HEART

ハート (HEART) は、1970年代から現在に至るまで、アメリカン・ハードロックの風景を根本的に変革し続けてきたバンドである。

Biography

ハート (HEART)
半世紀にわたるロックの革新、姉妹の絆、音楽的進化

1. 太平洋岸北西部の伝説と女性ロックのパイオニア

ハート (HEART) は、1970年代から現在に至るまで、アメリカン・ハードロックの風景を根本的に変革し続けてきたバンドである。ワシントン州シアトル (Seattle, Washington) という土地柄が生んだこのグループは、レッド・ツェッペピア (Led Zeppelin) に代表されるブリティッシュ・ハードロックの重厚なリフと、ジョニ・ミッチェル (Joni Mitchell) のような繊細なフォーク・ミュージックの感性を融合させ、独自の音楽的アイデンティティを確立した。その中心に立つのは、ロック界屈指のパワフルなボーカリストであるアン・ウィルソン (Ann Wilson) と、卓越したギタリストでありソングライターのナンシー・ウィルソン (Nancy Wilson) という姉妹である。

HEARTの功績は、単に商業的な成功―全世界で3,500万枚以上のアルバムセールスや、ビルボード (Billboard) チャートにおいて4つの異なる年代 (70年代、80年代、90年代、2010年代) でトップ10アルバムを送り込むという偉業―にとどまらない。ロックという男性優位のジャンルにおいて、女性がフロントマンを務めるだけでなく、主要なソングライターとしてバンドの主導権を握るモデルケースを確立した点において、その歴史的意義は計り知れない。

2. バイオグラフィ (Biography): 栄光と苦闘の年代記

2.1 起源: アーミーからホワイト・ハートへ (1963-1973)

ハートの物語は、ウィルソン姉妹が加入する以前、1960年代のシアトル (Seattle) のガレージバンドシーンにその源流を持つ。ベーシストのスティーヴ・フォッセン (Steve Fossen) と、ギタリストのロジャー・フィッシャー (Roger Fisher) およびマイク・フィッシャー (Mike Fisher) 兄弟によって結成されたバンド、「アーミー (The Army)」がその母体である。

ウィルソン姉妹の生い立ち
一方、アン・ダスティン・ウィルソン (Ann Dustin Wilson) は1950年6月19日にカリフォルニア州サンディエゴ (San Diego, California) で、ナンシー・ラムーア・ウィルソン (Nancy Lamoureaux Wilson) は1954年3月16日にカリフォルニア州サンフランシスコ (San Francisco, California) で生まれた。父はアメリカ海兵隊 (U.S. Marine Corps) の将校であり、一家は父の任務に伴い、パナマ (Panama) や台湾 (Taiwan) など世界各地の米軍基地周辺を転々とした後、1960年代初頭にシアトル近郊に定住した。この移動の多い生活の中で、姉妹にとって音楽は「どこにいても変わらない故郷」としての役割を果たし、ビートルズ (The Beatles) やフォーク音楽に没頭していった。

バンド名の変遷とアンの加入
「アーミー (The Army)」はその後、「ホワイト・ハート (White HEART)」へと名前を変えながら活動を続けていた。1970年、アン・ウィルソンがバンドのオーディションに参加したことで運命が大きく動き出す。彼女の圧倒的な歌唱力と存在感はメンバーを即座に魅了し、彼女の加入と共にバンド名は正式に「ハート (HEART)」へと短縮された。

当時の時代背景として無視できないのが、ベトナム戦争 (Vietnam War) の影響である。ロジャーの兄であるマイク・フィッシャーは徴兵を忌避しており、カナダへの亡命を余儀なくされた。アンはマイクと恋に落ち、彼を追ってカナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバー (Vancouver, British Columbia) へと拠点を移した。このため、ハートの初期のキャリアはカナダを拠点として形成され、カナダのバンドとして認知されることも多かった。

2.2 黄金のラインナップとデビュー (1974-1976)

ナンシーの加入と二重のロマンス
1974年、大学に通いながらソロのフォークシンガーとして活動していたナンシー・ウィルソンが、姉の後を追ってバンドに加入した。ナンシーの加入は、バンドにリズムギターの厚みをもたらしただけでなく、アコースティックギターによる叙情的な要素を強化した。また、ナンシーはリードギターのロジャー・フィッシャーと恋愛関係になり、アンとマイク (バンドのマネージャー的役割)、ナンシーとロジャーという、中心メンバー同士が二組のカップルであるという特異な構造が生まれた。

この時期、ドラムにマイケル・デロージャー (Michael Derosier)、キーボードとギターにハワード・リース (Howard Leese) が加わり、1970年代の黄金期を支える6人のラインナップ (ウィルソン姉妹、フィッシャー兄弟、フォッセン、デロージャー、リース) が完成した。

『Dreamboat Annie』の衝撃
1975年、カナダのインディーズレーベル「マッシュルーム・レコード (Mushroom Records)」からデビューアルバム『ドリームボート・アニー (Dreamboat Annie)』がリリースされた。このアルバムは、プロデューサーのマイク・フリッカー (Mike Flicker) の手腕もあり、ハードロックのダイナミズムとフォークの繊細さが見事に融合していた。

シングル「マジック・マン (Magic Man)」は、アンとマイク・フィッシャーの恋愛関係と、家族を置いて家を出る娘の心情を描いた楽曲であり、そのシンセサイザーを駆使したサウンドはラジオで爆発的なヒットとなった。続く「クレイジー・オン・ユー (Crazy on You)」では、ナンシーのアコースティックギターによるイントロから攻撃的なリフへと展開する構成がリスナーに衝撃を与えた。アルバムはカナダで成功を収めた後、国境を越えてアメリカでも発売され、ビルボードチャートで7位を記録する大ヒットとなった。

2.3 法的闘争と怒りの名曲 (1977-1979)

成功の代償として、バンドはレーベルとの深刻な対立に直面することとなる。

「Magazine」騒動とスキャンダル広告
マッシュルーム・レコードとの契約交渉が決裂した際、レーベルのクリエイティブ・ディレクターであったシェリー・シーゲル (Shelly Siegel) は、バンドへの報復とも取れる行動に出た。音楽誌『ローリング・ストーン (Rolling Stone)』に全面広告を掲載し、そこには『ドリームボート・アニー』のジャケット撮影時の別カットである、姉妹が肩を露出して背中合わせになった写真が使用された。問題はキャプションで、「ハートのウィルソン姉妹が告白: それはただの初めてだった! (HEART's Wilson Sisters Confess: 'It Was Only Our First Time!')」と記されていた。

このキャプションは、姉妹が近親相姦的なレズビアンの関係にあるかのような低俗な憶測を煽るものであり、アンは激怒した。彼女はこの怒りを持ち帰り、ホテルで歌詞を書き上げた。それが、後にバンドの代表曲となる「バラクーダ (Barracuda)」である。「バラクーダ」とは、大型の肉食魚を意味すると同時に、HEARTを性的な商品としてしか見ない音楽業界の卑劣な人物たちのメタファーであった。

さらにマッシュルーム・レコードは、バンドが移籍を決意した後、未完成のデモ音源やライブ録音を無断で編集し、アルバム『マガジン (Magazine)』として1977年4月にリリースした。バンドは即座に販売差し止めを求めて訴訟を起こした。シアトル (Seattle) の裁判所は、バンド側が改めてボーカルなどを録り直し、満足のいくクオリティに仕上げることを条件にリリースを認めるという判決を下した。その結果、正規の完成版としての『Magazine』は1978年に再リリースされた。

『Little Queen』と『Dog & Butterfly』
法的トラブルの渦中にありながら、バンドはCBSレコード傘下の「ポートレイト・レコード (Portrait Records)」に移籍し、1977年に傑作『リトル・クイーン (Little Queen)』を発表した。「バラクーダ」を収録したこのアルバムは全米9位を記録し、300万枚 (トリプル・プラチナ) を売り上げた。

1978年の『ドッグ・アンド・バタフライ (Dog & Butterfly)』では、バンドの音楽的な二面性がコンセプトとして明確に提示された。アナログ盤のA面は「Dog」サイドとしてハードロックナンバーを、B面は「Butterfly」サイドとしてアコースティックなバラードを中心に構成された。特にラストトラックの「ミストラル・ウィンド (Mistral Wind)」は、静寂から嵐のような轟音へと展開するプログレッシブな大作であり、ファンや批評家から最高傑作の一つと見なされている。

2.4 分裂、低迷、そして再編成 (1980-1984)

1979年、ナンシーとロジャー・フィッシャーの関係が破局を迎えると、バンド内の力関係と創造的なパートナーシップに修復不可能な亀裂が生じた。1979年10月、結成メンバーの一人であるロジャー・フィッシャーがバンドを解雇された。

ロジャー脱退後の初のアルバム『ベベ・ル・ストレンジ (Bébé le Strange)』(1980) は全米5位を記録し、商業的には成功を維持した。しかし、続く1982年の『プライベート・オーディション (Private Audition)』では、アンとナンシーがプロデュース面でのコントロールを強めようとしたものの、楽曲の方向性が定まらず、セールスは25位まで落ち込んだ。

この時期、オリジナルメンバーであるベーシストのスティーヴ・フォッセンとドラマーのマイケル・デロージャーも解雇され、バンドを去った。これにより、初期のサウンドを支えたリズム隊が完全に刷新されることとなった。後任には、元スピリット (Spirit) のマーク・アンデス (Mark Andes) と、元モントローズ (Montrose) のデニー・カーマッシ (Denny Carmassi) が加入した。

1983年の『パッションワークス (Passionworks)』では、プロデューサーにキース・オルセン (Keith Olsen) を迎え、より洗練されたサウンドを目指したが、チャートは39位にとどまり、ゴールドディスクの獲得にも失敗した。バンドはキャピトル・レコード (Capitol Records) へ移籍することになるが、それは音楽的自由と引き換えに、商業的成功を至上命令とする「産業ロック」への転身を迫られることを意味していた。

2.5 MTV時代の変貌と商業的頂点 (1985-1990)

1985年、キャピトル・レコードに移籍したハートは、ロン・ネヴィソン (Ron Nevison) をプロデューサーに迎え、劇的なイメージチェンジを図った。

ビジュアルとサウンドの変革
80年代のMTVブームに合わせ、バンドは派手なメイク、コルセットやレースを多用した衣装、そしてスプレーで大きく膨らませたヘアスタイル (いわゆる「ビッグ・ヘア」) を採用した。音楽적にも、シンセサイザーを前面に押し出し、ゲート・リバーブのかかったドラムサウンドという、当時のアリーナ・ロックの主流を取り入れた。 さらに重要な変化は、外部のソングライターによる楽曲を積極的に採用したことである。ホリー・ナイト (Holly Knight) やダイアン・ウォーレン (Diane Warren)、ビリー・スタインバーグ (Billy Steinberg) といったヒットメーカーたちが曲を提供した。

全米No.1への到達
この戦略は功を奏した。1985年のセルフタイトルアルバム『ハート (HEART)』はバンド初の全米ビルボード200チャート1位を獲得し、500万枚を売り上げる大ヒットとなった。シングル「ホワット・アバウト・ラブ (What About Love)」、「ネヴァー (Never)」、そしてナンシーがリードボーカルを務めた「ジーズ・ドリームス (These Dreams)」はすべてトップ10入りし、「ジーズ・ドリームス」はバンド初の全米シングルチャート1位を記録した。

続く1987年の『バッド・アニマルズ (Bad Animals)』からは、パワーバラードの金字塔「アローン (Alone)」が生まれ、これも全米1位を獲得した。1990年の『ブリゲイド (Brigade)』も全米3位を記録し、シングル「オール・アイ・ウォナ・ドゥ (All I Wanna Do Is Make Love to You)」が大ヒットした。しかし、アンはこの曲の歌詞 (雨の夜にヒッチハイカーを拾い、子供を作るためだけに一夜を共にするという内容) を嫌悪しており、後に「バンドのメッセージとは相容れない」としてライブでの演奏を拒否するようになった。 商業的には頂点を極めたものの、ウィルソン姉妹はこの時期の「作られたイメージ」と、自分たちの音楽的ルーツであるフォークやハードロックからの乖離に強い葛藤を抱いていた。

2.6 原点回帰: ザ・ラヴモンガーズとグランジの時代 (1991-2001)

1990年代に入り、故郷シアトルからニルヴァーナ (Nirvana) やパール・ジャム (Pearl Jam)、アリス・イン・チェインズ (Alice in Chains) といったグランジバンドが台頭すると、80年代的な煌びやかなロックは瞬く間に時代遅れとなった。しかし、ハートにとってこれは「本来の自分たちに戻る」好機でもあった。

ザ・ラヴモンガーズ (The Lovemongers)
ウィルソン姉妹は、長年の友人であり作詞パートナーのスー・エニス (Sue Ennis)、フランク・コックス (Frank Cox) と共に、アコースティック・ユニット「ザ・ラヴモンガーズ (The Lovemongers)」を結成した。このプロジェクトは、大規模なアリーナツアーのプレッシャーから離れ、レッド・ツェッペリンのカバーなどを純粋に楽しむ場として機能した。1992年にはEP『Battle of Evermore』を、1997年にはアルバム『ワーリギグ (Whirlygig)』をリリースした。

ハートとしての活動
ハートとしても、1993年に『デザイア・ウォークス・オン (Desire Walks On)』をリリースし、より生々しいサウンドへの回帰を試みた。1995年には、ジョン・ポール・ジョーンズ (John Paul Jones) をプロデューサーに迎えたアコースティック・ライブアルバム『ザ・ロード・ホーム (The Road Home)』を発表し、初期の名曲を新たなアレンジで披露した。 90年代後半、ナンシーは映画監督キャメロン・クロウ (Cameron Crowe) との結婚 (1986年結婚、2010年離婚) 生活や、彼の映画 (『あの頃ペニー・レインと』など) の音楽制作に注力し、バンドは一時的な活動休止状態となった。

2.7 復活とレジェンドへの昇華 (2002-2015)

2002年、ナンシーとアンは再びタッグを組み、ハートを再始動させた。2004年の『ジュピターズ・ダーリング (Jupiters Darling)』は批評家から高く評価されたが、チャートアクションは振るわなかった。しかし、ライブバンドとしての評価は依然として高く、継続的なツアーを行った。

ケネディ・センター名誉賞と「天国への階段」
2012年12月、ハートはワシントンD.C.のケネディ・センター (Kennedy Center) で行われた名誉賞授賞式において、レッド・ツェッペリンへのトリビュート・パフォーマンスを行った。故ジョン・ボーナム (John Bonham) の息子ジェイソン・ボーナム (Jason Bonham) をドラムに迎え、大規模なクワイアと共に「天国への階段 (Stairway to Heaven)」を演奏した。アンの魂を揺さぶるボーカルと、ナンシーのアコースティックギター、そして壮大なクライマックスは、客席で見守っていたロバート・プラント (Robert Plant) の目に涙を浮かべさせ、ジミー・ペイジ (Jimmy Page) をも感嘆させた。このパフォーマンス映像はYouTubeなどで拡散され、ハートの実力を世界に再認識させる決定的な瞬間となった。

ロックの殿堂入り
2013年、ハートはロックの殿堂 (Rock and Roll Hall of Fame) 入りを果たした。式典では、ウィルソン姉妹に加え、ロジャー・フィッシャー、スティーヴ・フォッセン、マイケル・デロージャー、ハワード・リースという「クラシック・ラインナップ」が一夜限りの再結成を果たし、「クレイジー・オン・ユー」を演奏した。

2.8 亀裂、活動休止、そして再起 (2016-Present)

2016年、バンドの存続を脅かす深刻な家庭内トラブルが発生した。

暴行事件と「サンクチュアリ・ゾーン」
2016年8月26日、ワシントン州オーバーン (Auburn, Washington) でのコンサート中、アンの夫であるディーン・ウェッター (Dean Wetter) が、ナンシーの16歳になる双子の息子たちに対し暴行を加える事件が起きた。少年たちがツアーバスのドアを閉め忘れたことにウェッターが激昂し、少年の一人を殴打し、もう一人の首を絞めたとされる。ウェッターは逮捕され、後に第4級暴行罪で有罪判決を受けた。 この事件は姉妹の関係を冷え込ませた。残りのツアー期間中、二人は会話を交わさず、楽屋も別々にする措置 (「サンクチュアリ・ゾーン」と呼ばれた) が取られた。ツアー終了後、ハートは無期限の活動休止に入った。

ソロ活動とロードケース・ロイヤル
休止中、ナンシーは新バンド「ロードケース・ロイヤル (Roadcase Royale)」を結成した。プリンス (Prince) のバンドメンバーであったリヴ・ウォーフィールド (Liv Warfield) をボーカルに迎え、R&B色の強いロックを展開した。一方、アンはソロアルバム『イモータル (Immortal)』(2018) をリリースし、自身のバンドでツアーを行った。

和解と「ロイヤル・フラッシュ・ツアー」、そして病との闘い
2019年、姉妹は和解し、「ラブ・アライブ (Love Alive)」ツアーでハートとしての活動を再開した。しかし、パンデミックによる中断を経て、2024年に大規模な「ロイヤル・フラッシュ (Royal Flush)」ツアーを開始した直後、再び試練が訪れた。 アン・ウィルソンが定期検診で癌 (cancer) と診断され、手術と予防的化学療法を受ける必要が生じたためである。これにより、2024年の残りの日程はすべて延期された。アンは治療に専念し、2024年9月には「癌は消失した (clear)」との診断を受け、化学療法を終えたことを公表した。

2025年、バンドはツアーを再開する予定である。2月28日のラスベガス (Las Vegas) 公演を皮切りに、サクラメント (Sacramento)、シアトル (Seattle)、バンクーバー (Vancouver) など北米19都市を巡るスケジュールが発表されており、サポートアクトにはチープ・トリック (Cheap Trick) が帯同する。

3. ディスコグラフィ (Discography)

ハートのディスコグラフィは、レーベルの移籍や法的問題により複雑な経緯を辿っている。以下に、スタジオアルバム、主要なライブアルバム、コンピレーション、および特筆すべきシングルを詳細に解説する。

3.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)

発売年 タイトル (Title) レーベル (Label) チャート
(US/CAN/UK)
プラチナ認定
(RIAA)
概要・主要収録曲
1975 Dreamboat Annie Mushroom US: 7
CAN: 20
UK: 36
Platinum 記念すべきデビュー作。フォークとハードロックの融合。
Hit: "Magic Man", "Crazy on You"
1977 Little Queen Portrait US: 9
CAN: 2
UK: 34
3x Platinum マッシュルーム離脱後の傑作。よりハードな路線へ。
Hit: "Barracuda", "Little Queen"
1977/78 Magazine Mushroom US: 17
CAN: 13
Platinum 未完成版(1977)と正規完成版(1978)が存在する法廷闘争の産物。
Hit: "HEARTless"
1978 Dog & Butterfly Portrait US: 17
CAN: 9
2x Platinum A面(Dog=Rock)とB面(Butterfly=Ballad)のコンセプト作。
Hit: "Straight On", "Dog & Butterfly"
1980 Bébé le Strange Epic US: 5
CAN: 24
Gold ロジャー・フィッシャー脱退後初。ニューウェーブの影響も。
Hit: "Even It Up"
1982 Private Audition Epic US: 25
CAN: 21
- セールス低迷期。リズム隊交代の過渡期作品。
Song: "This Man Is Mine"
1983 Passionworks Epic US: 39
CAN: 7
- キース・オルセン制作。80sサウンドへの移行実験。
Song: "How Can I Refuse"
1985 HEART Capitol US: 1
CAN: 3
UK: 19
5x Platinum 最大のヒット作。ロン・ネヴィソン制作による産業ロック化。
Hit: "These Dreams", "What About Love", "Never"
1987 Bad Animals Capitol US: 2
CAN: 3
UK: 7
3x Platinum パワーバラード全盛期。アンのボーカルが冴え渡る。
Hit: "Alone", "Who Will You Run To"
1990 Brigade Capitol US: 3
CAN: 2
UK: 3
2x Platinum 80年代路線の集大成。
Hit: "All I Wanna Do Is Make Love to You", "Stranded"
1993 Desire Walks On Capitol US: 48
CAN: 36
Gold グランジ時代への対応。よりオーガニックな音作り。
Song: "Black on Black II", "Will You Be There"
2004 Jupiters Darling Sovereign US: 94 - 11年ぶりのスタジオ作。原点回帰の評価が高い。
2010 Red Velvet Car Legacy US: 10 - ビルボードTop10返り咲き。フォーク・ロックの復権。
2012 Fanatic Legacy US: 24 - ベン・ミンク (Ben Mink) プロデュース。ヘヴィなサウンド。
2016 Beautiful Broken Concord US: 105 - 新曲と過去曲の再録音。ジェイムズ・ヘットフィールド参加。

3.2 ライブ・アルバム (Live Albums)

  • Greatest Hits/Live (1980): 2枚組LP。3面までがスタジオベスト、4面がライブ音源という構成。初期の勢いを記録している。
  • Rock the House Live! (1991): マサチューセッツ州ウースター (Worcester, Massachusetts) でのライブ。「アリーナ・ロック」時代のハートの到達点。
  • The Road Home (1995): シアトルでのクラブ・ギグを収録したアンプラグド・アルバム。ジョン・ポール・ジョーンズ (John Paul Jones) がプロデュースと演奏で参加しており、楽曲の新たな魅力を引き出した。
  • Alive in Seattle (2003): 地元シアトルでの再始動ライブ。
  • Live in Atlantic City (2019): 2006年にVH1で放送された「Decades Rock Live」の音源。アリス・イン・チェインズ (Alice in Chains)、デイヴ・ナヴァロ (Dave Navarro)、キャリー・アンダーウッド (Carrie Underwood) ら豪華ゲストとの共演が聴ける。

3.3 コンピレーション・アルバム (Compilations)

  • These Dreams: Greatest Hits (1997): キャピトル時代のヒット曲を中心とした選曲。
  • Greatest Hits: 1985-1995 (2000): 80年代後半から90年代にかけての商業的成功期を網羅。
  • The Essential HEART (2002): レーベルの枠を超え、70年代のソニー音源と80年代のキャピトル音源を統合した決定版(2枚組)。
  • Love Alive (2005): 代表曲のライブバージョンや未発表テイクを含む。

3.4 クリスマス・アルバムと関連プロジェクト作品

ハートおよびウィルソン姉妹は、クリスマスシーズンに向けた作品もリリースしているが、名義が異なるため注意が必要である。

  • Here Is Christmas (1998): 「ザ・ラヴモンガーズ (The Lovemongers)」名義。
  • HEART Presents a Lovemongers' Christmas (2001): 上記アルバムを「ハート」名義で再発し、ボーナストラックを追加したもの。
ザ・ラヴモンガーズのディスコグラフィ:
  • Battle of Evermore (1992, EP): ライブ音源を含む4曲入り。
  • Whirlygig (1997, Album): ウィル・レコード (Will Records) からリリースされたフルアルバム。
ロードケース・ロイヤル (Roadcase Royale) のディスコグラフィ:
  • First Things First (2017): ナンシー・ウィルソン率いるバンドのデビューアルバム。
アン・ウィルソンのソロ・ディスコグラフィ:
  • Hope & Glory (2007): カバーアルバム。
  • The Ann Wilson Thing! #1 & #2 (2015-2016): EPシリーズ。
  • Immortal (2018): 亡くなったアーティストへのトリビュート。
  • Fierce Bliss (2022): オリジナルアルバム。
  • Another Door (2023): バンド「Tripsitter」と共に制作。

4. メンバー変遷 (Member Timeline): ハートを形成した人々

ハートの歴史は、ウィルソン姉妹という不動の核と、それを支えるミュージシャンたちの変遷の歴史でもある。

現在のメンバー (Current Members - 2024/2025 Tour)

  • アン・ウィルソン (Ann Wilson): リードボーカル、フルート (1970-現在)
  • ナンシー・ウィルソン (Nancy Wilson): リズム/リードギター、ボーカル、マンドリン (1974-1995, 2002-2016, 2019-現在)
  • ライアン・ウォーターズ (Ryan Waters): リードギター (2019-現在) - プリンス (Prince) の門下生であり、ナンシーの「ロードケース・ロイヤル」からの帯同。
  • ライアン・ワリナー (Ryan Wariner): ギター (2023-現在)
  • ポール・モーク (Paul Moak): キーボード、リズムギター (2023-現在)
  • トニー・ルシード (Tony Lucido): ベース (2023-現在)
  • ショーン・T・レーン (Sean T. Lane): ドラムス (2023-現在)

クラシック・ラインナップ (Classic Lineup - 1974-1979)

ロックの殿堂入りを果たした、最も創造的で影響力のあった時期のメンバー。

  • ロジャー・フィッシャー (Roger Fisher): ギター (1967-1979) - 「バラクーダ」のリフに代表される、攻撃的かつ独創的なギタープレイで初期ハートのサウンドを決定づけた。ナンシーとの破局後、バンドを追われた。
  • スティーヴ・フォッセン (Steve Fossen): ベース (1967-1982) - バンドの創設者の一人。堅実なベースラインでボトムを支えた。
  • マイケル・デロージャー (Michael Derosier): ドラムス (1975-1982) - ジョン・ボーナム (John Bonham) の影響を受けたパワフルでグルーヴ感のあるドラミングは、ハートのハードロック・サイドの要であった。
  • ハワード・リース (Howard Leese): キーボード、ギター (1975-1998) - 20年以上にわたり在籍した最古参の非ウィルソン・メンバー。キーボードによる色彩感の付与から、ロジャー脱退後のリードギターまでマルチにこなした。

80年代黄金期の主要メンバー (The 80s Era)

  • マーク・アンデス (Mark Andes): ベース (1982-1992) - 元スピリット (Spirit)、ファイアーフォール (Firefall)。ステージアクションの派手さでも知られた。
  • デニー・カーマッシ (Denny Carmassi): ドラムス (1982-1993) - 元モントローズ (Montrose)、サミー・ヘイガー (Sammy Hagar) バンド。80年代特有のビッグなドラムサウンドを体現した。

5. 不滅の心臓

ハートの物語は、単なるロックバンドの成功譚ではない。それは、業界の性差別や搾取に対する闘いであり、姉妹の揺るぎない絆の記録であり、そして何より、音楽への純粋な探求心の歴史である。 初期のフォークとハードロックの融合は、後のグランジやオルタナティブ・ロックに多大な影響を与えた。アン・ウィルソンのボーカルは、ロックにおける女性ボーカリストの基準を引き上げ、ナンシー・ウィルソンのギタープレイは、女性が「飾り」ではなく「楽器を操る司令塔」になれることを証明した。

2024年のアンの癌診断という危機を乗り越え、2025年に予定されている「ロイヤル・フラッシュ・ツアー」は、ハートの心臓がまだ力強く鼓動していることを世界に示す場となるだろう。チープ・トリック (Cheap Trick) を従えて北米を巡るこのツアーは、半世紀以上にわたるHEARTのレガシーを祝う祝祭となるはずである。

News

HEART、10年ぶりの新作が「ほぼ完成」— Nancy Wilsonが明言

Gold Derbyのインタビューで発言。ナッシュビルでほぼライヴ録音し、8月末に納品予定。前作は2016年『Beautiful Broken』。

出典: Blabbermouth(2026年8月6日)

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Albums

Beautiful Broken CD
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過去曲の再解釈を通じて、HEARTの強靭な歌とロックの核をあらためて浮かび上がらせる一作。

Fanatic CD
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力強い女性ヴォーカルと多彩な曲調で、HEARTが今なお持つロックの生命力を示した一作。

Red Velvet Car CD
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深みある歌声と重厚なロック感で、HEARTの成熟を映した一作。

Jupiters Darling CD
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アコースティックな温度と重いギターを行き来し、HEARTが円熟したロックの幅を見せた第十二作。

Desire Walks On CD
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ウィルソン姉妹の力強い歌とギターを軸に、ハード・ロック、ポップ、フォークの色彩を広げたHEARTの一作。

Brigade CD
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大きく開くメロディと力強いヴォーカルで、HEARTがアリーナ規模のロックを完成させた第十作。

Bad Animals CD
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アン・ウィルソンの圧倒的な歌唱と大きなコーラスで、HEARTがアリーナ・ロックの強度を示した一枚。

Heart CD
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大きなメロディと力強い歌声を前面に置き、HEARTが80年代型アリーナ・ロックへ鮮やかに踏み出した第8作。

Passionworks CD
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鋭いギターと豊かな歌声を現代的な音像へ収め、HEARTが変化の途上を刻んだ第七作。

Private Audition CD
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重いギターと陰影ある歌を結び、HEARTがより内省的な表情を見せた第六作。

Bebe le Strange CD
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重いギターと表情豊かな歌を軸に、HEARTが変化の時期を力強く越えた第五作。

Dog & Butterfly CD
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豪快なロック面と繊細なアコースティック面を対比させ、HEARTの表現力を広げた第4作。

Little Queen CD
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アン・ウィルソンの圧倒的な歌声と鋭いギターで、HEARTがハード・ロックの存在感を決定付けた第3作。

Magazine CD
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契約問題の渦中で初出した、HEART初期の熱と複雑な経緯を刻む第2作。

Dreamboat Annie CD
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アコースティックな叙情と強いギター・ロックを結び、HEARTが鮮烈に登場したデビュー作。