SUNSTORM
SUNSTORMの詳しいBiographyと全作品のディスコグラフィ。アルバムごとの個別ページも掲載するMETAL BOOSTのアーティストページ。
Biography
サンストーム (SUNSTORM)
メロディック・ロック プロジェクトの進化と変遷
1. 21世紀におけるAORの再定義と「サンストーム (SUNSTORM)」の特異性
2000年代以降のメロディック・ロック (Melodic Rock) およびAOR (Adult Oriented Rock) シーンにおいて、イタリアのレコードレーベルであるフロンティアーズ・レコード (Frontiers Records) が果たした役割は計り知れない。その中でも、サンストーム (SUNSTORM)は、単なる一過性のプロジェクトを超え、レーベルの象徴的な「ブランド」へと成長した稀有な例である。
当初、アメリカン・ハードロックの伝説的ヴォーカリスト、ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) の未発表音源を世に送り出すためのアーカイブ・プロジェクトとして発足したこのバンドは、20年近い歴史の中でメンバーチェンジ、プロデューサーの交代、そして音楽性の劇的なシフトを経験してきた。特に、創設メンバーであり 「サンストーム (SUNSTORM) の声」そのものであったターナーの離脱と、現代ハードロック界の寵児ロニー・ロメロ (Ronnie Romero) への交代劇は、ロック・コミュニティにおいて「バンドのアイデンティティとは何か」という根源的な問いを投げかけた。
2. 起源: テープ・トレーディングと失われたデモ (1999-2006)
サンストーム (SUNSTORM) の物語は、公式な結成の数年前、インターネットが普及する以前の「テープ・トレーディング (Tape Trading)」の文化に端を発する。
2.1 セラフィノ・ペルジーノ (Serafino Perugino) の発見
フロンティアーズ・レコード (Frontiers Records) の社長であるセラフィノ・ペルジーノ (Serafino Perugino)と、同レーベルのマネージャーを務めるマリオ・デ・リソ (Mario de Riso)は、ビジネスパートナーである以前に、熱狂的なメロディック・ロックのファンであり、友人同士であった。彼らは頻繁に希少な音源やブートレグ (海賊版)を交換し合っており、その中には後にサンストーム (SUNSTORM) の核となる重要なカセットテープが存在した。
ある日、デ・リソはジャーナリストから入手した1本のカセットテープをペルジーノに手渡した。そこには「未発表のジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) のセカンド・アルバム用デモ」が収録されていた。これらの楽曲は、ターナーがレインボー (Rainbow) 脱退後に発表したソロ・デビュー作『レスキュー・ユー (Rescue You)』 (1985年)の路線を継承する、極めて高品質なAORナンバーであった。
2.2 ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) の証言と背景
後にターナー自身が語ったところによると、これらの楽曲は彼が当時所属していたエレクトラ・レコード (Elektra Records) からのセカンド・ソロ・アルバムのために制作されたものであった。当時のターナーは、よりコマーシャルな市場を意識し、ソングライティング能力の向上に注力していた時期である。しかし、プロデューサーの解雇やレーベルとの契約解消といったトラブルが重なり、これらの「名曲」は長らく陽の目を見ることなく、倉庫の埃に埋もれることとなった。「何の理由もなく、何も起こらなかった」とターナーは当時の状況を振り返っている。
2.3 ジム・ピートリック (Jim Peterik) との再会
数年後、フロンティアーズ・レコード (Frontiers Records) がジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) と正式にアーティスト契約を結んだ際、ペルジーノはこの「幻のデモテープ」の存在をターナーに提示した。ターナー自身も「これらの曲はクラシックであり、時の試練に耐えうる」と認め、プロジェクトの始動に合意した。
さらにプロジェクトを強化するため、ペルジーノはターナーを、かつてのコラボレーターであり、サバイバー (Survivor) の創設メンバーとしても知られるAORの巨匠、ジム・ピートリック (Jim Peterik) と引き合わせた。両者はかつて、ディープ・パープル (Deep Purple) のアルバム『スレイヴス・アンド・マスターズ (Slaves and Masters)』に続く作品(未発表)のために共作を行っており、互いに深い信頼関係で結ばれていた。サンストーム (SUNSTORM) の初期構想は、ターナーの未発表曲、ピートリックによる提供曲、そしてペルジーノが選定した外部ライターの楽曲を融合させ、80年代の理想的なAORアルバムを2000年代に再構築することにあった。
3. 第1期: ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) & デニス・ワード (Dennis Ward) 時代 (2006-2012)
この時期のサンストーム (SUNSTORM)は、ドイツのハードロック・バンド、ピンク・クリーム69 (Pink Cream 69) のベーシスト兼プロデューサーであるデニス・ワード (Dennis Ward) が制作の指揮を執った。ワードの緻密でクリアなプロダクションは、ターナーのソウルフルな歌声を際立たせ、メロディック・ロック・ファンの間で絶大な支持を得た。
3.1 デビュー・アルバム『サンストーム (SUNSTORM)』 (2006)
- リリース: 2006年
- プロデューサー: デニス・ワード (Dennis Ward)
- 主要メンバー:
- ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner): リード・ヴォーカル
- デニス・ワード (Dennis Ward): ベース、ギター、キーボード、バッキング・ヴォーカル
- ウヴェ・ライテナウアー (Uwe Reitenauer): ギター (Pink Cream 69)
- クリス・シュミット (Chris Schmidt): ドラムス
- ヨッヘン・マイヤー (Jochen Weyer): キーボード
分析: 記念すべき第1作目は、まさに「失われた80年代の宝石」と呼ぶにふさわしい内容であった。ジム・ピートリック (Jim Peterik) やダン・ハフ (Dann Huff) (Giant) といったAOR界の重鎮がソングライティングに関与しており、オープニングからエンディングまで、フックのあるメロディと煌びやかなキーボード、そしてドライヴ感のあるギターが支配している。メタル・アーカイブス (Metal Archives) 等のレビューサイトでも高評価を獲得しており、プロジェクトとしての成功を決定づけた。
3.2 2ndアルバム『ハウス・オブ・ドリームス (House of Dreams)』 (2009)
- リリース: 2009年4月17日
- プロデューサー: デニス・ワード (Dennis Ward)
分析: 前作の成功を受け、よりバンドとしての一体感を強化した作品。引き続きデニス・ワード (Dennis Ward) がプロデュースを担当したが、楽曲はよりダイナミックで、ハードロックとしてのエッジが増した。アルバム・タイトルが示す通り、「夢の館」のような壮大でドラマティックな世界観が展開され、ファンの間では「初期の最高傑作」との呼び声も高い。ターナーのヴォーカル・パフォーマンスも脂が乗っており、高音域の伸びと中低域の艶が見事なバランスを保っていた。
3.3 3rdアルバム『エモーショナル・ファイア (Emotional Fire)』 (2012)
- リリース: 2012年2月24日
- プロデューサー: デニス・ワード (Dennis Ward)
- コンセプト: バック・ヴォーカル時代のセルフ・トリビュート
分析: 第1期の締めくくりとなる本作は、ユニークなコンセプトに基づいている。ターナーは80年代後半、マイケル・ボルトン (Michael Bolton) やシェール (Cher) といったアーティストのアルバムにバック・ヴォーカリストとして参加していた。本作では、彼がバックを務めた楽曲(マイケル・ボルトンの「Emotional Fire」 「Gina」等)を、自身がリード・ヴォーカルとして再録音 (カバー) している。
楽曲とクレジットの詳細:
- 「Emotional Fire」: マイケル・ボルトン (Michael Bolton)、ダイアン・ウォーレン (Diane Warren)、デズモンド・チャイルド (Desmond Child) というヒットメーカーたちによる共作。
- 「You Wouldn't Know Love」: こちらもボルトンとウォーレンのペンによる楽曲。
制作陣: エグゼクティブ・プロデューサーにセラフィノ・ペルジーノ (Serafino Perugino) とマーク・ウェクスラー (Mark Wexler)。ヴォーカル・プロデュースはターナー自身とトム・マーリン (Tom Merlynn) が担当した。このアルバムは、ターナーがいかに80年代のメインストリーム・ロック・シーンの裏側で重要な役割を果たしていたかを再確認させる作品となった。
4. 第2期: アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio) 時代とハードロックへの傾倒 (2016-2018)
2016年、サンストーム (SUNSTORM) は大きな転換点を迎える。長年プロデューサーを務めたデニス・ワード (Dennis Ward)に代わり、フロンティアーズ・レコード (Frontiers Records) のハウス・プロデューサーであり、マルチ・インストゥルメンタリストのアレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio) が制作の全権を握ることとなった。
4.1 4thアルバム『エッジ・オブ・トゥモロー (Edge of Tomorrow)』 (2016)
- リリース: 2016年5月13日
- プロデューサー: アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio)
- 主要メンバー:
- ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner): ヴォーカル
- アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio): キーボード、ハモンドオルガン、バッキング・ヴォーカル
- シモーネ・ムラローニ (Simone Mularoni): ギター (DGM)
- ニック・マッツコーニ (Nik Mazzucconi): ベース
- フランチェスコ・ジョヴィーノ (Francesco Jovino): ドラムス (Primal Fear, Hardline)
分析: デル・ヴェッキオの参画により、サウンドは劇的に変化した。従来の洗練されたAORサウンドから、より現代的で攻撃的な「メロディック・ハードロック」へと舵を切ったのである。イタリアのプログレッシブ・メタル・バンド、DGMのギタリストであるシモーネ・ムラローニ (Simone Mularoni) の起用は大きく、テクニカルでヘヴィなギターリフが楽曲の中心を占めるようになった。これは、昨今のメロディック・ロック市場において「よりハードなサウンド」が求められているというレーベル側の判断と、デル・ヴェッキオ自身の音楽的志向が反映された結果と言える。
4.2 5thアルバム『ザ・ロード・トゥ・ヘル (The Road to Hell)』 (2018)
- リリース: 2018年6月8日
- プロデューサー: アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio)
- ドラムス: エド・サラ (Edo Sala) に交代
分析: ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) が参加した最後のアルバム。前作の路線をさらに推し進め、タイトル曲「The Road to Hell」 や 「Only the Good Will Survive」に見られるように、パワー・メタルに近い疾走感と重厚さを備えた作品となった。ターナーのヴォーカルは依然として力強いが、AOR的な繊細さよりも、ロック・シンガーとしての咆哮が強調されている。このアルバムのリリース後、ターナーとレーベルの間には埋めがたい溝が生じ始めることとなる。
5. 大分裂: ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) の離脱と論争 (2020-2021)
2020年頃、サンストーム (SUNSTORM) プロジェクトは最大の危機に直面した。創設以来のフロントマンであったジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) がプロジェクトを去り、後任としてロニー・ロメロ (Ronnie Romero) が発表されたのである。この交代劇は、双方の主張が食い違う形で公然とした論争へと発展した。
5.1 ターナーの主張: 「完全性の欠如」
ターナーは各メディアのインタビューにおいて、フロンティアーズ・レコード (Frontiers Records) に対する強い不信感を露わにした。
- 事前の通告なし: ターナーは「フロンティアーズが私抜きでサンストーム (SUNSTORM) のブランドを継続するとは全く知らなかった」と主張し、代替シンガーによる新作の計画が自身の知らないところで進行していたことにショックを受けたと語った。
- 音楽性の相違: レーベル側が「ターナーがクラシック・ロックを離れてヘヴィなサウンドへ移行したがっている」と説明したことに対し、ターナーはこれを否定。「アーティストとして実験的なことをするのは当然だが、AORを嫌いになったわけではない」と反論した。
- ブランドの搾取: ターナーは、サンストーム (SUNSTORM) が本来のAORの精神から乖離し、レーベルが所有する「ブランド」として安易に利用されていると批判。ファンからは「不道徳だ」「誠実さに欠ける (lack of integrity)」といった声が彼のもとに届いたと述べている。
5.2 レーベルとロメロの立場: 「プロジェクトの継続」
一方、新たに加入したロニー・ロメロ (Ronnie Romero)は、自身が「仕事を奪った」わけではないと強調した。
- 雇われの身: ロメロは、「リッチー・ブラックモア (Ritchie Blackmore) からレインボー (Rainbow) への加入要請を受けた時と同じだ。自分から売り込んだわけではない」と語り、レーベルからオファーを受けた時点では、ターナーとの間の交渉や確執については知らされていなかったと弁明した。
- リスペクト: ロメロ自身はターナーの大ファンであり、彼をリスペクトしていると繰り返し述べた。「私はいつもジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) を追いかけて仕事を奪っているように見えるかもしれないが、それは真逆だ」と、自身の置かれた立場への皮肉を交えて語っている。
この騒動は、ロック・ビジネスにおける「バンド名の権利」 と 「オリジナルのアーティストの権利」の対立を浮き彫りにした。
6. 第3期: ロニー・ロメロ (Ronnie Romero) 時代と新生サンストーム (2021-現在)
論争の嵐の中で、サンストーム (SUNSTORM) はロニー・ロメロ (Ronnie Romero) を迎えて新たなスタートを切った。ロメロはチリ出身で、現在はルーマニアに拠点を置くヴォーカリストであり、レインボー (Rainbow)、ローズ・オブ・ブラック (Lords of Black)、マイケル・シェンカー・グループ (MSG) などで活躍する現代最高峰のシンガーの一人である。
6.1 6thアルバム『アフターライフ (Afterlife)』 (2021)
- リリース: 2021年3月12日
- プロデューサー: アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio)
- 主要メンバー:
- ロニー・ロメロ (Ronnie Romero): リード・ヴォーカル
- ミケーレ・サンナ (Michele Sanna): ドラムス
- 他、デル・ヴェッキオ、ムラローニ、マッツコーニが続投。
分析: 新生サンストーム (SUNSTORM) のデビュー作は、タイトルが示す通り 「死後の世界」、つまりプロジェクトの再生をテーマとしている。音楽的には、初期のAORサウンドへの回帰と、ロメロが得意とする70年代ハードロック (特にレインボーやディープ・パープル)の要素を融合させたスタイルが模索された。ロメロの歌声はターナーよりもパワフルで攻撃的であり、バンドのサウンドに新たな「若返り」をもたらした。
6.2 7thアルバム『ブラザーズ・イン・アームス (Brothers in Arms)』 (2022)
- リリース: 2022年8月12日
- プロデューサー: アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio)
- ギタリスト交代: シモーネ・ムラローニに代わり、ルカ・プリンショッタ (Luca Princiotta) (Doro, ex-Bonfire)が加入。
分析: ロメロ体制での2作目。ギタリストの交代により、よりバンド・アンサンブルを重視した、まとまりのあるハードロック・アルバムとなった。
トラックリスト:
- 1. Brothers In Arms
- 2. Games We Play
- 3. I'll Keep Holding On
- 4. I Will Remember
- 5. No Turning Back...他全11曲。
このアルバムで、サンストーム (SUNSTORM) は「ターナーのプロジェクト」という呪縛から徐々に解放され、ロミロをフロントマンとする独立したバンドとしてのアイデンティティを確立し始めた。
6.3 8thアルバム『レストレス・ファイト (Restless Fight)』 (2024)
- リリース: 2024年11月22日
- プロデューサー: アルド・ロノビレ (Aldo Lonobile)
- レーベル: フロンティアーズ・レコード (Frontiers Records)
新体制の構築: 本作からプロデューサーがデル・ヴェッキオからアルド・ロノビレ (Aldo Lonobile) (Secret Sphere) に交代し、メンバーも大幅に一新された。
- ロニー・ロメロ (Ronnie Romero): リード・ヴォーカル
- アルド・ロノビレ (Aldo Lonobile): ギター、プロデュース
- アンドレア・アルカンジェリ (Andrea Arcangeli): ベース (DGM)
- アルフォンソ・モチェリーノ (Alfonso Mocerino): ドラムス (ex-Temperance)
- アントニオ・アガテ (Antonio Agate): キーボード (シンフォニック・アレンジの巨匠)
音楽的特徵: 80年代ギター・ヒーローへの回帰
ロノビレのプロデュース方針は明確であった。「サンストーム (SUNSTORM) のAORのルーツを守りつつ、よりエネルギッシュでボンバスティック (大仰) なアプローチをとる」ことである。特にギターワークにおいては、ジェイク・E・リー (Jake E. Lee) やスティーヴ・スティーヴンス (Steve Stevens) といった80年代のギター・ヒーローを彷彿とさせる、派手でテクニカルなアレンジが施された。これにより、ロメロのヴォーカル・アクロバットとロノビレのギターが火花を散らす、極めてダイナミックな作品が完成した。
トラックリスト:
- 1. I'll Stand For You
- 2. Love's Not Gone
- 3. Hope's Last Stand
- 4. Shot In The Dark
- 5. Without You
- 6. Restless Fight...他全11曲。
7. 主要人物詳細バイオグラフィ (Biographies of Key Personnel)
サンストーム (SUNSTORM) の歴史を彩った主要なミュージシャンたちのプロフィールを以下に詳述する。
ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner)
- 役割: 初代ヴォーカル (2006-2018)
- 出身: アメリカ合衆国
- 経歴: 1980年、レインボー (Rainbow) に加入し、『アイ・サレンダー (I Surrender)』等のヒットを飛ばす。その後、イングヴェイ・マルムスティーン (Yngwie Malmsteen) のバンドや、イアン・ギラン (Ian Gillan) の後任としてディープ・パープル (Deep Purple)に参加。ソウルフルで艶のある中音域と、ポップな感性を持ち合わせ、AORからハードロックまで幅広く歌いこなす「声の職人」。サンストーム (SUNSTORM) は彼のキャリアにおいて、最も長く続いたプロジェクトの一つであった。
ロニー・ロメロ (Ronnie Romero)
- 役割: 2代目ヴォーカル (2021-現在)
- 出身: チリ (現在はルーマニア在住)
- 経歴: 2015年、リッチー・ブラックモアズ・レインボー (Ritchie Blackmore's Rainbow)の再結成シンガーとして大抜擢され、世界的な知名度を得る。ロニー・ジェイムス・ディオ (Ronnie James Dio) を彷彿とさせる力強い歌唱と、フレディ・マーキュリー (Freddie Mercury) のような表現力を併せ持つ。ローズ・オブ・ブラック (Lords of Black)、ザ・フェリーメン (The Ferrymen)、マイケル・シェンカー・グループ(MSG)など、多忙を極める現代のハードロック・シーンの最重要人物。
デニス・ワード (Dennis Ward)
- 役割: プロデューサー、ベース (2006-2012)
- 出身: アメリカ合衆国 (ドイツで活動)
- 経歴: ピンク・クリーム69 (Pink Cream 69)のベーシスト。プロデューサーとしても名高く、アングラ (Angra)、プレイング・マンティス (Praying Mantis)、Krokus などを手掛ける。彼の特徴である「分離の良いクリアな音像」と「分厚いコーラスワーク」は、初期サンストーム (SUNSTORM) のサウンドの核となった。
アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio)
- 役割: プロデューサー、キーボード (2016-2022)
- 出身: イタリア
- 経歴: フロンティアーズ・レコード (Frontiers Records) のハウス・プロデューサー、ソングライター、キーボーディスト。ハードライン (Hardline)、ヨルン (Jorn)、レヴォリューション・セインツ (Revolution Saints) など、数え切れないほどのプロジェクトに関与。メロディック・ロックを現代的な音圧とアレンジで蘇らせる手腕に定評がある。
アルド・ロノビレ (Aldo Lonobile)
- 役割: プロデューサー、ギター (2024-現在)
- 出身: イタリア
- 経歴: パワーメタル・バンド、シークレット・スフィア (Secret Sphere) のギタリスト。近年はプロデューサーとしても頭角を現し、ジェフ・テイト (Geoff Tate) のプロジェクトスウィート・オブリヴィオン (Sweet Oblivion) などを手掛ける。クラシック音楽の素養もあり、劇的でシンフォニックなアレンジと、テクニカルなギタープレイを得意とする。
8. ディスコグラフィ (Discography)
以下に、サンストーム (SUNSTORM) の全スタジオ・アルバムのデータを表形式でまとめる。
表1: スタジオ・アルバム一覧 (Studio Albums)
| 発売年 | アルバム・タイトル (Album Title) | リード・ヴォーカル (Lead Vocals) | プロデューサー (Producer) | レーベル (Label) |
|---|---|---|---|---|
| 2006 | SUNSTORM (サンストーム) | Joe Lynn Turner | Dennis Ward | Frontiers |
| 2009 | House of Dreams (ハウス・オブ・ドリームス) | Joe Lynn Turner | Dennis Ward | Frontiers |
| 2012 | Emotional Fire (エモーショナル・ファイア) | Joe Lynn Turner | Dennis Ward | Frontiers |
| 2016 | Edge of Tomorrow (エッジ・オブ・トゥモロー) | Joe Lynn Turner | Alessandro Del Vecchio | Frontiers |
| 2018 | The Road to Hell (ザ・ロード・トゥ・ヘル) | Joe Lynn Turner | Alessandro Del Vecchio | Frontiers |
| 2021 | Afterlife (アフターライフ) | Ronnie Romero | Alessandro Del Vecchio | Frontiers |
| 2022 | Brothers in Arms (ブラザーズ・イン・アームス) | Ronnie Romero | Alessandro Del Vecchio | Frontiers |
| 2024 | Restless Fight (レストレス・ファイト) | Ronnie Romero | Aldo Lonobile | Frontiers |
表2: アルバム別主要メンバー編成 (Line-up by Album)
| アルバム | ギター (Guitar) | ベース (Bass) | キーボード (Keyboards) | ドラムス (Drums) |
|---|---|---|---|---|
| SUNSTORM | Uwe Reitenauer | Dennis Ward | Jochen Weyer | Chris Schmidt |
| House of Dreams | Uwe Reitenauer | Dennis Ward | Jochen Weyer | Chris Schmidt |
| Emotional Fire | Uwe Reitenauer | Dennis Ward | Justin Dakey | Chris Schmidt |
| Edge of Tomorrow | Simone Mularoni | Nik Mazzucconi | Alessandro Del Vecchio | Francesco Jovino |
| The Road to Hell | Simone Mularoni | Nik Mazzucconi | Alessandro Del Vecchio | Edo Sala |
| Afterlife | Simone Mularoni | Nik Mazzucconi | Alessandro Del Vecchio | Michele Sanna |
| Brothers in Arms | Luca Princiotta | Nik Mazzucconi | Alessandro Del Vecchio | Michele Sanna |
| Restless Fight | Aldo Lonobile | Andrea Arcangeli | Antonio Agate | Alfonso Mocerino |
9. Conclusion
サンストーム (SUNSTORM) の歴史は、単なる一バンドの歴史にとどまらず、21世紀におけるメロディック・ロック・シーンの変遷そのものを映し出している。ジョー・リン・ターナー (Joe Lynn Turner) という巨人の未発表音源を救出することから始まったこのプロジェクトは、デニス・ワード (Dennis Ward) による完璧なAORサウンドの構築、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ (Alessandro Del Vecchio) によるハードロック化、そしてロニー・ロメロ (Ronnie Romero) とアルド・ロノビレ (Aldo Lonobile) による現代的な「ギター・ヒーロー」サウンドへの進化と、常に時代の要請に応じながら姿を変えてきた。
ターナーの離脱にまつわる論争は、ファンにとって痛みを伴うものであったが、結果としてサンストーム (SUNSTORM)は「特定のシンガーのためのプロジェクト」から「永続的な音楽的ブランド」へと脱皮することに成功したとも言える。最新作『レストレス・ファイト』で見せたエネルギッシュな姿勢は、このプロジェクトが依然として「絶え間なき戦い (Restless Fight)」 を続けていく意志の表れである。