THE WILDHEARTS
1989年の結成以来、THE WILDHEARTSは「ザ・ビートルズ (The Beatles) のメロディとメタリカ (Metallica) のリフの融合」と称される独自の音楽性を確立し、英国 (UK) および日本 (Japan) を中心に熱狂的な支持を集めてきた。
Biography
ザ・ワイルドハーツ (THE WILDHEARTS)
激動の歴史
1. Introduction
1989年の結成以来、THE WILDHEARTSは「ザ・ビートルズ (The Beatles) のメロディとメタリカ (Metallica) のリフの融合」と称される独自の音楽性を確立し、英国 (UK) および日本 (Japan) を中心に熱狂的な支持を集めてきた。
However, その歴史は決して平坦なものではない。度重なるメンバーチェンジ、レコード会社との闘争、薬物中毒、メンタルヘルスの問題、そして解散と再結成の繰り返しは、バンドの物語を劇的かつ痛切なものにしている。
2. バイオグラフィー: 栄光と混沌の軌跡
2.1 黎明期: 結成と初期の混乱 (1989-1992)
ザ・ワイルドハーツ (THE WILDHEARTS) の物語は、1989年、ロンドン (London) の人気バンドであったザ・クワイアボーイズ (The Quireboys) から、ギタリストであったジンジャー (Ginger)、本名デヴィッド・ウォールズ (David Walls) が解雇されたことから始まる。ザ・クワイアボーイズのローリング・ストーンズ (The Rolling Stones) 的なスタイルに対し、よりヘヴィで、かつポップな音楽性を求めていたジンジャーは、失意の中で自身のヴィジョンを具現化するためのバンド結成を決意する。
結成メンバーと初期のラインナップ変遷
ジンジャーは地元であるニューカッスル・アポン・タイン (Newcastle upon Tyne) に戻り、バンドを結成した。初期のラインナップは流動的であったが、オリジナルの構成員は以下の通りである。
- スチュアート "スネーク" ニール (Stuart "Snake" Neale) : リード・ヴォーカル
- ジンジャー (Ginger): ギター、バッキング・ヴォーカル
- ジュリアン "ジュールズ" ディーン (Julien "Joolz" Dean): ベース
- アンドリュー "スティディ" スティドルフ (Andrew "Stidi" Stidolph): ドラムス
1990年8月、プロデューサーのリック・ブロウデ (Ric Browde) を迎え、ジェイコブス・スタジオ (Jacobs Studios) にてデモ・レコーディングが行われた。この時点で既にスネークが一時的に脱退しており、代役としてダンカン・フランシス・マレット (Dunken Francis Mullett) (元モーンブレイド (Mournblade)) がヴォーカルを務めた楽曲 ("Please Baby Please"、"Unsociable Emotions" 等) も存在するが、スネークはすぐに復帰し、ダンカンを追い出した。
1990後半、バンドにとって運命的な出会いとなるギタリスト、CJ・ワイルドハート (CJ)、本名クリス・ジャグダー (Chris Jagdhar) が加入する。ロンドンのアストリア (Astoria) で行われたザ・ドッグス・ダムール (The Dogs D'Amour) のクリスマス・ショーのサポートを務めた際、CJはガンズ・アンド・ローゼズ (Guns N' Roses) のスラッシュ (Slash) を彷彿とさせる風貌とプレイで注目を集めた。ジンジャーとCJのツイン・ギターとコーラス・ワークは、後のバンド・サウンドの核となる。
1991年3月、ノッティンガム・ロック・シティ (Nottingham Rock City) でのライブ直前にスネークが完全に脱退。数多くのオーディションを経ても適任者が見つからなかったため、ジンジャー自身がリード・ヴォーカルを兼任することとなった。これにより、ソングライター兼フロントマンとしてのジンジャーの絶対的な地位が確立される。
同年半ばには、ベースのジュールズに代わり、ダニー・マコーマック (Danny McCormack) が加入。さらに10月には、ドラムのスティディに代わり、バム・ロス (Bam Ross) (元ザ・ドッグス・ダムール) が加入した。
デビューEPのリリース
1992年、THE WILDHEARTSは初のEP『モンド・アキンボ・ア・ゴー・ゴー (Mondo Akimbo a-Go-Go)』をリリースし、全英チャート86位を記録した。続いて同年11月には2枚目のEP『ドント・ビー・ハッピー... ジャスト・ウォーリー (Don't Be Happy... Just Worry)』をリリース (全英91位)。これらの作品により、彼らの「キャッチーなメロディとスラッシュ・メタルのようなリフの融合」というスタイルがシーンに認知され始めた。
2.2 黄金期の到来: 『アース・ヴァーサス・ザ・ワイルドハーツ』 (1993-1994)
1993年はバンドにとって飛躍の年となった。イースト・ウェスト・レコーズ (East West Records) と契約したTHE WILDHEARTSは、デビュー・フルアルバムの制作に着手する。
『アース・ヴァーサス・ザ・ワイルドハーツ』の衝撃
1993年8月31日にリリースされた1stアルバム『アース・ヴァーサス・ザ・ワイルドハーツ (EARTH vs THE WILDHEARTS)』は、英国ロック史に残る名盤として評価されている。本作には、"Greetings from Shitsville" (グリーティングス・フロム・シッツヴィル)、"TV Tan" (TVタン)、"Suckerpunch" (サッカーパンチ) といった代表曲が収録されている。
特筆すべきは、収録曲 "My Baby Is A Headfuck" (マイ・ベイビー・イズ・ア・ヘッドファック) におけるギター・ソロである。これは、デヴィッド・ボウイ (David Bowie) の盟友であり、ザ・スパイダース・フロム・マーズ (The Spiders from Mars) のギタリストであった故ミック・ロンソン (Mick Ronson) による最晩年の録音の一つである。ミック・ロンソンは当初プロデューサーとして検討されていたが、健康状態の悪化により断念せざるを得なかったという経緯がある。
アルバム・リリース後、ドラムのバム・ロスが脱退し、リッチ・バターズビー (Ritch Battersby) が加入。ここに、ジンジャー、CJ、ダニー、リッチという「クラシック・ラインナップ」が完成する。
ツアーでの悪名
バンドの評判はその音楽性だけでなく、破天荒な振る舞いによっても高まった。1992年末、イジー・ストラドリン (Izzy Stradlin) のツアー・サポートを務めた際、初日のノッティンガム公演後にツアーから追放されるという事件が起きた。理由は諸説あるが、イジーよりもグッズを売り上げたことや、楽屋での薬物使用疑惑、あるいはジンジャーとイジーの口論などが噂された。バンドはこの処遇に対し、イジーを「Izzy Strugglin' (イジー・ストラグリン = 苦労しているイジー)」と揶揄するフライヤーを配布して対抗した。
1994年、アルバム『アース・ヴァーサス...』は、新曲 "Caffeine Bomb" (カフェイン・ボム) を追加収録して再発された。この楽曲はBPMの極めて速いパンク・チューンであり、全英シングルチャート31位を記録するヒットとなった。
2.3 商業的成功と内紛: 『P.H.U.Q.』とファンクラブ限定盤騒動 (1995-1996)
1995年、バンドは商業的な絶頂期を迎える。
『P.H.U.Q.』の成功
5月にリリースされた2ndアルバム『P.H.U.Q.』は、全英アルバムチャートで自己最高位となる6位を記録した。タイトルの『P.H.U.Q.』は表向きには「Peace, Harmony, Unity, Quartet (平和、調和、団結、カルテット)」の略であるとされたが、発音通り卑語 (Fuck) を意味していることは明白であった。先行シングル "I Wanna Go Where the People Go" (アイ・ワナ・ゴー・ウェア・ザ・ピープル・ゴー) は全英16位、UKロックチャートでは1位を獲得し、バンドのアンセムとなった。
しかし、成功の裏でバンド内部は崩壊しつつあった。アルバムのレコーディング中にギタリストのCJが解雇されるという事態が発生したのである (後に復帰)。この時期のツアーでは、デヴィン・タウンゼンド (Devin Townsend) やマーク・ケッズ (Mark Keds) (元センスレス・シングス (Senseless Things)) が一時的にギタリストを務めた。
ケラング! 編集部襲撃事件
1995年1月、音楽誌『ケラング! (Kerrang!)』が「ダニーとジンジャーの対立によりバンド内に亀裂が生じている」という記事を掲載した。これに激怒したジンジャー、ダニー、リッチの3人は同誌の編集部に乗り込み、デスクやコンピュータ、個人の所有物を破壊し、2,000ポンド以上の損害を与えた。ダニーは後に、「事実なら構わないが、嘘を書かれたことに対する抗議だった」と語っている。
『フィッシング・フォー・ラッキーズ』問題
バンドとレコード会社イースト・ウェストとの関係も悪化の一途をたどっていた。バンドはファンへの感謝として、B面曲や未発表曲を集めたアルバム『フィッシング・フォー・ラッキーズ (Fishing for Luckies)』をファンクラブ限定で安価に販売することを企画した。しかし、これに収録された楽曲 ("Inglorious"、"Sky Babies" など) のクオリティがあまりに高かったため、イースト・ウェストはこれを正規のアルバムとしてリリースすることを決定。これに反発したバンドとレーベルの間で深刻な対立が生じた。
1996年、再発された『フィッシング・フォー・ラッキーズ』からのシングル "Sick of Drugs" (シック・オブ・ドラッグス) は全英14位というバンド史上最高のシングルチャート順位を記録した。
2.4 崩壊への序曲: 『エンドレス、ネームレス』と解散 (1997)
1997年、バンドはマッシュルーム・レコーズ (Mushroom Records) に移籍し、3rdアルバム『エンドレス、ネームレス (Endless, Nameless)』をリリースした。
ノイズと混乱の実験作
このアルバムは、従来のポップなメロディを維持しつつも、インダストリアル・ノイズや極端なディストーションを多用した実験的かつ攻撃的な作品となった。ジンジャーの精神状態の不安定さが色濃く反映されており、"Urge" (アージ) などの楽曲はファンの間でも賛否が分かれた。
この時期、ジンジャーはタイ (Thailand) でビザの日数超過により逮捕され、悪名高い「バンコク・ヒルトン」刑務所に収監されるというトラブルにも見舞われた。
1997年末、バンド内の緊張は限界に達し、ザ・ワイルドハーツは解散を宣言した。音楽誌『NME』は1998年の予測記事で、「ザ・ワイルドハーツは2日間で11回解散と再結成を繰り返すだろう」と皮肉るほど、当時のTHE WILDHEARTSの状況は混沌としていた。
2.5 荒野の時代とサイドプロジェクト (1998-2000)
解散中、メンバーはそれぞれのプロジェクトで活動を続けた。
- シルヴァー・ジンジャー・5 (Silver Ginger 5): ジンジャーによるプロジェクト。2000年にアルバム『ブラック・レザー・モジョ (Black Leather Mojo)』をリリース。より洗練されたハードロック・サウンドを展開した。
- スーパーシット 666 (Super$hit 666): ジンジャー、ドレゲン (Dregen) (バックヤード・ベイビーズ)、ニッケ・アンダーソン (Nicke Andersson) (ザ・ヘラコプターズ) によるスーパーグループ。1999年にEPをリリース。
- クラム・アビューズ (Clam Abuse): ジンジャーとアレックス・ケイン (Alex Kane) によるユニット。
- ザ・ヨーヨーズ (The Yo-Yo's): ダニー・マコーマックが結成したパンク・ロック・バンド。評価は高かったが、ダニーの薬物問題により短命に終わった。
2.6 再結成と復活: 『マスト・ビー・デストロイド』 (2001-2005)
ファファンへの根強い待望論に応え、2001年にバンドは再結成する。当初はツアーのみの予定であったが、その化学反応は新たな創作活動へとつながった。
2003年、アルバム『ザ・ワイルドハーツ・マスト・ビー・デストロイド (THE WILDHEARTS Must Be Destroyed)』をリリース。前作のノイズ路線から一転し、"Vanilla Radio" (ヴァニラ・ラジオ) や "Top of the World" (トップ・オブ・ザ・ワールド) に見られるような、短くキャッチーなパワー・ポップ・ソング満載の作品となった。
この時期、ザ・ダークネス (The Darkness) の全米ツアーのサポートを務めたが、ダニー・マコーマックのヘロイン中毒が再発。彼はバンドを離脱せざるを得なくなり、代役としてジョン・プール (Jon Poole) (元ザ・カーディアックス (The Cardiacs)) が加入した。
2.7 『フツパー!』とスコット・ソーリーの時代 (2006-2009)
2006年、新たなベーシストとしてスコット・ソーリー (Scott Sorry) (元エイメン (Amen)) が加入。彼のパンク・ルーツと強力なコーラスはバンドに新たなエネルギーを注入した。このラインナップ (ジンジャー、CJ、スコット、リッチ) で、2007年にセルフタイトル・アルバム『ザ・ワイルドハーツ (THE WILDHEARTS)』、2009年に『フツパー! (¡Chutzpah!)』をリリースした。
しかし、2009年以降、バンドは再び活動休止状態となる。スコットは家族との時間を優先するために脱退し (長男の自閉症のケアのため)、ジンジャーはソロ活動に専念した。
2.8 ルネサンス: クラシック・ラインナップの帰還 (2018-2021)
2018年、バンド結成30周年を前に、ジンジャー、CJ、ダニー、リッチの「クラシック・ラインナップ」が奇跡的に再集結した。2019年には10年ぶりのスタジオ・アルバム『ルネッサンス・メン (Renaissance Men)』をリリース。全英11位という高セールスを記録し、批評家からも絶賛された。
続いて2021年には『21stセンチュリー・ラヴ・ソングス (21st Century Love Songs)』をリリース (全英9位)。バンドは第二の全盛期を迎えたかに見えた。
2.9 再びの分裂と再生、そして別れ (2022-2025)
2022年、バンドは「継続的な問題」を理由に活動休止を発表し、事実上の解散状態となった。ジンジャーは深刻なメンタルヘルスの危機に直面しており、自殺未遂や精神科病棟への入院を経験したことを公表した。
2024年、ジンジャーは新たなラインナップでザ・ワイルドハーツを再始動させる。メンバーは復帰したジョン・プール (Bass)、新加入のベン・マースデン (Ben Marsden) (Guitar)、そしてポンタス・スニップ (Pontus Snibb) (Drums) (後にチャールズ・エヴァンス (Charles Evans) に交代) であった。
2025年3月7日、新体制によるアルバム『サタニック・ライツ・オブ・ザ・ワイルドハーツ (Satanic Rites of THE WILDHEARTS)』をリリース。ジンジャーはこれを「ハードロックを愛する人々のためのハードロック・アルバム」と評した。
しかしその同年、悲劇がバンドを襲う。2025年10月30日、かつてのベーシストでありファンに愛されたスコット・ソーリーが、脳腫瘍 (膠芽腫) との闘病の末、47歳の若さで死去した。
3. 日本との特別な絆
ザ・ワイルドハーツと日本の関係は、単なるビジネス以上のものである。本国英国でメディアから冷遇された時期であっても、日本のファンは常にTHE WILDHEARTSをロックスターとして迎え入れた。
3.1 日本限定リリース
THE WILDHEARTSのディスコグラフィーには、日本市場向けに特別に企画された作品が多数存在する。
- 『トーキョー・スーツ・ミー (Tokyo Suits Me)』 (1999): 赤坂BLITZでの公演を収録したライブ・アルバム。日本独自企画盤。
- 『ムードスウィングス・アンド・ラウンドアバウツ (Moodswings and Roundabouts)』 (1998): B面曲やレアトラックを網網羅した4枚組ボックスセット。イースト・ウェスト・ジャパンからリリースされた。
- 『リフ・アフター・リフ・アフター・マザーファッキング・リフ (Riff After Riff After Motherfucking Riff)』 (2002): ミニアルバム。後に米国で曲を追加してリリースされたが、オリジナルは日本企画である。
- ボーナス・トラック: ほぼ全てのスタジオ・アルバムにおいて、日本盤には独自のボーナス・トラックが収録されている。例えば『21stセンチュリー・ラヴ・ソングス』には、スティッフ・リトル・フィンガーズ (Stiff Little Fingers) のカバー "Listen" などが追加されている。
3.2 ツアーの歴史とエピソード
- 1996年: 2度目の来日ツアー (大阪、札幌などを含む)。英国での資金難によるツアー中止の直後であり、解散の噂が絶えない中での敢行であった。
- 1997年: 3度目の来日ツアー (東京・赤坂BLITZ、大阪・クラブクアトロなど)。
- 2011年: 東日本大震災の直後、多くの海外アーティストが来日をキャンセルする中、ジンジャーはいち早く来日しチャリティー・ライブを行った。彼はインタビューで「日本は故郷のように感じる。文化や人々の謙虚さを愛している」と語っている。
4. ディスコグラフィー (Discography)
以下にザ・ワイルドハーツの主要作品を詳述する。THE WILDHEARTSはアルバム未収録のB面曲 (カップリング曲) の質の高さでも知られており、それらを含めると膨大な楽曲数となる。
4.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)
| 発売年 | タイトル (邦題/原題) | レーベル | 全英最高位 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1993 | アース・ヴァーサス・ザ・ワイルドハーツ (EARTH vs THE WILDHEARTS) |
East West | 49位 | デビュー作。"TV Tan"、"Suckerpunch" 収録。94年再発盤には "Caffeine Bomb" 追加。 |
| 1995 | P.H.U.Q. (P.H.U.Q.) |
East West | 6位 | 最大のヒット作。"I Wanna Go Where the People Go" 収録。 |
| 1995 | フィッシング・フォー・ラッキーズ (Fishing for Luckies) |
East West | 25位 | 元はファンクラブ限定盤。後に正規リリースされ論争に。 |
| 1997 | エンドレス、ネームレス (Endless, Nameless) |
Mushroom | 41位 | ノイズ/インダストリアル路線。"Anthem" 収録。 |
| 2003 | ザ・ワイルドハーツ・マスト・ビー・デストロイド (THE WILDHEARTS Must Be Destroyed) |
Gut | 54位 | 再結成アルバム。ポップ路線への回帰。 |
| 2007 | ザ・ワイルドハーツ (THE WILDHEARTS) |
Round | 55位 | スコット・ソーリー加入第一弾。 |
| 2008 | ストップ・アス・イフ・ユーヴ・ハード・ディス・ワン・ビフォア Vol.1 (Stop Us If You've Heard This One Before, Vol 1.) |
Round | - | カバー・アルバム (ザ・ディスティラーズ、フガジ等)。 |
| 2009 | フツパー! (¡Chutzpah!) |
Backstage Alliance | 53位 | 多彩なジャンルを融合。"The Jackson Whites" 収録。 |
| 2019 | ルネッサンス・メン (Renaissance Men) |
Graphite | 11位 | クラシック・ラインナップによる10年ぶりの新作。 |
| 2021 | 21stセンチュリー・ラヴ・ソングス (21st Century Love Songs) |
Graphite | 9位 | 再びトップ10入りを果たした意欲作。 |
| 2025 | サタニック・ライツ・オブ・ザ・ワイルドハーツ (Satanic Rites of THE WILDHEARTS) |
Snakefarm | 29位 | 新体制による最新作。 |
4.2 主要シングル (Key Singles)
チャート順位は全英シングルチャート (UK Singles Chart) に基づく。
- 1993: "Greetings from Shitsville" (81位), "TV Tan" (53位)
- 1994: "Caffeine Bomb" (31位), "Suckerpunch" (38位)
- 1995: "If Life Is Like a Lovebank I Want an Overdraft" (31位), "I Wanna Go Where the People Go" (16位), "Just in Lust" (28位)
- 1996: "Sick of Drugs" (14位), "Red Light - Green Light" (30位)
- 1997: "Anthem" (21位), "Urge" (26位)
- 2003: "Vanilla Radio" (26位), "Stormy in the North, Karma in the South" (17位)
4.3 ライブ・アルバム & コンピレーション (Live Albums & Compilations)
- 『ザ・ベスト・オブ・ザ・ワイルドハーツ (The Best of THE WILDHEARTS)』 (1996): バンドの意向を無視してリリースされたベスト盤。
- 『アンセム: ザ・シングル・トラックス (Anthem: The Single Tracks)』 (1998): 日本限定のシングル集。
- 『カップルド・ウィズ (Coupled With)』 (2004): 『Must Be Destroyed』期のB面集。アルバム並みの評価を得ている。
- 『ロック・シティ・ヴァーサス・ザ・ワイルドハーツ (Rock City vs THE WILDHEARTS)』 (2014): 聖地ノッティンガム・ロック・シティでのライブ盤。
- 『30イヤー・イッチ (30 Year Itch)』 (2020): 30周年記念ライブ・アルバム。
4.4 ミュージック・ビデオ (Music Videos)
THE WILDHEARTSのビデオはユーモラスかつ低予算なものが多いことで知られる。
- "Red Light - Green Light": 電球が赤と緑に点滅するだけという、「メジャーレーベル史上最も安上がりなビデオ」と言われる。
- "If Life Is Like a Lovebank...": オリジナル版は過激すぎると判断され (自慰行為を想起させるシーンなど)、検閲版が放送された。
5. メンバー・プロフィール
現在のメンバー (Current Members) ※2026年時点
- ジンジャー・ワイルドハート (Ginger Wildheart)
担当: ヴォーカル、ギター
在籍: 1989-現在
人物: バンドの創設者であり絶対的なリーダー。天才的なメロディセンスを持つ一方で、躁鬱や自殺衝動といったメンタルヘルスの問題と公然と闘ってきた。ソロ活動も多作で、ファン参加型のクラウドファンディング (PledgeMusic) の先駆者としても知られる。 - "ランダム" ジョン・プール ("Random" Jon Poole)
担当: ベース、ヴォーカル
在籍: 2003-2005, 2012-2013, 2024-現在
人物: 元ザ・カーディアックスのメンバー。超絶技巧とコミカルなステージングで知られる。ダニー脱退後の穴を埋め、ジンジャーのソロ活動でも右腕として活躍。 - ベン・マースデン (Ben Marsden)
担当: ギター
在籍: 2024-現在
人物: ザ・メイン・グレインズ (The Main Grains) やザ・スパングルス (The Spangles) での活動を経て加入。CJの後任としてギター・パートを担う。 - チャールズ・エヴァンス (Charles Evans)
担当: ドラムス
在籍: 2025-現在
人物: アルバム『サタニック・ライツ』後のツアー・メンバーとして定着。
主要な元メンバー (Key Former Members)
- CJ・ワイルドハート (CJ Wildheart)
担当: ギター、ヴォーカル
在籍: 1991-1994, 2001-2022
人物: ジンジャーの長年の相棒。彼とジンジャーの声の重なりこそが「ワイルドハーツ・サウンド」の要であった。自身のバンドザ・ジェリーズ (The Jellys) やソロ活動も展開。 - ダニー・マコーマック (Danny McCormack)
担当: ベース、ヴォーカル
在籍: 1991-1997, 2001-2003, 2018-2022
人物: パンク精神を体現する存在であったが、重度のヘロイン中毒によりバンド活動に度々支障をきたした。2023年に自伝を出版。 - リッチ・バターズビー (Ritch Battersby)
担当: ドラムス
在籍: 1993-1997, 2005-2022
人物: クラシック・ラインナップのドラマー。パワフルかつタイトなドラミングでバンドの屋台骨を支えた。グランド・セフト・オーディオ (Grand Theft Audio) でも活動。 - スコット・ソーリー (Scott Sorry)
担当: ベース、ヴォーカル
在籍: 2006-2012, 2013-2015
人物: 米国出身。中期のバンドに安定とアグレッションをもたらした。2025年に脳腫瘍で逝去。 - アンドリュー "スティディ" スティドルフ (Andrew "Stidi" Stidolph)
担当: ドラムス
人物: オリジナル・ドラマー。『Must Be Destroyed』期に復帰。
その他の関係者
- デヴィン・タウンゼンド (Devin Townsend): 1994年、CJ解雇後のツアーでギターを担当。後に自身のプロジェクト (ストラッピング・ヤング・ラッド等) で大成する。
- ジェフ・ストリートフィールド (Jef Streatfield): 『エンドレス、ネームレス』期のギタリスト。
6. 不屈のロックンロール・レガシー
ザ・ワイルドハーツの歴史は、「サバイバル (生存)」の歴史である。THE WILDHEARTSは音楽業界のあらゆる不条理、自身の内なる悪魔、 Richmond そして時代の変化に翻弄されながらも、そのたびに不死鳥のように蘇ってきた。
THE WILDHEARTSの音楽的功績は、極端なヘヴィネスと極上のポップ・メロディが決して矛盾しないことを証明した点にある。そのスタイルはザ・ダークネス (The Darkness) やテラーヴィジョン (Terrorvision) といった後続のバンドに多大な影響を与えた。何より、35年以上にわたり、英国と日本のファンを熱狂させ、人生のサウンドトラックであり続けた事実は、THE WILDHEARTSが単なるカルトバンド以上の存在であることを物語っている。
2025年の最新作『サタニック・ライツ・オブ・ザ・ワイルドハーツ』とスコット・ソーリーの死を経て、バンドはまた新たな、そしておそらく最後になるかもしれない章へと足を踏み入れている。その物語がどのような結末を迎えるにせよ、ザ・ワイルドハーツの名がロック史から消えることはないだろう。
News
THE WILDHEARTS、Gingerが未発売『Northern Spirit』の次作をすでに書き上げたと明かす
最新作がまだリリース前の段階での発言。
Albums
荒々しいギターとひねりのあるメロディで、THE WILDHEARTSがロックンロールの破壊力を凝縮した一作。