WINGER

1980年代後半のアメリカン・ハードロック・シーン、特に「ヘア・メタル (Hair Metal)」や「グラム・メタル (Glam Metal)」と呼ばれるムーブメントの中で、ウィンガー (WINGER) は極めて特異な立ち位置を占めていたバンドである。

Biography

ウィンガー (WINGER)
バイオグラフィ、音楽的変遷、ディスコグラフィ

1. 技巧と商業性の交差点におけるウィンガー (WINGER) の位置づけ

1980年代後半のアメリカン・ハードロック・シーン、特に「ヘア・メタル (Hair Metal)」や「グラム・メタル (Glam Metal)」と呼ばれるムーブメントの中で、ウィンガー (WINGER) は極めて特異な立ち位置を占めていたバンドである。彼らはMTV世代の視覚的な華やかさを備え、商業的な成功を収める一方で、その音楽的実態は高度な音楽理論と演奏技術に裏打ちされた「ミュージシャンズ・ミュージシャン (musician's musicians)」の集団であった。

2. 結成前史:プロフェッショナルたちの邂逅 (1980-1987)

ウィンガー (WINGER)は、無名の若者がガレージで結成したバンドではない。彼らは結成時点で既に業界内での評価を確立していたプロフェッショナルたちであった。この「出自の違い」こそが、後の彼らの音楽的深みと、一部の批評家からの「計算されすぎている」という批判の両方を生む要因となった。

2.1 キップ・ウィンガー (Kip WINGER): バレエからロックへの転身

バンドの創設者でありリーダーのキップ・ウィンガー (Kip WINGER)は、ジャズ・ミュージシャンの両親のもと、コロラド州デンバー (Denver, Colorado) で音楽に囲まれて育った。特筆すべきは、彼の音楽的ルーツがロックのみならず、クラシック音楽とバレエにある点である。

16歳の時、当時の恋人と共にバレエのレッスンに参加したキップは、そこで流れていたクラシック音楽に衝撃を受け、バレエの世界にのめり込んでいった。彼はジュリアード音楽院 (Juilliard) 出身の教師からピアノとギターの個人指導を受けつつ、コロラド州立バレエ団 (Colorado State Ballet Company) でダンサーとして活動していた経歴を持つ。30代になってもバレエの研究を続けていたという事実は、彼の作曲における対位法や和声の構築に対する意識の高さを示唆している。

1985年、音楽家としてのキャリアを追求するためにニューヨーク (New York) へ渡ったキップは、ショック・ロック (Shock Rock)の巨匠、アリス・クーパー (Alice Cooper) のバンドにベーシストとして加入する機会を得る。アリス・クーパーのアルバム 『Constrictor』(1986年) および『Raise Your Fist and Yell』 (1987年)に参加し、世界ツアーを経験したことは、彼に大規模なロック・ショーの演出とエンターテインメントの真髄を叩き込む結果となった。

2.2 ポール・テイラー (Paul Taylor) との連携

アリス・クーパー (Alice Cooper) のバンドでキップが出会ったのが、キーボーディスト兼ギタリストのポール・テイラー (Paul Taylor) であった。ポールは1980年代初頭にアルド・ノヴァ (Aldo Nova) のツアー・メンバーとしてプロキャリアをスタートさせており、マルチ・プレイヤーとしての才能を発揮していた。

アリス・クーパーのツアー中、キップとポールは意気投合し、キップが自身のバンドを結成するために1987年3月にアリス・クーパー・バンドを脱退すると、ポールもまた彼に追随した。二人はニューヨークに戻り、楽曲制作を開始する。

2.3 レブ・ビーチ (Reb Beach) とロッド・モーゲンスタイン (Rod Morgenstein) の加入

キップとポールは、ニューヨークのセッション・シーンで名を馳せていたギタリスト、レブ・ビーチ (Reb Beach) と合流する。レブは、フィオナ (Fiona) やハワード・ジョーンズ (Howard Jones) などのレコーディングに参加しており、タッピング奏法を駆使したテクニカルなプレイと、歌心のあるフレージングで知られていた。キップとは、トゥイステッド・シスター (Twisted Sister) のアルバム 『Love Is for Suckers』 (1987年)の制作現場などで既に接点を持っていた。

バンドの音楽的信頼性を決定づけたのが、ドラマーのロッド・モーゲンスタイン (Rod Morgenstein) の加入である。ロッドは、スティーヴ・モース (Steve Morse) 率いるフュージョン・バンド、ディクシー・ドレッグス (Dixie Dregs) の創設メンバーであり、バークリー音楽大学 (Berklee College of Music) での指導経験も持つ、真のヴィルトゥオーゾ (達人) であった。マイアミ大学 (University of Miami) でパット・メセニー (Pat Metheny) やジャコ・パストリアス (Jaco Pastorius) らと共に学んだ彼のジャズ・フュージョンの背景は、当時のLAメタル・シーンのドラマーたちとは一線を画すものであった。

2.4 バンド名の決定: 「Sahara」から「WINGER」へ

当初、彼らはバンド名を「サハラ (Sahara)」として活動を開始した。しかし、既に同名のバンドが存在していたことや、アリス・クーパーからの「キップの名前をバンド名にした方が覚えられやすい」という助言を受け、最終的に「ウィンガー (WINGER)」 と改名することとなった。これにより、キップ・ウィンガーを中心としたバンドというイメージが明確化されたが、実態は4人の強烈な個性がぶつかり合うバンド形式であった。

3. 黄金時代:MTVとプラチナ・ディスク (1988-1991)

3.1 デビュー・アルバム 『WINGER』の成功 (1988)

1988年8月10日、アトランティック・レコード (Atlantic Records) よりデビュー・アルバム『WINGER』がリリースされた。プロデューサーには、ラット (Ratt) やボン・ジョヴィ (Bon Jovi) を手掛けたボー・ヒル (Beau Hill) を起用し、ラジオ向けの洗練されたハードロック・サウンドが構築された。

アルバムは、ビルボード200 (Billboard 200) チャートで最高21位を記録し、63週にわたってチャートに留まるロングセラーとなった。米国ではプラチナ・ディスク (100万枚以上)、日本とカナダではゴールド・ディスクを獲得した。

主要楽曲の分析

  • 「Madalaine」 (マダレイン): デビュー・シングル。MTVでのヘヴィ・ローテーションを獲得し、バンドの顔見せとなった。
  • 「Seventeen」(セブンティーン): ビルボード・ホット100 (Billboard Hot 100) で26位、メインストリーム・ロック・チャートで19位を記録。この曲はバンドの最大のヒット曲の一つであり、象徴的な存在である。歌詞は17歳の少女への求愛を描いたもので、当時の「ヘア・メタル」的な享楽性を象徴していたが、音楽的には変拍子やキメを多用したテクニカルな楽曲である。ミュージック・ビデオではキップ・ウィンガーの身体的魅力が強調され、特に曲の終盤でのベースを突き出す動き (スラスト)は、ファンの熱狂と一部の冷笑の両方を招いた。
  • 「Headed for a Heartbreak」 (ヘッディッド・フォー・ア・ハートブレイク): 全米19位。キーボードを主体としたバラードでありながら、後半に長尺のギターソロとドラムのインタープレイが展開される構成は、彼らのプログレッシブ・ロックへの志向を示していた。
  • 「Hungry」(ハングリー): 全米85位。冒頭に弦楽四重奏を取り入れるなど、音楽的な実験が見られる楽曲。

3.2 『In the Heart of the Young』 と頂点 (1990)

デビュー作の成功と、スコーピオンズ (Scorpions) やキッス (KISS) とのツアーを経て、バンドは1990年に2作目のアルバム 『In the Heart of the Young』 (イン・ザ・ハート・オブ・ザ・ヤング)をリリースした。このアルバムは米国でプラチナ認定を超え、日本でもゴールド認定を受けるなど、前作以上の商業的成功を収めた。

主要楽曲とポール・テイラーの貢献

  • 「Can't Get Enuff」 (キャント・ゲット・イナフ): 全米42位。よりグルーヴィーなロック・アンセム。
  • 「Miles Away」(マイルズ・アウェイ): 全米12位を記録したパワー・バラード。ポール・テイラーが作曲したこの曲は、バンドにとってシングル・チャートでの最高位を記録した楽曲の一つとなり、特に日本での人気を決定づけた。ポール・テイラーのソングライターとしての才能が遺憾なく発揮された楽曲である。
  • 「Easy Come Easy Go」 (イージー・カム・イージー・ゴー): 全米41位。

1990年、ウィンガーはアメリカン・ミュージック・アワード (American Music Award) の「最優秀新人ヘヴィ・メタル・バンド (Best New Heavy Metal Band)」 にノミネートされた。この時期、彼らは13ヶ月に及ぶ大規模なワールド・ツアーを行い、アリーナ・クラスのバンドとしての地位を確立した。しかし、ツアーの過酷さはメンバー、特にポール・テイラーを疲弊させていった。

4. 転換期:グランジの台頭と逆風 (1992-1994)

1990年代初頭、ニルヴァーナ (Nirvana) の 『Nevermind』の爆発的ヒットにより、音楽シーンの潮流は劇的に変化した。シアトル (Seattle) を中心とするグランジ (Grunge) ムーブメントは、80年代的な華美なルックスやテクニック至上主義を「不誠実」「時代遅れ」として否定した。ウィンガーはその煽りを最も強く受けたバンドの一つであった。

4.1 ポール・テイラーの脱退とトリオ編成への移行

1992年、過酷なツアー生活に疲弊したポール・テイラーがバンドを脱退する。彼はソングライティングに専念したいという意向を持っており、友好的な離脱であったが、バンドは重要なメロディ・メイカーを失うことになった。バンドは後任の正式メンバーを入れず、キップ、レブ、ロッドの3人にサポート・メンバーを加える体制で次作の制作に入った。

4.2 『Pull』:正当な評価を拒まれた傑作 (1993)

1993年にリリースされた3rdアルバム 『Pull』(プル)は、バンドのキャリアにおける重要な転換点であった。プロデューサーにマイク・シップリー (Mike Shipley) を迎え、バンドはよりヘヴィで、社会的・内省的な歌詞を持つ楽曲へとシフトした。

  • 音楽的変化: かつての煌びやかなポップ・メタル要素は影を潜め、アコースティック・ギターとディストーション・ギターの重層的なレイヤー、複雑なリズム・アレンジが前面に出た。「Blind Revolution Mad」 (ブラインド・レボリューション・マッド)や「Down Incognito」 (ダウン・インコグニート) (メインストリーム・ロック・チャート15位)は、バンドの最高傑作と評されることも多い。
  • 商業的苦戦: レブ・ビーチは、前作の成功から 『Pull』も当然ヒットし、富をもたらすと確信していたが、グランジ旋風の中では苦戦を強いられた。ポール・テイラーは後に、「エクストリーム (Extreme) やシンデレラ (Cinderella) のライブでさえ会場が半分しか埋まっていないのを見て、何かがおかしいと気づいた」と語っている。

4.3 『ビーバス・アンド・バットヘッド』論争

ウィンガーのキャリアに決定的なダメージを与えたのは、MTVのアニメ番組『ビーバス・アンド・バットヘッド (Beavis and Butt-Head)』であった。番組内に登場する「スチュワート(Stewart)」といういじめられっ子のキャラクターが、常にウィンガーのTシャツを着用していたのである。

  • 「Wussies」のレッテル: 主人公のビーバスとバットヘッド (AC/DCやメタリカのTシャツを着用)は、スチュワートを嘲笑し、ウィンガーを 「Wussies (弱虫、女々しい奴ら)」と呼んで馬鹿にした。
  • 深刻な影響: この描写は、バンドのイメージを決定的に損なった。レブ・ビーチによれば、この番組の影響でDJたちがウィンガーの曲をプレイリストから外し、チケットの売り上げが激減したという。
  • 和解:当時、キップ・ウィンガーはこの扱いに苦悩したが、2011年の番組リバイバル時にクリエイターのマイク・ジャッジ (Mike Judge) と連絡を取り合い、和解している。キップは「あれはダビデとゴリアテのような戦いだった。耐えるしかなかったが、マイク・ジャッジは才能ある男だ」と振り返っている。

1994年、バンドは活動を停止し、メンバーはそれぞれの道を歩むことになった。

5. 分散と個々の探求 (1994-2000)

解解後の期間、メンバーはそれぞれの分野で目覚ましい活動を展開し、その実力を証明した。

5.1 キップ・ウィンガー: ソロ・アーティストとしての深化

キップはソロ・キャリアを開始し、1997年にアルバム 『This Conversation Seems Like a Dream』、2000年に『Songs from the Ocean Floor』を発表した。これらの作品は、ワールド・ミュージックやクラシック音楽の要素を取り入れた実験的かつ内省的なものであり、彼の芸術的成熟を示していた。特にロッド・モーゲンスタインがドラムで参加しており、音楽的な絆は継続していた。

5.2 ロッド・モーゲンスタイン: 教育とプログレッシブ・ロック

ロッドは、ドリーム・シアター (Dream Theater) のキーボーディスト、ジョーダン・ルーデス (Jordan Rudess) とのデュオ 「ルーデス/モーゲンスタイン・プロジェクト(Rudess/Morgenstein Project)」を結成し、1997年にアルバムを発表した。また、バークリー音楽大学で教鞭を執り、オンライン講座の開設など教育活動にも注力した。

5.3 ポール・テイラー: ヒット・メイカーへの道

脱退後のポール・テイラーは、ソングライターおよびセッション・ミュージシャンとして大きな成功を収めた。

  • スティーヴ・ペリー (Steve Perry): ジャーニー (Journey) の元ボーカリスト、スティーヴ・ペリーの1994年のソロ・アルバム 『For the Love of Strange Medicine』において、「You Better Wait」 (全米トップ40ヒット)を含む多くの楽曲を共作し、キーボードで参加した。
  • テレビ・映画音楽: ポールはテレビ業界にも進出し、人気ドラマ 『サブリナ (Sabrina the Teenage Witch)』 のテーマソングを作曲するなど、200曲以上の楽曲をテレビや映画に提供した。
  • その他の共作: アルド・ノヴァ (Aldo Nova) との活動に加え、2004年には日本のポップスター、安室奈美恵(Namie Amuro) のヒット曲 「Shine More」の作曲にも携わった(共作)。これは彼がジャンルを超えた作曲能力を持っていたことを示している。

5.4 ジョン・ロス (John Roth)の活動

1993年のツアーから参加したギタリストのジョン・ロス (John Roth)は、その後もブラック・オーク・アーカンソー (Black Oak Arkansas) での活動や、サバイバー (Survivor) のジミ・ジェイミソン (Jimi Jamison) との共演など、多忙なセッション・ワークを続けた。

6. 再結成と復権(2001-2013)

6.1 再始動と『The Very Best of WINGER』 (2001)

2001年、ベスト・アルバム 『The Very Best of WINGER』のリリースに際し、新曲「On the Inside」を録音するためにオリジナル・メンバーが集結した。これを機に再結成ツアーが行われ、ポイズン (Poison) らとのパッケージ・ツアーも成功させた。

6.2 『IV』:13年ぶりのスタジオ作 (2006)

2006年、13年ぶりとなる4作目のスタジオ・アルバム『IV』 がフロンティアーズ・レコード(Frontiers Records) からリリースされた。このアルバムでは、キップ、レブ、ロッドに加えジョン・ロスが正式メンバーとしてクレジットされた (ポール・テイラーは制作には不参加)。トルコ出身のミュージシャン、ジェンク・エロール (Cenk Eroğlu) がキーボードやエフェクト、サウンド・デザインで大きく貢献し、バンドのサウンドにモダンかつエキゾチックな要素を加えた。『IV』は、かつての商業的プレッシャーから解放され、プログレッシブで重厚なハードロックを追求した作品となった。

6.3 『Karma』での原点回帰 (2009)

2009年リリースの5作目 『Karma』 (カーマ)は、多くのファンから「最高傑作」と支持されるアルバムである。冒頭の「Deal with the Devil」から、初期のエネルギーと 『Pull』以降のヘヴィネスが見事に融合しており、バンドが完全に現役のロック・バンドとして復活したことを印象づけた。

7. 現代のウィンガー: レジェンドとしての確立 (2014-現在)

7.1 『Better Days Comin'』 (2014)

2014年、6作目『Better Days Comin'』 (ベター・デイズ・カミン)をリリース。タイトル・トラックのファンキーなグルーヴや、プログレッシブ・メタル調の「Midnight Driver of a Love Machine」など、多様なスタイルを披露した。

7.2 『Seven』: 結成35周年の集大成 (2023)

2023年5月5日、前作から9年ぶりとなる7作目のスタジオ・アルバム 『Seven』 (セヴン) がリリースされた。本作は、結成35周年を記念する重要な作品であり、オリジナル・メンバー4人(キップ、レブ、ロッド、ポール)にジョン・ロスを加えた5人編成で制作された。ポール・テイラーの復帰作としても注目を集めた。

  • 制作背景:キップ・ウィンガーとレブ・ビーチが中心となり作曲。ナッシュビル(Nashville) でレコーディングされた。
  • 「Proud Desperado」 (プラウド・デスペラード): リード・シングル。ボン・ジョヴィなどのヒット曲で知られるデスモンド・チャイルド (Desmond Child) が共作に参加しており、80年代のアリーナ・ロックの風格と現代的なサウンド・プロダクションが融合している。
  • 「It All Comes Back Around」:アルバムの最後を飾る7分半の大作。キップのボーカルとバンドの演奏技術が頂点に達したプログレッシブな楽曲である。
  • 日本盤ボーナス・トラック: 日本盤 (Marquee/Avalon)には、ボーナス・トラックとして「Proud Desperado (Acoustic Version)」が追加収録されている。

このアルバムは、英国や米国のチャートにもランクインし、専門誌『Classic Rock』などで高く評価された。

8. メンバー詳細プロフィール (Members Biography)

名前(英語) 名前(カナ) 担当楽器 在籍期間 備考
Kip WINGER キップ・ウィンガー Vocal, Bass, Keyboard, Acoustic Guitar 1987-1994, 2001-2003, 2006-現在 元アリス・クーパー。クラシック作曲家としても活動。
Reb Beach レブ・ビーチ Lead Guitar, Rhythm Guitar, Vocal 1987-1994, 2001-2003, 2006-現在 ドッケン、ホワイトスネイクのメンバーとしても著名。
Rod Morgenstein ロッド・モーゲンスタイン Drums, Percussion 1987-1994, 2001-2003, 2006-現在 ディクシー・ドレッグス創設メンバー。バークリー音楽大学教授。
Paul Taylor ポール・テイラー Keyboard, Rhythm Guitar, Vocal 1987-1992, 2001-2003, 2013-2014, 2014-現在 元アリス・クーパー。スティーヴ・ペリー等への楽曲提供多数。
John Roth ジョン・ロス Rhythm Guitar, Lead Guitar, Bass (Live) 1993-1994 (Tour), 2001-2003, 2006-現在 スターシップ、ジャイアント、ブラック・オーク・アーカンソー等に参加。
Cenk Eroglu ジェンク・エロール Keyboard, Effects (Xcarnation) 2006-2009 『IV』制作に深く関与。

9. ディスコグラフィー (Discography)

9.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)

発表年 タイトル(原題) タイトル (邦題) レーベル 全米最高位 認定
1988 WINGER ウィンガー Atlantic 21位 Platinum
1990 In the Heart of the Young イン・ザ・ハート・オブ・ザ・ヤング Atlantic 15位 Platinum
1993 Pull プル Atlantic 83位
2006 IV IV Frontiers
2009 Karma カーマ Frontiers
2014 Better Days Comin' ベター・デイズ・カミン Frontiers 85位
2023 Seven セヴン Frontiers

9.2 トラックリスト: 主要アルバム (Key Album Tracklists)

Seven (2023)

No. タイトル(英語) タイトル(カナ) 作者(Writers) 時間
1 Proud Desperado プラウド・デスペラード WINGER, Beach, Child 3:50
2 Heaven's Falling ヘヴンズ・フォーリング WINGER, Beach 5:15
3 Tears of Blood ティアーズ・オヴ・ブラッド WINGER, Beach 5:04
4 Resurrect Me リザレクト・ミー WINGER, Beach 4:11
5 Voodoo Fire ヴードゥー・ファイア WINGER 3:59
6 Broken Glass ブロークン・グラス WINGER, Beach 6:52
7 It's Okay イッツ・オーケー WINGER, Beach 4:13
8 Stick the Knife in and Twist スティック・ザ・ナイフ・イン・アンド・ツイスト WINGER, Beach, Van Dijk 3:32
9 One Light to Burn ワン・ライト・トゥ・バーン WINGER, Roth 4:13
10 Do or Die ドゥ・オア・ダイ WINGER 3:54
11 Time Bomb タイム・ボム WINGER, Beach 4:20
12 It All Comes Back Around イット・オール・カムズ・バック・アラウンド WINGER 7:29
13 Proud Desperado (Acoustic) プラウド・デスペラード(アコースティック) WINGER, Beach, Child 3:57

※ Track 13は日本盤ボーナス・トラック (Japanese Bonus Track)

Pull (1993)

No. タイトル(英語) タイトル(カナ)
1 Blind Revolution Mad ブラインド・レボリューション・マッド
2 Down Incognito ダウン・インコグニート
3 Spell I'm Under スペル・アイム・アンダー
4 In My Veins イン・マイ・ヴェインズ
5 Junkyard Dog (Tears on Stone) ジャンクヤード・ドッグ
6 The Lucky One ザ・ラッキー・ワン
7 In For The Kill イン・フォー・ザ・キル
8 No Man's Land ノー・マンズ・ランド
9 Like A Ritual ライク・ア・リチュアル
10 Who's The One フーズ・ザ・ワン

9.3 ライブ・アルバム (Live Albums)

発表年 タイトル 詳細
2007 WINGER Live 2007年の再結成ツアーを収録した2枚組CDおよびDVD。「Blind Revolution Mad」 「Seventeen」 等のヒット曲に加え、『IV』からの楽曲も収録。
1991 Live in Tokyo 日本武道館などでの公演を収録した映像作品 (VHS/LaserDisc)。初期の勢いあるパフォーマンスを記録。

9.4 コンピレーション・アルバム (Compilations)

発表年 タイトル 詳細
2001 The Very Best of WINGER 代表曲に加え、新曲「On the Inside」 と日本盤ボーナス・トラックだった「Hell to Pay」を収録。
2007 Demo Anthology 初期のデモ音源や未発表曲を集めた2枚組CD。アルバム未収録曲「Hour of Need」や、名曲の初期バージョンが収録されており、楽曲の制作過程を知る上で貴重な資料。

9.5 主なシングル (Key Singles)

曲名(英語) 曲名(カナ) 全米順位 (Hot 100) 全米メインストリーム・ロック
1988 Madalaine マダレイン 27位
1989 Seventeen セブンティーン 26位 19位
1989 Headed for a Heartbreak ヘッディッド・フォー・ア・ハートブレイク 19位 8位
1989 Hungry ハングリー 85位 34位
1990 Can't Get Enuff キャント・ゲット・イナフ 42位 6位
1990 Miles Away マイルズ・アウェイ 12位 14位
1991 Easy Come Easy Go イージー・カム・イージー・ゴー 41位 17位
1993 Down Incognito ダウン・インコグニート 15位

10. ウィンガー (WINGER) の遺産と再評価

ウィンガー (WINGER)は、1980年代末の過剰な商業主義と、1990年代初頭のメディアによるバッシングという二重の困難に直面したバンドであった。しかし、35年以上にわたるキャリアを通じて彼らが証明したのは、「確かな技術と良質な楽曲は、流行や偏見を超えて生き残る」という事実である。

キップ・ウィンガーのクラシック音楽への深い造詣、レブ・ビーチの革新的なギター・テクニック、ロッド・モーゲンスタインのジャズ・フュージョン由来のリズム、そしてポール・テイラーの普遍的なメロディ・センス。これらが融合した『Seven』をはじめとする後期の作品群は、彼らが単なる「ヘア・メタル」の生き残りではなく、現在進行形のプログレッシブ・ハードロック・バンドであることを雄弁に物語っている。

かつて『ビーバス・アンド・バットヘッド』で嘲笑されたバンドは、今やミュージシャン仲間や批評家から深い尊敬を集める「巨匠(マエストロ)」たちの集団として、その地位を不動のものとしている。

Albums

Seven CD
/

緻密な演奏とスタジアム級のフックを再結集した、成熟のメロディック・ハード。

Better Days Comin' CD
/

ハード・ロックの推進力と緻密な構成美を、前向きなメロディで結びつけた一枚。

Karma CD
/

技巧的な演奏と強靭なリフを前に出し、WINGERのヘヴィな側面を鮮明にした再始動作。

IV CD
/

緻密なアレンジと力強いメロディを再結集させ、WINGERが復活後の存在感を示した第四作。

Pull CD
/

従来の華やかさを削り、硬いリフと複雑な展開でWINGERが成熟を示した第3作。

In the Heart of the Young CD
/

緻密な演奏と大きなメロディを結び、WINGERがメロディック・ハードの完成度を高めた第二作。

Winger CD
/

洗練されたポップ感と技巧的な演奏を両立し、WINGERが鮮烈に登場したセルフタイトルのデビュー作。