BLINDMAN
東京都(Tokyo) を拠点に活動を開始したBLINDMANは、流行り廃りの激しい音楽業界において、一貫して70年代および80年代の英国ハードロック (British Hard Rock) をルーツに持つ、叙情的かつ骨太なサウンドを追求してきた。
Biography
日本のハードロック界における至宝
BLINDMAN (ブラインドマン)の軌跡と音楽的変遷
東京都(Tokyo) を拠点に活動を開始したBLINDMANは、流行り廃りの激しい音楽業界において、一貫して70年代および80年代の英国ハードロック (British Hard Rock) をルーツに持つ、叙情的かつ骨太なサウンドを追求してきた。
2. バンド概要と歴史的変遷
2.1 黎明期:結成からインディーズでの台頭 (1995年-2000年)
【結成の背景と初期衝動】 1995年、東京(Tokyo) の音楽シーンは、ヴィジュアル系バンドの台頭やパンクロック (Punk Rock) のブームに沸いていた。そのような時代背景の中で、ギタリストの中村達也 (Tatsuya Nakamura) は、あえて時代に逆行するかのような、正統派のハードロックバンドの結成を模索していた。彼のヴィジョンは明確であり、リッチー・ブラックモア (Ritchie Blackmore) やゲイリー・ムーア (Gary Moore) といった往年のギターヒーローに影響を受けた、エモーショナルなギター旋律と、ソウルフルなヴォーカルを融合させた音楽であった。
バンド名「BLINDMAN (ブラインドマン)」の由来については、欧米において要人警護(シークレット・サービス)にあたる特殊職務の俗称から取られたとされている。これは、商業主義に流されることなく、真のロックミュージックの尊厳を守り抜く 「守護者」としての気概を暗示しているとも解釈できる。
初期のラインナップは、中村の構想を実現するために集められた実力派ミュージシャンで構成された。
- 中村達也(Tatsuya Nakamura): Guitar
- 高谷学(Manabu Takaya): Vocals - 彼のブルージーで深みのある中低音と、感情豊かな表現力は、初期BLINDMANのアイデンティティを決定づけた。
- 戸田達也(Tatsuya Toda): Bass - バンドの屋台骨を支えるグルーヴを提供。
- 遠藤均(Hitoshi Endo): Keyboards - ハモンドオルガン (Hammond Organ) の音色を多用し、バンドサウンドに厚みとクラシック・ロックの風格を与えた。
ドラムスに関しては流動的で、初期 (1995-1996) には後に コンチェルト・ムーン(Concerto Moon) で活躍する長井一郎 (Ichiro Nagai) が在籍しており、その後、ルイス・セスト (Louis Sesto) が加入し、黄金期の布陣が固まりつつあった。
【キャッスル・レコード (Castle Records)時代】 1998年、バンドはインディーズレーベルであるキャッスル・レコード (Castle Records) と契約し、デビューアルバム『Sensitive Pictures (センシティブ・ピクチャーズ)』をリリースした。このアルバムは、新人バンドらしからぬ完成度と、哀愁漂うメロディラインで、当時のハードロックファンの間で瞬く間に話題となった。特に楽曲 「Why Did You Come Back?」 に見られるような、泣きのギターとドラマティックな展開は、BLINDMANのシグネチャーサウンドとして確立された。
翌1999年には、2ndアルバム『Being Human (ビーイング・ヒューマン)』をリリース。ここでは楽曲の多様性が増し、より人間的な感情の機微を表現する歌詞世界と、アンサンブルの緻密さが向上している。同年には、BLINDMANの真骨頂であるライブパフォーマンスを収めたライブアルバム『Live, Living, Alive!! (ライブ・リビング・アライブ!!)』も発表され、スタジオ盤以上の熱量をパッケージすることに成功している。
2000年にはミニアルバム 『... in the dark (イン・ザ・ダーク)』をリリース。この作品は、次なるメジャー進出への布石となる重要な作品であり、よりヘヴィで攻撃的な側面が強調され始めていた。この時期、ドラマーの ルイス・セスト (Louis Sesto) が一時脱退し、後任として村上克敏(Katsutoshi Murakami) が加入するなど、リズム隊の変遷も見られたが、バンドの勢いは止まることを知らなかった。
2.2 黄金期: キングレコード (King Records) における飛躍 (2001年-2003年)
【メジャーデビューと傑作の誕生】 21世紀の幕開けとともに、BLINDMAN (ブラインドマン) は大きな転換期を迎える。日本のヘヴィメタル/ハードロック界における名門レーベル、キングレコード (King Records) のNEXUS (ネクサス) レーベルとの契約を獲得したのである。これは、BLINDMANがANTHEM (アンセム) やLOUDNESS (ラウドネス) といったレジェンドたちと同じフィールドに立ったことを意味していた。
2001年にリリースされたメジャーデビューアルバム 『BLINDMAN (ブラインドマン)』は、セルフタイトルを冠するに相応しい、バンドの最高傑作の一つとして数えられる。プロダクションの質は格段に向上し、各楽器の分離感や音圧が増したことで、BLINDMANの楽曲が持つダイナミズムが最大限に発揮された。特に収録曲「Living a Lie」は、キャッチーなサビとハードなリフが融合した名曲として、現在でもライブの定番曲となっている。
【深化する音楽性と突然の解散】 2002年には、4枚目のスタジオアルバム 『Turning Back (ターニング・バック)』を発表。タイトル曲「Turning Back」に見られるような、疾走感とネオクラシカルな要素を取り入れた楽曲群は、ハードロックファンのみならず、メロディックスピードメタル (Melodic Speed Metal) のファン層にもアピールするものであった。この時期のラインナップ (中村、高谷、戸田、村上)は、演奏技術とバンドとしての一体感において一つの頂点に達していたと言える。
しかし、2003年、ベストアルバム 『Soul Talks, Melodies Walk (ソウル・トークス・メロディーズ・ウォーク)』のリリースを最後に、バンドは解散を宣言する。クリエイティブな面での更なる追求か、あるいは当時の音楽シーンにおける純粋なハードロックバンドとしての活動の困難さか、その理由は複合的であったと推測されるが、この解散は多くのファンに衝撃を与えた。その後、高谷学(Manabu Takaya) はDIABLO GRANDE (ディアブロ・グランデ) を結成するなど、各メンバーは別々の道を歩むこととなる。
2.3 再結成と進化: トライアンフ・レコード (Triumph Records) 時代(2006年-2014年)
【復活の狼煙】 解散から約3年の沈黙を破り、2006年にBLINDMAN (ブラインドマン)は再結成を果たす。中心人物である中村達也 (Tatsuya Nakamura) とヴォーカルの高谷学(Manabu Takaya) という黄金コンビの復活は、シーンに熱狂を持って迎えられた。新たなパートナーとしてトライアンフ・レコード (Triumph Records) を選び、アルバム『Pain for the Pleasure (ペイン・フォー・ザ・プレジャー)』をリリース。この作品では、以前の叙情性を保ちつつも、よりモダンで重厚なサウンドプロダクションが取り入れられ、バンドの進化を証明した。
【メンバーの流動と音楽性の拡張】 この時期は、リズム隊やキーボード奏者の入れ替わりが激しい時期でもあった。
- ベース (Bass): オリジナルメンバーの戸田に代わり、薄葉友貴 (Yu-Ki Usuba) (2004-2006)、続いて東将行 (Masayuki "Az" Azuma) (2007-2010)が加入。それぞれが異なるグルーヴを持ち込み、バンドサウンドに変化を与えた。
- キーボード (Keyboards): サポートを経て2009年に正式加入した松井博樹 (Hiroki Matsui) は、2024年まで長きにわたり在籍し、シンフォニックなアレンジやテクニカルなソロプレイでバンドの中期~後期サウンドを支える重要な役割を果たした。
- ドラム (Drums): 村上克敏(Katsutoshi Murakami) が2011年まで務めた後、かつてのメンバーであるルイス・セスト (Louis Sesto) が復帰 (2011-2014)。
この流動的なメンバー構成の中で、バンドは音楽的な実験を繰り返した。『Subconscious In Xperience (サブコンシャス・イン・エクスペリエンス)』 (2008年)ではプログレッシブ・ロック (Progressive Rock)的なアプローチを見せ、『Re-rise (リ・ライズ)』 (2010年)では王道のハードロックへ回帰。『Blazing Crisis (ブレイジング・クライシス)』 (2012年)では、バンド史上最もアグレッシブな側面を押し出した。
しかし、2014年、長年バンドの「顔」であったヴォーカルの高谷学(Manabu Takaya) が脱退。これはバンドにとって最大の危機であり、存続さえも危ぶまれる事態であった。
2.4 新章開幕:Rayの加入とワルキューレ・レコード (Walküre Records) 時代(2016年-2023年)
【Rayという新たな「声」の発見】 高谷の脱退後、中村はバンドを終わらせることなく、新たなヴォーカリストを探し求めた。そして白羽の矢が立ったのが、Ray(レイ) であった。GALACTICA PHANTOM (ギャラクティカ・ファントム)などで活動していたRayは、高谷のブルージーな声質とは対照的に、突き抜けるようなハイトーンとクリアな声質を持つヴォーカリストである。また、ドラムには若き天才實成峻 (Shun Minari) が加入。ベースにはオリジナルメンバーの戸田達也(Tatsuya Toda) が2011年から復帰しており、ここに「中村・戸田」の盤石な基盤と、「Ray・實成」という新たなエナジーが融合した新生BLINDMANが誕生した。
【第2の黄金期へ】 2016年、新体制での初アルバム 『To the Light (トゥ・ザ・ライト)』をワルキューレ・レコード (Walküre Records) からリリース。アルバムタイトルが示す通り、バンドは新たな光を求めて前進を始めた。Rayのヴォーカルは、従来の楽曲に新たな解釈を与え、新曲においてはよりメロディアスでスピード感のある展開を可能にした。
その後も、精力的なリリースが続く。
- 『Reach for the Sky (リーチ・フォー・ザ・スカイ)』 (2018年): タイトル曲のアンセミックな高揚感は、新生BLINDMANの象徴となった。
- 『Expansion (エクスパンション)』 (2020年): コロナ禍においても制作されたこのアルバムは、バンドの熟成と「拡張 (Expansion)」を示し、「Promise of Love」のような珠玉のバラードを生み出した。
- 『Outburst (アウトバースト)』 (2023年): ミニアルバムながら、過去の名曲の再録音を含み、過去と現在の融合を試みた作品。
2.5 30周年と原点回帰 (2024年-現在)
【オリジナルメンバーの帰還】 2024年、バンド結成30周年を目前に控え、驚くべきニュースが発表された。長年キーボードを務めた松井博樹(Hiroki Matsui) に代わり、結成時のオリジナルメンバーである遠藤均(Hitoshi Endo) が約26年ぶりに電撃復帰を果たしたのである。これにより、現在のラインナップは以下の通りとなり、オリジナルメンバー3名(中村、戸田、遠藤)が揃うという、往年のファンにとって感涙の構成となった。
現在のメンバー (2025年時点):
- Gt: 中村達也(Tatsuya Nakamura)
- Vo: Ray (Ray)
- Ba: 戸田達也(Tatsuya Toda)
- Key: 遠藤均(Hitoshi Endo)
- Dr: 實成峻(Shun Minari)
【最新作:After Rain】 そして2025年9月、結成30周年記念作品となる通算12枚目のスタジオアルバム 『After Rain (アフター・レイン)』 がリリースされる。雨上がりの世界に光が差すように、長い歴史を生き抜いてきたBLINDMANの「今」が詰め込まれた作品として、大きな期待が寄せられている。
3. メンバー詳細プロフィールとプレイスタイル分析
本章では、BLINDMAN (ブラインドマン) のサウンドを形成する各メンバーの役割と特徴について、より深く掘り下げる。
現行メンバー (Current Members)
中村達也(Tatsuya Nakamura) - Guitar / Composer / Leader
- 生年月日: 8月14日
- 役割: バンドの創設者であり、ほぼ全ての楽曲の作曲を手掛けるメインソングライター。
- プレイスタイル:
- 彼のプレイは「泣きのギター」と形容されることが多い。チョーキングやビブラートのニュアンスに徹底的にこだわり、ギターを「歌わせる」能力において日本屈指の存在である。
- ギブソン・レスポール・カスタム (Gibson Les Paul Custom) とマーシャル(Marshall) アンプの組み合わせを愛用し、ピッキングの強弱だけで歪みやトーンをコントロールするダイナミクスレンジの広さが特徴。
- リフ作りにおいては、シンプルながらもフックのある、70年代ハードロック直系のリフを現代的な音圧で鳴らすことに長けている。
Ray (Ray) - Vocals
- 生年月日: 2月6日
- 役割: 2016年加入のヴォーカリスト。作詞も担当する。
- プレイスタイル:
- クリアで伸びのあるハイトーンヴォイスが最大の特徴。前任の高谷が「剛」だとすれば、Rayは「翔」のイメージである。
- 彼の加入により、バンドはキーの高い楽曲や、よりメロディック・メタルに近いアプローチが可能になった。また、英語の発音も滑らかであり、洋楽志向の強いBLINDMANのサウンドにフィットしている。
- ライブパフォーマンスにおいては、観客を煽るアグレッシブさと、バラードを歌い上げる繊細さを兼ね備えている。
戸田達也(Tatsuya Toda) - Bass
- 生年月日: 9月30日
- 役割: オリジナルベーシスト (1995-2003, 2011-現在)。
- プレイスタイル:
- 指弾きを基本とし、うねるようなグルーヴを生み出す。中村のギターがメロディを奏でる際、その裏で動くベースラインは楽曲にドライブ感を与える。
- 派手なタッピングやスラップよりも、ルート音と経過音を効果的に使った「歌うベースライン」を好む、職人肌のプレイヤーである。
遠藤均(Hitoshi Endo) - Keyboards
- 役割: オリジナルキーボーディスト (1995-1998, 2024-現在)。
- プレイスタイル:
- ハモンドオルガン (Hammond Organ) のプレイに定評がある。初期BLINDMANのサウンドにあった、泥臭くも荘厳な雰囲気は彼の手によるところが大きい。
- 26年ぶりの復帰により、最新のデジタルシンセサイザーとヴィンテージなオルガンサウンドをどのように融合させるかが注目されている。
實成峻(Shun Minari) - Drums
- 役割: 2016年加入。
- プレイスタイル:
- 若手ながら非常にテクニカルかつパワフルなドラミングを見せる。ツーバス(Double Bass Drum) の連打や変拍子のアプローチも難なくこなし、バンドのリズムを現代的なメタルサウンドの水準へと引き上げた。
- Crying Machine (クライング・マシーン) などでの活動経験も活かし、プログレッシブな展開にも対応できる柔軟性を持つ。
主要な元メンバー (Notable Past Members)
- 高谷学(Manabu Takaya) - Vocals (1995-2014): 初代ヴォーカリスト。彼のディープ・パープル (Deep Purple) のデヴィッド・カヴァデール (David Coverdale) を彷彿とさせる、ソウルフルで色気のある声は、初期~中期BLINDMANの象徴であった。
- 松井博樹 (Hiroki Matsui) - Keyboards (2009-2024): 中期のサウンドを支えた功労者。煌びやかなシンセサウンドとオーケストレーションで、バンドのスケール感を拡大した。
- ルイス・セスト (Louis Sesto) - Drums: アメリカ出身。パワフルなだけでなく、歌心のあるドラミングと、作詞面での貢献 (英語詞の監修など)が大きかった。
4. ディスコグラフィー
ここでは、BLINDMANがこれまでにリリースした全作品を網羅し、その詳細を記述する。
4.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)
| 発売年 (Year) | タイトル (Title) | レーベル (Label) | 概要と特記事項 (Notes) |
|---|---|---|---|
| 1998 | Sensitive Pictures (センシティブ・ピクチャーズ) |
Castle Records | 記念すべきデビュー作。インディーズながら高い完成度を誇る。「Why Did You Come Back?」収録。 |
| 1999 | Being Human (ビーイング・ヒューマン) |
Castle Records | 2ndアルバム (1999年7月10日)。より人間的なテーマを扱った歌詞と、深化したアンサンブルが特徴。 |
| 2001 | BLINDMAN (ブラインドマン) |
King Records | メジャーデビューアルバム (2001年6月27日)。名曲「Living a Lie」収録。バンドの代表作として名高い。 |
| 2002 | Turning Back (ターニング・バック) |
King Records | メジャー2作目 (2002年4月24日)。疾走曲と叙情的なバラードのバランスが絶妙な作品。 |
| 2006 | Pain for the Pleasure (ペイン・フォー・ザ・プレジャー) |
Triumph Records | 再結成第一弾 (2006年4月21日)。ヘヴィかつモダンな音作りへと進化した復活作。 |
| 2008 | Subconscious In Xperience (サブコンシャス・イン・エクスペリエンス) |
Triumph Records | 6thアルバム (2008年8月6日)。プログレッシブな要素を取り入れ、楽曲構成が複雑化した意欲作。 |
| 2010 | Re-rise (リ・ライズ) |
Triumph Records | 7thアルバム (2010年7月28日)。王道ハードロックへの回帰。「The Tears of God」収録。 |
| 2012 | Blazing Crisis (ブレイジング・クライシス) |
Triumph Records | 8thアルバム (2012年10月17日)。攻撃的なリフが前面に出た、ハード&ヘヴィな作品。高谷学最後の参加作。 |
| 2016 | To the Light (トゥ・ザ・ライト) |
Walküre Records | 9thアルバム (2016年12月21日)。Ray(Vo)加入後初のアルバム。新生BLINDMANの幕開けを告げる光に満ちた作品。 |
| 2018 | Reach for the Sky (リーチ・フォー・ザ・スカイ) |
Walküre Records | 10thアルバム (2018年11月21日)。アンセミックなタイトル曲やカバー曲を含み、ライブ映えする楽曲が揃う。 |
| 2020 | Expansion (エクスパンション) |
Walküre Records | 11thアルバム (2020年11月11日)。結成25周年記念。円熟味と新たな挑戦が同居する傑作。 |
| 2025 | After Rain (アフター・レイン) |
Walküre Records | 12thアルバム (2025年9月24日予定)。結成30周年記念作品。オリジナルメンバー遠藤均の復帰作。 |
4.2 注目すべきアルバムのトラックリスト解析
『Reach for the Sky』(2018年)
Ray加入後のバンドの方向性が完全に定まった作品。
- Strangers In The Night: オープニングを飾る疾走感あふれるナンバー。
- Now Or Never: キャッチーなコーラスワークが特徴。
- Da Doo Ron Ron: ザ・クリスタルズ (The Crystals) のカバー。ハードロックアレンジで楽しいロックンロールに昇華している。
- Survive: 重厚なリズムが響くミドルテンポ曲。
- The End Of My Dream: 哀愁漂うメロディが胸を打つ。
- Love In The Middle Of The Night
- Blue Moon
- Roll The Dice
- Reach For The Sky: アルバムのハイライト。希望に満ちた歌詞と突き抜けるハイトーンが印象的。
- Angels Ladder: アルバムを締めくくる壮大なバラード。
『Expansion』 (2020年)
- Love Drifter: 軽快なロックナンバー。
- Angel Smile: メロディアスでポップな側面も見せる楽曲。
- Promise of Love: 先行シングルとしてもリリースされた、美しい旋律を持つ楽曲。
- Tonight
- Over There
- Never Say Never
- One Step Closer
- Your Melody
- In the Autumn Wind: 秋の風を感じさせるような、中村のギターのトーンが秀逸。
- Solitude
- I'm Falling Down: 高谷学が作詞を担当した楽曲が含まれており、新旧ファンの架け橋となっている。
『After Rain』 (2025年)
- Spreading Out the Wings
- Groove the Night
- Soul Stealer
- Love So Blue
- No Pain No Love
- Rain (Instrumental)
- After Rain
- Upside Down
- Red Sunset
- Perfect World
4.3 ミニアルバム・シングル・企画盤 (EPs, Singles & Compilations)
- EP: 『...in the dark』 (2000年10月10日)
インディーズからメジャーへの過渡期にリリースされたミニアルバム。ダークでへヴィな質感が特徴。 - Single: 『Slave of You』(2001年)
メジャー1stアルバムからのシングルカット。 - Compilation: 『Soul Talks, Melodies Walk』(2003年)
解散時にリリースされたベストアルバム。代表曲が網羅されている。 - Self-Cover Best: 『Evergreen』(2013年8月7日)
高谷学在籍時の集大成として、過去の名曲を当時のラインナップで再録音(リレコーディング)した作品。「Turning Back」や「Living a Lie」が現代的な音質で蘇った。 - Live Album: 『Live...in the dark to the light』(2017年11月22日)
Ray加入後のツアー、名古屋公演を収録した2枚組ライブアルバム。新曲だけでなく、高谷時代の楽曲をRayがどのように解釈し歌い上げたかが聴きどころ。 - Single: 『Promise of Love』 (2020年10月21日)
- EP: 『Outburst』(2023年9月20日)
新曲3曲に加え、名曲「The Bed of Nails」 「Living a Lie」のRayヴォーカルによる再録バージョンを収録。
5. 音楽的特徴とシーンにおける位置づけ
5.1 サウンドの独自性: 叙情と剛健の融合
BLINDMAN (ブラインドマン) の音楽性は、しばしば「メロディック・ハードロック (Melodic Hard Rock)」と形容されるが、BLINDMANのサウンドには単なる「歌モノ」には収まらない深みがある。
- ブルース (Blues) への回帰: 多くのジャパニーズ・メタルバンドが、スピードやクラシック音楽への傾倒を見せる中で、BLINDMANは一貫してブルースを基盤としたロックンロールのグルーヴを大切にしている。中村のギターソロにおける「タメ」や「チョーキング」のニュアンスは、B.B.キング (B.B. King) やエリック・クラプトン (Eric Clapton) から脈々と続くブルース・ロックの系譜を感じさせる。
- 「王道」の継承と現代化: BLINDMANはディープ・パープル (Deep Purple)、レインボー (Rainbow)、ホワイトスネイク (Whitesnake) といったブリティッシュ・ハードロックの様式美 (ハモンドオルガンの使用、ギターとキーボードのユニゾン、ドラマティックな曲展開)を忠実に継承している。しかし、決して単なるコピーバンドに留まらず、ダウンチューニング (Down Tuning) を取り入れたヘヴィなリフや、モダンな機材による高音圧なサウンドメイクによって、現代のメタルシーンでも通用する強度を持たせている。
- 日本語と英語の融合: 歌詞においては、日本語の響きを大切にしつつも、ロックのグルーヴを損なわない英語フレーズを巧みに織り交ぜている。特に「Living a Lie」のような楽曲では、英語のサビが持つキャッチーさが、観客とのシンガロングを生み出す重要な要素となっている。
5.2 シーンへの影響
BLINDMANは、ANTHEM (アンセム) やSABER TIGER (サーベル・タイガー)、CONCERTO MOON (コンチェルト・ムーン) といったバンドと共に、90年代後半から00年代にかけての「ジャパニーズ・メタル冬の時代」を支え、シーンを再興させた立役者の一つである。BLINDMANの妥協なき活動姿勢は、後続のバンドたちに「流行に左右されず、自分たちの信じるロックを貫くこと」の重要性を示してきた。
また、PURE ROCK JAPAN (ピュア・ロック・ジャパン) などのイベントにも定期的に出演し、ジャンルを超えたロックファンにその存在感を示し続けている。
6. Conclusion
BLINDMAN (ブラインドマン) の30年にわたる歴史は、まさに日本のハードロックの歴史そのものと言っても過言ではない。インディーズ時代の初期衝動、メジャーでの栄光と挫折、そして再結成を経ての新たなる進化。その全ての過程において、BLINDMANは「良質なメロディと、魂を揺さぶるギター」という核心部分を一度たりとも見失わなかった。
2024年の遠藤均の復帰と、2025年のニューアルバム 『After Rain』は、バンドが単なるノスタルジーに浸るのではなく、過去 (オリジナルメンバー) と現在 (Rayと實成峻)を融合させ、未来へと進む意志表明である。中村達也が奏でるギターが鳴り響く限り、BLINDMANはこれからも日本のロックシーンにおける不滅の「至宝」として輝き続けるであろう。
Trivia
バンド名の由来として公式サイトが挙げているのは、欧米で要人警護にあたる特殊職務を指す俗称である。ただしこの説明には但し書きが付いていて、結成当時に伝わっていた話であるため現在のネットワーク上のデータベースでは真偽を確かめようがない、とバンド自身が明記している。由来を紹介しながら、同じ一文でその不確かさまで開示している公式バイオグラフィーというのはかなり珍しい。
BLINDMANは歌詞も曲名も一貫して英語だけで、日本語のものが1曲もない。中村達也によればこれは意識的に決めたことで、きっかけは20歳前後に友人から渡された1本のテープだった。韓国でいま一番のメタルバンドだと言われて聴いてみると、歌はハングルなのにサビだけが英語になっていた。そのちぐはぐさが強烈に引っかかり、英語圏の人間には日本語と英語の混在も同じように聞こえるのではないかと思い至って、以後は英語のみと割り切ったという。メジャーに在籍していた頃に次は日本語で、と求められたこともあるが、それは断っている。
2024年12月22日、BLINDMANは目黒鹿鳴館で『LIVE 2024 -PROLOGUE TO 30TH ANNIVERSARY』を行った。中村は、自分は昭和・平成・令和とこのステージに立ち続けてきたと語り、客の顔がよく見えるということは客からもこちらがよく見えるということだ、と鹿鳴館の間合いを説明した。ドラムを誰が叩いているのか分からないような箱もあるのだから、と。老朽化なのだから仕方がない、形あるものはそういうものだ、とも述べている。
中村達也は『BLAZING CRISIS』以降、録音からミックス、マスタリングまでを自分で手掛けている。本人はプロのエンジニアと同じ仕事ができるとは思っていないと明言した上で、自分の側にあるのは二つだけだと説明する。ひとつは「どうしたいか」が明確にわかっていること、もうひとつは自宅に作った防音の部屋で時間を無制限に使えること。スタジオを借りたらとても払えない量の時間をかけられることが、エンジニアとしての技術の不足を補っている、という理屈である。
『Expansion』は11枚目のアルバムで、収録曲は11曲、発売日は2020年11月11日という三重の11で揃っている。ただし作品そのものは、最初からフルアルバムとして企画されたものではない。出発点は「少し毛色の違う曲を集めたミニアルバム」で、そこに曲を足していった結果フルの尺になった。中村達也は増やしたことをあっさり認めた上で、最初からフルアルバムのつもりで作っていたら生まれなかった曲があったかもしれない、と語っている。ちなみに彼が理想とするアルバムの長さは、46分のカセットテープに収まる程度だという。
『Expansion』5曲目の「Over There」は、中村達也が書いた初めてのインストゥルメンタルである。書きたくなかったわけではなく、自分にその能力があると思えなかったから書かなかった、というのが本人の説明で、そろそろやってもいいと思えるまでにバンド歴20年以上を要したことになる。曲を聴いた人は例外なくゲイリー・ムーアを連想するらしく、どのインタビューでもそう言われるので認める、と本人も観念している。自分にとって一番大きな存在だから言われて嫌なわけではない、到底及ばないとわかった上で自分には別の良さがあるかもしれないと思って弾いた、というのが本人の言い分である。なお5曲目という配置(アナログでいうA面ラスト)にも意味を読み取られたが、そちらは意識していなかったという。
2023年の『OUTBURST』がフルアルバムではなくミニアルバムになったのは、コロナ禍の直接的な結果である。前作『Expansion』は感染拡大が始まった2020年の11月に出ており、それを追いかけるツアーがまともに打てなかった。ライブ本数が極端に少なく、前作の曲をやり切った感覚がないまま次のフルアルバムへ進むことを中村達也は避けたかった。前作の曲も含めた形でライブをやりたい、という理由で短い尺が選ばれている。あわせて以前から再録したかった2曲が収録されたが、その2曲がどちらもアップテンポだったため、新曲の側は速い方向へ寄せなかった。年齢とともに速い曲があまり湧かなくなってきた、とも本人は述べている。
中村達也は、BLINDMANがHM/HRバンドと呼ばれることにも、自分がHM/HRミュージシャンと呼ばれることにも抵抗はないとしている。ただし自分自身を説明するときは「ロックミュージシャン」としか言わないことにしている、という。理由は、同じ音を聴いても「これぞヘヴィメタルだ」と言う人と「これはメタルではない」と言う人がいる領域であり、その線引きは自分が言うことではないから。枠を作りたくない、というのが一貫した立場である。