TRIVIUM
TRIVIUM (トリヴィアム)は、1999年にアメリカ合衆国フロリダ州オーランド (Orlando, Florida)で結成されたヘヴィ・メタル・バンドであり、21世紀における最も重要なメタル・アクトの一つとして広く認識されている。
Biography
TRIVIUM
バイオグラフィ、音楽的進化、ディスコグラフィ
1. 現代ヘヴィ・メタルにおけるTRIVIUMの特異性
TRIVIUM (トリヴィアム)は、1999年にアメリカ合衆国フロリダ州オーランド (Orlando, Florida)で結成されたヘヴィ・メタル・バンドであり、21世紀における最も重要なメタル・アクトの一つとして広く認識されている。TRIVIUMの音楽的キャリアは、メタルコア (Metalcore)、スラッシュ・メタル (Thrash Metal)、プログレッシブ・メタル (Progressive Metal)、そしてメロディック・デス・メタル (Melodic Death Metal) といった多様なサブジャンルを横断し、常に自己革新を続ける姿勢によって定義される。
バンドの中心人物であるMatt Heafy (マット・ヒーフィー)は、日本 (Japan) の山口県岩国市(Iwakuni)で生まれ、アメリカで育った日系アメリカ人であり、彼の規律正しい音楽へのアプローチと多様な文化的背景は、バンドのアイデンティティ形成において不可欠な要素となっている。TRIVIUMは「New Wave of American Heavy Metal (NWOAHM)」の旗手として2000年代中盤に台頭したが、同時代の多くのバンドがスタイルを固定化させる中で、TRIVIUMはアルバムごとに劇的な音楽性の変化を恐れず、その技術的な熟練度とソングライティングの深みを増していった。
2. バイオグラフィーと歴史的変遷
2.1 黎明期: 結成からデモ制作時代 (1999-2002)
TRIVIUMの歴史は、1999年のオーランドにおける高校のタレント・ショーに端を発する。当時中学2年生(8th grade) であったMatt Heafy (マット・ヒーフィー)は、Metallica(メタリカ)の楽曲「No Leaf Clover」を演奏した。このパフォーマンスを目撃した当時のヴォーカリスト、Brad Lewter (ブラッド・ルーター) がHeafyの才能を見出し、自身のバンドへの加入を打診したことが全ての始まりであった。
結成当初のラインナップは、ヴォーカルのLewter、ギターのMatt Heafy (マット・ヒーフィー)、ベースのJarred Bonaparte (ジャレッド・ボナパルト)、 ドラムのTravis Smith (トラヴィス・スミス)、そしてギターのHeafyという構成であった。バンド名 「Trivium」は、ラテン語で「三差路」や中世の教育課程における三学(文法、修辞学、論理学)を意味し、TRIVIUMが目指したメタルコア、メロディック・デス・メタル、スラッシュ・メタルの融合を象徴するものとして採用された。
しかし、音楽的方向性の相違からLewterは結成後まもなく脱退する。彼はバンドがよりヘヴィな方向へ進むことに難色を示したとされる。残されたメンバーは、当時まだ10代半ばであったHeafyに対し、ギターだけでなくヴォーカルも兼任するよう説得した。Heafyは当初ヴォーカル経験が皆無であったが、MetallicaのJames Hetfield (ジェイムズ・ヘットフィールド)などの影響を受けつつ、独学でグロウル (デスボイス) とクリーン・ヴォーカルのスタイルを確立していった。
2001年初頭にはBonaparteがベースへ転向し、その後脱退したため、後任としてTravis Smithの知人であったBrent Young (ブレント・ヤング)が加入した。Heafy、Young、Smithのトリオ編成となったバンドは、地元のクラブやバーで精力的にライブ活動を行い、着実に実力を磨いていった。この時期、TRIVIUMは複数のデモ音源を制作しており、それらはディスクの色によって識別されている。
| デモ名称 | 通称 | 制作年 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Ruber | The Red Demo | 2001年 | 初期の荒削りなサウンド |
| Caeruleus | The Blue Demo | 2003年 | 「The Storm」等、後のプログレッシブな要素を含む楽曲を収録 |
| Flavus | The Yellow Demo | 2004年 | 「Like Light to the Flies」等、2ndアルバムの主要曲の原型 |
特に『Caeruleus』に収録された楽曲 「The Storm」は、当時16歳であったHeafyの作曲能力の高さを示しており、ブラック・メタルの伝説的なバンドEmperor (エンペラー) やノルウェーの伝承「Oskoreia」からの影響が見て取れるなど、バンドの早熟さを物語っている。
2.2 デビューとラインナップの確立: 『Ember to Inferno』 (2003-2004)
デモ音源のクオリティは、ドイツのレコードレーベルであるLifeforce Records (ライフフォース・レコード) の関心を惹きつけ、バンドは契約を獲得する。2003年、TRIVIUMはデビュー・アルバム『Ember to Inferno』 (エンバー・トゥ・インフェルノ)をリリースした。このアルバムは、スラッシュ・メタルのリフとメタルコアのブレイクダウン、そして叙情的なメロディが見事に融合しており、17歳の少年が中心となって制作したとは信じ難い完成度を誇っていた。
アルバム制作直後、バンドはライブにおけるギター・ハーモニーの再現性を高めるため、セカンド・ギタリストとしてCorey Beaulieu (コリー・ビューリュー)を加入させた。Beaulieuの加入は、バンドにデスメタル由来のテクニカルな要素と攻撃性を加味し、Heafyとの「ツイン・リード」 体制を確立させる決定的な瞬間であった。
さらに2004年には、ベーシストのBrent Youngが脱退し、後任としてPaolo Gregoletto (パオロ・グレゴレット)が加入した。Gregolettoは指弾きによる卓越したテクニックを持っており、彼の加入によりリズム隊の安定感と表現力は飛躍的に向上した。こうして、Heafy、Beaulieu、Gregoletto、Smithという、初期TRIVIUMの黄金期を支える「クラシック・ラインナップ」が完成したのである。
この新体制でMachine Head (マシーン・ヘッド) のツアー・サポートを務めたTRIVIUMは、その圧倒的なパフォーマンスでRoadrunner Records (ロードランナー・レコード) のA&Rの目に留まり、メジャー契約を勝ち取ることとなる。
2.3 世界的躍進と「次世代のメタリカ」: 『Ascendancy』 (2005)
2005年3月、Roadrunner Recordsからのメジャー・デビュー・アルバム 『Ascendancy』 (アセンダンシー) がリリースされた。この作品は、バンドのキャリアにおける最初にして最大の転換点となった。アルバムは、攻撃的なリフワーク、複雑なソロ、そして「Pull Harder on the Strings of Your Martyr」 や 「A Gunshot to the Head of Trepidation」に見られるようなキャッチーでありながらヘヴィなコーラス (サビ)が特徴で、瞬く間に世界中のメタル・ファンを虜にした。
特にイギリス (UK) における人気は爆発的であり、アルバムはゴールド・ディスク認定を受けた。2005年のDownload Festival (ダウンロード・フェスティバル)では、午前中の出演にもかかわらずメインステージに巨大なサークルピットを出現させ、そのパフォーマンスは伝説として語り継がれている。メディアはこぞってTRIVIUMを「The Next Metallica (次世代のメタリカ)」と称賛したが、これは若きバンドにとって巨大な期待であると同時に、重圧でもあった。
2.4 スラッシュへの回帰と賛否両論: 『The Crusade』 (2006-2007)
『Ascendancy』の成功によりメタルコア・シーンの頂点に立ったTRIVIUMであったが、2006年の次作『The Crusade』 (ザ・クルセイド)でTRIVIUMは大胆な方向転換を行う。当時、Heafyは飽和状態にあったメタルコア・シーンとの差別化を図るため、スクリーム(叫び)をほぼ完全に排除し、James Hetfieldを彷彿とさせる力強いクリーン・ヴォーカル・スタイルを採用した。
音楽的には1980年代のクラシックなスラッシュ・メタルへの回帰を明確にし、複雑な楽曲構成と長尺のインストゥルメンタル・パートを取り入れた。この急激な変化に対し、批評家やファンからは「メタリカの模倣である」との批判も浴びたが、同時にバンドの演奏技術の高さと、流行に流されない姿勢を証明する作品ともなった。この時期、TRIVIUMはIron Maiden (アイアン・メイデン) やMetallicaのツアー・サポートを務め、アリーナ・クラスのバンドとしての経験を積んでいった。
2.5 プログレッシブ・メタルの頂点: 『Shogun』 (2008-2009)
2008年、バンドは『Shogun』 (将軍) をリリースし、再びその音楽性を進化させた。7弦ギターを導入し、ダウン・チューニングによる重厚さを増したこのアルバムは、TRIVIUMのルーツであるスラッシュ・メタル、メタルコア、そしてプログレッシブ・メタルの要素が完璧なバランスで融合した傑作として評価されている。
タイトルが示す通り、Heafyのルーツである日本文化やギリシャ神話が歌詞のテーマに取り入れられ、11分を超える表題曲「Shogun」や「Kirisute Gomen」などの楽曲では、壮大でドラマティックな展開が見られた。しかし、ツアー終了後の2009年、結成メンバーでありバンドの屋台骨を支えてきたドラマーのTravis Smithが脱退するという衝撃的な出来事が起こる。後任には、Smithのドラム・テックを務めていたNick Augusto (ニック・オーガスト) が抜擢された。
2.6 視覚と聴覚の刷新: 『In Waves』 (2010-2012)
新ドラマーAugustoを迎えたバンドは、2011年に『In Waves』(イン・ウェイヴズ)を発表する。『Shogun』 の複雑さから一転し、このアルバムでは「楽曲のフック (掴み)」と「視覚的な美学」に重きが置かれた。アルバム・アートワークやミュージック・ビデオはモノクロームで統一され、映画的な世界観が構築された。
音楽的には、Augustoの持ち味であるグラインドコアやパンク由来のスピード感と、シンプルながら強烈なリフが融合し、ライブ映えするアンセムが多数生まれた。タイトル・トラック「In Waves」は、現在でもライブの定番曲として演奏されている。
2.7 混迷とプロデューサーの影響: 『Vengeance Falls』 (2013-2014)
2013年の『Vengeance Falls』 (ヴェンジャンス・フォールズ)では、Disturbed (ディスターブド)のフロントマン、David Draiman (デイヴィッド・ドレイマン)をプロデューサーに迎えた。Draimanの指導により、Heafyのヴォーカル・スタイルはスタッカートを多用したリズミカルなものへと変化し、楽曲構成もよりラジオ・フレンドリーでインダストリアルな要素を含むものとなった。しかし、この変化は一部のファンから 「Disturbed化している」との指摘を受けることとなった。
2014年5月、ツアー中にドラマーのNick Augustoがバンド内の不和により解雇され、ドラム・テックのMat Madiro (マット・マディロ) が急遽メンバーとして加入した。
2.8 ヴォーカルの危機と再生: 『Silence in the Snow』 (2015-2016)
2014年、Rock on the Rangeフェスティバルでのパフォーマンス中に、Heafyは喉を酷使し声を潰してしまうというアクシデントに見舞われた。医師からは現在の歌唱法を続ければ歌手生命が終わると宣告され、HeafyはAxl Roseなどを指導したヴォーカル・コーチ、Ron Andersonの下で発声法を基礎から学び直すことになる。
この影響により、2015年のアルバム『Silence in the Snow』 (サイレンス・イン・ザ・スノー)では、バンド史上初めてスクリーム (叫び)が一切排除され、全編クリーン・ヴォーカルで構成された。Dio (ディオ) やBlack Sabbath (ブラック・サバス) 等のクラシック・ヘヴィ・メタルに影響を受けたこの作品は、メロディックで正統派なアプローチを見せたが、バンドの代名詞であるアグレッシブさを欠くと感じるファンもいた。
ドラマーの座も安定せず、Mat Madiroは2015年末に脱退、後任のPaul Wandtke (ポール・ワンドゥトケ) も短期間でバンドを去ることとなった。
2.9 完全復活と黄金期の再来: 『The Sin and the Sentence』 (2017-2019)
ドラマー問題に終止符を打ったのは、2016年末に加入したAlex Bent (アレックス・ベント)であった。彼はテクニカル・デスメタルなどのエクストリーム・ミュージックでの経験を持ち、その圧倒的な技術 (ブラストビート、変拍子の処理能力)はバンドに新たな生命を吹き込んだ。
2017年のアルバム『The Sin and the Sentence』 (ザ・シン・アンド・ザ・センテンス)は、Alex Bentのドラミングを武器に、スラッシュ、メタルコア、プログレッシブ、メロディックといったTRIVIUMの全ての強みが凝縮された傑作となった。Heafyは正しい発声法によるスクリームを復活させ、批評家からも「バンドの最高傑作の一つ」と絶賛された。収録曲「Betrayer」は、第61回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門にノミネートされた。
2.10 パンデミックと創造的探求: 『What the Dead Men Say』 & 『In the Court of the Dragon』 (2020-2023)
2020年、COVID-19パンデミックの最中にリリースされた 『What the Dead Men Say』(ホワット・ザ・デッド・メン・セイ)は、前作の路線をさらに深化させた作品となった。ツアーが不可能な状況下で、HeafyはTwitchでの配信活動を通じてファンとの結束を強め、バンドの存在感を示し続けた。
翌2021年には、通算10作目となる『In the Court of the Dragon』 (イン・ザ・コート・オブ・ザ・ドラゴン)を発表。地元オーランドのフル・セイル大学 (Full Sail University)で録音されたこのアルバムは、ブラック・メタルの皇帝Ihsahn (イーサーン) によるオーケストレーション導入や、ロバート・W・チェンバースの短編小説にインスパイアされた神話的な世界観を持ち、壮大かつブルータルなサウンドスケープを描き出した。
2.11 最新の動向 (2024-2026)
2025年、バンドは『Ascendancy』 リリース20周年を迎え、記念ツアーを行うなど精力的に活動している。しかし同年10月、長年バンドの屋台骨を支えたドラマーのAlex Bentが脱退するというニュースがファンを驚かせた。後任には、WhitechapelやThe Facelessでの活動で知られる実力派ドラマー、Alex Rüdinger (アレックス・ルーディンガー) が加入した。新体制となったバンドは、EP 『Struck Dead』をリリースし、次なる章へと歩みを進めている。
3. メンバー・プロフィールと担当楽器
TRIVIUMのメンバーは高い演奏技術を持つことで知られる。以下に現在のメンバーと過去の主要メンバーを詳述する。
現行メンバー (Current Members)
- Matt Heafy (マット・ヒーフィー)
- 本名: Matthew Kiichi Heafy (マシュー・キイチ・ヒーフィー)
- 担当: リード・ヴォーカル、ギター
- 在籍期間: 1999年 - 現在
- プロフィール: 1986年1月26日、日本・山口県岩国市生まれ。アメリカ人の父と日本人の母を持つ。12歳でバンドに加入して以来、TRIVIUMの顔として活動。徹底した練習の虫であり、毎日数時間のギター練習とヴォーカル・トレーニング、ブラジリアン柔術のトレーニングを欠かさない。Twitchでのストリーミング活動も有名で、ゲーム実況や演奏配信を通じてファンコミュニティを拡大させた。近年はブラック・メタル・プロジェクトIbaraki (茨木)でも活動し、日本の伝説や民話をテーマにした楽曲を発表している。
- Corey Beaulieu (コリー・ビューリュー)
- 本名: Corey King Beaulieu
- 担当: ギター、アンクリーン・バック・ヴォーカル
- 在籍期間: 2003年 - 現在
- プロフィール: 1983年11月22日生まれ。デビュー・アルバム録音直後に加入。デスメタルからの影響が強く、テクニカルでシュレッド (速弾き)を多用したギター・ソロを得意とする。Heafyとのツイン・ギター・ハーモニーはTRIVIUMサウンドの核である。ライブではデスボイスのバック・コーラスを担当し、サウンドに厚みを持たせている。
- Paolo Gregoletto (パオロ・グレゴレット)
- 本名: Paolo Francesco Gregoletto
- 担当: ベース、クリーン・バック・ヴォーカル
- 在籍期間: 2004年 - 現在
- プロフィール: 1985年9月14日生まれ。『Ascendancy』制作前に加入。ピックを使わず指弾きで演奏するスタイルで、高速なスラッシュ・ビートにも正確に対応する。また、バンドの主要なソングライターの一人でもあり、多くの楽曲で歌詞やメロディを提供している。彼の加入により、バンドのリズム隊は格段に強化された。
- Alex Rüdinger (アレックス・ルーディンガー)
- 担当: ドラムス
- 在籍期間: 2025年10月 - 現在
- プロフィール: Alex Bentの後任として加入した最新メンバー。非常に高度な技術を持つセッション・ドラマーとして知られ、機械のように正確なプレイ・スタイルが特徴。TRIVIUMの要求する極めて高い身体的能力と技術的精度を満たすドラマーである。
旧メンバー (Former Members)
- Alex Bent (アレックス・ベント) - ドラムス (2016-2025): 『The Sin and the Sentence』以降の「第二黄金期」を支えた功労者。その超人的なドラミングはバンドの音楽性を新たなレベルへ引き上げた。
- Travis Smith (トラヴィス・スミス) - ドラムス (1999-2010): 結成メンバー。ツーバスを多用したアグレッシブなスタイルで初期TRIVIUMサウンドを定義した。
- Nick Augusto (ニック・オーガスト) - ドラムス (2010-2014): パンク/グラインドコアの影響を持ち込んだ。
- Brent Young (ブレント・ヤング) - ベース (2001-2004): 『Ember to Inferno』に参加。2020年に37歳の若さで逝去。
- Mat Madiro (マット・マディロ) - ドラムス (2014-2015): 『Silence in the Snow』に参加。
- Paul Wandtke (ポール・ワンドゥトケ) - ドラムス (2015-2017)
4. 音楽的スタイルと分析
TRIVIUMの音楽性は「進化」と「融合」によって特徴付けられる。
4.1 ジャンルの融合
TRIVIUMは頻繁にMetalcore (メタルコア)に分類されるが、その枠組みには収まりきらない要素を多く持っている。
- スラッシュ・メタル (Thrash Metal): Metallica、Megadeth (メガデス)、Slayer (スレイヤー)からの直接的な影響。高速なダウン・ピッキング、複雑なリフ構成が特徴。
- メロディック・デス・メタル (Melodic Death Metal): In Flames (イン・フレイムス)等のスウェーデンのバンドからの影響。叙情的なツイン・リード・ギターのハーモニー。
- プログレッシブ・メタル (Progressive Metal): Dream Theater (ドリーム・シアター)等の影響による、7弦ギターの使用、変拍子、長尺の楽曲構成 (『Shogun』や『In the Court of the Dragon』で顕著)。
4.2 ヴォーカル・スタイル
Matt Heafyのヴォーカルは、メロディアスなクリーン・ヴォーカルと、攻撃的なスクリーム/グロウルを行き来するスタイルが基本である。キャリア中期(『The Crusade』 や 『Silence in the Snow』)では意図的にスクリームを封印した時期もあったが、現在は両者を巧みに使い分けるスタイルに回帰している。
4.3 歌詞のテーマ
歌詞は個人的な苦悩から神話、歴史まで多岐にわたる。特に、「和」の要素(侍、将軍、切腹など)やギリシャ神話のモチーフが頻繁に登場するのは、Heafyのアイデンティティを反映したTRIVIUM独自の特徴である。
5. ディスコグラフィー (Discography)
以下に、TRIVIUMがリリースしたスタジオ・アルバム、及び主要なEP・デモ音源を詳細に記載する。各アルバムの日本盤ボーナス・トラック等も可能な限り網羅する。
5.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)
- 発売日: 2003年10月14日
- レーベル: Lifeforce Records
- 解説: 10代の衝動と talents が詰まったデビュー作。粗削りながらも、後の大成を予感させるリフとメロディが満載である。2016年にはデモ音源を追加した『Ember to Inferno: Ab Initio』として再発された。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | Inception, the Bleeding Skies | インセプション、ザ・ブリーディング・スカイズ | 0:35 |
| 2 | Pillars of Serpents | ピラーズ・オブ・サーペンツ | 4:35 |
| 3 | If I Could Collapse the Masses | イフ・アイ・クッド・コラプス・ザ・マッシズ | 4:42 |
| 4 | Fugue (A Revelation) | フーガ(ア・レヴェレーション) | 4:21 |
| 5 | Requiem | レクイエム | 4:53 |
| 6 | Ember to Inferno | エンバー・トゥ・インフェルノ | 4:11 |
| 7 | Ashes | アッシュズ | 0:53 |
| 8 | To Burn the Eye | トゥ・バーン・ジ・アイ | 7:01 |
| 9 | Falling to Grey | フォーリング・トゥ・グレイ | 5:37 |
| 10 | My Hatred | マイ・ヘイトレッド | 4:34 |
| 11 | When All Light Dies | ホエン・オール・ライト・ダイズ | 6:23 |
| 12 | A View of Burning Empires | ア・ヴュー・オブ・バーニング・エンパイアズ | 1:49 |
- 発売日: 2005年3月15日
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: 世界的なブレイクを果たした名盤。メタルコアの金字塔として評価される。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | The End of Everything | ジ・エンド・オブ・エヴリシング | 1:20 |
| 2 | Rain | レイン | 4:11 |
| 3 | Pull Harder on the Strings of Your Martyr | プル・ハーダー・オン・ザ・ストリングス・オブ・ユア・マーター | 4:51 |
| 4 | Drowned and Torn Asunder | ドラウンド・アンド・トーン・アサンダー | 4:17 |
| 5 | Ascendancy | アセンダンシー | 4:29 |
| 6 | A Gunshot to the Head of Trepidation | ア・ガンショット・トゥ・ザ・ヘッド・オブ・トレピデーション | 5:55 |
| 7 | Like Light to the Flies | ライク・ライト・トゥ・ザ・フライズ | 5:40 |
| 8 | Dying in Your Arms | ダイイング・イン・ユア・アームズ | 2:53 |
| 9 | The Deceived | ザ・ディシーヴド | 5:11 |
| 10 | Suffocating Sight | サフォケイティング・サイト | 3:47 |
| 11 | Departure | デパーチャー | 5:41 |
| 12 | Declaration | デクラレーション | 7:00 |
- 発売日: 2006年10月10日
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: 80年代スラッシュ・メタルへの回帰作。スクリームを封印し、歌唱力を前面に押し出した。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | Ignition | イグニッション | 3:54 |
| 2 | Detonation | デトネーション | 4:28 |
| 3 | Entrance of the Conflagration | エントランス・オブ・ザ・コンフラグレーション | 4:35 |
| 4 | Anthem (We Are the Fire) | アンセム(ウィー・アー・ザ・ファイア) | 4:03 |
| 5 | Unrepentant | アンリペンタント | 4:51 |
| 6 | And Sadness Will Sear | アンド・サッドネス・ウィル・シア | 3:50 |
| 7 | Becoming the Dragon | ビカミング・ザ・ドラゴン | 4:43 |
| 8 | To the Rats | トゥ・ザ・ラッツ | 3:42 |
| 9 | This World Can't Tear Us Apart | ディス・ワールド・キャント・テア・アス・アパート | 3:30 |
| 10 | Tread the Floods | トレッド・ザ・フラッズ | 3:33 |
| 11 | Contempt Breeds Contamination | コンテンプト・ブリーズ・コンタミネーション | 4:28 |
| 12 | The Rising | ザ・ライジング | 3:45 |
| 13 | The Crusade | ザ・クルセイド | 8:19 |
- 発売日: 2008年9月30日
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: 日本とギリシャの神話をテーマにしたプログレッシブな大作。7弦ギターを導入。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | Kirisute Gomen | 切り捨て御免 (キリステ・ゴメン) | 6:27 |
| 2 | Torn Between Scylla and Charybdis | トーン・ビトウィーン・スキュラ・アンド・カリュブディス | 6:49 |
| 3 | Down from the Sky | ダウン・フロム・ザ・スカイ | 5:34 |
| 4 | Into the Mouth of Hell We March | イントゥ・ザ・マウス・オブ・ヘル・ウィー・マーチ | 5:52 |
| 5 | Throes of Perdition | スローズ・オブ・パーディション | 5:54 |
| 6 | Insurrection | インサレクション | 4:57 |
| 7 | The Calamity | ザ・カラミティ | 4:58 |
| 8 | He Who Spawned the Furies | ヒー・フー・スポーンド・ザ・フューリーズ | 4:07 |
| 9 | Of Prometheus and the Crucifix | オブ・プロメテウス・アンド・ザ・クルシフィクス | 4:40 |
| 10 | Like Callisto to a Star in Heaven | ライク・カリスト・トゥ・ア・スター・イン・ヘヴン | 5:25 |
| 11 | Shogun | 将軍(ショウグン) | 11:54 |
- 発売日: 2011年8月2日
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: 視覚的なアートワークと楽曲のフックを重視した作品。Nick Augusto加入後初アルバム。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | Capsizing the Sea | キャプサイジング・ザ・シー | 1:30 |
| 2 | In Waves | イン・ウェイヴズ | 5:02 |
| 3 | Inception of the End | インセプション・オブ・ジ・エンド | 3:48 |
| 4 | Dusk Dismantled | ダスク・ディスマントルド | 3:47 |
| 5 | Watch the World Burn | ウォッチ・ザ・ワールド・バーン | 4:53 |
| 6 | Black | ブラック | 3:27 |
| 7 | A Skyline's Severance | ア・スカイラインズ・セヴァランス | 4:51 |
| 8 | Built to Fall | ビルト・トゥ・フォール | 3:08 |
| 9 | Caustic Are the Ties That Bind | コースティック・アー・ザ・タイズ・ザット・バインド | 5:34 |
| 10 | Forsake Not the Dream | フォーセイク・ノット・ザ・ドリーム | 5:20 |
| 11 | Chaos Reigns | カオス・レインズ | 4:07 |
| 12 | Of All These Yesterdays | オブ・オール・ディーズ・イエスタデイズ | 4:21 |
| 13 | Leaving This World Behind | リーヴィング・ディス・ワールド・ビハインド | 1:32 |
- 発売日: 2013年10月10日 (日本)
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: David Draiman (Disturbed) プロデュース。グルーヴとリズムを強調した作風。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | Brave This Storm | ブレイヴ・ディス・ストーム | 4:29 |
| 2 | Vengeance Falls | ヴェンジャンス・フォールズ | 4:13 |
| 3 | Strife | ストライフ | 4:29 |
| 4 | No Way to Heal | ノー・ウェイ・トゥ・ヒール | 4:05 |
| 5 | To Believe | トゥ・ビリーヴ | 4:32 |
| 6 | At the End of This War | アット・ジ・エンド・オブ・ディス・ウォー | 4:47 |
| 7 | Through Blood and Dirt and Bone | スルー・ブラッド・アンド・ダート・アンド・ボーン | 4:26 |
| 8 | Villainy Thrives | ヴィラニー・スライヴス | 4:54 |
| 9 | Incineration: The Broken World | インシネレーション: ザ・ブロークン・ワールド | 5:52 |
| 10 | Wake (The End is Nigh) | ウェイク (ジ・エンド・イズ・ナイ) | 6:00 |
- 発売日: 2015年10月2日
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: 喉の負傷により全編クリーン・ヴォーカルを採用。クラシック・ヘヴィ・メタルへのオマージュ。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | Snøfall | スノーフォール | 1:28 |
| 2 | Silence in the Snow | サイレンス・イン・ザ・スノー | 3:40 |
| 3 | Blind Leading the Blind | ブラインド・リーディング・ザ・ブラインド | 4:25 |
| 4 | Dead and Gone | デッド・アンド・ゴーン | 3:46 |
| 5 | The Ghost That's Haunting You | ザ・ゴースト・ザッツ・ホーンティング・ユー | 4:09 |
| 6 | Pull Me from the Void | プル・ミー・フロム・ザ・ヴォイド | 3:53 |
| 7 | Until the World Goes Cold | アンティル・ザ・ワールド・ゴーズ・コールド | 5:21 |
| 8 | Rise Above the Tides | ライズ・アバヴ・ザ・タイズ | 3:54 |
| 9 | The Thing That's Killing Me | ザ・シング・ザッツ・キリング・ミー | 3:30 |
| 10 | Beneath the Sun | ビニース・ザ・サン | 3:56 |
| 11 | Breathe in the Flames | ブリーズ・イン・ザ・フレイムス | 5:11 |
- 発売日: 2017年10月20日
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: Alex Bent加入。攻撃性とメロディが融合し、バンドの完全復活を印象付けた。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | The Sin and the Sentence | ザ・シン・アンド・ザ・センテンス | 6:23 |
| 2 | Beyond Oblivion | ビヨンド・オブリヴィオン | 5:17 |
| 3 | Other Worlds | アザー・ワールズ | 4:50 |
| 4 | The Heart From Your Hate | ザ・ハート・フロム・ユア・ヘイト | 4:04 |
| 5 | Betrayer | ビトレイヤー | 5:27 |
| 6 | The Wretchedness Inside | ザ・レッチェドネス・インサイド | 5:32 |
| 7 | Endless Night | エンドレス・ナイト | 3:38 |
| 8 | Sever the Hand | セヴァー・ザ・ハンド | 5:26 |
| 9 | Beauty in the Sorrow | ビューティ・イン・ザ・ソロウ | 4:31 |
| 10 | The Revanchist | ザ・リヴァンキスト | 7:17 |
| 11 | Thrown Into the Fire | スローン・イントゥ・ザ・ファイア | 5:29 |
| 12 | Pillars of Serpents '17 | ピラーズ・オブ・サーペンツ '17 (日本盤ボーナス) | 5:03 |
- 発売日: 2020年4月24日
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: 前作の路線を踏襲しつつ、よりダークで成熟したサウンドを展開。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | IX | ナイン (イクス) | 1:58 |
| 2 | What the Dead Men Say | ホワット・ザ・デッド・メン・セイ | 4:45 |
| 3 | Catastrophist | カタストロフィスト | 6:28 |
| 4 | Amongst the Shadows & the Stones | アマングスト・ザ・シャドウズ・アンド・ザ・ストーンズ | 5:40 |
| 5 | Bleed Into Me | ブリード・イントゥ・ミー | 3:48 |
| 6 | The Defiant | ザ・デファイアント | 4:29 |
| 7 | Sickness Unto You | シックネス・アントゥ・ユー | 6:14 |
| 8 | Scattering the Ashes | スキャタリング・ザ・アッシュズ | 3:24 |
| 9 | Bending the Arc to Fear | ベンディング・ジ・アーク・トゥ・フィア | 4:45 |
| 10 | The Ones We Leave Behind | ジ・ワンズ・ウィー・リーヴ・ビハインド | 4:56 |
| 11 | Bleed Into Me (Acoustic) | ブリード・イントゥ・ミー (アコースティック) | 3:45 |
| 12 | Scattering the Ashes (Acoustic) | スキャタリング・ザ・アッシュズ (アコースティック) | 3:04 |
(注: No.11-12は日本盤ボーナス・トラック)
- 発売日: 2021年10月8日
- レーベル: Roadrunner Records
- 解説: 神話をテーマにした壮大なコンセプト・アルバム。Ihsahn (Emperor) がイントロ等のオーケストレーションで参加。
| No. | タイトル(英語) | タイトル(カタカナ転写) | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | X | テン(エックス) | 1:27 |
| 2 | In the Court of the Dragon | イン・ザ・コート・オブ・ザ・ドラゴン | 5:09 |
| 3 | Like a Sword Over Damocles | ライク・ア・ソード・オーヴァー・ダモクレス | 5:30 |
| 4 | Feast of Fire | フィースト・オブ・ファイア | 4:18 |
| 5 | A Crisis of Revelation | ア・クライシス・オブ・レヴェレーション | 5:35 |
| 6 | The Shadow of the Abattoir | ザ・シャドウ・オブ・ジ・アバトワール | 7:11 |
| 7 | No Way Back Just Through | ノー・ウェイ・バック・ジャスト・スルー | 3:53 |
| 8 | Fall Into Your Hands | フォール・イントゥ・ユア・ハンズ | 7:45 |
| 9 | From Dawn to Decadence | フロム・ドーン・トゥ・デカダンス | 4:08 |
| 10 | The Phalanx | ザ・ファランクス | 7:15 |
| 11 | Beyond Oblivion (Live) | ビヨンド・オブリヴィオン (ライブ) | 日本盤 |
| 12 | Amongst the Shadows & the Stones (Live) | アマングスト・ザ・シャドウズ・アンド・ザ・ストーンズ(ライブ) | 日本盤 |
(注: No.11-12は日本盤ボーナス・トラックとして収録)
5.2 主なデモ・EP・その他 (Demos & EPs)
TRIVIUMのキャリア初期には、現在では貴重なデモ音源が存在する。
- Trivium (EP) / Ruber (The Red Demo) (2001年): 最初のデモ。
- Caeruleus (The Blue Demo) (2003年): 「The Storm」「Sworn」 「Demon」等を収録。7曲入り。
- Flavus (The Yellow Demo) (2004年): 『Ascendancy』 のプレビュー的な内容。「Like Light to the Flies」等を収録。
- Struck Dead (EP) (2025年): Alex Rüdinger加入後初のリリース音源。
6. Conclusion
TRIVIUMは、単なる「メタリカ・フォロワー」という初期のレッテルを遥かに超え、現代メタルシーンにおける最も信頼性の高い、そして革新的なバンドの一つへと成長した。TRIVIUMの歴史は「変化への恐れなさ」と「技術への執着」の記録である。Matt Heafyを中心とした強固なクリエイティブ・コア、そしてAlex Bent等の卓越したドラマーたちの貢献により、TRIVIUMはジャンルの壁を破壊し続けてきた。現在、新ドラマーAlex Rüdingerを迎えたTRIVIUMは、四半世紀にわたるキャリアを経てもなお、メタルの未来を切り拓く最前線に立ち続けている。
News
IN FLAMESとTRIVIUM、2027年春に欧州共同ヘッドライン・ツアー — PALEFACE SWISSとVOLAが全公演サポート
2027年3月29日のダブリン3Arenaから5月7日のカトヴィツェSpodekまで全26公演。英国とアイルランドはTRIVIUMがヘッドライナーでIN FLAMESがスペシャル・ゲスト、北欧では逆にIN FLAMESがヘッドライナーを務め、それ以外の欧州本土では両者が共同ヘッドライナーとして出演する。アーティスト先行は8月26日10時CEST、一般発売は8月28日10時CEST。
IN FLAMESの地元ヨーテボリ公演に、DARK TRANQUILLITYのミカエル・スタンネとTRIVIUMのマット・ヒーフィーが客演
8月22日の<Göteborg Brinner>にて。ヒーフィーは1996年の『The Jester Race』収録の「Artifacts Of The Black Rain」で、スタンネは自身がヴォーカルを務めた1994年のデビュー作『Lunar Strain』収録の「Behind Space」で共演した。