EDGUY

1990年代初頭、世界の音楽シーンはグランジやオルタナティブ・ロックの猛烈な嵐の中にあった。

Biography

エドガイ (EDGUY)
フルダからの飛翔、音楽的変遷

1990年代のメタル・シーンにおけるエドガイ (EDGUY) の登場と意義

1990年代初頭、世界の音楽シーンはグランジやオルタナティブ・ロックの猛烈な嵐の中にあった。ニルヴァーナ (Nirvana) やパール・ジャム (Pearl Jam) の台台により、1980年代を席巻した華美なヘヴィメタルやハードロックは「時代遅れの遺物」としての烙印を押され、多くのバンドが解散や路線変更を余儀なくされていた。特に、伝統的なメロディと疾走感を重んじるパワーメタル (Power Metal) というジャンルにとって、それはまさに冬の時代であったと言える。

そのような逆風が吹き荒れる1992年、ドイツ連邦共和国ヘッセン州 (Hessen) の古都フルダ (Fulda) において、当時まだ14歳の少年たちによって結成されたのがエドガイ (EDGUY) である。EDGUYは、ハロウィン (Helloween) やガンマ・レイ (Gamma Ray) といったジャーマン・メタル (German Metal) の先達が築き上げた様式美を継承しつつ、若さゆえの無謀さと、既存の枠にとらわれないユーモア、そしてトビアス・サメット (Tobias Sammet) という稀代のフロントマンのカリスマ性を武器に、シーンの最前線へと躍り出た。

第1章: 結成と初期の闘争 (1992-1996)

1.1 「エドガー」の伝説とバンド名の由来

エドガイ (EDGUY) の歴史は、フルダ (Fulda) のギムナジウムに通う4人の学生、トビアス・サメット (Tobias Sammet - Vocals/Keyboards/Bass)、イェンス・ルートヴィヒ (Jens Ludwig - Lead Guitar)、ディルク・ザウアー (Dirk Sauer - Rhythm Guitar)、そしてドミニク・ストルチ (Dominik Storch - Drums) によって1992年に幕を開けた。

彼らのバンド名「EDGUY」は、メタル・シーンにおいて最も奇妙な由来を持つ名前の一つとして知られている。これは彼らの当時の数学 (資料によっては物理ともされる) 教師であった「エドガー (Edgar)」 氏に由来するあだ名であった。トビアス・サメット (Tobias Sammet) は後のインタビューで、この命名について次のように回想している。

「私たちは法的トラブルを避けるために、誰も使っていない言葉を発明しようとした。先生のあだ名をバンド名にするというのは、当時の私たちにとっては素晴らしいアイデアに思えたんだ。まるで思春期を過ぎたサーフ・パンク・バンドのような名前だけど、アルバムを何枚も出した後ではもう変えるには遅すぎたんだ」

このエピソードは、エドガイ (EDGUY) がキャリアを通じて貫くことになる「シリアスな音楽性」と「ふざけたユーモア感覚」の共存というアイデンティティを象徴している。彼らは権威 (教師) をおちょくりながらも、音楽に対しては真摯であった。

1.2 音楽的ルーツとデモテープ時代

結成当初のEDGUYは、キッス (KISS)、AC/DC、アイアン・メイデン (Iron Maiden)、そしてボン・ジョヴィ (Bon Jovi) といったバンドのカバーを演奏していたが、すぐにオリジナル楽曲の制作へと移行した。特にトビアス・サメット (Tobias Sammet)は、ハロウィン (Helloween) の『Keeper of the Seven Keys (守護神伝)』シリーズに強い衝撃を受けており、ジャーマン・メタル特有のツインギターのハーモニーとハイトーン・ボーカル、 arenaで映える音」が追求されている。

1994年、バンドは2本のデモテープ 『Evil Minded』と『Children of Steel』 を制作した。これらのデモは、当時のテープ・トレードのネットワークを通じてアンダーグラウンド・シーンで評価され始めたが、メジャー・レーベルとの契約には至らなかった。当時の音楽業界は依然としてグランジの影響下にあり、ドイツの田舎町の少年たちが演奏する伝統的なヘヴィメタルに投資しようとするレーベルは皆無に等しかったのである。

1.3 自主制作アルバム 『Savage Poetry』 (1995)

レコード会社からの拒絶に直面したEDGUYは、諦めるどころか、自費でアルバムを制作するという大胆な決断を下した。1995年にリリースされた『Savage Poetry』は、完全にインディペンデントな体制で作られた作品であった。

このアルバムは、プロダクションこそ粗削りであったものの、楽曲のクオリティは新人離れしていた。「Key to My Fate」や「Hallowed」といった楽曲には、すでに後のエドガイ (EDGUY) 節とも言えるドラマティックな展開と哀愁を帯びたメロディが完成されていた。この自主制作盤の成功が、後にAFM レコード (AFM Records) の目に留まり、EDGUYの運命を大きく変えることになる。

第2章: AFMレコード時代とパワーメタルの復権 (1997-2003)

2.1 『Kingdom of Madness』: プロフェッショナルへの第一歩

1997年、AFMレコード (AFM Records) と契約を結んだバンドは、公式なデビューアルバム『Kingdom of Madness』をリリースした。この契約はバンドにとって大きな転機となり、よりプロフェッショナルな環境でのレコーディングが可能となった。

本作には、ドイツ・メタルの重鎮であるグレイヴ・ディガー (Grave Digger) のクリス・ボルテンダール (Chris Boltendahl) がゲスト参加しており、大曲「The Kingdom」でその強烈な歌声を披露している。これは、若きエドガイ (EDGUY) がドイツのメタル・コミュニティにおいて「次世代の旗手」として受け入れられつつあったことを示唆している。しかし、このリリースの直後、ドラマーのドミニク・ストルチ (Dominik Storch) が脱退し、バンドは初期のラインナップ変更を余儀なくされた。

2.2 『Vain Glory Opera』: 世界的ブレイクスルー

1998年リリースの2ndアルバム『Vain Glory Opera』は、エドガイ (EDGUY) をローカル・バンドから国際的なアクトへと飛躍させた決定的な作品である。本作のプロデュースには、ストラトヴァリウス (Stratovarius) のティモ・トルキ (Timo Tolkki) が招かれ、サウンド・プロダクションのクオリティが劇的に向上した。

さらに、ブラインド・ガーディアン (Blind Guardian) のハンシ・キアシュ (Hansi Kürsch) がゲスト・ボーカルとして参加し、「Out of Control」やタイトルトラック「Vain Glory Opera」でトビアス・サメット (Tobias Sammet) との壮絶なデュエットを披露した。このアルバムによって、エドガイ (EDGUY) はメロディック・パワーメタル・ファンの間で「必聴のバンド」としての地位を確立した。

ラインナップの固定化: この時期、バンドのリズム隊が刷新された。ドラムにはフェリックス・ボーンケ (Felix Bohnke) が、ベースにはトビアス・エクセル (Tobias Exxel) が加入した。トビアス・サメット (Tobias Sammet) はそれまでベースを兼任していたが、これによりボーカルとソングライティングに専念できるようになった。この5人 (サメット、ルートヴィヒ、ザウアー、エクセル、ボーンケ) のラインナップは、2020年の活動休止まで20年以上にわたり不動のものとなる。これはメンバーチェンジの激しいメタル界において奇跡的な結束力と言える。

2.3 『Theater of Salvation』: 様式美の極致

1999年の『Theater of Salvation』は、前作の成功を受けて制作された、「最もエドガイ (EDGUY) らしい」 パワーメタル・アルバムである。複雑な変拍子、重厚なクワイア、クラシック音楽の影響を受けたオーケストレーションが導入され、「Babylon」や「The Pharaoh」といった長尺の叙事詩的な楽曲が収録された。本作はドイツのナショナル・チャートに初めてランクイン (66位) し、商業的な成功への足がかりとなった。

2.4 『The Savage Poetry』: 過去の再構築

2000年、バンドはデビュー前の自主制作盤『Savage Poetry』を現行の「黄金のラインナップ」で完全に再録音し、『The Savage Poetry』としてリリースした。これは単なるリマスターではなく、楽曲のアレンジを見直し、演奏技術と録音環境を現代的なレベルに引き上げた「リメイク」であった。オリジナルの荒々しさと、成熟したバンドの表現力が融合した本作は、ファンの間で非常に高い評価を得ている。日本盤 (Japanese Edition) には帯 (Obi) が付属し、ボーナストラックの追加こそなかったものの、初期の名曲が高音質で蘇ったことは日本のメタル・ファンにとって大きな喜びであった。

2.5 『Mandrake』 と 『Burning Down The Opera』: AFM時代の集大成

2001年の『Mandrake』は、バンドがパワーメタルの枠組みの中で独自のダークかつシニカルな世界観を確立した傑作である。「Tears of a Mandrake」のようなミドルテンポの楽曲では、グルーヴとメロディの融合が見られ、後のハードロック路線への伏線とも取れる進化を見せた。このアルバムに伴うワールドツアーは大規模なものとなり、日本を含む世界各地でヘッドライナー公演が行われた。

2003年には、パリでの公演を収録した初のライブ・アルバム『Burning Down The Opera - Live』をリリース。100分を超える圧巻のパフォーマンスは、EDGUYがスタジオ・バンドとしてだけでなく、ライブ・アクトとしても超一流であることを証明した。このリリースをもって、バンドは長年所属したAFM レコード (AFM Records) を離れ、世界最大のメタル・レーベルであるニュークリア・ブラスト (Nuclear Blast) へと移籍することになる。

第3章: ニュークリア・ブラスト移籍とスタイルの変遷 (2004-2010)

3.1 『Hellfire Club』: オーケストラとの融合

2004年、ニュークリア・ブラスト (Nuclear Blast) 移籍第一弾となるアルバム『Hellfire Club』がリリースされた。豊富な予算を背景に、バンドはドイツの「バーベルスベルク・ドイツ映画管弦楽団 (Deutsches Filmorchester Babelsberg)」を起用し、シンフォニックで壮大なサウンドを構築した。

オープニングの「Mysteria」から10分超の大作「The Piper Never Dies」まで、アルバム全体が映画的なスケール感に満ちている。先行EP『King of Fools』もヒットし、アルバムはドイツチャートで26位を記録。この時期のエドガイ (EDGUY) は、パワーメタルの完成形を提示しつつ、同時にその限界を突破しようとしていた。

アヴァンタジア (Avantasia) の影: この時期、トビアス・サメット (Tobias Sammet) のソロ・プロジェクトであるアヴァンタジア (Avantasia) も世界的な成功を収めていた。『Hellfire Club』の音楽性が壮大になった背景には、アヴァンタジア (Avantasia) での経験 (マイケル・キスクやカイ・ハンセンらとの共演、大規模なオーケストレーションの導入) がフィードバックされていることは疑いようがない。しかし、これが同時に「トビアスの創造性が二つのプロジェクトに分散される」という懸念をファンに抱かせるきっかけともなった。

3.2 『Rocket Ride』: ハードロックへの大胆な転換

2006年の『Rocket Ride』は、多くのファンを驚愕させた問題作である。それまでの「剣と魔法」「ファンタジー」的な要素を後退させ、ドライでブルージーなハードロック、あるいは80年代のヘア・メタル (Hair Metal) 的なサウンドへと大きく舵を切ったのである。

歌詞やビジュアルには強烈なユーモアとアイロニー (皮肉) が込められ、「Trinidad」のような陽気な楽曲や、「Superheroes」のようなコミカルなPVが制作された。ドラムのフェリックス・ボーンケ (Felix Bohnke) はインタビューで、この変化を「パワー・ロック (Power Rock)」あるいは「パワー・メタルのボーカルが乗ったハード・ロック」と表現している。

この路線変更には賛否論があったが、結果としてアルバムはドイツチャートで8位を記録し、バンド史上初のトップ10入りを果たした。これは、EDGUYがマニアックなメタル・ファンだけでなく、より広いロック・リスナー層にアピールし始めたことを意味していた。

3.3 『Tinnitus Sanctus』: スタジアム・ロックの追求

2008年の『Tinnitus Sanctus』は、『Rocket Ride』の方向性をさらに洗練させ、よりシリアスで骨太なスタジアム・ロックを目指した作品である。「Ministry of Saints」や「Dragonfly」といった楽曲は、シンプルながらも強力なリフとフックを持ち、エアロスミス (Aerosmith) やスコーピオンズ (Scorpions) のサポート・アクトを務める中で培われた「アリーナで映える音」が追求されている。

第4章: 円熟と「活動休止」への道程 (2011-現在)

4.1 『Age of the Joker』: アナログへの回帰

2011年の『Age of the Joker』では、デジタル・レコーディング全盛の時代にあえてアナログ機材を多用し、ウォームでオーガニックなサウンド・プロダクションを試みた。楽曲構成もプログレッシブな要素が強まり、「Robin Hood」のような長尺曲がリード・トラックとして選ばれた。ドイツチャートでは3位を記録し、バンドの人気が不動のものであることを証明した。

4.2 『Space Police: Defenders of the Crown』: 最後のスタジオ・アルバム

2014年にリリースされた通算10枚目のスタジオ・アルバム『Space Police: Defenders of the Crown』は、近年のエドガイ (EDGUY) の集大成とも言える内容であった。「Sabre & Torch」のようなアグレッシブなヘヴィメタル、「Love Tyger」のような極めてポップなハードロック、およびファルコ (Falco) のカバー「Rock Me Amadeus」まで、バンドの持つ多様な側面が凝縮されている。

アルバム・タイトルは、「Space Police」と「Defenders of the Crown」という二つの案で意見が割れたため、トビアス・サメット (Tobias Sammet) が「両方使ってしまえ」と決断したことに由来する。このエピソードはEDGUYの自由な精神を象徴しているが、同時にトビアス・サメット (Tobias Sammet) は後に、このアルバムの制作プロセスが「非常に消耗するもの (exhausting) だった」と吐露している。この「消耗」こそが、後の活動休止の伏線となっていた可能性が高い。

4.3 『Monuments』と活動休止 (Hiatus)

2017年、バンド結成25周年を記念して、2CD+DVDの豪華ベスト・アルバム『Monuments』がリリースされた。新曲5曲が収録され、ツアーも行われたが、これが現在のところエドガイ (EDGUY) としての最後の大きな活動となっている。

2020年3月、トビアス・サメット (Tobias Sammet) はFacebook上で、エドガイ (EDGUY) が「活動休止 (hiatus)」状態にあることを正式に認めた。

「私はしばらくの間、新しいアヴァンタジア (Avantasia) のレコードに取り組んでおり、新しいエドガイ (EDGUY) のレコードには取り組んでいない。それが今の私にとって正しいと感じることだからだ」

現在、トビアス・サメット (Tobias Sammet) の創作活動の軸足は完全にアヴァンタジア (Avantasia) に置かれている。アヴァンタジア (Avantasia) が世界的なスタジアム・アクトへと成長し、固定メンバーの制約を受けずに自由にゲストを招聘できるプロジェクトであるのに対し、エドガイ (EDGUY) は幼馴染たちとの民主的なバンド運営が必要とされる。この構造的な違いと、長年の活動による疲弊が、活動休止の背景にあると考えられる。

第5章: メンバー詳細プロフィールと使用機材

エドガイ (EDGUY) のサウンドを支えるメンバーについて、その役割と機材、プレイスタイルを詳述する。

トビアス・サメット (Tobias Sammet)

  • 担当: ボーカル (Vocals)、キーボード (Keyboards)、ベース (Bass: 1992-1997)
  • 生年月日: 1977年11月21日
  • 出身: フルダ (Fulda, Germany)
  • 役割: バンドの絶対的なリーダーであり、ほぼ全ての楽曲の作詞・作曲を手掛ける。初期はベースを弾きながら歌っていたが、『Vain Glory Opera』以降はボーカルに専念し、ステージ上でのパフォーマンスを強化した。
  • スタイル: ブルース・ディッキンソン (Iron Maiden) やマイケル・キスク (Helloween) の影響を受けたハイトーン・ボイスに加え、独特のビブラートと演劇的な歌唱法を持つ。歌詞には哲学的な問いと、皮肉めいたユーモアが混在している。
  • 使用機材: ライブではShureのマイクを使用することが多いが、楽器の機材詳細はアヴァンタジア (Avantasia) での活動も含め多岐にわたる。

イェンス・ルートヴィヒ (Jens Ludwig)

  • 担当: リードギター (Lead Guitar)
  • 在籍: 1992年-現在 (オリジナルメンバー)
  • 役割: エドガイ (EDGUY) のメロディックな側面を決定づけるギタリスト。トビアス・サメット (Tobias Sammet) とは幼馴染であり、楽曲制作やエンジニアリングにおいても重要なパートナーである。
  • プレイスタイル: テクニカルな速弾きだけでなく、泣きのチョーキングや歌うようなフレージングを得意とする。
  • 使用機材:
    • Guitars: Gibson Explorer, Gibson Flying V, Gibson Firebird Studioなど、変形ギターを好んで使用。
    • Amps: Marshall JVM410H, Kemper Profiler Head。
    • Effects: Ibanez TS808 Tube Screamerなど。

ディルク・ザウアー (Dirk Sauer)

  • 担当: リズムギター (Rhythm Guitar)
  • 在籍: 1992年-現在 (オリジナルメンバー)
  • 役割: バンドのサウンドの土台を支えるリズム隊長。イェンス・ルートヴィヒ (Jens Ludwig) とのコンビネーションは30年以上に及び、ライブではコミカルな表情や動きで観客を盛り上げるムードメーカーでもある。
  • 使用機材: Gibson ExplorerやFlying Vなどをイェンスと同様に使用し、重厚なバッキング・サウンドを構築する。

トビアス・エクセル (Tobias "Eggi" Exxel)

  • 担当: ベース (Bass)
  • 在籍: 1998年-現在
  • 経歴: Squealer, Gamma Ray (ライブサポート) などを経て加入。
  • 役割: トビアス・サメット (Tobias Sammet) からベースパートを引き継いだ。堅実なピッキングとグルーヴ感で、スタイル変更後のハードロック路線においても重要な役割を果たしている。The Unityなどのバンドでも活動中。

フェリックス・ボーンケ (Felix Bohnke)

  • 担当: ドラムス (Drums)
  • 在籍: 1998年-現在
  • 役割: オーディションで加入。"Alien Drum Bunny" という愛称を持ち、ライブでのドラムソロ (『スター・ウォーズ』のテーマに乗せたパフォーマンスなど) は名物となっている。正確無比なツーバス連打と、ハードロック的なタメの効いたグルーヴの両方をこなす。
  • 使用機材: Ahead製のドラムグローブ (5B sticks) を使用。アヴァンタジア (Avantasia) のライブ・ドラマーとしてもトビアス・サメット (Tobias Sammet) の信頼が厚い。

第6章: ディスコグラフィ (Discography)

エドガイ (EDGUY) の作品群は、その時期によってスタイルが大きく異なる。以下に、スタジオ・アルバムを中心に、日本盤 (Japanese Edition) の仕様やボーナストラック情報を網羅したデータを示す。

6.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)

以下の表は、主要なスタジオ・アルバムのリリース年、日本盤タイトル、および特記事項をまとめたものである。

リリース年 原題 日本盤タイトル レーベル (日本) 日本盤の特徴・ボーナストラック等
1995 Savage Poetry (なし) (なし) 自主制作盤。日本では未発売だったが、後に2000年版が出回った。
1997 Kingdom of Madness キングダム・オブ・マッドネス Victor バンドの公式デビュー作。
Bonus: "Wings of a Dream (Live)", "Wings of a Dream (Version 2001)" (再発盤)
1998 Vain Glory Opera ヴェイン・グローリー・オペラ Victor ハンシ・キアシュ参加の出世作。
Bonus: なし (通常)
1999 Theater of Salvation シアター・オブ・サルヴェイション Victor Bonus: "For a Trace of Life", "Walk on Fighting (Live)" 等
2000 The Savage Poetry サヴェッジ・ポエトリィ Victor 1stの完全再録音盤 (VICP-61090)。オリジナル盤とは別物として扱われる。
2001 Mandrake マンドレイク Victor Bonus: "The Devil and the Savant", "Wings of a Dream (Remastered)"
2004 Hellfire Club ヘルファイア・クラブ Avalon Nuclear Blast移籍第一弾。
Bonus: "Children of Steel (2004)", "Mysteria (feat. Mille Petrozza)"
2006 Rocket Ride ロケット・ライド Avalon Bonus: "Spooks in the Attic (Live)"
2008 Tinnitus Sanctus ティニタス・サンクタス Avalon Bonus: "Aren't You a Little Pervert Too?"
2011 Age of the Joker エイジ・オブ・ザ・ジョーカー Avalon Bonus: "Standing in the Rain"
2014 Space Police: Defenders of the Crown スペース・ポリス - ディフェンダーズ・オブ・ザ・クラウン Avalon Bonus: "England", "Aychim in Hysteria"

6.2 重要な企画盤・ライブ盤

Burning Down The Opera - Live (2003)
  • 日本盤タイトル: 『バーニング・ダウン・ジ・オペラ』 (Avalon MICP-90012)
  • 概要: 2枚組ライブ・アルバム。AFM時代のベスト選曲とも言える内容。フランス・パリでの熱狂的な公演を収録。
Superheroes (2005 - EP/DVD)
  • 日本盤タイトル: 『スーパーヒーローズ』
  • 概要: アルバム『Rocket Ride』への先行EP。マイケル・キスク (Michael Kiske) がゲスト参加した「Judas at the Opera」や、マグナム (Magnum) のカバー「The Spirit」を収録。DVDにはドキュメンタリーやMVが収められている。
Fucking With Fire - Live (2009)
  • 日本盤タイトル: 『ファッキング・ウィズ・ファイア〜ライヴ!』 (MIBP-50021)
  • 概要: 2007年のブラジル・サンパウロ公演を収録したライブDVD/CD。南米の熱狂的な観衆と、エンターテイナーとして成熟したバンドの姿が確認できる。
Monuments (2017)
  • 日本盤タイトル: 『モニュメンツ』 (MIZP-60060)
  • 概要: 結成25周年記念ベスト。新曲5曲に加え、過去の名曲のリマスター、未発表レア音源、そして2004年の『Hellfire Club』ツアーのライブ映像 (DVD) を収録した豪華パッケージ。日本盤はSHM-CD仕様などでリリースされた。

エドガイの遺産とアヴァンタジアの影での未来

エドガイ (EDGUY) は、1990年代のメタルの冬の時代に、ドイツの地方都市から現れた希望の光であった。EDGUYはハロウィン (Helloween) の模倣から始まり、独自の演劇性とユーモアを加えることで「エドガイ・スタイル」を確立し、さらにはハードロックへと回帰することでジャンルの壁を破壊しようと試みた。

しかし、皮肉なことに、リーダーであるトビアス・サメット (Tobias Sammet) の才能があまりにも巨大であったため、サイドプロジェクトとして始まったアヴァンタジア (Avantasia) が本家エドガイ (EDGUY) を凌駕する規模へと成長してしまった。アヴァンタジア (Avantasia) では、ジェフ・テイト (Geoff Tate) やエリック・マーティン (Eric Martin) といった世界的レジェンドたちと共演が可能であり、音楽的な制約も少ない。トビアス・サメット (Tobias Sammet) が「今の自分にとって正しいこと」としてアヴァンタジア (Avantasia) を優先するのは、クリエイターとしては必然の選択かもしれない。

それゆえ、エドガイ (EDGUY) の活動再開は不透明である。しかし、イェンス・ルートヴィヒ (Jens Ludwig) やディルク・ザウアー (Dirk Sauer) との30年にわたる友情が壊れたわけではない。EDGUYは「活動休止 (Hiatus)」という言葉を選び、「解散」とは言明していない。トビアス・サメット (Tobias Sammet) の創作意欲のサイクルが再び「幼馴染たちとのロックンロール」に向いた時、エドガイ (EDGUY) は再びその翼を広げるであろう。それまでは、EDGUYが遺した10枚のスタジオ・アルバムと数々のライブ・パフォーマンスが、メタルの楽しさと自由さを我々に伝え続ける「モニュメント (記念碑)」となるのである。

News

<SUMMER BREEZE>2027、30周年記念版の第1弾63組を発表 — EDGUYがお別れ公演

2027年8月18〜21日に独ディンケルスビュールで開催。EDGUYの発表済みのお別れ公演、CHILDREN OF BODOM、HammerFall、Halestormらが決まり、ライプツィヒ・フィルとの「Legends & Orchestra」も予定。先行販売は8月17日16時(CET)開始。

出典: Nuclear Blast(2026年8月13日)

ニュース一覧 →

Albums

Space Police: Defenders of the Crown CD
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ユーモアと大仰なコーラスを武器に、EDGUYの華やかなメタル感を押し出す作品。

Age of the Joker CD
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大仰なメロディと遊び心を同居させ、EDGUYらしいパワー・メタルを響かせる一作。

Tinnitus Sanctus CD
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鋭いリフと大きなメロディを研ぎ澄まし、EDGUYが重厚さを増したメロディック・メタルを鳴らした一作。

Rocket Ride CD
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大きなコーラスと遊び心あるハード・ロック感覚で、EDGUYがパワー・メタルの間口を広げた第七作。

Hellfire Club CD
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大仰なコーラスとスピード感を押し出し、EDGUYがパワー・メタルの祝祭性を拡張した第六作。

Mandrake CD
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EDGUYが明るいメロディと力強いリフを拡張し、ヨーロピアン・パワー・メタルの躍動を示した5作目。

The Savage Poetry CD

過去曲を現在の演奏と音作りで照らし直す、EDGUYの再構築型作品。

Theater of Salvation CD
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劇的な構成と大合唱コーラスを備え、EDGUYがジャーマン・パワー・メタルのスケールを広げた一作。

Vain Glory Opera CD
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若々しい疾走感と大きなコーラスで、EDGUYが欧州パワー・メタルの王道を鮮やかに鳴らした一枚。

Kingdom of Madness CD
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若々しい疾走感と大仰なメロディで、EDGUYが欧州パワー・メタルの出発点を刻んだデビュー作。