LABYRINTH

1990年代初頭、ヘヴィメタル (Heavy Metal) の歴史において、イタリアは未だ辺境の地と見なされていた。しかし、トスカーナ州 (Tuscany) マッサ (Massa) という小さな街から出現した一つのバンドが、その地図を永遠に書き換えることとなる。

Biography

イタリアン・パワー・メタルの至宝
LABYRINTH (ラビリンス) バイオグラフィ、音楽的変遷

1. メロディック・スピード・メタルの建築家たち

1990年代初頭、ヘヴィメタル (Heavy Metal) の歴史において、イタリアは未だ辺境の地と見なされていた。しかし、トスカーナ州 (Tuscany) マッサ (Massa) という小さな街から出現した一つのバンドが、その地図を永遠に書き換えることとなる。そのバンドこそが LABYRINTH (ラビリンス) である。LABYRINTHは、同郷の Rhapsody (ラプソディー、現 Rhapsody of Fire) と共に「イタリアン・パワー・メタル (Italian Power Metal)」というサブジャンルを確立し、ジャーマン・メタル (German Metal) の骨格に、地中海的な哀愁を帯びたメロディと、ユーロビート (Eurobeat) やテクノ (Techno) の影響すら感じさせる煌びやかなシンセサイザーワークを融合させた独自のスタイルを築き上げた。

2. 伝記的歷史 (Biography): 迷宮の軌跡

LABYRINTHの歴史は、常にラインナップの変動と音楽性の探求の歴史でもあった。LABYRINTHのキャリアは、純粋なスピード・メタル (Speed Metal) の追求から始まり、プログレッシブ (Progressive) な実験期を経て、原点回帰と現代的な洗練を融合させる現在へと至る。

2.1 黎明期: VisionからMorbid Vision、そしてLABYRINTHへ (1991-1993)

LABYRINTHの母体となったのは、1991年に結成された Vision (ヴィジョン) というバンドであった。当時、イタリアのメタルシーンはまだ地下深く潜伏しており、スラッシュ・メタル (Thrash Metal) やデスメタル (Death Metal) がアンダーグラウンドを支配していた。

創設メンバーであるギタリストの Olaf Thorsen (オラフ・トールセン / 本名: Carlo Andrea Magnani) と Anders Rain (アンダース・レイン/本名: Andrea Cantarelli) は、よりメロディックなサウンドを志向していた。バンド名は一時 Morbid Vision (モービッド・ヴィジョン) へと変更されたが、これはブラジルの Sepultura (セパルトゥラ) の初期作品とは無関係であり、単なる偶然の一致である。

1994年、彼らはバンド名を LABYRINTH (ラビリンス) に改名し、本格的な活動を開始する。初期のメンバーは、当時のメタルシーンの慣例に従い、国際的なアピールを狙って英語風のステージネームを使用していた。

【表1: 1994年結成時のオリジナル・ラインナップ】
ステージネーム (Stage Name) 本名 (Real Name) 担当パート (Role) 備考 (Notes)
Joe Terry (ジョー・テリー) Fabio Tordiglione (Fabio Lione) Vocals 後の Rhapsody of Fireのボーカリスト。Angra等にもゲスト参加
Olaf Thorsen (オラフ・トールセン) Carlo Andrea Magnani Lead Guitar 後の Vision Divine リーダー
Anders Rain (アンダース・レイン) Andrea Cantarelli Lead Guitar 唯一のオリジナル在籍メンバー
Frank Andiver (フランク・アンディヴァー) Franco Rubulotta Drums バンドの創設者の一人
Ken Taylor (ケン・テイラー) Luca Contini Keyboards 初期の作曲に貢献
Andrea Bartoletti (アンドレア・バルトレッティ) Andrea Bartoletti Bass デモ時代のみ在籍

2.2 デビューと 『No Limits』の衝撃 (1994-1996)

LABYRINTHが1994年にリリースしたデモテープ 『Midnight Resistance』は、イタリア国内およびドイツのメタル専門誌で絶賛された。これにより、新興インディーズレーベルであった Underground Symphony (アンダーグラウンド・シンフォニー) との契約を獲得する。

この直後、ベーシストの Andrea Bartoletti が脱退し、後任として Chris Breeze (クリス・ブリーズ/本名: Cristiano Bertocchi) が加入した。1995年のEP 『Piece of Time』を経て、1996年にリリースされた1stフルアルバム 『No Limits』 (ノー・リミッツ) は、シーンに衝撃を与えた。

『No Limits』の音楽的特徴:

  • 高速ビート: ジャーマン・メタルの影響を受けた疾走感。
  • キーボードの多用: 当時のメタルでは異端であった、テクノやユーロビート (Eurobeat) を彷彿とさせる煌びやかなシンセサイザー・サウンド。
  • ハイトーン・ボーカル: Joe Terry (Fabio Lione) のオペラティックな歌唱。

特に日本では、Teichiku Records (テイチク)からリリースされ、専門誌『Burrn!』 (バーン!) の輸入盤チャートで半年近くトップ10にランクインするなど、熱狂的に迎えられた。

2.3 メンバーの大量離脱と新生LABYRINTH (1997)

『No Limits』の成功にもかかわらず、バンドは大きな転換期を迎える。ボーカリストの Joe Terry (Fabio Lione) が脱退し、彼は後に Rhapsody (ラプソディー) で世界的名声を得ることになる。さらに、リズム隊の中核であったドラムの Frank Andiver とキーボードの Ken Taylor も脱退した。

しかし、残されたギターチーム (Thorsen と Cantarelli) はバンドを解散させることなく、新たな才能を発掘する。ここで加入した3人のメンバーが、後の「黄金期」を支えることとなる。

【表2: 1997年の新加入メンバー】
ステージネーム (Stage Name) 本名 (Real Name) 担当パート (Role) 特徴
Rob Tyrant (ロブ・タイラント) Roberto Tiranti Vocals ユーロビート歌手 Powerful Tとしても活動。圧倒的な声域を持つ。
Mat Stancioiu (マット・スタンチョウ) Mattia Stancioiu Drums テクニカルかつパワフルなドラミング。
Andrew McPauls (アンドリュー・マクポールズ) Andrea De Paoli Keyboards クラシックとモダンの融合した鍵盤ワーク。

2.4 『Return to Heaven Denied』 と黄金時代 (1998-1999)

新体制となったLABYRINTHは、米国の名門 Metal Blade Records (メタル・ブレイド) と契約。1998年にリリースされた2ndアルバム 『Return to Heaven Denied』 (リターン・トゥ・ヘヴン・ディナイド) は、LABYRINTHの最高傑作 (Masterpiece) としてだけでなく、イタリアン・メタルの金字塔として歴史に刻まれた。

このアルバムは、前作の若々しい疾走感に加え、洗練された哀愁、緻密な楽曲構成、そして Rob Tyrant (Roberto Tiranti) のエモーショナルな歌唱が完璧に融合していた。「Moonlight」や「Lady Lost in Time」といった楽曲は、メロディック・スピード・メタルの教科書的存在となり、日本市場でも爆発的なセールスを記録した。

特記事項: この時期、Roberto Tirantiは一時的にバンドを離脱し、その間、イタリアの正統派メタルバンド Domine (ドミネ) のボーカリストである Morby (モルビィ) が代役としてヨーロッパツアー (HammerFall、Primal Fearのサポート) に参加した。しかし、Tirantiは数ヶ月後に復帰している。

2.5 『Sons of Thunder』 と内部亀裂 (2000-2001)

2000年(日本先行発売)、3rdアルバム 『Sons of Thunder』 (サンズ・オブ・サンダー) がリリースされた。フランス国王ルイ14世 (Louis XIV) と架空の女性キャサリン (Kathryn) の悲恋を描いたコンセプト・アルバムであり、音楽的には前作以上に「速さ」と「攻撃性」が強調された作品となった。

しかし、この時期からバンド内部、特にリーダー格であった Olaf Thorsen と他のメンバーとの間に音楽的・個人的な方向性の違いが生じ始めていた。

2.6 オラフ・トールセンの脱退と分裂 (2002)

2002年、LABYRINTHは最大の危機を迎える。創設メンバーでありメインソングライターの一人であった Olaf Thorsen がバンドを脱退したのである。彼は自身の別プロジェクトであった Vision Divine (ヴィジョン・ディヴァイン) に専念することを選択した。

興味深いことに、当時 Vision Divine のメンバーでもあった Mat Stancioiu (Dr) と Andrew McPauls (Key) は、逆に Vision Divine を脱退し、LABYRINTHに残留することを選んだ。これにより、兄弟バンドであった2つのグループは、完全に別の道を歩むこととなった。

2.7 実験と模索の時代: 『Labyrinth』 『Freeman』 『6 Days to Nowhere』 (2003-2008)

Thorsenを失ったバンドは、残されたもう一人のギタリスト Andrea Cantarelli (Anders Rain) を中心に再編された。彼らはこの時期、ステージネームを捨て、本名 (Roberto Tiranti, Andrea Cantarelli等) で活動することを宣言した。

  1. 『Labyrinth』 (2003): 4thアルバム。Thorsen不在の影響か、従来の疾走感は影を潜め、よりグルーヴ重視でダークなサウンドへと変化した。新たなギタリストとして Pier Gonella (ピエール・ゴネーラ) がツアーメンバーから正式メンバーへと昇格した。
  2. 『Freeman』 (2005): 5thアルバム。バンド史上最も実験的な作品。プログレッシブ・ロックやジャズの要素を取り入れ、複雑なリズムアプローチを展開した。批評家からはその音楽的高さを評価されたが、初期のスピード・メタルを求めるファンからは賛否両論を呼んだ。
  3. 『6 Days to Nowhere』 (2007): 6thアルバム。長年ベーシストを務めた Cristiano Bertocchi が脱退し、ボーカルの Roberto Tiranti がベースを兼任するという変則的な編成で制作された。The Beatles のカバーなどを収録し、モダンなロックサウンドへの接近を見せた。

2.8 奇跡の帰還と原点回帰: 『Return to Heaven Denied Pt. II』 (2009-2010)

2009年、ファンの長年の夢が現実となる。Olaf Thorsen がLABYRINTHに電撃復帰したのである。同時に、バンドは名盤『Return to Heaven Denied』の正統な続編を制作することを発表した。

2010年にリリースされた 『Return to Heaven Denied Pt. II: "A Midnight Autumn's Dream"』 (リターン・トゥ・ヘヴン・ディナイド・パート2) は、文字通り1998年のサウンドを取り戻した作品となった。ThorsenとCantarelliのツインギターが復活し、Roberto Tiranti のハイトーンも全盛期の輝きを取り戻した。

新メンバーとして、ベースにベテランの Sergio Pagnacco (セルジオ・パニャッコ/ex-Vanexa)、ドラムに Alessandro Bissa (アレッサンドロ・ビッサ / ex-Vision Divine) が加入していた。

2.9 沈黙と再編成: フロンティアーズによる再生 (2011-2016)

『Pt. II』の成功後、バンドは再び活動停滞期に入る。2014年には Roberto Tiranti がソロ活動専念のために脱退を発表。後任として Mark Boals (マーク・ボールズ / ex-Yngwie Malmsteen) の加入がアナウンスされたが、実際の活動には至らなかった。

事態が動いたのは2016年である。イタリアのレコードレーベル Frontiers Music Srl (フロンティアーズ・ミュージック) が、ThorsenとCantarelliに対し、「Roberto Tirantiを復帰させ、クラシックなLABYRINTHサウンドのアルバムを作るなら支援する」と持ちかけたのである。この呼びかけに応じ、中核メンバー3人が再結集。新たに以下の技巧派メンバーを迎え入れた。

  • John Macaluso (ジョン・マカルーソ) - Drums (ex-Ark, TNT, Yngwie Malmsteen)
  • Oleg Smirnoff (オレグ・スミルノフ) - Keyboards (ex-Eldritch, Death SS, Vision Divine)
  • Nik Mazzucconi (ニック・マッツコーニ) - Bass

2.10 現代のLABYRINTH: 『Architecture of a God』 から 『In the Vanishing Echoes of Goodbye』 (2017-2025)

新生LABYRINTHは、2017年に『Architecture of a God』 (アーキテクチャー・オブ・ア・ゴッド) をリリース。往年のスピードと、中期のプログレッシブな要素が高い次元で融合した「大人のパワー・メタル」を提示した。

その後、ドラムが John Macaluso から、より若くテクニカルな Matt Peruzzi (マット・ペルッツィ / Vision Divine) に交代。2021年には社会風刺的なテーマを含んだ 『Welcome to the Absurd Circus』 (ウェルカム・トゥ・ジ・アブサード・サーカス) を発表。

そして2025年1月、最新作『In the Vanishing Echoes of Goodbye』 (イン・ザ・ヴァニシング・エコーズ・オヴ・グッバイ) がリリースされた。バンド自身が「これまでで最もヘヴィで速く、怒りに満ちたアルバム」と評する通り、スラッシュ・メタルに近いアグレッシブなリフと、LABYRINTH特有の哀愁メロディが融合した強力な作品となっている。

3. ディスコグラフィ (Discography)

LABYRINTHの作品群は、メンバー構成と音楽性の変遷により、いくつかの時期に分類できる。以下に、主要なスタジオ・アルバムの詳細を記述する。

3.1 第1期: 初期スピード・メタル期 (Early Speed Metal Era)

1st Album: No Limits (ノー・リミッツ)
  • 発売年: 1996年
  • レーベル: Underground Symphony (Italy), Teichiku (Japan)
  • 主要メンバー: Joe Terry (Vo), Olaf Thorsen (Gt), Anders Rain (Gt), Ken Taylor (Key), Frank Andiver (Dr)
  • 解説: イタリアン・メタルの夜明けを告げた作品。Helloween (ハロウィン) 直系のスピード・メタルに、イタロ・ディスコ (Italo Disco) やテクノの影響を感じさせるキーボードサウンドを導入した点が革新的であった。
  • 代表曲: "Piece of Time", "Midnight Resistance"

3.2 第2期: 黄金期 (The Golden Era)

2nd Album: Return to Heaven Denied (リターン・トゥ・ヘヴン・ディナイド)
  • 発売年: 1998年
  • レーベル: Metal Blade, Victor/Avalon (Japan)
  • 主要メンバー: Rob Tyrant (Vo), Olaf Thorsen (Gt), Anders Rain (Gt), Andrew McPauls (Key), Mat Stancioiu (Dr)
  • 解説: メロディック・スピード・メタルの金字塔。透明感のあるプロダクション、Roberto Tirantiの伸びやかなハイトーン、そして泣きのメロディが完璧なバランスで共存している。日本盤にはボーナストラックとして「Falling Rain」のアコースティック版などが収録されることが多い。
トラックリスト:
  1. Moonlight (ムーンライト) - 5:43
  2. New Horizons (ニュー・ホライズンズ) - 6:22
  3. The Night of Dreams (ザ・ナイト・オブ・ドリームス) - 4:47
  4. Lady Lost in Time (レディ・ロスト・イン・タイム) - 5:32
  5. State of Grace (ステート・オブ・グレース) - 3:08
  6. Heaven Denied (ヘヴン・ディナイド) - 4:57
  7. Thunder (サンダー) - 4:21
  8. Feel (フィール) - 4:22
  9. Time After Time (タイム・アフター・タイム) - 5:07
  10. Falling Rain (フォーリング・レイン) - 6:26
  11. Die for Freedom (ダイ・フォー・フリーダム) - 7:02
3rd Album: Sons of Thunder (サンズ・オブ・サンダー)
  • 発売年: 2000年(Japan), 2001年(Europe)
  • レーベル: Metal Blade, King Records (Japan)
  • 解説: 前作よりもBPMを上げ、よりアグレッシブになった作品。イタリアのポップバンド Matia Bazar (マティア・バザール) の名曲「Ti Sento」を英詞カバーした「I Feel You」が収録されており、LABYRINTHのポップスへの造詣の深さが窺える。アルバム全体がルイ14世を巡るコンセプト・アルバムとなっている。

3.3 第3期: 実験と深化の時代 (Experimental Era)

4th Album: Labyrinth (ラビリンス)
  • 発売年: 2003年
  • レーベル: Century Media, King Records (Japan)
  • 解説: Olaf Thorsen脱退後初のアルバム。疾走曲は減り、ミドルテンポのグルーヴとダークな雰囲気が支配的となった。「Just Soldier (Stay Down)」などに見られるモダンなヘヴィネスは、当時のファンの間で賛否が分かれた。
5th Album: Freeman (フリーマン)
  • 発売年: 2005年
  • レーベル: Arise Records, King Records (Japan)
  • 解説: バンド史上最もプログレッシブな作品。変拍子やジャズ的なアプローチを取り入れ、Roberto Tirantiのボーカル表現も多様化した。「L.Y.A.F.H.」や「Dive In Open Water」など、演奏技術の高さが際立つ。
6th Album: 6 Days to Nowhere (シックス・デイズ・トゥ・ノーホエア)
  • 発売年: 2007年
  • レーベル: Scarlet Records, King Records (Japan)
  • 解説: メロディック・ロックへの接近が見られる作品。The Beatles (ビートルズ) の「Come Together」のカバーを収録。マスタリングはアビー・ロード・スタジオで行われた。

3.4 第4期: 再結成と現代 (Reunion & Modern Era)

7th Album: Return to Heaven Denied Pt. II: "A Midnight Autumn's Dream" (リターン・トゥ・ヘヴン・ディナイド・パート2)
  • 発売年: 2010年
  • レーベル: Scarlet Records, King Records (Japan)
  • 解説: Olaf Thorsen復帰作。意図的に1998年のサウンドスタイルを踏襲し、往年のファンを歓喜させた。「A Chance」などの楽曲は、まさに黄金期のLABYRINTHそのものであった。
8th Album: Architecture of a God (アーキテクチャー・オブ・ア・ゴッド)
  • 発売年: 2017年
  • レーベル: Frontiers Music Srl, King Records (Japan)
  • 解説: 7年の沈黙を破ってリリースされた作品。DGMのギタリストでもある Simone Mularoni (シモーネ・ムラローニ) がミキシングを担当し、現代的な音圧とクリアさを獲得した。
9th Album: Welcome to the Absurd Circus (ウェルカム・トゥ・ジ・アブサード・サーカス)
  • 発売年: 2021年
  • レーベル: Frontiers Music Srl, King Records (Japan)
  • 解説: パンデミックや社会の混乱をテーマにした作品。Ultravox (ウルトラヴォックス) の「Dancing with Tears in My Eyes」をカバーし、原曲の哀愁をメタルサウンドで増幅させている。
10th Album: In the Vanishing Echoes of Goodbye (イン・ザ・ヴァニシング・エコーズ・オヴ・グッバイ)
  • 発売年: 2025年1月24日
  • レーベル: Frontiers Music Srl, Avalon (Japan)
  • 解説: 最新作。バンドのコメントによれば「最もヘヴィで速い」作品。オープニングの「Welcome Twilight」からエピックなコーラスと疾走感が裂する。日本盤(Avalon レーベル、カタログ番号 MICP-11922) にはボーナストラックとして「The Healing (Acoustic Version)」等が収録される。
トラックリスト:
  1. Welcome Twilight (ウェルカム・トワイライト) - 5:45
  2. Accept The Changes (アクセプト・ザ・チェンジズ) - 7:23
  3. Out Of Place (アウト・オブ・プレイス) - 5:02
  4. At The Rainbow's End (アット・ザ・レインボウズ・エンド) - 5:10
  5. The Right Side Of This World (ザ・ライト・サイド・オヴ・ディス・ワールド) - 4:31
  6. The Healing (ザ・ヒーリング) - 6:41
  7. Heading For Nowhere (ヘディング・フォー・ノーホエア) - 4:47
  8. Mass Distraction (マス・ディストラクション) - 4:38
  9. To The Son I Never Had (トゥ・ザ・サン・アイ・ネヴァー・ハッド) - 6:02
  10. Inhuman Race (インヒューマン・レース) - 7:41

3.5 その他の作品 (Others)

  • Midnight Resistance (Demo, 1994)
  • Piece of Time (EP, 1995)
  • Timeless Crime (EP, 1999): 未発表曲やカバーを含むミニアルバム。
  • Return to Live (Live Album, 2018): 2016年にイタリア・トレッツォで開催されたFrontiers Metal Festivalでのライブを収録。『Return to Heaven Denied』の完全再現ライブである。

4. メンバー詳細プロフィール (Members Profile)

LABYRINTHのサウンドを形成する主要メンバーについて詳述する。彼らの多くは、他の著名なイタリアン・メタルバンドとも深く関わっている。

4.1 現行メンバー (Current Members 2025)

  • Roberto Tiranti (ロベルト・ティランティ)
    • 担当: Vocals
    • 別名: Rob Tyrant (ロブ・タイラント)
    • 在籍: 1997-2014, 2016-Present
    • 解説: イタリア随一の実力派ボーカリスト。4オクターブ近い声域と、感情表現豊かな歌唱が特徴。メタル以外にも、Powerful T名義でユーロビート歌手として活動し、「Over the Rainbow」などのヒット曲を持つ。ミュージカル俳優としても活動歴がある。ベースプレイヤーとしての腕前もプロ級で、一時期はバンドのベースも兼任していた。
  • Andrea Cantarelli (アンドレア・カンタレリ)
    • 担当: Guitars
    • 別名: Anders Rain (アンダース・レイン)
    • 在籍: 1994-Present
    • 解説: 結成時から現在まで一度も脱退することなく在籍している唯一のオリジナルメンバー。Olaf Thorsen不在の時期もバンドを守り抜いた精神的支柱。メロディックなリードプレイを得意とする。A Perfect Day というハードロックバンドでも活動している。
  • Olaf Thorsen (オラフ・トールセン)
    • 本名: Carlo Andrea Magnani (カルロ・アンドレア・マニャーニ)
    • 担当: Guitars
    • 在籍: 1994-2002, 2009-Present
    • 解説: バンドのメインコンポーザーの一人。ステージネームの「オラフ」は、彼が北欧メタルを敬愛していることに由来すると思われるが、イタリア人である。Vision Divine のリーダーでもあり、イタリアン・パワー・メタル・シーンの最重要人物の一人。高速のオルタネイト・ピッキングと、構築美溢れるリフワークが特徴。
  • Oleg Smirnoff (オレグ・スミルノフ)
    • 担当: Keyboards
    • 在籍: 2016-Present
    • 解説: Eldritch (エルドリッチ) や Death SS (デス・エスエス)、そしてVision Divineでの活動で知られる技巧派キーボードプレイヤー。プログレッシブなフレージングと、空間を埋めるシンフォニックなアレンジの両方をこなす。
  • Nik Mazzucconi (ニック・マッツコーニ)
    • 担当: Bass
    • 在籍: 2016-Present
    • 解説: ジャズやフュージョンのバックグラウンドも持つセッションベーシスト。Edge of Forever (エッジ・オブ・フォーエヴァー) などでも活動。
  • Matt Peruzzi (マット・ペルッツィ)
    • 担当: Drums
    • 在籍: 2019-Present
    • 解説: 現代イタリア・メタル界で最も注目される若手ドラマーの一人。Vision Divine にも在籍しており、Thorsenとのコンビネーションは抜群である。ブラストビートからグルーヴィなロックドラミングまで幅広く対応する。

4.2 重要な元メンバー (Notable Former Members)

  • Fabio Lione (ファビオ・リオーネ) / Joe Terry: 初代ボーカル。脱退後、Rhapsody of Fire、Angra (アングラ) 等で世界的スターとなる。
  • Andrea De Paoli (アンドレア・デ・パオリ) / Andrew McPauls: 黄金期のキーボーディスト。彼の煌びやかな音色は「ラビリンス・サウンド」の核であった。現在は Chaos Venture 等で活動。
  • Mattia Stancioiu (マッティア・スタンチョウ) / Mat Stancioiu: 黄金期のドラマー。現在はプロデューサー・エンジニアとしても活躍しており、バンドのサウンドプロダクションにも貢献した。
  • Cristiano Bertocchi (クリスティアーノ・ベルトッチ) / Chris Breeze: 長期にわたりベースを担当。脱退後は Vision Divine に加入するなど、メンバー間の交流は続いてる。

5. 文化・市場分析: 日本市場との親和性

LABYRINTHの成功、特に日本市場での人気は、いくつかの要因に起因する。

5.1 叙情性とスピードの融合

日本のメタルファン (特に『Burrn!』読者層) は、「メロディック・スピード・メタル (Melodic Speed Metal)」、通称「メロスピ」を好む傾向がある。LABYRINTHの『Return to Heaven Denied』は、ジャーマン・メタルの疾走感に、イタリア特有の「歌心 (Cantabile)」と哀愁あるメロディを融合させたことで、日本人の琴線に触れた。

5.2 アニメ・ゲーム文化との共鳴

LABYRINTHの楽曲に見られるシンセサイザーの音色や、ドラマティックな展開は、日本のゲーム音楽 (RPGのバトル曲など) やアニメソングとの親和性が高い。実際、初期のキーボードアレンジはユーロビートの影響下にあり、これは日本で流行していたダンスミュージックとも共通する音像であった。

5.3 レーベルの変遷とサポート

日本におけるLABYRINTHのリリースは、常に有力なレーベルによって支えられてきた。

  • Teichiku (テイチク): 『No Limits』時代。初期のブームを牽引。
  • Victor Entertainment (ビクター): 『Return to Heaven Denied』時代。メジャー流通による最大のヒット期。
  • King Records (キング・レコード): 『Sons of Thunder』から中期。日本におけるメタル専門レーベルの最大手として、詳細なライナーノーツや日本盤ボーナストラックの充実を図った。
  • Avalon / Marquee Inc. (アヴァロン / マーキー): 2025年の最新作を含む近年のリリースを担当。

6. Conclusion

LABYRINTHの30年以上にわたるキャリアは、単なる「Rhapsodyの同郷バンド」という枠には収まらない。LABYRINTHは『No Limits』 でジャンルの可能性を広げ、『Return to Heaven Denied』で一つの完成形を提示し、その後も自身の音楽性を破壊と再生を繰り返しながら進化させてきた。

Olaf Thorsenの脱退と復帰、Roberto Tirantiの類稀なる歌唱力、そしてAndrea Cantarelliの静かなる献身。これら全ての要素が複雑に絡み合い、まさに「迷宮 (Labyrinth)」のような深みを持つバンドの歴史を形成している。2025年の最新作『In the Vanishing Echoes of Goodbye』において、LABYRINTHが過去のどの時代よりも攻撃的な姿勢を見せていることは、このベテランバンドが未だ創造性の頂点を目指していることの証明である。

LABYRINTHは、イタリアン・メタルというジャンルの開拓者であり、現在もその最前線を走る生ける伝説である。

Albums

In The Vanishing Echoes Of Goodbye CD
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イタリアン・パワー・メタルの叙情と技巧を、よりドラマティックに磨いたLABYRINTHの2025年作。

Welcome to the Absurd Circus CD
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イタリアン・パワー・メタルの叙情とプログレッシヴな展開を結んだLABYRINTHの第9作。

Architecture of a God CD
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プログレッシヴな構築美と歌えるサビを両立し、LABYRINTHの技量を示すパワー・メタル作。

Return to Heaven Denied Pt. II CD
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壮麗な旋律と技巧的な展開で、LABYRINTHが名作の精神を受け継いだ一作。

6 Days to Nowhere CD
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速いリフと高度なアンサンブルを結び、LABYRINTHがイタリアン・パワー・メタルの技量を示した第6作。

Freeman CD
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華麗なギターと高揚するメロディを軸に、LABYRINTHがイタリアン・パワー・メタルの歌心を磨いた一作。

Labyrinth CD
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硬質なリフとドラマティックなメロディで、LABYRINTHが正統派パワー・メタルを力強く鳴らした第四作。

Sons of Thunder CD
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ラビリンスが技巧的な演奏と親しみやすいコーラスを結び付けた、イタリアン・パワー・メタル作。

Return to Heaven Denied CD
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流麗なギターと高揚するコーラスを束ね、LABYRINTHがイタリアン・パワー・メタルの名作を生んだ一枚。

No Limits CD
/

イタリアン・パワー・メタルの高速感とクラシカルな旋律を鮮烈に刻んだLABYRINTHのデビュー作。