EPICA

21世紀初頭のヘヴィ・メタル・シーンにおいて、シンフォニック・メタル (Symphonic Metal) は一つの確立されたジャンルとして急速に成長を遂げた。

Biography

エピカ (EPICA)
シンフォニック・メタルの進化、哲学、軌跡

1. シンフォニック・メタルの巨星とその特異性

21世紀初頭のヘヴィ・メタル・シーンにおいて、シンフォニック・メタル (Symphonic Metal) は一つの確立されたジャンルとして急速に成長を遂げた。その中で、オランダ (The Netherlands) のリンブルフ (Limburg) 州、ロイフェル (Reuver) で結成されたエピカ (EPICA)は、単なるジャンルの追随者ではなく、革新者としての地位を確固たるものにしている 。EPICAの音楽性は、ナイトウィッシュ (Nightwish) やウィズイン・テンプテーション (Within Temptation) といった同時代のバンドと比較されることが多いが、エピカ (EPICA) のサウンドは、よりアグレッシブなデス・メタル (Death Metal) の要素、複雑なプログレッシブ・メタル (Progressive Metal) の構成、 linenそして映画音楽 (Film Score) 並みに重厚なオーケストレーションを融合させている点において特異である 。

特に、バンドの象徴である「美女と野獣 (Beauty and the Beast)」 スタイル――すなわち、シモーネ・シモンズ (Simone Simons) の美しく力強いメゾ・ソプラノ (Mezzo-soprano) の歌声と、バンドの創設者であるマーク・ヤンセン (Mark Jansen)による野獣のようなデス・グロウル (Death Growls) の対比――は、EPICAの音楽적アイデンティティの中核を成している 。さらに、EPICAは音楽を通じて科学 (Science)、宗教 (Religion)、哲学(Philosophy)、心理学 (Psychology) といった深遠なテーマを探求し続けており、その歌詞世界は知的で啓蒙的である 。

2. バイオグラフィ (Biography) - 結成から現在までの全史

2.1 前史: アフター・フォーエヴァー (After Forever) の終焉とサハラ・ダスト (Sahara Dust) の胎動 (2002年以前)

エピカ (EPICA) の起源を語る上で、オランダ (The Netherlands) のもう一つの伝説的バンド、アフター・フォーエヴァー (After Forever) の存在を無視することはできない。1995年、アポカリプス (Apocalypse) という名で結成されたこのバンドは、後にアフター・フォーエヴァー (After Forever) と改名し、デビュー・アルバム 『Prison of Desire』 (2000年)と『Decipher』 (2001年) でシーンに衝撃を与えた 。このバンドでリズム・ギター、スクリーム、そして主要な作曲を担当していたのが、当時20代前半のマーク・ヤンセン (Mark Jansen) であった 。

しかし、2002年初頭、バンド内で「クリエイティブな相違 (Creative Differences)」が決定的となり、ヤンセン (Jansen) はアフター・フォーエヴァー (After Forever) を脱退することとなる 。ヤンセン (Jansen)は、よりクラシカルでシンフォニックな要素、そして映画音楽的な壮大さをメタルに融合させるビジョンを持っていたが、アフター・フォーエヴァー (After Forever)の他のメンバーはよりモダンでヘヴィな方向性を模索していたとされる 。

失意の中ではなく、新たな創造的野心に燃えていたヤンセン (Jansen)は、直ちに新バンドの結成に着手した。当初、このプロジェクトはサハラ・ダスト (Sahara Dust) と命名された 。彼は、アフター・フォーエヴァー (After Forever) 時代に書き始めていた楽曲群「The Embrace That Smothers」(窒息させる抱擁) の続編をこの新バンドで展開することを決意していた 。

サハラ・ダスト (Sahara Dust) の初期ラインナップには、後にエピカ (EPICA) の核となるメンバーが集結しつつあった 。

  • アド・スライター (Ad Sluijter): ギター。ヤンセン (Jansen) と共に楽曲の核を構築するパートナー 。
  • コーエン・ヤンセン (Coen Janssen): キーボード。クラシックピアノの素養を持ち、オーケストラ・アレンジにおいて重要な役割を担う 。
  • イヴ・ハッツ (Yves Huts): ベース 。
  • イワン・ヘンドリックス (Iwan Hendrikx): ドラム (短期間のみ在籍) 。

そして、最初のボーカリストとして迎えられたのは、ノルウェー (Norway) のゴシック・メタル・バンド、トレイル・オブ・ティアーズ (Trail of Tears) の元メンバーであるヘレナ・イレン・ミカエルセン (Helena Iren Michaelsen)であった 。しかし、彼女の在籍期間は極めて短く、デモ制作の初期段階でバンドを離脱する。その後、ドラマーもデニス・リーフラング (Dennis Leeflang) を経て、イェロエン・シモンズ (Jeroen Simons) (カサゴッズ (Carthagods) 元メンバー) に落ち着いた 。

2.2 運命の出会いとエピカ (EPICA) の誕生 (2002年-2003年)

ヘレナ (Helena)の脱退後、ヤンセン (Jansen) は当時彼のガールフレンドであり、まだ17歳であったシモーネ・シモンズ (Simone Simons) にボーカルを依頼した 。シモンズ (Simons)は本格的なバンド経験はなかったものの、合唱団での経験と、ナイトウィッシュ (Nightwish) のアルバム 『Oceanborn』 を聴いてクラシック歌唱 (ソプラノ)の訓練を始めており、その才能は未知数ながらも圧倒的であった 。彼女の加入により、バンドは「天使のような女性ボーカルと悪魔のような男性グロウル」という対比構造を完成させた 。

2002年、彼らは2曲入りのデモテープ 『Cry for the Moon』を制作した 。

  • 収録曲 :
    1. "Cry for the Moon"
    2. "Illusive Consensus"

このデモは、またたく間にオランダ (The Netherlands) のインディーズ・レーベルであるトランスミッション・レコード (Transmission Records) の関心を引き、契約へとつながった 。

2003年初頭、バンドはアメリカ (USA) のパワー・メタル・バンド、キャメロット (Kamelot) のアルバム 『EPICA』 (2003年)に感銘を受け、バンド名をエピカ (EPICA) に改名した 。ヤンセン(Jansen)は、「EPICA」 という言葉が持つ「人生における最も重要な問いへの答えを見つける宇宙の場所」という意味に惹かれたと語っている。また、キャメロット (Kamelot) とは後にツアーを共にし、メンバー間の交流も深まるなど、この改名は運命的なものであった 。

2.3 第一期: 初期の栄光と 『The Phantom Agony』 (2003年-2004年)

2003年6月、記念すべきデビュー・アルバム 『The Phantom Agony』 がリリースされた 。プロデュースは、その後長きにわたりバンドのサウンドを支えることになるサシャ・パエト (Sascha Paeth)が担当した。このアルバムの特徴は、メタル・バンドの編成に加え、6名の合唱隊(2名の男性、4名の女性) と8名のストリングス・オーケストラ (3名のヴァイオリン、2名のヴィオラ、2名のチェロ、1名のコントラバス)を実際に起用した点にある 。

  • 音楽性: ゴシック・メタル (Gothic Metal) の影響が色濃く、テンポは比較的ミドル・テンポ主体である。シモンズ (Simons) のボーカルは若々しくも古典的なソプラノ・スタイルを堅持していた 。
  • テーマ: 「The Embrace That Smothers」 サーガの第4部から第6部が収録されており、同時多発テロ以降の世界情勢や宗教的原理主義への批判が込められている 。

アルバムは批評家から絶賛され、ナイトウィッシュ (Nightwish) やウィズイン・テンプテーション (Within Temptation) に続く次世代の旗手として認知された 。2004年には、テレビ番組『2 Meter Sessies』でのスタジオ・ライブを収録したDVD/CD 『We Will Take You With Us』をリリースし、アコースティック・アレンジやカバー曲への適応能力も証明した 。

2.4 第二期: 『Consign to Oblivion』 とマヤ文明への傾傾向 (2005年-2006年)

2005年、セカンド・アルバム 『Consign to Oblivion』をリリース。この作品でヤンセン (Jansen)は、自身の興味の対象であったマヤ文明 (Maya Civilization) を大々的に取り上げた 。「A New Age Dawns」 と名付けられた新たなサーガがここから開始される 。

  • 音楽性: 前作のゴシック的暗さはやや後退し、よりキャッチーで映画音楽的なサウンドトラックのようなアプローチが取られた。ハンス・ジマー (Hans Zimmer) やダニー・エルフマン (Danny Elfman) といった映画音楽作曲家からの影響が顕著である 。
  • 特記事項: キャメロット (Kamelot) のボーカリスト、ロイ・カーン (Roy Khan) が楽曲「Trois Vierges」にゲスト参加し、シモンズ (Simons) とのデュエットを披露した 。

同年、バンドはオランダ映画 『Joyride』のサウンドトラック・アルバム 『The Score - An Epic Journey』も発表。これはEPICAにとって実験的な作品であり、大半がインストゥルメンタルであったが、オーケストラ・アレンジのスキルを磨く重要な機会となった 。

2006年、ドラマーのイェロエン・シモンズ (Jeroen Simons) が脱退。バンドは一時的にセッション・ドラマーを起用しながら活動を継続する。また、初の北米ツアーを敢行し、国際的な知名度を高めていった 。

2.5 第三期: 『The Divine Conspiracy』 とメンバーの変遷 (2007年-2008年)

2007年、ドイツ (Germany) の大手メタル・レーベル、ニュークリア・ブラスト (Nuclear Blast) へと移籍し、サード・アルバム 『The Divine Conspiracy』をリリースした 。

  • コンセプト: 「神は人間に、自らを発見し克服するための試練として多くの宗教を創造した」という「聖なる陰謀 (The Divine Conspiracy)」がテーマ。歌詞はより辛辣かつ哲学的になり、「The Embrace That Smothers」 サーガがここで完結を迎える 。
  • 新ドラマー: 元ゴッド・ディスローンド (God Dethroned) のアリエン・ファン・ウィーセンベーク (Ariën van Weesenbeek) がセッション参加し、その後正式メンバーとなる。彼の加入により、ドラムはよりテクニカルで、デス・メタル由来のブラスト・ビートが多用されるようになった 。
  • ボーカルの進化: シモンズ (Simons) の歌唱法が多様化し、従来のクラシカルな発声だけでなく、よりパワフルなベルト唱法 (Belting) も取り入れるようになった 。

しかし、2008年12月、創設メンバーでありギタリストのアド・スライター (Ad Sluijter) が脱退を発表 。スライター (Sluijter) はヤンセン (Jansen) と共に多くの楽曲を手掛けてきたが、過酷なツアー生活と楽曲制作へのプレッシャーによる疲弊が理由であった。彼は声明の中で「夢が現実になったとき、それが期待していたものとは違うことに気づくことがある」と述べている 。

2.6 第四期: 『Design Your Universe』 とラインナップの再構築 (2009年-2011年)

アド・スライター (Ad Sluijter) の後任として白羽の矢が立ったのは、アリエン (Ariën) と同じく元ゴッド・ディスローンド (God Dethroned) のギタリスト、アイザック・デラハイ (Isaac Delahaye) であった 。デラハイ (Delahaye) の加入はエピカ (EPICA) にとって革命的であった。彼はメロディック・デス・メタル (Melodic Death Metal) のバックグラウンドを持ち、より複雑なリフ、流麗なギター・ソロ、そして強烈なバッキング・ボーカルをもたらした 。

2009年にリリースされた4作目 『Design Your Universe』は、新体制での第一弾であり、多くのファンや批評家から「最高傑作」と評されることが多い 。

  • テーマ: 「量子物理学 (Quantum Physics)」と「人間の意識が現実を形作る」という思想。代表曲「Kingdom of Heaven」を含む、プログレッシブかつ壮大な楽曲群が並ぶ 。
  • ライブ: ハンガリー (Hungary) のミシュコルツ (Miskolc) で行われた 「Miskolc Opera Festival」に出演し、フル・オーケストラと共にクラシックの名曲や映画音楽を演奏。この模様はライブ・アルバム 『The Classical Conspiracy』としてリリースされた 。

2.7 第五期: 『Requiem for the Indifferent』 とイヴ・ハッツの離脱 (2012年-2013年)

2012年、5作目『Requiem for the Indifferent』をリリース。

  • 背景: 「アラブの春 (Arab Spring)」 や 「ウォール街を占拠せよ (Occupy Wall Street)」運動、リビア内戦、福島第一原発事故といった当時の混沌とした世界情勢を反映し、タイトルは「無関心な人々への鎮魂歌」とされた 。
  • 音楽性: 前作以上にプログレッシブで難解な構成が目立つ 。

アルバム・リリース直後の2012年3月、創設メンバーであるベーシストのイヴ・ハッツ (Yves Huts)が脱退 。ハッツ (Huts)はバンド活動と並行して別のキャリア (物流・サプライチェーン関連の仕事とされる)を持っており、エピカ (EPICA) の世界ツアーの規模拡大に伴い、両立が不可能になったため、音楽以外のキャリアを選択した。後任には、ディレイン (Delain) やマヤン (MaYaN) で活動していたロブ・ファン・デル・ルー (Rob van der Loo)が加入 。これにより、現在の不動のラインナップ (シモンズ、M.ヤンセン、C.ヤンセン、デラハイ、ウィーセンベーク、ファン・デル・ルー)が完成した 。

2013年、結成10周年を記念して、オランダ・アイントホーフェン (Eindhoven) で大規模コンサート 「Retrospect」を開催。70人編成のオーケストラと30人のクワイアを従え、3時間に及ぶパフォーマンスを披露した 。

2.8 第六期: ヨースト体制と量子的進化 『The Quantum Enigma』 『The Holographic Principle』 (2014年-2019年)

2014年の6作目『The Quantum Enigma』で、バンドは大きな決断を下す。デビュー以来のプロデューサーであったサシャ・パエト (Sascha Paeth) から離れ、元アフター・フォーエヴァー (After Forever) のキーボーディストでありプロデューサーのヨースト・ファン・デン・ブローク (Joost van den Broek)を起用した 。

  • 変化: サウンド・プロダクションが劇的に現代化し、ギターのヘヴィネスとオーケストラの分離が良くなり、いわゆる「ウォール・オブ・サウンド (Wall of Sound)」が完成された。バンド全員が作曲に関与する民主的な制作スタイルが確立された 。

続く2016年の『The Holographic Principle』では、「宇宙はホログラムである」というホログラフィック原理(Holographic Principle) をテーマに、サンプリング音源を極力排除し、すべて生楽器で録音するという野心的な試みが行われた 。このアルバムでは、マーク・ヤンセン (Mark Jansen) はギター演奏を行わずボーカルに専念し、すべてのギターパートをアイザック・デラハイ (Isaac Delahaye) が担当している 。

2017年にはEP『The Solace System』や、日本のアニメ『進撃の巨人 (Attack on Titan)』の主題歌カバーEP 『EPICA vs Attack on Titan Songs』 をリリースするなど、活動の幅を広げた 。

2.9 第七期: パンデミックを超えて 『Omega』から『Aspiral』 へ (2020年-2025年)

2020年以降、COVID-19の世界的流行によりツアー活動が停止する中、バンドは8作目のアルバム 『Omega』 (2021年)を制作した 。

  • テーマ: 「オメガ点 (Omega Point)」理論。宇宙の意識が一点に収束し統一されるという概念。シリーズ第3弾 「Kingdom of Heaven, Part III」を収録 。
  • 活動: ライブが行えない代わりに、大規模なオンライン・ストリーミング・ライブ「Omega Alive」を開催し、視覚効果を駆使した映画のような体験を提供した 。

2022年には、アトミック・ファイアー・レコード (Atomic Fire Records) へ移籍し、コラボレーションEP『The Alchemy Project』 をリリース。しかし、その後アトミック・ファイアー (Atomic Fire) がニュークリア・ブラスト (Nuclear Blast) に統合されたため、再び古巣へ戻ることとなった 。

And 2025年4月11日、通算9枚目のアルバム 『Aspiral』 がリリースされる。タイトルはポーランド (Poland) の芸術家スタニスワフ・シュカルスキ (Stanisław Szukalski) の彫刻作品に由来し、「螺旋 (Spiral)」のような成長と再生を意味する。「A New Age Dawns」 サーガがこのアルバムでついに完結を迎えることとなり、バンドの歴史における重要なマイルストーンとなる 。

3. メンバー詳細プロフィールと機材 (Members & Equipment)

現メンバー (Current Members)

名前 (Name) 担当 (Role) 生年月日・出身 詳細・機材・プレイスタイル
Simone Simons
シモーネ・シモンズ
Lead Vocals 1985年1月17日
オランダ、ヘールレン (Heerlen)
スタイル: メゾ・ソプラノ。初期の純クラシカルな発声から、ポップス、ジャズ、ベルティングまで幅広い表現力を持つ 。
活動: 写真家、ブロガーとしても著名。キャメロット (Kamelot) のオリバー・パロタイ (Oliver Palotai)と結婚 。
マイク: Shure (ライブ), Neumann (スタジオ)等を使用 。
Mark Jansen
マーク・ヤンセン
Rhythm Guitar, Grunts 1978年12月15日
オランダ、ロイフェル (Reuver)
スタイル: バンドの頭脳。哲学的な歌詞と複雑な楽曲構成を担当。低音のデス・グロウルと高音のスクリームを使い分ける 。
他バンド: マヤン (MaYaN), 元アフター・フォーエヴァー (After Forever) 。
機材: Ibanez Guitars (7弦), Bogner Amps, Mesa/Boogie Cabs 。
Coen Janssen
コーエン・ヤンセン
Synthesizers, Piano 1981年4月2日
オランダ
スタイル: 創設メンバー。クラシックピアノの高度な技術を持ち、オーケストラ・アレンジを統括。ライブではステージを動き回るためにカーブボード (NuMotion Revo 1) や回転式スタンドを使用 。
機材: Roland Fantom, Roland V-Synth 。
Isaac Delahaye
アイザック・デラハイ
Lead Guitar, Backing Vocals 1982年1月9日
ベルギー (Belgium)、イーペル (Ypres)
スタイル: 2009年加入。元ゴッド・ディスローンド (God Dethroned)。テクニカルなソロとヘヴィなリフワークでバンドのサウンドを現代化。アコースティックギターも担当 。
機材: Ibanez DN500K Darkstone (Custom 7-string), Gibson Les Paul 7 String, Bogner Uberschall/Shiva Amps 。
Ariën van Weesenbeek
アリエン・ファン・ウィーセンベーク
Drums, Grunts 1980年5月17日
オランダ
スタイル: 2007年加入。愛称は「The Beast」。圧倒的な速さのブラスト・ビートと精密なダブル・バスドラムが特徴。バッキング・グロウルも担当 。
機材: Pearl Drums, Meinl Cymbals, Vic Firth Sticks 。
Rob van der Loo
ロブ・ファン・デル・ルー
Bass 1979年6月25日
オランダ
スタイル: 2012年加入。フィンガー・ピッキングとピック弾きを使い分ける。元ディレイン (Delain)、サン・カゲロウ (Sun Caged) 。
機材: Dingwall Basses, Darkglass Electronics 。

旧メンバー (Former Members)

  • Yves Huts (イヴ・ハッツ): ベース (2002-2012)。創設メンバー。楽曲「The Phantom Agony」の共作者。現在は音楽業界を離れている 。
  • Ad Sluijter (アド・スライター): ギター (2002-2008)。創設メンバー。マーク・ヤンセンの作曲パートナーとして初期のサウンドを決定づけた。脱退後はセッション・ミュージシャンやミキシング・エンジニアとして活動 。
  • Jeroen Simons (イェロエン・シモンズ): ドラム (2002-2006)。初期2作に参加 。
  • Helena Iren Michaelsen (ヘレナ・イレン・ミカエルセン): ボーカル (2002)。サハラ・ダスト時代のみ。後にインペリア (Imperia)を結成 。

4. 楽曲のテーマとサーガ (Themes & Sagas)

エピカ (EPICA) の歌詞は、複数のアルバムにまたがる壮大な物語 (サーガ) として構成されていることが多い。これらを理解することは、EPICAの音楽を深く味わうために不可欠である 。

4.1 The Embrace That Smothers (窒息させる抱擁)

テーマ: 組織化された宗教の危険性と矛盾。宗教がいかにして人々を支配し、対立を生むかを批判的に描く。マーク・ヤンセンがアフター・フォーエヴァー時代から続けてきたシリーズ 。

  • Prologue - Part III: アフター・フォーエヴァー 『Prison of Desire』(2000)収録 。
  • Part IV "Cry for the Moon": アルバム 『The Phantom Agony』収録。カトリック教会の児童虐待スキャンダルを示唆する歌詞が含まれる 。
  • Part V "Façade of Reality": 『The Phantom Agony』収録。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を扱い、トニー・ブレア (Tony Blair) 元英首相の演説のサンプリングが含まれている 。
  • Part VI "Seif al Din": 『The Phantom Agony』収録。イスラム原理主義をテーマに、宗教的狂信を描く 。
  • Part VII "Death of a Dream": 『The Divine Conspiracy』収録 。
  • Part VIII "Living a Lie": 『The Divine Conspiracy』収録 。
  • Part IX "Fools of Damnation": 『The Divine Conspiracy』収録。シリーズ完結編 。

4.2 A New Age Dawns (新時代の夜明け)

テーマ: マヤ文明の時間概念、2012年終末論(の比喩的解釈)、意識の変革、社会システムの崩壊と再生。時間と精神の旅を描く 。

  • Prologue "Hunab K'u": 『Consign to Oblivion』収録。マヤの最高神フナブ・ク (Hunab K'u) を指す 。
  • Part I "The Last Crusade": 『Consign to Oblivion』収録 。
  • Part II "Mother of Light": 『Consign to Oblivion』収録 。
  • Part III "Consign to Oblivion": 『Consign to Oblivion』収録。マヤの予言と現代文明の対比 。
  • Part IV "Resign to Surrender": 『Design Your Universe』収録。個人の責任と自由意志 。
  • Part V "Kingdom of Heaven": 『Design Your Universe』収録。科学と精神性の融合。ここから派生シリーズ 「Kingdom of Heaven」が生まれる 。
  • Part VI "Design Your Universe": 『Design Your Universe』収録。量子力学的観点からの現実創造 。
  • Part VII "Darkness Dies in Light": 最新作『Aspiral』収録 。
  • Part VIII "Metanoia": 『Aspiral』収録。メタノイアとは「悔い改め」や「根本的な意識の転換」を意味するギリシャ語 。
  • Part IX "The Grand Saga of Existence - Aspiral": 『Aspiral』収録。シリーズの最終章 。

4.3 Kingdom of Heaven (天国の王国)

テーマ: 「A New Age Dawns」から派生した、科学(特に量子力学) と精神世界(臨死体験、チベット死者の書など)をリンクさせる長編叙事詩 。

  1. "Kingdom of Heaven" (A New Age Dawns Part V): 『Design Your Universe』収録。マーク・ヤンセンの祖母の死に触発された楽曲 。
  2. "The Quantum Enigma - Kingdom of Heaven Part II": 『The Quantum Enigma』収録。観測問題と現実の主観性 。
  3. "The Antediluvian Universe - Kingdom of Heaven Part III": 『Omega』収録。大洪水以前の古代文明と失われた知識について 。

5. ディスコグラフィ (Discography)

各アルバムの詳細データ。特に日本盤 (Japanese Editions) の情報はコレクターにとって重要である 。

スタジオ・アルバム (Studio Albums)

1. The Phantom Agony (ザ・ファントム・アゴニー)
  • リリース日: 2003年6月5日
  • レーベル: Transmission Records / Avalon (日本)
  • 概要: デビュー作。ゴシック色が強く、ラテン語の合唱が多用される 。
  • 日本盤ボーナス: "Triumph of Defeat" (インストゥルメンタル) 。
  • 主要曲: "Cry for the Moon", "Sensorium", "The Phantom Agony"
2. Consign to Oblivion (コンサイン・トゥ・オブリヴィオン)
  • リリース日: 2005年4月21日
  • レーベル: Transmission Records / Avalon (日本)
  • 概要: マヤ文明コンセプト。よりシンフォニックでキャッチーに洗練 。
  • 日本盤ボーナス: "Linger (Orchestral Version)" 。
  • 主要曲: "Quietus", "Solitary Ground", "Consign to Oblivion"
3. The Divine Conspiracy (ザ・ディヴァイン・コンスピラシー)
  • リリース日: 2007年9月7日
  • レーベル: Nuclear Blast / Avalon (日本)
  • 概要: 初の完全コンセプトアルバム。ニュークリア・ブラスト移籍第一弾。サウンドがヘヴィ化 。
  • 日本盤ボーナス: "Replica" (フィア・ファクトリー (Fear Factory) のカバー) 。
  • 主要曲: "The Obsessive Devotion", "Sancta Terra", "Chasing the Dragon"
4. Design Your Universe (デザイン・ユア・ユニバース)
  • リリース日: 2009年10月16日
  • レーベル: Nuclear Blast / Avalon (日本)
  • 概要: アイザック・デラハイ加入。最高傑作との呼び声高い。量子物理学テーマ 。
  • 日本盤ボーナス: "Nothing's Wrong" (Heideroosjesのカバー) 。
  • 主要曲: "Unleashed", "Martyr of the Free Word", "Kingdom of Heaven"
5. Requiem for the Indifferent (レクイエム・フォー・ザ・インディファレント)
  • リリース日: 2012年3月9日
  • レーベル: Nuclear Blast / Avalon (日本)
  • 概要: 政治色が強いダークな作品。イヴ・ハッツ最後の参加 。
  • 日本盤ボーナス: "Nostalgia" 。
  • 主要曲: "Storm the Sorrow", "Monopoly on Truth"
6. The Quantum Enigma (ザ・クォンタム・エニグマ)
  • リリース日: 2014年5月2日
  • レーベル: Nuclear Blast / Avalon (日本)
  • 概要: プロデューサー変更(ヨースト・ファン・デン・ブローク)。音質の劇的向上 。
  • 日本盤ボーナス: "Memento" 。
  • 主要曲: "The Essence of Silence", "Unchain Utopia", "Victims of Contingency"
7. The Holographic Principle (ザ・ホログラフィック・プリンシプル)
  • リリース日: 2016年9月30日
  • レーベル: Nuclear Blast / Chaos Reigns (日本)
  • 概要: ホログラフィック宇宙論。生楽器を極限まで多用 。
  • 日本盤ボーナス: "Immortal Melancholy" (Piano Version)等、エディションにより異なる 。
  • 主要曲: "Universal Death Squad", "Edge of the Blade", "Beyond the Matrix"
8. Omega (オメガ)
  • リリース日: 2021年2月26日
  • レーベル: Nuclear Blast / Ward Records (日本)
  • 概要: オメガ点理論。パンデミック下の制作 。
  • 日本盤: 追加ディスクやボーナストラックを含む複数の形態で発売 。
  • 主要曲: "Abyss of Time", "The Skeleton Key", "Rivers"
9. Aspiral (アスパイラル)
  • リリース日: 2025年4月11日
  • レーベル: Nuclear Blast / Ward Records (日本想定)
  • 概要: 「A New Age Dawns」完結編。彫刻家シュカルスキの作品に由来 。
  • トラックリスト :
    1. Cross the Divide
    2. Arcana
    3. Darkness Dies in Light (A New Age Dawns - Part VII)
    4. Obsidian Heart
    5. Fight to Survive - The Overview Effect
    6. Metanoia (A New Age Dawns - Part VIII)
    7. Τ.Ι.Μ.Ε.
    8. Apparition
    9. Eye of the Storm
    10. The Grand Saga of Existence (A New Age Dawns - Part IX - Aspiral)
    11. Aspiral
  • シングル: "Arcana" (2024), "The Ghost in Me (Danse Macabre)" (2024, エフテリング (Efteling) テーマパークとのコラボ) 。

その他の重要なリリース

  • We Will Take You With Us (2004): 『2 Meter Sessies』でのスタジオ・ライブ。初期の貴重な映像 。
  • The Score - An Epic Journey (2005): 映画『Joyride』サントラ 。
  • The Road to Paradiso (2006): 本とCDのセット。レアトラック集 。
  • The Classical Conspiracy (2009): ミシュコルツでのオーケストラ・ライブ盤 。
  • Retrospect (2013): 10周年記念ライブ 。
  • EPICA vs Attack on Titan Songs (2017): アニメ『進撃の巨人』カバーEP。日本市場を強く意識した作品 。
  • The Solace System (2017): EP。『The Holographic Principle』のアウトテイク集だが品質は高い 。
  • The Alchemy Project (2022): コラボレーションEP。Uriah Heep, Shining, Fleshgod Apocalypse等が参加 。
  • Live at The Symphonic Synergy (2025予定): 『Aspiral』 限定盤などに付属するオーケストラ・ライブ映像 。

6. エピカ (EPICA) の遺産と未来への展望

エピカ (EPICA) の20年以上にわたるキャリアは、シンフォニック・メタルというジャンルの可能性を常に拡張し続ける旅であった。マーク・ヤンセン (Mark Jansen) の脱退という逆境から始まったバンドは、シモーネ・シモンズ (Simone Simons) という稀代の歌姫を得て、アフター・フォーエヴァー (After Forever) の遺産を継承しつつ、それを凌駕する独自の音響宇宙を構築した 。

EPICAの特筆すべき点は、音楽的探究心と哲学的探究心の融合にある。ゴシック、デス・メタル、プログレッシブ、映画音楽、借そして中近東の民族音楽を巧みに織り交ぜながら、歌詞においては宗教の矛盾、量子力学の神秘、意識の進化といった深遠なテーマを扱い続けてきた。「The Embrace That Smothers」 から 「A New Age Dawns」に至るサーガの完結は、2025年の『Aspiral』 において一つの頂点を迎える 。

アトミック・ファイアー (Atomic Fire) からの復帰、メンバーの安定、そして常に新しい技術 (ストリーミング・ライブやNFTなど) への適応力を見るに、エピカ (EPICA) は現役のトップランナーとして今後もシーンを牽引し続けることは間違いない。EPICAが掲げる 「Design Your Universe (自らの宇宙を創造せよ)」というメッセージは、バンド自身の進化の歴史そのものを体現しているのである 。

News

PRETTY MAIDS、2019年『Undress Your Madness』以来の新スタジオ・アルバムを2027年にFrontiersから発売へ

Frontiers Music Srlが制作開始を発表。プロデュースはJacob Hansen(AMARANTHE、VOLBEAT、EPICA、PRIMAL FEAR)で、Ronnie Atkins(vo)とKen Hammer(g)にRene Shades(b)、Chris Laney(g/key)、Allan Tschicaja(dr)を加えた現ラインナップで制作される。

出典: Blabbermouth(2026年9月1日)

EPICA、結成25周年ツアーで2027年10月6日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホール公演

オーケストラと合唱団を伴う"The Symphonic Synergy Tour"の第1弾発表日程で、UK限定公演として行われる。

出典: EPICA公式(2026年9月1日)

ニュース一覧 →

Albums

Aspiral CD
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荘厳なオーケストレーションと重厚なリフで、EPICAの世界観をさらに広げる一作。

Omega CD
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シンフォニックな壮大さと重厚なリフを、EPICAが緻密に結晶化させた大作。

The Holographic Principle CD
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オーケストラ、合唱、重いリフを壮大な構築へ結び付けるEPICAのシンフォニック・メタル大作。

The Quantum Enigma CD
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オーケストラルな壮大さと重いリフを精密に融合したEPICAの重要作。

Requiem for the Indifferent CD
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壮大な管弦楽とヘヴィなリフを通じ、EPICAが社会的テーマを劇的に描いたシンフォニック・メタル作。

Design Your Universe CD
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管弦楽、合唱、ヘヴィ・リフを壮大に統合した、EPICAのシンフォニック・メタルを代表する一枚。

The Divine Conspiracy CD
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オーケストラ、合唱、重量級リフを壮大な物語へ束ね、EPICAが表現力を拡張した第3作。

Consign to Oblivion CD
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重厚なギター、合唱、オーケストラ的アレンジを重ね、EPICAが壮大なシンフォニック・メタルを描いた第二作。

The Phantom Agony CD
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オーケストラとソプラノを重厚なリフに重ね、EPICAが壮大なシンフォニック・メタルを提示したデビュー作。