BLACK SABBATH
ブラック・サバス (Black Sabbath)は、単なるロック・バンドではない。
Biography
ヘヴィ・メタルの始祖における全史と音楽的進化
1. 産業革命の煤煙が生んだ「闇の音」
ブラック・サバス (Black Sabbath)は、単なるロック・バンドではない。BLACK SABBATHは1960年代末の対抗文化 (Counter-culture) が掲げた「ラブ&ピース (Love and Peace)」 という極彩色の理想主義に対し、冷徹な現実と恐怖、そして実存的な不安を突きつけた最初の音楽的勢力である。イギリス (United Kingdom) の工業都市バーミンガム (Birmingham) で結成されたこのバンドは、工場の騒音と戦後の荒廃した風景を音響化することで、「ヘヴィ・メタル (Heavy Metal)」 というジャンルを実質的に創造した。
2. 形成期 (1968年-1969年): ブルースからドゥームへの変容
2.1 アストン (Aston) の労働者階級と初期の結成
ブラック・サバス (Black Sabbath) の物語は、バーミンガム (Birmingham) のアストン (Aston) 地区という、第二次世界大戦 (World War II) 後の傷跡と重工業の煤煙に覆われた環境から始まる。ギタリストのトニー・アイオミ (Tony Iommi) とドラマーのビル・ワード (Bill Ward)は、「ミソロジー (Mythology)」 というバンドで活動していたが、1968年7月13日のギグを最後に解散した。一方、ベーシストのテリー・"ギーザー"・バトラー (Terry "Geezer" Butler) とボーカリストのジョン・"オジー"・オズボーン (John "Ozzy" Osbourne)は、「レア・ブリード (Rare Breed)」 というバンドに在籍していた。
オジー・オズボーン (Ozzy Osbourne) が地元の楽器店に「OZZY ZIG Needs Gig (オジー・ジグ、ギグ求む)」 という手書きの広告を出したことが触媒となり、アイオミとワードが彼に接触したことで、4人の運命が交錯する。当初、彼らはスライド・ギタリストのジミー・フィリップス (Jimmy Phillips) とサックス奏者のアラン・"エーカー"・クラーク (Alan "Aker" Clarke) を加えた6人編成で、「ポルカ・タルク・ブルース・バンド (The Polka Tulk Blues Band)」として活動を開始した。このバンド名は、オジーの母親が愛用していた安価なタルカムパウダーのブランド、あるいは近所のインド洋品店に由来するとされるが、メンバーにとって決して気に入った名前ではなかった。
2.2 アース (Earth) への改名とメンバーの削減
6人編成での数回のギグの後、アイオミ (Iommi) はよりソリッドでハードなサウンドを追求するため、フィリップス (Phillips) とクラーク (Clarke) を解雇し、バンドを4人編成へと再編した。この際、バンド名は「アース (Earth)」 へと改められた。アース (Earth) 時代、彼らは主にブルース・ロック (Blues Rock) を演奏していたが、すでにそのサウンドには他のバンドにはない重さと暗さが漂い始めていた。
1968年後半、トニー・アイオミ (Tony Iommi) は一時的に「ジェスロ・タル (Jethro Tull)」に加入したが、わずか2週間で脱退し、アース (Earth) へと戻った。この短い期間にアイオミは、プロフェッショナルなバンド運営とリハーサルの規律を学び、それをアース (Earth) に持ち込んだことで、バンドの結束力と技術力は飛躍的に向上した。
2.3 運命の楽曲「Black Sabbath」 とトライトーンの発見
バンドの転換点となったのは、ギーザー・バトラー (Geezer Butler) のオカルト体験と、トニー・アイオミ (Tony Iommi) による音楽的発明の融合であった。バトラー (Butler) はある夜、自身のベッドの足元に黒い人影 (figure from the dark side) が立っているのを目撃するという恐怖体験をした。翌日、彼はオジー (Ozzy) にその体験を語り、そこから「Black Sabbath」という楽曲が生まれた。
この楽曲においてアイオミ (Iommi) が用いたのが、音楽理論において「トライトーン (Tritone)」(増四度/減五度) と呼ばれる音程である。中世ヨーロッパの音楽理論では「音楽の悪魔 (Diabolus in Musica)」 として忌避されたこの不協和音は、不安定で解決を求める響きを持ち、聴く者に本能的な不安と恐怖を喚起させる。この「悪魔の音程」をリフの核心に据えたことで、彼らはブルース・ロックの枠組みを超え、後にドゥーム・メタル (Doom Metal) と呼ばれるスタイルの原型を完成させた。
1969年8月、同名のバンドとの混同を避けるため、そして彼らの新しい音楽性を象徴するため、バンド名はボリス・カーロフ (Boris Karloff) 主演のホラー映画にちなんで「ブラック・サバス (Black Sabbath)」 へと正式に変更された。
3. オジー・オズボーン時代 (1970年-1979年): ヘヴィ・メタルの確立と崩壊
3.1 衝撃のデビュー: 『Black Sabbath』 (1970)
1970年2月13日の金曜日、デビュー・アルバム 『黒い安息日 (Black Sabbath)』がリリースされた。わずか2日間で録音されたこのアルバムは、オープニング・トラック 「Black Sabbath」における雷鳴と鐘の音、そしてアイオミ (Iommi) のトライトーン・リフによって、ロック・ミュージックの歴史を塗り替えた。
アルバムには、J.R.R. トールキン (J.R.R. Tolkien) の 『指輪物語 (The Lord of the Rings)』に影響を受けた「The Wizard」や、ベースのギーザー・バトラー (Geezer Butler) によるファズを効かせたイントロが印象的な「N.I.B.」 などが収録されている。批評家からは「時代遅れのブルース」と酷評されたものの、当時の若者たちの間では熱狂的に支持され、全英チャート8位を記録した。
3.2 栄光の頂点: 『Paranoid』 (1970)
デビューからわずか数ヶ月後の1970年9月、2ndアルバム 『パラノイド (Paranoid)』がリリースされた。当初 『War Pigs』と題される予定だったこのアルバムは、ベトナム戦争 (Vietnam War)への批判を込めた「War Pigs」、冷戦下の核戦争の恐怖を描いた「Electric Funeral」、ヘロイン中毒を扱った 「Hand of Doom」など、極めてシリアスで社会的なテーマを含んでいた。
タイトル曲「Paranoid」は、アルバムの余白を埋めるために短時間で作られた楽曲であったが、そのシンプルで力強いリフとキャッチーなメロディによりバンド最大のヒット曲となり、全英シングル・チャート4位、アルバムは全英1位を獲得した。このアルバムにより、ブラック・サバス (Black Sabbath) の名声は世界的なものとなった。
3.3 重低音の深化: 『Master of Reality』 (1971)
1971年の3rdアルバム『マスター・オブ・リアリティ (Master of Reality)』 において、バンドのサウンドはさらなる「重さ」を獲得した。トニー・アイオミ (Tony Iommi) は、指への負担を軽減し、より太いサウンドを得るために、ギターのチューニングを標準のEから1音半下げたC# (Cシャープ) へと変更した。これに合わせてギーザー・バトラー (Geezer Butler) もベースをダウン・チューニングしたことで、地を這うような重低音アンサンブルが完成した。
オープニングの「Sweet Leaf」はマリファナ (Marijuana) への賛歌であり、冒頭の咳き込む音はアイオミ (Iommi) が実際に大麻を吸って咳き込んだ音をループさせたものである。このアルバムは、後のストーナー・ロック (Stoner Rock) やスラッシュ・メタル (Thrash Metal) に多大な影響を与えた。
3.4 薬物と実験: 『Vol.4』 (1972)
ロサンゼルス (Los Angeles) のレコード・プラント (Record Plant) で録音された1972年の『ブラック・サバス4 (Vol.4)』は、バンドが薬物依存、特にコカイン (Cocaine) の深みに嵌っていく過程を記録した作品である。収録曲 「Snowblind」 はコカインへの直接的な言及であり、歌詞には「コカイン」という単語が含まれている。
一方で音楽的には、ピアノバラード 「Changes」や、オーケストレーションを取り入れたインストゥルナムタル 「Laguna Sunrise」など、従来のヘヴィネス一辺倒ではない実験的なアプローチが見られる。これはアイオミ (Iommi) の作曲能力の成熟を示すものであったが、バンド内の人間関係は徐々に悪化の一途を辿っていた。
3.5 プログレッシブへの接近: 『Sabbath Bloody Sabbath』 (1973)
1973年の『血まみれの安息日 (Sabbath Bloody Sabbath)』は、バンドの音楽的野心が頂点に達した作品である。イギリス (UK) の古城でのリハーサルを通じて制作されたこのアルバムでは、イエス (Yes) のリック・ウェイクマン (Rick Wakeman) がゲスト参加し、「Sabbra Cadabra」 でシンセサイザーを演奏した。複雑な楽曲構成、ストリングスやキーボードの導入など、プログレッシブ・ロック (Progressive Rock) 的な要素が強まり、批評家からも高い評価を得た。
3.6 崩壊への序曲: 『Sabotage』 から 『Never Say Die!』へ
1975年の『サボタージュ (Sabotage)』は、当時のマネジメントとの泥沼の法廷闘争を背景に制作された。タイトルは「自分たちの活動が妨害 (Sabotage) されている」というメンバーの実感を反映している。その怒りは楽曲の攻撃性に転化され、「Symptom of the Universe」の高速リフはスラッシュ・メタルの先駆とされる。
しかし、続く『テクニカル・エクスタシー (Technical Ecstasy)』 (1976年) と 『ネバー・セイ・ダイ (Never Say Die!)』 (1978年)の時期になると、バンドはパンク・ロック (Punk Rock)の台頭や内部の疲弊により、方向性を見失いつつあった。オジー・オズボーン (Ozzy Osbourne) は1977年に一時脱退し、元フリートウッド・マック (Fleetwood Mac) のデイヴ・ウォーカー (Dave Walker) が短期間リハーサルに参加したが、オジーは復帰した。
1978年のツアー終了後、アルコールと薬物によるオジー (Ozzy) のパフォーマンス低下と制作意欲の欠如は限界に達し、アイオミ (Iommi) はバンド存続のためにオジーを解雇する決断を下した。1979年、オジー・オズボーン (Ozzy Osbourne) はブラック・サバス (Black Sabbath)を追放された。
4. ロニー・ジェイムス・ディオ時代 (1979年-1982年): 様式美による再生
4.1 新たなる血: 『Heaven and Hell』 (1980)
オジー (Ozzy)の後任として迎えられたのは、元レインボー (Rainbow) のロニー・ジェイムス・ディオ (Ronnie James Dio) であった。ディオ (Dio)の加入は、バンドに劇的な化学変化をもたらした。オジー (Ozzy) の不気味でブルージーな歌唱とは対照的に、ディオ (Dio) のオペラティックで力強いボーカルと、ファンタジー (Fantasy) を基調とした歌詞世界は、サバス (Sabbath) のサウンドをより構築的でメロディアスなものへと変貌させた。
1980年のアルバム 『ヘヴン&ヘル (Heaven and Hell)』は、プロデューサーにマーティン・バーチ (Martin Birch) を迎え、クリアでダイナミックな音像を作り上げた。タイトル曲「Heaven and Hell」 や疾走曲 「Neon Knights」は、NWOBHM (New Wave of British Heavy Metal)の潮流とも共振し、バンドは新たなファン層を獲得して完全な復活を遂げた。
4.2 ドラマーの交代と 『Mob Rules』 (1981)
『Heaven and Hell』ツアー中、オリジナル・ドラマーのビル・ワード (Bill Ward) がアルコール依存と両親の死による精神的苦痛によりバンドを離脱した。後任として、アメリカ人ドラマーのヴィニー・アピス (Vinny Appice) が加入した。
新ラインナップで制作された1981年の『悪魔の掟 (Mob Rules)』は、前作の成功を踏襲しつつ、よりヘヴィでダークな質感を持った作品となった。「The Sign of the Southern Cross」などの楽曲は、ディオ (Dio)の表現力が遺憾なく発揮された名曲として知られる。
4.3 『Live Evil』 と分裂
このラインナップの蜜月は長くは続かなかった。1982年のライブ・アルバム『ライヴ・イーヴル (Live Evil)』のミキシング作業において、アイオミ (Iommi) / バトラー (Butler) とディオ (Dio) / アピス (Appice) の間に深刻な対立が生じた。「ディオが夜中にスタジオに忍び込み、自分のボーカル・トラックの音量を上げている」という疑心暗鬼 (後に技術的な誤解もあったとされる) が決定打となり、ディオ (Dio) とアピス (Appice) は脱退。彼らは新たにバンド「ディオ (Dio)」を結成することとなる。
5. 混迷の時代 (1983年-1986年): 回転ドアの如きメンバーチェンジ
5.1 紫の安息日: 『Born Again』 (1983)
1983年、バンドはディープ・パープル (Deep Purple) のイアン・ギラン (Ian Gillan) をボーカルに迎えるという、当時のロック界を震撼させる人事を行った。ビル・ワード (Bill Ward)も復帰し、制作された『悪魔の落とし子 (Born Again)』は、ギラン (Gillan) の金切り声 (Scream) とサバス (Sabbath) のドゥーム・サウンドが融合した異形の傑作となった。
しかし、悪魔の赤ん坊を描いたジャケット・デザインの醜悪さや、こもったような音質については賛否が分かれた。さらにツアーでは、ストーンヘンジ (Stonehenge) のセットサイズをフィートとメートルで間違えて発注してしまい、会場に入らないほどの巨大なセットが届くという珍事が発生した。これは映画『スパイナル・タップ (This Is Spinal Tap)』のネタ元になったと言われている。ツアーにはワード (Ward) が参加できず、ELOのベヴ・ベヴァン (Bev Bevan) がドラムを担当した。
5.2 アイオミの孤独な戦い: 『Seventh Star』 (1986)
ギラン (Gillan) がディープ・パープル (Deep Purple) 再結成のために脱退した後、バンドは事実上の解散状態にあった。トニー・アイオミ (Tony Iommi) は初のソロ・アルバムを制作するつもりであったが、レコード会社の圧力により「ブラック・サバス・フィーチャリング・トニー・アイオミ (Black Sabbath featuring Tony Iommi)」 名義でのリリースを余儀なくされた。
これが1986年の『セブンス・スター (Seventh Star)』である。ボーカルには元ディープ・パープル (Deep Purple) のグレン・ヒューズ (Glenn Hughes) が参加したが、内容はブルース色の強いハード・ロックであり、従来のサバス像とは異なるものであった。ヒューズ (Hughes) はツアー開始直後に喉の不調と薬物問題で解雇され、無名の新人レイ・ギラン (Ray Gillen) が急遽代役を務めた。
6. トニー・マーティン時代 (1987年-1995年): 過小評価された職人たちの時代
6.1 『The Eternal Idol』 から 『Headless Cross』へ
レイ・ギラン (Ray Gillen) の脱退後、1987年にトニー・マーティン (Tony Martin) がボーカルとして加入した。マーティン (Martin) はディオ (Dio) を彷彿とさせるパワフルなハイトーンと叙情性を持ち、アイオミ (Iommi) との相性は抜群であった。1987年の『エターナル・アイドル (The Eternal Idol)』を経て、1989年には伝説的なドラマー、コージー・パウエル (Cozy Powell) が加入し、『ヘッドレス・クロス (Headless Cross)』がリリースされた。
『Headless Cross』は、オカルト的な歌詞への回帰と、パウエル (Powell) の重厚なドラミングに支えられた様式美メタル (Epic Metal) の傑作として、特に欧州市場で高い評価を得た。続く1990年の 『ティール (Tyr)』では北欧神話をテーマにし、ドゥーム色を抑えた重厚なサウンドを展開した。
6.2 『Dehumanizer』での一時的な再会
1991年、商業的なテコ入れもあり、ロニー・ジェイムス・ディオ (Ronnie James Dio)、ギーザー・バトラー (Geezer Butler)、ヴィニー・アピス (Vinny Appice) が復帰し、『Mob Rules』のラインナップが再現された。1992年の『ディヒューマナイザー (Dehumanizer)』は、グランジ (Grunge) 全盛の時代に呼応するかのような、極めてヘヴィで冷徹なインダストリアル・メタルに近い質感を持つ作品となった。しかし、オジー (Ozzy) の引退コンサートの前座を務めることを巡ってディオ (Dio) が反発し、再結成は短命に終わった。
6.3 最後の迷走: 『Cross Purposes』 と 『Forbidden』
ディオ (Dio)の離脱後、トニー・マーティン (Tony Martin) が呼び戻され、1994年に『クロス・パーパス (Cross Purposes)』をリリース。このアルバムはバランスの取れた良作であったが、1995年の『フォービドゥン (Forbidden)』は大きな批判を浴びた。ボディ・カウント (Body Count) のアーニー・C (Ernie C) をプロデューサーに迎え、ラッパーのアイス-T (Ice-T)をゲストに起用したこの作品は、バンドの迷走を象徴するものとみなされた。このアルバムを最後に、バンドは長いスタジオ・アルバム制作の休止期間に入る。
7. オリジナル・ラインナップの帰還と終焉 (1997年-2017年)
7.1 再結成とオズフェスト
1997年、ついにオジー・オズボーン (Ozzy Osbourne) を含むオリジナル・メンバー4人による再結成が実現した。BLACK SABBATHはオズフェスト (Ozzfest) のヘッドライナーとしてツアーを行い、1998年にはライブ・アルバム 『リユニオン (Reunion)』をリリース。収録曲「Iron Man」のライブ・バージョンはグラミー賞 (Grammy Award) を受賞した。
7.2 ヘヴン・アンド・ヘル (Heaven & Hell)
2006年、ブラック・サバス (Black Sabbath) のロックの殿堂 (Rock and Roll Hall of Fame) 入りと並行して、アイオミ (Iommi) とバトラー (Butler) は再びディオ (Dio) と組み、「ヘヴン・アンド・ヘル (Heaven & Hell)」名義で活動を開始した。2009年にはアルバム『ザ・デビル・ユー・ノウ (The Devil You Know)』をリリースしたが、2010年にロニー・ジェイムス・ディオ (Ronnie James Dio) が胃癌により死去し、このプロジェクトは悲劇的な幕切れを迎えた。
7.3 『13』とザ・エンド・ツアー
2011年11月11日、オリジナル・メンバーによる完全再結成とニュー・アルバムの制作が発表された。しかし、ビル・ワード (Bill Ward) は契約上の問題により不参加となり、レコーディングにはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン (Rage Against the Machine)のブラッド・ウィルク (Brad Wilk) が参加した。
2013年、リック・ルービン (Rick Rubin) プロデュースによる『13』がリリースされ、全英・全米チャートで1位を獲得。これはバンドにとって『Paranoid』以来43年ぶりの全英1位という快挙であった。
最後のツアー「The End Tour」では、オジー (Ozzy) のソロ・バンドでも活動していたトミー・クルフェトス (Tommy Clufetos) がドラムを担当した。2017年2月4日、バンド生誕の地バーミンガム (Birmingham)での公演をもって、ブラック・サバス (Black Sabbath)はその約50年にわたる歴史に幕を下ろした。
8. ディスコグラフィ (Discography)
ブラック・サバス (Black Sabbath) の公式スタジオ・アルバム (Studio Albums) 全19作の詳細を以下にまとめる。チャート順位はイギリス (UK) およびアメリカ (US) の最高位を示す。
| 発表年 | タイトル (Title) | 邦題 | UK Chart | US Chart | ラインナップ (Lineup) | 主要収録曲・備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1970 | Black Sabbath | 黒い安息日 | 8 | 23 | Ozzy, Iommi, Butler, Ward | "Black Sabbath", "N.I.B.", "The Wizard" |
| 1970 | Paranoid | パラノイド | 1 | 12 | Ozzy, Iommi, Butler, Ward | "War Pigs", "Paranoid", "Iron Man" |
| 1971 | Master of Reality | マスター・オブ・リアリティ | 5 | 8 | Ozzy, Iommi, Butler, Ward | "Sweet Leaf", "Children of the Grave", "Into the Void" |
| 1972 | Vol. 4 | ブラック・サバス4 | 8 | 13 | Ozzy, Iommi, Butler, Ward | "Snowblind", "Supernaut", "Changes" |
| 1973 | Sabbath Bloody Sabbath | 血まみれの安息日 | 4 | 11 | Ozzy, Iommi, Butler, Ward | "Sabbath Bloody Sabbath", "Sabbra Cadabra" |
| 1975 | Sabotage | サボタージュ | 7 | 28 | Ozzy, Iommi, Butler, Ward | "Symptom of the Universe", "Hole in the Sky" |
| 1976 | Technical Ecstasy | テクニカル・エクスタシー | 13 | 51 | Ozzy, Iommi, Butler, Ward | "Dirty Women", "It's Alright" |
| 1978 | Never Say Die! | ネバー・セイ・ダイ | 12 | 69 | Ozzy, Iommi, Butler, Ward | "Never Say Die", "Junior's Eyes" |
| 1980 | Heaven and Hell | ヘヴン&ヘル | 9 | 28 | Dio, Iommi, Butler, Ward | "Heaven and Hell", "Neon Knights", "Die Young" |
| 1981 | Mob Rules | 悪魔の掟 | 12 | 29 | Dio, Iommi, Butler, Appice | "The Mob Rules", "Turn Up the Night" |
| 1983 | Born Again | 悪魔の落とし子 | 4 | 39 | Gillan, Iommi, Butler, Ward | "Trashed", "Zero the Hero", "Disturbing the Priest" |
| 1986 | Seventh Star | セブンス・スター | 27 | 78 | Hughes, Iommi, Spitz, Singer | "No Stranger to Love", "In for the Kill" |
| 1987 | The Eternal Idol | エターナル・アイドル | 66 | 168 | Martin, Iommi, Spitz, Singer | "The Shining", "Eternal Idol" |
| 1989 | Headless Cross | ヘッドレス・クロス | 31 | 115 | Martin, Iommi, Cottle, Powell | "Headless Cross", "Devil & Daughter" |
| 1990 | Tyr | ティール | 24 | - | Martin, Iommi, Murray, Powell | "Anno Mundi", "The Sabbath Stones" |
| 1992 | Dehumanizer | ディヒューマナイザー | 28 | 44 | Dio, Iommi, Butler, Appice | "TV Crimes", "Computer God" |
| 1994 | Cross Purposes | クロス・パーパス | 41 | 122 | Martin, Iommi, Butler, Rondinelli | "I Witness", "Cross of Thorns" |
| 1995 | Forbidden | フォービドゥン | 71 | - | Martin, Iommi, Murray, Powell | "Get a Grip", "Kiss of Death" |
| 2013 | 13 | 13 | 1 | 1 | Ozzy, Iommi, Butler, Wilk | "God Is Dead?", "End of the Beginning" |
主要ライブ・アルバムおよびコンピレーション (Live Albums & Compilations)
| 発表年 | タイトル (Title) | 形式 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1980 | Live at Last | Live | 1973年のライブ録音。バンドの許可なく発売された。 |
| 1982 | Live Evil | Live | ディオ時代のライブ盤。ミックスを巡る対立の原因となった。 |
| 1998 | Reunion | Live | オリジナル・メンバー再結成ライブ。新曲2曲収録。 |
| 2002 | Past Lives | Live | 『Live at Last』に1975年の音源などを追加したデラックス盤。 |
| 2007 | The Dio Years | Comp | ディオ時代のベスト盤。新曲3曲を収録(Heaven & Hell結成の契機)。 |
| 2013 | Live... Gathered in Their Masses | Live | アルバム『13』 に伴うツアーの映像・音源作品。 |
| 2017 | The End: Live in Birmingham | Live | 最終公演の模様を収めたラスト・ライブ・アルバム。 |
9. メンバーシップの変遷 (Personnel Timeline)
ブラック・サバス (Black Sabbath) の歴史において、ギタリストのトニー・アイオミ (Tony Iommi)のみが、1968年の結成から2017年の解散まで在籍し続けた唯一のメンバーである。以下に主要なメンバーの在籍期間を示す。
| メンバー名 (Member) | 担当 (Role) | 在籍期間 (Years Active) |
|---|---|---|
| Tony Iommi | Guitar | 1968-2017 |
| Ozzy Osbourne | Vocals | 1968-1977, 1978-1979, 1985, 1997-2006, 2011-2017 |
| Geezer Butler | Bass | 1968-1984, 1991-1994, 1997-2006, 2011-2017 |
| Bill Ward | Drums | 1968-1980, 1982-1983, 1984, 1994, 1997-2006, 2011 (Demo) |
| Ronnie James Dio | Vocals | 1979-1982, 1991-1992, 2006-2010 (H&H) |
| Vinny Appice | Drums | 1980-1982, 1991-1992, 1998, 2006-2010 (H&H) |
| Tony Martin | Vocals | 1987-1991, 1993-1997 |
| Geoff Nicholls | Keyboards | 1979-2004 (長年サポートメンバーとして貢献) |
| Cozy Powell | Drums | 1988-1991, 1994-1995 |
| Neil Murray | Bass | 1989-1991, 1994-1995 |
| Ian Gillan | Vocals | 1983-1984 |
| Glenn Hughes | Vocals | 1985-1986 |
| Bev Bevan | Drums | 1983-1984, 1987 |
| Tommy Clufetos | Drums | 2012-2017 (Live Member) |
| Brad Wilk | Drums | 2013 (Studio Album '13') |
10. ヘヴィ・メタルの始祖としての遺産
ブラック・サバス (Black Sabbath) の音楽的遺産は、計り知れない広がりを持っている。トニー・アイオミ (Tony Iommi) が身体的ハンディキャップを克服するために編み出した「ダウン・チューニング」と、禁忌とされた「トライトーン」の使用は、それまでのロック・ミュージックには存在しなかった「不吉さ」と「重さ」を表現言語として確立した。
BLACK SABBATHの音楽は、メタリカ (Metallica) やスレイヤー (Slayer) といったスラッシュ・メタル (Thrash Metal) バンドにスピードとアグレッションのインスピレーションを与え、ニルヴァーナ (Nirvana) やサウンドガーデン (Soundgarden) といったグランジ (Grunge) バンドには、その重苦しいグルーヴを継承させた。さらに、ドゥーム・メタル (Doom Metal) やストーナー・ロック (Stoner Rock) といったジャンルにおいては、BLACK SABBATHの初期4作は聖典そのものとして扱われている。
また、オジー・オズボーン (Ozzy Osbourne) のカリスマ性、ギーザー・バトラー (Geezer Butler)の社会的・哲学的歌詞、ビル・ワード (Bill Ward) のジャズ的アプローチ、エンドロニー・ジェイムス・ディオ (Ronnie James Dio)の様式美、トニー・マーティン (Tony Martin)の叙情性など、各時代のメンバーがもたらした多様性もバンドの長命化に寄与した。
ブラック・サバス (Black Sabbath)は、工場の騒音とホラー映画の恐怖を融合させ、世界の暗部を見つめることで、音楽史上最も永続的かつ強力なジャンルの一つを築き上げたのである。その響きは、解散後もなお、世界中のヘヴィ・メタル・ファンの心の中で鳴り止むことはない。
News
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米アナログ・マスターの1:1コピーから実時間ダビングした15ips/ハーフトラックの10.5インチ・メタルリール仕様。8月28日にRhino High FidelityからRhino.com限定で発売された。
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Troy Sanders(B/Vo)が豪ポッドキャスト「I Was Gonna Ask About That」で語った。マネジメント経由で打診したところ本人が快諾したという。MASTODONは2005年の<Ozzfest>でBLACK SABBATHと帯同し、2025年の<Back To The Beginning>にも出演している。『Marrow Deep』は8月28日発売。
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会場はRoyal Birmingham Conservatoire。スポーツ実況者Gary Newbon MBEを聞き手に、ライヴやツアー、制作の逸話を語る。
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BMGが全世界リリースを発表。全8曲すべてをJorn Landeと共作し、ボーカルも同氏が担当。今秋リリース予定。
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