POWERWOLF

POWERWOLF(パワーウルフ)は、2003年にドイツ南西部ザールラント州の州都ザールブリュッケンで結成されたヘヴィ/パワー・メタル・バンドである。

Biography

POWERWOLF Biography

プロフィール

2003年結成 / ドイツ・ザールブリュッケン / Power Metal, Heavy Metal

メンバー

メンバー担当
Attila DornVocal
Matthew GreywolfGuitar
Charles GreywolfGuitar / Bass
Falk Maria SchlegelOrgan / Keyboards
Roel van HeldenDrums

メンバーはいずれもバンドが公表しているステージ・ネームである。参照: POWERWOLF OFFICIAL WEBSITE(2026年8月3日確認)

Biography

POWERWOLF(パワーウルフ)は、2003年にドイツ南西部ザールラント州の州都ザールブリュッケンで結成されたヘヴィ/パワー・メタル・バンドである。編成はアッティラ・ドーン(Vo)、マシュー・グレイウルフ(Gt)、チャールズ・グレイウルフ(Gt/Ba)、ファルク・マリア・シュレーゲル(Org/Key)、ロエル・ファン・ヘルデン(Dr)の5人。教会オルガンと聖歌隊を思わせる多重コーラス、声楽の訓練を受けたアッティラ・ドーンの朗々とした歌、そして狼男伝承と宗教的意匠を並べた歌詞世界——この三つを最初のアルバムから一貫して使い続け、20年をかけてヨーロッパ最大級のメタル・バンドの一つになった。

始まりは、グレイウルフの二人が組んだバンドに、オルガン奏者のファルク・マリア・シュレーゲルが加わったところからだった。歌い手が決まらないまま時間が過ぎるなか、ルーマニアのシギショアラで出会ったのが、ブカレストで声楽を学んでいたアッティラ・ドーンである。ドーンはザールブリュッケンへ移り、バンドの顔となった。2005年4月4日、Metal Bladeから1作目『Return in Bloodred』を発表。2007年の『Lupus Dei』ではラテン語の題名が示すとおり「狼」を作品全体の軸に据え、2009年の『Bible of the Beast』では短い序曲から本編へ流し込む構成を採用して、以後変わらないアルバムの型を固めた。

4作目『Blood of the Saints』(2011年7月29日)は、スウェーデンのフレドリック・ノルドストレムがプロデュースを手掛け、同年に加入したオランダ人ドラマー、ロエル・ファン・ヘルデンが初参加した作品である。ドイツのアルバムチャートで23位に入り、バンドが国内で数字を持つ存在になった。転機は次の一枚だった。Napalm Recordsへ移籍して発表した5作目『Preachers of the Night』(2013年7月19日)がドイツのオフィシャル・アルバムチャートで初の1位を獲得。同年から本格化したヘッドライナー・ツアー「Wolfsnächte」とともに、POWERWOLFはドイツを代表するバンドになった。

2015年の『Blessed & Possessed』で様式をライヴ・バンドとして最適化したのち、2018年の『The Sacrament of Sin』でイェンス・ボグレンをプロデューサーに迎え、オーケストラと聖歌隊を曲の構造そのものへ組み込んだ。同作はドイツ1位を獲得し、収録曲“Demons Are a Girl's Best Friend”はバンド史上最も広く届いた曲になった。以後、『Call of the Wild』(2021年)、『Interludium』(2023年)、そして10作目『Wake Up the Wicked』(2024年7月26日)と続き、最新作はドイツのオフィシャル・アルバムチャートで4度目の1位を記録している。

2026年には、2024年のWolfsnächteツアー最終公演をミュンヘンのオリンピアハレで収録したライヴ作品『Wildlive (Live at Olympiahalle)』を発表し、ドイツのアルバムチャートで5度目の1位を獲得した。同年10月25日には、横浜・ぴあアリーナMMで行われる「FULL METAL JAPAN 2026 - POWERED BY WACKEN」のDAY 2に、ANGRA(featuring Kiko Loureiro & Edu Falaschi)、PRETTY MAIDS、HIBRIA、LOUDNESSとともに出演する。

音楽性と様式

POWERWOLFの音楽を成り立たせているのは、演奏技巧の競い合いではなく、旋律と儀式性である。ファルク・マリア・シュレーゲルのオルガンは伴奏ではなく「もう一人の歌い手」として扱われ、アッティラ・ドーンの声と主旋律を分け合い、間奏では前面に出る。リフはミッドテンポで装飾が少なく、そのぶんコーラスは大きく、繰り返しによって高揚を作る。速度で押し切る曲は多くないが、観客が最初の一回で歌える形に整えられている点で一貫している。

歌詞と意匠は、聖なるものと獣を同じ舞台に上げることで成立している。ラテン語めいた言い回し、聖人と魔女裁判、狼男伝承——“Werewolves of Armenia”はアルメニア、“Armata Strigoi”はルーマニア、“Beast of Gévaudan”は18世紀フランス、“Blood for Blood (Faoladh)”はアイルランドと、地域ごとの伝承を一曲ずつ引き受ける手つきは年を追うごとに具体的になった。同時に“Resurrection by Erection”“Sacramental Sister”のような露骨な言葉遊びも辞さず、荘厳さと悪ふざけが同居することがこのバンドの体温になっている。ステージでは教会を模した舞台装置とオルガン台を用い、「Wolfsnächte」や「The Metal Mass」といった名を掲げたツアーで、その世界観をそのまま持ち込んでいる。

メンバー詳細プロフィール

Attila Dorn(Vocal)——ルーマニアで声楽を学んだシンガー。バリトンを基調とした朗々とした歌唱と、儀式の司祭のような立ち居振る舞いがバンドの中心にある。

Matthew Greywolf(Guitar)——リード・ギター。バンドの楽曲制作を担う中心人物の一人で、アートワークの方向づけにも関わってきた。

Charles Greywolf(Guitar / Bass)——ギターとベースを担当。初期からレコーディングとサウンド面を支えてきた。

Falk Maria Schlegel(Organ / Keyboards)——教会オルガンの響きをバンドの中核へ据えた奏者。ライヴではオルガン台に立ち、視覚面でも様式の要になっている。

Roel van Helden(Drums)——オランダ出身。2011年に加入し、『Blood of the Saints』以降の全作品に参加している。

ディスコグラフィ

発売年タイトル区分
2005Return in Bloodred1stアルバム(4月4日/Metal Blade)
2007Lupus Dei2ndアルバム(5月7日/Metal Blade)
2009Bible of the Beast3rdアルバム(4月24日/Metal Blade)
2011Blood of the Saints4thアルバム(7月29日/ドイツ23位)
2012Preaching at the Breeze映像作品
2013Preachers of the Night5thアルバム(7月19日/ドイツ1位・Napalm移籍第1作)
2015Blessed & Possessed6thアルバム(7月17日)
2016The Metal Mass – Liveライヴ作品(日本盤7月27日/欧州7月29日)
2018The Sacrament of Sin7thアルバム(7月20日/ドイツ1位)
2019Metallum Nostrumカヴァー集(1月11日/2015年のボーナス盤を単独化)
2020Best of the Blessedベスト盤(7月3日)
2021Call of the Wild8thアルバム(7月16日)
2022The Monumental Mass – A Cinematic Metal Event映像作品(フィジカル7月8日)
2023Interludium9thアルバム(4月7日)
2024Wake Up the Wicked10thアルバム(7月26日/ドイツ1位)
2026Wildlive (Live at Olympiahalle)ライヴ作品(ドイツ1位)

METAL BOOSTでは、上記のうちスタジオ・アルバム10作を個別ページとして掲載している。

日本との接点

POWERWOLFの作品は日本でも継続して流通しており、2016年のライヴ作品『The Metal Mass – Live』は日本盤が欧州発売に先行して7月27日に登場した。そして2026年10月25日、バンドは横浜・ぴあアリーナMMで開催される「FULL METAL JAPAN 2026 - POWERED BY WACKEN」のDAY 2に出演する。同日はANGRA(featuring Kiko Loureiro & Edu Falaschi)、PRETTY MAIDS、HIBRIA(featuring Iuri Sanson & Renato Osorio)、LOUDNESSが名を連ねる編成で、ドイツのヘッドライナー・バンドの舞台を日本で観る機会となる。

総括

POWERWOLFは、教会オルガンと合唱、そして狼男と聖人の物語という限られた道具立てを20年にわたって磨き続け、その反復を退屈にしない方法を見つけたバンドである。デビュー作『Return in Bloodred』の時点ですでに揃っていた語彙を、捨てるのではなく拡張してきた結果として、ドイツのアルバムチャートで何度も1位を獲得する規模に達した。10作のスタジオ・アルバムはいずれも同じ世界の別の章として読むことができ、どこから聴き始めても入口になる。

Trivia

公式サイトのメンバー欄に並ぶのは5人である。ヴォーカルのアッティラ・ドーン、ギターのマシュー・グレイウルフ、ベースとギターを担当するチャールズ・グレイウルフ、オルガンのファルク・マリア・シュレーゲル、そしてドラムのルール・ファン・ヘルデン。オルガン奏者が正規のメンバーとして名を連ねているのが、このバンドの編成の特徴である。

出典: POWERWOLF 公式サイト Band

公式サイトのバンド紹介によれば、『Blessed & Possessed』と『The Sacrament of Sin』はいずれもゴールド認定を受けた作品であり、後者からのシングル「Demons Are A Girl's Best Friend」はプラチナに達したヒットである。

出典: POWERWOLF 公式サイト Band History

『Call of the Wild』の歌詞には、各地の伝承に出てくる怪物が並んでいる。「Beast Of Gévaudan」は18世紀半ばのフランス南部で恐怖をまき散らしたとされる伝説の獣を、「Varcolac」はルーマニアの民間伝承に出てくる狼の姿をした魔物を扱っている。そして「Blood For Blood (Faoladh)」が呼び起こすのは、私たちが狼男と呼ぶ月の崇拝者の、アイルランドにおける親戚にあたる存在である。

出典: POWERWOLF 公式サイト Band History

2026年5月20日、POWERWOLFは公式サイトで日本公演を発表した。10月25日、横浜で開かれる「FULL METAL JAPAN」にヘッドライナーとして出演するというもので、バンドにとってこれが初めての日本での演奏となる。告知の文面には、長いあいだ遠くから日本のファンの情熱と絶え間ない支援を見てきた、という一節が置かれている。

出典: POWERWOLF 公式サイト News

公式サイトのメンバー個別ページには、それぞれが最初に買ったレコードが載っている。並べてみると偏りが目に見える。マシュー・グレイウルフはアイアン・メイデンの『Piece of Mind』、ファルク・マリア・シュレーゲルは同じくアイアン・メイデンの『Live After Death』、ルール・ファン・ヘルデンもアイアン・メイデンで『Fear Of The Dark』。回答が載っている4人のうち3人までがアイアン・メイデンの、しかも別々のアルバムだった。残るアッティラ・ドーンが挙げているのはスコーピオンズの『Lonesome Crow』である。

出典: POWERWOLF 公式サイト メンバー・ページ

メンバー・ページには「最高のPOWERWOLF公演」を問う欄もある。ここで名前が挙がるのが、2022年のヴァッケン・オープン・エアだ。マシュー・グレイウルフは、あそこでヘッドライナーを務めたことは値段の付けようがなかったと書いている。ファルク・マリア・シュレーゲルも、選ぶのは難しいとしたうえで2022年のヴァッケンと2024年のミュンヘンの2つを挙げた。ルール・ファン・ヘルデンが選んだのは2023年のヘルフェストである。

出典: POWERWOLF 公式サイト メンバー・ページ

POWERWOLFはドイツのバンドである。ヘヴィで荘厳なサウンドとキャッチーなメロディを核に、白塗りのメイクと、英語・ドイツ語・ラテン語を使い分けるドラマチックな世界観で支持を集めてきた。結成年については資料が割れており、BARKSは2003年としているが、現在のレーベルであるナパーム・レコードは、型破りな企画として2004年に始まったものだと書いている。

異説あり出典: BARKS(パワーウルフ「新しい要素も採り入れたメタル儀式」)

バンドが掲げるスローガンは「METAL IS RELIGION」——メタルは宗教である、という一言だ。ヘヴィネスと攻撃性、メロディ、ドラマ性、そして宗教性という多面的な要素を一つにまとめて打ち出すのが彼らのやり方である。

出典: BARKS(パワーウルフ「新しい要素も採り入れたメタル儀式」)

トリビアをすべて見る(全23件)

Albums

Wake Up the Wicked CD
/

ドイツ・アルバムチャート4度目の1位を獲得した10作目。聖歌隊とオルガンを保ったまま、曲を最短距離で歌へ運ぶ。

Interludium CD
/

新曲と未発表曲を一枚に束ね、次章までの橋渡しとして置かれた9作目。豪華盤には盟友バンドによるカヴァー集を同梱。

Call of the Wild CD
/

狼男伝説を国ごとに掘り下げた8作目。イェンス・ボグレンとヨースト・ファン・デン・ブルックが音の奥行きを一段広げた。

The Sacrament of Sin CD
/

イェンス・ボグレンを迎え、ドイツ1位を獲得した7作目。“Demons Are a Girl's Best Friend”を生んだ転換点。

Blessed & Possessed CD
/

“Army Of The Night”“Armata Strigoi”を擁する6作目。祝福と憑依という対を、最も直截な形で鳴らした一枚。

Preachers of the Night CD
/

ドイツ・アルバムチャート初の1位を獲得した5作目。Napalm移籍後の第一作にして、バンドの立ち位置を変えた作品。

Blood of the Saints CD
/

フレドリック・ノルドストレムを迎え、ロエル・ファン・ヘルデンが加入した4作目。ドイツ23位で初のチャート入りを果たす。

Bible of the Beast CD
/

オルガンと聖歌隊を骨格へ組み込み、“Werewolves of Armenia”を生んだ3作目。バンドの語法がここで定まる。

Lupus Dei CD
/

「神の狼」を掲げ、宗教的語彙と獣の伝承を正面から結んだ2作目。“Prayer In the Dark”を含む。

Return in Bloodred CD
/

教会オルガン、オペラ声、直進するリフ——POWERWOLFの様式が最初から揃っていたデビュー作。