裂 (2000-2001)

7.1 ダーク路線の対立

2000年、プロデューサーにロイ・Z (Roy Z) を迎えて制作された『The Dark Ride (ザ・ダーク・ライド)』は、バンド史上最もダークでヘヴィなアルバムとなった。ダウンチューニングをさらに推し進めたこの方向性は、主にローランド・グラポウとウリ・カッシュが主導したものであったが、リーダーのマイケル・ヴァイカートは「ハロウィンらしさが失われている」として不満を抱いていた。

7.2 グラポウとカッシュの解雇・脱退劇

ツアー終了後、ヴァイカートはグラポウとカッシュに対し、「バンドよりも自身のソロプロジェクト(後のマスタープラン) に注力している」「金銭的な問題がある」といった理由で解雇を通告した(これに対しグラポウ側は金銭的不正を否定し、不当な解雇だと主張している)。この分裂劇はファンの間に動揺を走らせたが、グラポウとカッシュはマスタープラン (Masterplan) を結成し、ハロウィンとは異なるアプローチで高品質なメタルアルバムを制作することとなる。

8. 安定と成熟: 5人編成の確立 (2002-2015)

8.1 メンバーの変遷とサシャ・ゲルストナー (Sascha Gerstner) の加入

グラポウの後任として、元フリーダム・コール (Freedom Call) のサシャ・ゲルストナー (Sascha Gerstner) が2002年に加入した。一方、ドラマーの選定は難航した。マーク・クロス (Mark Cross)が加入したが、伝染性単核球症 (EBウイルス感染症)を発症し、アルバム『Rabbit Don't Come Easy』のレコーディング中に離脱を余儀なくされた(彼は2曲のみ参加)。代役としてモーターヘッド (Motörhead) のミッキー・ディー (Mikkey Dee) が叩いた後、ツアーではステファン・シュヴァルツマン (Stefan Schwarzmann) がドラムを務めた。

8.2 ダニ・ルブレ (Dani Löble) の加入と長期的安定

2005年、最終的に元ロウヘッド・レックス (Rawhead Rexx) のダニ・ルブレ (Dani Löble) が正ドラマーとして加入した。ダニのプレイスタイルは、インゴの疾走感とウリのテクニックを兼ね備えており、バンドに強力な推進力をもたらした。このラインナップ (デリス、ヴァイカート、グロスコフ、ゲルストナー、ルブレ) は10年以上にわたって不動のものとなり、『Gambling with the Devil』 (2007)、『7 Sinners』(2010)、『Straight Out of Hell』 (2013) といった高品質なアルバムをコンスタントに発表し続けた。

9. 奇跡の融合: パンプキンズ・ユナイテッド (2016-現在)

9.1 歴史的和解と7人編成の実現

2016年、世界のメタルシーンを揺るがす発表がなされた。元メンバーのカイ・ハンセンとマイケル・キスクがバンドに復帰し、「パンプキンズ・ユナイテッド (Pumpkins United)」としてワールドツアーを行うというのである。特筆すべきは、現行メンバー (デリス、ゲルストナー)を排除するのではなく、彼らを含む「7人編成 (トリプル・ギター、ツイン・ヴォーカル)」という前例のない形態をとったことである。

この再結成の背景には、長い年月を経た人間関係の修復があった。特に、かつて激しく対立したヴァイカートとキスク、そして「後任」として比較され続けてきたデリスとキスクの間に、リスペクトと友情が芽生えたことが決定的であった。キスクはスピリチュアルな探求を通じてエゴを克服し、デリスと共にステージに立つことを快諾した。

9.2 セルフタイトル作 『Helloween』 と世界制覇

2017年から始まったツアーは世界中でソールドアウトを記録し、その成功を受けてバンドは新曲の制作を開始した。2021年にリリースされたアルバム 『Helloween』は、カイ、キスク、デリスの3人がヴォーカルを分け合い、ヴァイカート、ハンセン、ゲルストナーがギターソロを回すという、まさに「お祭り」のような作品となり、ドイツを含む世界各国のチャートで1位を獲得した。

9.3 最新作『Giants & Monsters』 (2025)

そして2025年8月29日、バンドは新レーベル 「Reigning Phoenix Music」より、通算17枚目となるスタジオアルバム 『Giants & Monsters (ジャイアンツ・アンド・モンスターズ)』をリリースする。本作では、ダニ・ルブレが楽曲ごとに3種類の異なるドラムキットを使い分けるなど、音作りへの執念が結実しており、7人編成バンドとしての成熟を見せつけている。また、収録曲「This Is Tokyo」は、長年HELLOWEENを支え続けた日本のファンへの感謝を込めた楽曲として話題を呼んでいる。

10. ディスコグラフィー (Discography)

以下に、ハロウィンの全スタジオアルバム、主要ライブアルバム、および重要なEP/コンピレーション盤のデータを網羅する。

10.1 スタジオアルバム (Studio Albums)

以下の表は、リリース年、タイトル (英語・カタカナ)、およびその作品の音楽的特徴や背景をまとめたものである。

リリース年 タイトル (English) タイトル (Katakana) 特徴・備考 (Notes)
1985 Walls of Jericho ウォールズ・オブ・ジェリコ 初のフルアルバム。カイ・ハンセン(Vo/Gt)時代。スピードメタルの古典的名盤。「Ride the Sky」収録。
1987 Keeper of the Seven Keys: Part I 守護神伝-第一章- マイケル・キスク加入。ジャーマン・パワーメタルの様式を確立。「Halloween」収録。
1988 Keeper of the Seven Keys: Part II 守護神伝-第二章- バンドの最大ヒット作。「Eagle Fly Free」「Dr. Stein」「I Want Out」収録。
1991 Pink Bubbles Go Ape ピンク・バブルズ・ゴー・エイプ EMI移籍第一弾。コミカルでポップな要素を導入し、賛否両論を呼んだ。
1993 Chameleon カメレオン キスク在籍最後。メタル要素が希薄化し、AORやプログレに接近した実験作。商業的失敗。
1994 Master of the Rings マスター・オブ・ザ・リングス アンディ・デリス加入第一弾。パワーメタルへの回帰を果たし、バンドを救った起死回生作。
1996 The Time of the Oath タイム・オブ・ジ・オウス ノストラダムスをテーマにしたコンセプト作。故インゴに捧げられた。「Power」収録。
1998 Better Than Raw ベター・ザン・ロウ モダンなヘヴィネスと古典的メロディが融合。ウリ・カッシュの貢献大。
2000 The Dark Ride ザ・ダーク・ライド ダウンチューニングを多用したダークな作風。グラポウ、カッシュ最後の参加。
2003 Rabbit Don't Come Easy ラビット・ドント・カム・イージー サシャ・ゲルストナー加入。明るくキャッチーな「ハッピー・ハロウィン」サウンドへの回帰。
2005 Keeper of the Seven Keys: The Legacy 守護神伝-新章- ダニ・ルブレ加入。2枚組の大作。「守護神伝」の名を継承する意欲作。
2007 Gambling with the Devil ギャンブリング・ウィズ・ザ・デヴィル 非常に攻撃的かつ疾走感のある傑作。「Kill It」等の激しい曲が多い。
2010 7 Sinners 7シナーズ 「7」をテーマにしたヘヴィな作品。ダウンチューニングを効果的に使用。
2013 Straight Out of Hell ストレイト・アウト・オブ・ヘル ポジティブなエネルギーに満ちた作品。ビルボードチャートでも好成績を残した。
2015 My God-Given Right マイ・ゴッド・ギヴン・ライト 5人編成最後のアルバム。原点回帰的な「ハロウィン節」が満載。
2021 Helloween ハロウィン カイ&キスク復帰後、7人編成での初アルバム。全盛期の風格と現代的な音が融合。
2025 Giants & Monsters ジャイアンツ・アンド・モンスターズ 最新作。Reigning Phoenix Music移籍第一弾。進化した7人体制の集大成。

10.2 最新作『Giants & Monsters』 詳細データ (2025)

2025年8月29日リリース。7人編成による2作目のスタジオアルバムである。

トラックリスト (Tracklist):

  1. Giants On The Run (ジャイアンツ・オン・ザ・ラン)
  2. Savior Of The World (セイヴィアー・オブ・ザ・ワールド)
  3. A Little Is A Little Too Much (ア・リトル・イズ・ア・リトル・トゥー・マッチ)
  4. We Can Be Gods (ウィー・キャン・ビー・ゴッズ)
  5. Into The Sun (イントゥ・ザ・サン)
  6. This Is Tokyo (ディス・イズ・トーキョー) - アンディ・デリス作詞作曲と推測される日本賛歌。
  7. Universe (Gravity For Hearts) (ユニバース-グラヴィティ・フォー・ハーツ-)
  8. Hand Of God (ハンド・オブ・ゴッド)
  9. Under The Moonlight (アンダー・ザ・ムーンライト)
  10. Majestic (マジェスティック)
  11. Out Of Control (アウト・オブ・コントロール) - ボーナストラック

10.3 主要ライブアルバム (Key Live Albums)

  • Live in the U.K. (1989) - 『ライブ・イン・ザ・U.K.』: キスク全盛期の記録。収録はスコットランドのエディンバラとイングランドのマンチェスターである。
  • High Live (1996) - 『ハイ・ライヴ』: デリス加入後の勢いを象徴するライブ盤。イタリアとスペインでの収録。
  • Keeper of the Seven Keys - The Legacy World Tour 2005/2006 (2007) - 『守護神伝-新章- ワールド・ツアー 2005/2006』: サンパウロ、ソフィア、東京での公演を収録。
  • United Alive in Madrid (2019) - 『ユナイテッド・アライヴ・イン・マドリード』: パンプキンズ・ユナイテッド・ツアーの集大成。1万4千人の観衆を前にした圧巻のパフォーマンス。
  • Live at Budokan (2024) - 『ライヴ・アット・ブドウカン』: 2023年9月の日本武道館公演を収録。バンドにとって聖地とも言える武道館でのライブであり、最新の演奏技術と日本のファンの熱狂が記録されている。

10.4 EP・コンピレーション (EPs & Compilations)

  • Death Metal (1984) - 『デス・メタル』: デビュー前の音源 「Oernst of Life」 「Metal Invaders」を収録したスプリット盤。
  • Helloween (1985) - 『ハロウィン』: 通称「ミニLP」。デビュー作。「Starlight」等収録。
  • Judas (1986) - 『ジューダス』: アルバム未収録曲。ライブでの定番曲。
  • Metal Jukebox (1999) - 『メタル・ジュークボックス』: ABBAやビートルズ、デヴィッド・ボウイ等のカヴァーアルバム。

11. メンバー・プロフィールと変遷 (Member Biography & Timeline)

ハロウィンの歴史は、絶え間ないメンバーチェンジと、それに伴う音楽性の変化の歴史でもある。ここでは、現在の7人編成メンバーと、過去に在籍した主要メンバーについて詳述する。

11.1 現在のメンバー (Current Members / Pumpkins United Lineup)

名前 (Name) 担当 (Role) 在籍期間 (Years Active) 人物像・プレイスタイル
マイケル・ヴァイカート
(Michael Weikath)
Guitar
Backing Vocals
1984-現在 バンドの創設者の一人であり、リーダー的存在。身長190cmを超える長身。独特のユーモアと皮肉屋な性格で知られる。「Eagle Fly Free」や「Dr. Stein」など、バンドの代表曲の多くを作曲。構築美あふれるメロディラインが特徴。
マーカス・グロスコフ
(Markus Grosskopf)
Bass
Backing Vocals
1984-現在 ヴァイカートと共に、結成から一度も脱退することなくバンドを支える守護神。パンク出身ならではの指弾きによるドライヴ感のあるベースラインは、ハロウィンの疾走感の源泉。陽気な性格で、バンド内の人間関係の緩衝材でもある。
カイ・ハンセン
(Kai Hansen)
Guitar
Lead Vocals
1984-1989
2017-現在
「ジャーマン・メタルの父」。初期のヴォーカル兼ギタリスト。脱退後はガンマ・レイ (Gamma Ray) で成功を収めたが、2016年に復帰。現在はギターと共に、初期曲のリードヴォーカルや、キスク・デリスとの掛け合いを担当。
マイケル・キスク
(Michael Kiske)
Lead Vocals 1986-1993
2017-現在
「奇跡の声」を持つシンガー。クリアで伸びやかなハイトーンはパワーメタルの理想形とされる。一時期メタルシーンを離れていたが、ユニソニック (Unisonic) などを経て復帰。現在はデリスと共にツイン・ヴォーカル体制を敷く。
アンディ・デリス
(Andi Deris)
Lead Vocals 1994-現在 90年代のバンド存続の危機を救った功労者。優れたソングライターであり、「Power」 や 「Forever and One」などの名曲を生み出した。キスクとの比較に長年晒されたが、現在は互いに認め合う盟友関係にある。
サシャ・ゲルストナー
(Sascha Gerstner)
Guitar
Backing Vocals
2002-現在 元フリーダム・コール。モダンな感性とテクニックを持ち、ヴァイカート、ハンセンという二人の巨頭の間で独自の存在感を放つ。作曲面でも大きく貢献している。
ダニ・ルブレ
(Dani Löble)
Drums 2005-現在 歴代ドラマーの中で最も在籍期間が長い。インゴのような疾走感と、ウリのようなテクニカルさを併せ持つ。最新作では3つのドラムセットを使い分けるなど、音へのこだわりが強い。

11.2 過去の主要メンバー (Past Members)

  • インゴ・シュヴィヒテンバーグ (Ingo Schwichtenberg) - Drums (1984-1993)
    • 愛称は「ミスター・スマイル」。バンドのロゴやコンセプトにも関与したオリジナルメンバー。彼の叩き出す独特の「前のめりなビート」はバンドのアイデンティティであった。1995年逝去。
  • ローランド・グラポウ (Roland Grapow) - Guitar (1989-2001)
    • ハンセンの後任として約12年間在籍。現在はマスタープラン (Masterplan) で活動。解雇時は確執があったが、彼の残した楽曲(「The Chance」 等) は今も評価が高い。
  • ウリ・カッシュ (Uli Kusch) - Drums (1994-2001)
    • 作曲能力も高いテクニカル・ドラマー。グラポウと共にマスタープランを結成したが、後に脱退。その後も様々なプロジェクトに参加している。
  • ステファン・シュヴァルツマン (Stefan Schwarzmann) - Drums (2003-2005)
    • 元ランニング・ワイルド、アクセプト。堅実なドラミングが特徴だったが、ハロウィンの求める音楽性との相違により脱退。
  • マーク・クロス (Mark Cross) - Drums (2001-2003)
    • 在籍期間は短いが、『Rabbit Don't Come Easy』の「Listen to the Flies」などでプレイを残している。病気により脱退。

11.3 関連人物 (Associated People)

  • ピート・シールク (Piet Sielck) - Guitar, Vocals
    • 前身バンド「Gentry」「Iron Fist」の創設メンバー。後にアイアン・セイヴィアー (Iron Savior) を結成し、ハンセンとも共演。プロデューサーとしても活躍。

12. メタルの未来への継承と展望

ハロウィンの40年以上にわたる軌跡は、一バンドの歴史であると同時に、パワーメタルというジャンルの興亡史そのものである。HELLOWEENは「スピード」と「メロディ」という相反する要素を融合させ、後続のストラトヴァリウス (Stratovarius)、エドガイ (Edguy)、ソナタ・アークティカ (Sonata Arctica)、ドラゴンフォース (Dragon Force) といったバンドに決定的な影響を与えた。

また、ビジネス的な観点から見ても、HELLOWEENが成し遂げた「パンプキンズ・ユナイテッド」という再結成モデルは示唆に富んでいる。通常、新旧のメンバーが混在することはエゴの衝突やファンの分断を招くリスクがあるが、ハロウィンは「ファミリー」 というナラティブを構築し、過去の遺産(ハンセン、キスク)と現在の成果(デリス、ゲルストナー)を共存させることで、ブランド価値を最大化させることに成功した。

2025年の最新作『Giants & Monsters』 に見られるように、HELLOWEENは現在進行形で進化を続けている。「This Is Tokyo」が象徴するように、ファンベースとの強固な絆を維持しながら、カボチャの王たちは次なる50年に向けて、鋼鉄の音色を世界に響かせ続けているのである。

News

KAI HANSEN、ソロ作『Born With A Hammer』から3枚目の先行曲「Wait And See」を公開

HELLOWEEN/GAMMA RAYのKai Hansenによる全10曲のソロ・アルバムは9月18日earMUSICから発売。プロデュースはEike Freese。

出典: Blabbermouth(2026年9月2日)

MVを再生

KAI HANSEN、ソロ・アルバム『Born With A Hammer』から2ndシングル「Welcome To Life」を公開

HELLOWEEN/GAMMA RAYのKai Hansenによるソロ作。先行曲「Feeding The Beast」に続く2枚目のシングルで、earMUSICからのリリース。

出典: earMUSIC(2026年8月5日)

MVを再生

WACKEN OPEN AIR 2027、第1弾ラインナップを発表

Electric Callboy、Five Finger Death Punch、Knocked Loose、Helloween、Children Of Bodom、Heaven Shall Burn、DragonForce、Halestormほかが決定。開催は2027年7月28〜31日、ドイツ・ヴァッケン。

出典: ThePRP(2026年8月2日)

HELLOWEEN次作は「すでに90%完成」— Michael Kiskeが明かす

ブラジル媒体のインタビューで発言。『Giants & Monsters』に続く新作が進行中。

出典: Blabbermouth(2026年7月26日)

ニュース一覧 →

Albums

Giants & Monsters CD
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巨大なコーラスと遊び心を詰め込んだ、HELLOWEEN流パワー・メタルの祝祭的作品。

Helloween CD
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カイ・ハンセン、マイケル・キスク、アンディ・デリスが集結した、HELLOWEEN史の大きな交点。

My God-Given Right CD
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疾走するリフ、明るいコーラス、遊び心を詰め込んだHELLOWEEN流パワー・メタル。

Straight Out of Hell CD
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疾走曲と大きなメロディをバランス良く配置し、HELLOWEEN流パワー・メタルの快感を詰め込んだ一枚。

7 Sinners CD
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高速リフと荒々しいエネルギーで、HELLOWEENが攻撃的パワー・メタルへ振り切れた一作。

Gambling with the Devil CD
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疾走曲と陰影あるメロディを巧みに並べ、HELLOWEENが再びパワー・メタルの核を示した第12作。

Keeper of the Seven Keys: The Legacy CD
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壮大な二枚組構成と大きなコーラスで、HELLOWEENが“Keeper”の名を現代的に受け継いだ第十一作。

Rabbit Don't Come Easy CD
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疾走感と大きなコーラスを再び前面に出し、HELLOWEENが明快なパワー・メタルへ立ち返った第10作。

The Dark Ride CD
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ヘヴィさと陰影を増し、ハロウィンのメロディック・メタルに新しい質感を与えた作品。

Metal Jukebox CD
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原曲をHELLOWEENらしい音へ翻訳する、企画性の強いカバー・アルバム。

Better Than Raw CD
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スピード、フック、ユーモアをバランスよく並べ、HELLOWEENがパワー・メタルの楽しさを再確認した一枚。

The Time of the Oath CD
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Nostradamusの予言を題材に、Deris期の勢いと叙事性を結び付けたHELLOWEENの7作目。

Master of the Rings CD
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アンディ・デリスとウリ・カッシュを迎え、HELLOWEENがパワー・メタルの推進力を取り戻した第6作。

Chameleon CD
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パワー・メタルの定型を大きく越え、HELLOWEENが多彩な曲調と実験性へ踏み込んだ第5作。

Pink Bubbles Go Ape CD
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メロディ重視の曲作りと軽やかな変化を取り入れ、HELLOWEENが新編成で開いた第四作。

Keeper of the Seven Keys: Part II CD
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疾走感、叙情性、壮大な物語を結び、HELLOWEENがパワー・メタルの礎を築いた第三作。

Keeper of the Seven Keys: Part I CD
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ミヒャエル・キスクの高音ヴォーカルと疾走するリフで、欧州パワー・メタルの原型を決定付けた名作。

Walls of Jericho CD
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疾走するリフと高音ヴォーカルで、HELLOWEENが後のパワー・メタルへつながる原型を示したデビュー作。