PRIMAL FEAR

1990年代後半、世界の音楽シーンにおいて伝統的なヘヴィ・メタルは「グランジ」や「オルタナティブ・ロック」の台頭により、冬の時代を迎えていた。

Biography

鋼鉄の鷲の年代記
プライマル・フィア (PRIMAL FEAR) の軌跡、進化、再臨

1. ジャーマン・パワー・メタルの守護者としての地位と影響力

1990年代後半、世界の音楽シーンにおいて伝統的なヘヴィ・メタルは「グランジ」や「オルタナティブ・ロック」の台頭により、冬の時代を迎えていた。その最中、1997年にドイツのエスリンゲン (Esslingen) で結成されたプライマル・フィア (PRIMAL FEAR)は、まさにその逆風に抗うかのように、純度100%のヘヴィ・メタルを掲げて登場した。PRIMAL FEARの音楽性は、ジューダス・プリースト (Judas Priest) 直系の鋭利なリフ、ハイトーン・ヴォーカル、速度感のあるリズム、そしてドイツ特有の質実剛健なプロダクションを融合させたものであり、瞬く間に「パワー・メタルの救世主」としての地位を確立した。

2. 結成前夜: 失意からの胎動 (1994-1997)

2.1 ラルフ・シーパースとジューダス・プリーストの幻影

プライマル・フィアの結成動機は、メタル史における一つの大きな「もしも (What if)」の物語と密接に結びついている。1990年代初頭、カイ・ハンセン (Kai Hansen) 率いるガンマ・レイ (Gamma Ray) の初代ヴォーカリストとして名声を博していたラルフ・シーパース (Ralf Scheepers)は、その驚異的な声域と歌唱スタイルから「ロブ・ハルフォード (Rob Halford) の後継者」として広く認知されていた。

1993年、ロブ・ハルフォードがジューダス・プリーストを脱退すると、ラルフはその空席を埋めるためのオーディションに参加した。彼は最終候補のリストに名を連ね、世界中のメタル・ファンが彼の加入を確実視していた時期さえあった。しかし、最終的にその座を射止めたのはアメリカ人のティム "リッパー" オーウェンズ (Tim "Ripper" Owens) であった。この結果はラルフにとって大きな挫折であったが、同時に彼の中に眠っていた「自身の理想とするメタル・バンドを作る」という野心に火をつける契機となった。

2.2 マット・シナーとの運命的な合流

一方、ドイツのハード・ロック・バンド、シナー (Sinner) のリーダーでありベーシストのマット・シナー (Mat Sinner)は、長年にわたりドイツのロック・シーンを牽引していた。ラルフとマットは旧知の仲であり、ラルフが趣味で活動していたジューダス・プリーストのカヴァー・バンド「ジャスト・プリースト (Just Priest)」のステージに、マットとシナーのギタリストであったトム・ナウマン (Tom Naumann) がゲスト参加したことが、すべての始まりであった。

ステージ上での化学反応を確信した彼らは、新たなプロジェクトを始動させる。バンド名は、ラルフの挫折と再生、䔀して根源的な感情を表す「プライマル・フィア (PRIMAL FEAR)」と名付けられた。彼らは1997年10月に正式に結成を宣言し、デモ・テープを制作。これに即座に反応したのが、日本のビクター・エンタテインメント (JVC/Victor Entertainment)であり、続いてドイツの大手メタル・レーベル、ニュークリア・ブラスト (Nuclear Blast) が全世界契約をオファーした。

3. 第1期: ニュークリア・ブラスト時代と初期の栄光 (1998-2002)

3.1 衝撃のデビュー作 『PRIMAL FEAR』 (1998)

1998年2月、セルフ・タイトルのデビュー・アルバム 『PRIMAL FEAR』がリリースされた。このアルバムは、ラルフの突き抜けるようなハイトーン・シャウト、マットの重厚なベース・ライン、そしてトム・ナウマンのアグレッシブなギター・リフが完璧に融合しており、当時のメタル・シーンに大きな衝撃を与えた。

特筆すべきは、ドイツのナショナル・アルバム・チャートにおいて初登場48位を記録したことである。これは当時の新人メタル・バンドとしては異例の快挙であり、PRIMAL FEARが単なるプロジェクトではなく、シーンのメインストリームに躍り出るポテンシャルを持っていることを証明した。アルバムにはゲストとしてカイ・ハンセンも参加しており、ガンマ・レイ時代のファンをも取り込むことに成功した。

3.2 『Jaws of Death』 とメンバー交代の始まり (1999-2000)

成功を収めたバンドは、間髪入れずに2ndアルバムの制作に着手する。1999年7月にリリースされた『Jaws of Death』は、前作の勢いを維持しつつ、よりダークで攻撃的な側面を強調した作品となった。ドイツ・チャートでは49位を記録し、安定した人気を証明した。

しかし、この時期からバンドはメンバー・チェンジの波に洗われることになる。アルバム・リリース直後、ギタリストのトム・ナウマンが健康上の理由により脱退を余儀なくされた。バンドはツアーのために、サイレント・フォース (Silent Force) などで知られるテクニカル・ギタリスト、アレックス・バイロット (Alex Beyrodt) をサポートに迎える。その後、正式な後任としてヘニー・ウォルター (Henny Wolter) (ex-Thunderhead)が加入し、バンドは新たな体制で2000年代を迎えることとなった。

3.3 『Nuclear Fire』での商業的ピーク (2001)

ヘニー・ウォルターとステファン・レイビング (Stefan Leibing)のツイン・ギター体制で制作された3rdアルバム 『Nuclear Fire』 (2001)は、バンドの初期キャリアにおける最高傑作と評されることが多い。タイトル曲 「Nuclear Fire」 や 「Angel in Black」 に見られるような、圧倒的なスピードとキャッチーなメロディの融合は、ジャーマン・パワー・メタルの理想形を体現していた。

このアルバムはドイツ・チャートで37位まで上昇し、前2作を上回る成功を収めた。これに伴い、バンドは初のヘッドライナー・ワールド・ツアーを敢行。日本、ブラジル、環境への対応としてアメリカの「Metal Meltdown III」 フェスティバルへの出演など、活動規模を世界レベルへと拡大させた。

3.4 『Black Sun』 と実験的要素 (2002)

2002年の『Black Sun』では、従来の路線を継承しつつも、プログレッシブな展開やコンセプト・アルバム的な要素を取り入れる実験が見られた。この時期、ドラマーのクラウス・スペリング (Klaus Sperling) が脱退し、後任としてカナダ出身の超絶技巧ドラマー、ランディ・ブラック (Randy Black) (ex-Annihilator) が加入する。ランディの加入は、バンドのサウンドをよりタイトでモダンなものへと進化させる重要な転機となった。

4. 第2期: 進化と洗練、そしてフロンティアーズへの移籍 (2003-2007)

4.1 『Devil's Ground』 とアンセムの誕生 (2004)

ランディ・ブラックを擁する新体制で制作された『Devil's Ground』 (2004)は、バンドのディスコグラフィにおいて極めて重要な位置を占める。特に収録曲 「Metal Is Forever」は、そのタイトル通りヘヴィ・メタルへの忠誠を誓うアンセムとなり、以降の全てのライヴで演奏される代表曲となった。このアルバム・ツアーでは、トム・ナウマンがバンドに復帰するなど、メンバーの出入りが激しい時期でもあったが、マット・シナーの統率力によりバンドのアイデンティティは揺らぐことがなかった。

4.2 『Seven Seals』での音楽的転換 (2005)

2005年リリースの『Seven Seals』において、バンドは大きな音楽的転換を図った。プロデューサーのチャーリー・バウアファイント (Charlie Bauerfeind) とマット・シナーの共同作業により、オーケストレーションの導入やミドル・テンポの楽曲の比重を増やし、より重厚で壮大なサウンドスケープを構築した。当初、この変化には一部のファンから戸惑いの声も上がったが、結果としてバンドの音楽的寿命を延ばし、より広い層へのアピールに成功した作品として再評価されている。

4.3 レーベル移籍と『New Religion』 (2007)

2006年、バンドは長年在籍したニュークリア・ブラストを離れ、イタリアのメロディック・ロック系レーベル、フロンティアーズ・レコード (Frontiers Records) へと移籍する。これは、マット・シナーがニュークリア・ブラストのレーベル業務から退いたこととも関連している。移籍第一弾となる『New Religion』 (2007)は、『Seven Seals』での実験をさらに推し進め、シンフォニックな要素とメロディックな要素を強化した作品となった。

5. 第3期: マグナス・カールソンの加入と安定期 (2008-2018)

5.1 スウェーデンの天才、マグナス・カールソンの加入

2008年、長年バンドを支えたギタリストのステファン・レイビングが家庭の事情により脱退。その後任として加入したのが、スウェーデンのマルチ・プレイヤーでありソングライターのマグナス・カールソン (Magnus Karlsson) であった。

マグナスの加入は、プライマル・フィアにとって「第2の結成」とも言えるほどの影響を与えた。彼の卓越したメロディ・センスとアレンジ能力は、マット・シナーの伝統的なメタル・ソングライティングと完璧に噛み合った。以降、バンドは「ラルフ、マット、マグナス」という強固なトライアングルを中心に創作活動を行うことになる。

5.2 コンスタントな傑作のリリース

マグナス加入後のバンドは、驚異的なペースとクオリティでアルバムをリリースし続けた。

  • 『16.6 (Before the Devil Knows You're Dead)』 (2009): マグナス加入後初のアルバム。多様性に富んだ楽曲群が特徴。
  • 『Unbreakable』 (2012): 原点回帰を掲げたピュア・メタル・アルバム。
  • 『Delivering the Black』 (2014): アグレッシブかつダークな傑作として、ファンからの評価が極めて高い。
  • 『Rulebreaker』 (2016): アルバム・タイトルが示す通り、ルールに縛られない自由なメタルを展開。「The End Is Near」 などの名曲を生んだ。

この期間、ドラマーはランディ・ブラックから一時的にアキレス・プリースター (Aquiles Priester) (ex-Angra) へと交代したが、アキレスはツアーのみの参加に留まり、その後フランチェスコ・ジョヴィーノ (Francesco Jovino) (ex-U.D.O.) が加入した。また、ツアー・メンバーとして貢献していたアレックス・バイロットやトム・ナウマンが正式メンバーとして定着し、一時期は「トリプル・ギター編成」を敷くなど、ライヴ・パフォーマンスの厚みが増した時期でもある。

5.3 『Apocalypse』 と商業的成功 (2018)

2018年リリースの『Apocalypse』は、フロンティアーズ時代の集大成とも言える作品となり、ドイツのチャートでトップ10入りを果たすなど、バンドの健在ぶりを世界に知らしめた。

6. 第4期: 原点回帰とパンデミックの試練 (2019-2023)

6.1 ニュークリア・ブラストへの帰還と 『Metal Commando』 (2020)

2020年、バンドは約14年ぶりに古巣ニュークリア・ブラストと再契約を締結した。マット・シナーはこの契約を 「No.1メタル・レーベルへの帰還」と表現し、新たな黄金期の到来を予感させた。復帰作『Metal Commando』 (2020)は、ドラムにガンマ・レイのミヒャエル・エーレ (Michael Ehré) を迎えて制作された。アルバムは、バンドのルーツであるスピード・メタルと、マグナス・カールソン以降の叙情的なメロディが高次元で融合しており、特にラストを飾る13分超の大作 「Infinity」でのラルフのヴォーカル・パフォーマンスは、彼のキャリアにおけるハイライトの一つと称賛された。

6.2 『Code Red』 とマット・シナーの闘病 (2023)

2023年には、ニュークリア・ブラストの創始者が立ち上げた新レーベル、アトミック・ファイア (Atomic Fire Records) から 『Code Red』をリリースした。しかし、この時期、バンドの中心人物であるマット・シナーが深刻な健康問題に直面していた。レコーディングにはプロデューサーとして全面的に関与したものの、ライヴ活動への参加は困難となり、代役としてアレックス・ヤンセン (Alex Jansen) がベースを担当する状態が続いた。この状況は、バンド内部に徐々に歪みを生じさせていったと推測される。

7. 第5期: 大分裂と新生プライマル・フィア (2024-現在)

7.1 2024年8月の「エクソダス (Exodus)」

2024年8月23日、バンドの公式SNSおよび各メンバーのアカウントから、ファンを震撼させる声明が発表された。長年バンドを支えてきた以下の4名のメンバーが一斉に脱退を表明したのである。

  • アレックス・バイロット (Alex Beyrodt) - Guitars
  • トム・ナウマン (Tom Naumann) - Guitars
  • ミヒャエル・エーレ (Michael Ehré) - Drums
  • アレックス・ヤンセン (Alex Jansen) - Bass (Touring Member)

彼らの共同声明には、「バンド内での決定に対する不一致 (decisions within the band that we do not agree with) が引き金となった」と記されており、具体的な詳細は伏せられたものの、バンドの運営方針やマット・シナーの健康状態に関連する活動方針を巡る意見の相違が決定的な亀裂を生んだことが示唆された。これにより、バンドに残ったのは創設メンバーのラルフとマット、構造的にスタジオ・メンバー的な立ち位置にいたマグナスの3名のみとなり、バンドは存続の危機に立たされた。

7.2 『Domination』 と新体制の確立 (2025)

しかし、ラルフとマットは即座にバンドの再建に動いた。脱退発表から間もなく、驚きの新メンバーとかつてないラインナップが発表された。

  • タリア・ベラゼッカ (Thalia Bellazecca) - Guitars
    イタリア/キューバ出身の女性ギタリスト。フローズン・クラウン (Frozen Crown) やアンガス・マクシックス (Angus McSix) での活動で知られる若き才能。ラルフとはイタリアでのライヴを通じて知り合い、その才能を見出された。プライマル・フィア史上初の女性メンバーである。
  • アンドレ・ヒルガース (André Hilgers) - Drums
    レイジ (Rage)、サイレント・フォース (Silent Force)、アクシス (Axxis) などで活躍してきたドイツのベテラン・ドラマー。マットとはシナーでも活動を共にしており、リズム隊の相性は証明済みである。
  • マグナス・カールソン (Magnus Karlsson) - Guitars
    これまでスタジオ・ワークと作曲に専念していた彼が、再びツアー・メンバーとしてフルタイムで復帰することが決定した。

この新ラインナップによる第15作目のスタジオ・アルバム『Domination』は、新興レーベル レイニング・フェニックス・ミュージック (Reigning Phoenix Music / RPM) より2025年9月5日にリリースされることが決定している。アルバム・タイトルは、困難を乗り越え再びシーンを支配するというバンドの不屈の意志を表している。

8. ディスコグラフィ (Discography)

以下に、プライマル・フィアの全スタジオ・アルバム、主要なライヴ・アルバム、EP、コンピレーションを体系的に整理する。特に日本盤に関する情報や、各リリースの特記事項を含める。

8.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)

発売年 タイトル (英語) タイトル (日本語) レーベル (欧米/日本) 備考・チャート・主な収録曲
1998 PRIMAL FEAR プライマル・フィア Nuclear Blast / Victor 独48位。カイ・ハンセン(Gt) ゲスト参加。「Chainbreaker」収録。
1999 Jaws of Death ジョーズ・オブ・デス Nuclear Blast / Victor 独49位。「Final Embrace」収録。
2001 Nuclear Fire ニュークリア・ファイア Nuclear Blast / Victor 独37位。初期の最高傑作。「Angel in Black」収録。
2002 Black Sun ブラック・サン Nuclear Blast / Victor 独55位。コンセプト的要素あり。
2004 Devil's Ground デヴィルズ・グラウンド Nuclear Blast / Victor 独67位。ランディ・ブラック加入。「Metal Is Forever」収録。
2005 Seven Seals セヴン・シールズ Nuclear Blast / Victor 独65位。音楽的転換作。モダンかつシンフォニックな接近。
2007 New Religion ニュー・レリジョン Frontiers / King Records 独60位。マグナス・カールソンが作曲に参加。レーベル移籍第一弾。
2009 16.6 (Before the Devil Knows You're Dead) 16.6 Frontiers / King Records 独46位。「Six Times Dead」収録。
2012 Unbreakable アンブレイカブル Frontiers / Avalon 独31位。原点回帰のピュア・メタル作。「Bad Guys Wear Black」収録。
2014 Delivering the Black デリヴァリング・ザ・ブラック Frontiers / Avalon 独13位。アグレッシブな傑作。「When Death Comes Knocking」収録。
2016 Rulebreaker ルールブレイカー Frontiers / Avalon 独19位。「The End Is Near」収録。
2018 Apocalypse アポカリプス Frontiers / King Records 独10位。商業的成功を収めた作品。
2020 Metal Commando メタル・コマンド Nuclear Blast / Avalon 独7位。ニュークリア・ブラスト復帰作。13分の大作「Infinity」収録。
2023 Code Red コード・レッド Atomic Fire / Ward Records 独6位。「The Deep in the Night」収録。日本盤はワードレコーズより発売。
2025 Domination ドミネイション RPM / Ward Records 新体制第一弾。2025年9月5日発売予定。

8.2 主要ライヴ・アルバム & 映像作品 (Live Albums & Video)

  • The History of Fear (2003, DVD/CD) - 初期のPVやライヴ映像を収録したドキュメンタリー的作品。
  • Live in the USA (2010, CD) - 2009年の北米ツアーを収録。
  • 16.6 - All Over the World (2010, DVD) - ワールド・ツアーの模様を収録。
  • Angels of Mercy - Live in Germany (2017, CD/DVD/Blu-ray) - ドイツでのライヴを完全収録した決定版。

8.3 EP & コンピレーション (EPs & Compilations)

  • Horrorscope (2001, EP)
    • 日本盤未収録のボーナス・トラックやカヴァー曲を集めたEP。
    • 収録曲: "Under Your Spell", "Out In The Fields" (Gary Moore cover), "Horrorscope", "Breaker" (Accept cover), "Kill The King" (Rainbow cover)。
  • Metal Is Forever - The Very Best of PRIMAL FEAR (2006)
    • ニュークリア・ブラスト時代のベスト盤。ボーナスCD 『Metal Classics』には、メタリカやディープ・パープル等のカヴァーを収録。
  • Best of Fear (2017)
    • フロンティアーズ時代のベスト盤。新曲4曲("If Looks Could Kill"等)を収録。
  • I Will Be Gone (2021, EP)
    • タイトル曲のバラードにて、元ナイトウィッシュのターヤ・トゥルネン (Tarja Turunen) をゲスト・ヴォーカルに迎えた5曲入りEP。

9. メンバー・バイオグラフィ (Member Biography)

プライマル・フィアの歴史は、ラルフとマットという不動の軸と、その周りを支える優れたミュージシャンたちの変遷の歴史でもある。ここでは、2025年時点の現行メンバーおよび、歴史的に重要な元メンバーについて詳述する。

9.1 現行メンバー (Current Lineup 2025)

ラルフ・シーパース (Ralf Scheepers) - Vocals

  • 在籍期間: 1997年-現在
  • 関連バンド: Tyran' Pace, Gamma Ray, F.B.I.
  • プロファイル: 「The Voice of PRIMAL FEAR」。その鋼鉄のような喉は、30年近く経った現在でも驚異的な輝きを放っている。ボディビルで鍛え上げた肉体とスキンヘッドのルックスは、まさに「メタル・コマンド (Metal Commando)」の象徴である。ロブ・ハルフォードへの敬愛を隠さないが、その表現力は単なる模倣を超え、独自の威厳を確立している。

マット・シナー (Mat Sinner) - Bass, Vocals

  • 在籍期間: 1997年-現在
  • 関連バンド: Sinner, Voodoo Circle, Silent Force (Producer), Kiske/Somerville
  • プロファイル: バンドの頭脳であり心臓。ベーシストとしてだけでなく、プロデューサー、マネージャー、メイン・ソングライターとしてバンドの全権を握る。ドイツのメタル業界におけるフィクサー的存在でもあり、多数のプロジェクトを手掛ける。闘病生活を乗り越え、『Domination』で完全復活を目指す。

マグナス・カールソン (Magnus Karlsson) - Guitars

  • 在籍期間: 2008年-現在
  • 関連バンド: Midnight Sun, Last Tribe, Allen/Lande, The Ferrymen
  • プロファイル: 現代メロディック・メタルの至宝。彼の加入により、プライマル・フィアは単なるパワー・メタル・バンドから、より洗練されたメロディを持つバンドへと進化した。長らくスタジオ作業に専念していたが、2025年よりツアー・メンバーとしての復帰が決定。彼のテクニカルかつ叙情的なギター・ソロが再びステージで見られることは、ファンにとって最大の朗報である。

タリア・ベラゼッカ (Thalia Bellazecca) - Guitars

  • 在籍期間: 2024年-現在
  • 関連バンド: Frozen Crown, Angus McSix
  • プロファイル: 2000年生まれ、イタリア出身の新星。フローズン・クラウンでの高速ギター・プレイで注目を集めた。アンガス・マクシックスでは「Thalestris」のキャラクターを演じるなど、ヴィジュアル面での華やかさも兼ね備える。ラルフとはイタリアでの共演を機に意気投合し、バンドに新たな風を吹き込む存在として抜擢された。

アンドレ・ヒルガース (André Hilgers) - Drums

  • 在籍期間: 2024年-現在
  • 関連バンド: Rage, Axxis, Silent Force, Sinner
  • プロファイル: ジャーマン・メタル界を知り尽くした職人ドラマー。パワーとテクニックのバランスに優れ、マット・シナーとは長年の盟友関係にある。急激なメンバー交代劇の中、バンドのリズムを支える安定剤としてこれ以上ない人選と言える。

9.2 主要な元メンバー (Key Former Members)

  • トム・ナウマン (Tom Naumann) - Guitars
    結成メンバーであり、出戻りを繰り返しながらも長年バンドのサウンドを決定づけてきたリフ・マスター。2024年の大量脱退劇の中心人物の一人。
  • アレックス・バイロット (Alex Beyrodt) - Guitars
    Silent Force, Voodoo Circle のリーダー。ネオクラシカル・スタイルの名手として、バンドのギター・ソロに華を添えた。2011年頃からツアー・メンバーとして参加し、後に正式加入したが、2024年に脱退。
  • ヘニー・ウォルター (Henny Wolter) - Guitars
    初期~中期(2000-2003, 2007-2010) を支えたギタリスト。『Nuclear Fire』時代の成功に貢献。
  • ステファン・レイビング (Stefan Leibing) - Guitars
    1998年から2008年まで在籍。キーボードもこなし、バンドのサウンド構築に大きく貢献したが、家族との時間を優先するために引退した。
  • ランディ・ブラック (Randy Black) - Drums
    カナダ人ドラマー (2003-2014)。左右両利きのセッティングから繰り出されるパワフルなドラミングは、バンドのスピード・ナンバーを一段階上のレベルへと引き上げた。
  • ミヒャエル・エーレ (Michael Ehré) - Drums
    Gamma Ray, The Unity。2019年から2024年まで在籍。『Metal Commando』でのプレイは高く評価されたが、2024年に他のメンバーと共に脱退。

10. 鋼鉄の意志と未来への展望

プライマル・フィアの約30年にわたる歴史は、決して平坦なものではなかった。「ジューダス・プリーストになれなかった男」の復讐劇として始まったバンドは、いつしか本家をも凌駕するほどの純度と生産性を誇る「メタルの要塞」へと成長した。

2024年のメンバー大量脱退という未曾有の危機に対し、ラルフ・シーパースとマット・シナーが出した答えは、解散ではなく「Domination (支配)」であった。新世代の才能であるタリア・ベラゼッカ、そして盟友マグナス・カールソンの現場復帰を含む新体制は、バンドが未来に向けて進化し続ける意思があることを明確に示している。

鋼鉄の鷲は、傷つきながらも決して墜ちることはない。PRIMAL FEARは再び翼を広げ、全世界のメタル・シーンを「支配」するために空へと舞い戻るだろう。

News

EXODUSとEXMORTUS、<70000 Tons Of Metal 2027>への出演が決定

2027年1月14日から18日にマイアミ発着で行われるクルーズで、ARCH ENEMY、HAMMERFALL、EVERGREY、PRIMAL FEARらの出演が既に発表されている。

出典: BraveWords(2026年9月2日)

PRETTY MAIDS、2019年『Undress Your Madness』以来の新スタジオ・アルバムを2027年にFrontiersから発売へ

Frontiers Music Srlが制作開始を発表。プロデュースはJacob Hansen(AMARANTHE、VOLBEAT、EPICA、PRIMAL FEAR)で、Ronnie Atkins(vo)とKen Hammer(g)にRene Shades(b)、Chris Laney(g/key)、Allan Tschicaja(dr)を加えた現ラインナップで制作される。

出典: Blabbermouth(2026年9月1日)

PRIMAL FEAR、新作『Shadowriders』の発売日が2027年4月23日に決定 先行シングル「Vengeance Now」はクリスマス前に公開

Reigning Phoenix Musicからの発売で、ファースト・シングル兼ミュージック・ビデオ「Vengeance Now」はクリスマス前に公開される。

出典: BLABBERMOUTH.NET(2026年8月28日)

PRIMAL FEAR、新アルバム『Shadow Riders』を2027年4月にリリース

ベーシスト兼プロデューサーのMat SinnerがKNAC.COMのインタビューで明かした。2025年9月の『Domination』に続く作品で、先行シングルとMVは2027年1月から公開される見込みだという。

出典: Blabbermouth(2026年8月19日)

ニュース一覧 →

Albums

Domination CD
/

鋼鉄のリフと戦闘的な歌で押し切る、PRIMAL FEARの正統派ヘヴィ・メタル作。

Code Red CD
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重戦車のリフとハイ・トーンを妥協なく貫く、キャリア14作目の警鐘。

Metal Commando CD
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重厚なリフと鋼鉄のハイトーンで突き進む、PRIMAL FEARの第13作。

Apocalypse CD
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鋼鉄のリフ、ハイトーン、疾走感を不変の武器として磨いたPRIMAL FEARの第12作。

Rulebreaker CD
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重いリフ、ハイトーン、攻撃的な推進力を高精度で束ねるPRIMAL FEARの正統派メタル作。

Delivering the Black CD
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鋭いツイン・ギターと強靭な歌声で、PRIMAL FEARの攻撃性を押し出す一作。

Unbreakable CD
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鋼鉄のリフと強靭な歌声で、PRIMAL FEARの正統派パワー・メタルを貫いた一作。

16.6 (Before the Devil Knows You're Dead) CD
/

疾走感、重厚なリフ、力強い歌唱を揃えた、PRIMAL FEARらしい正統派パワー・メタル作品。

New Religion CD
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重量級リフとハイトーンを大きな音像で鳴らし、PRIMAL FEARが正統派メタルを現代化した第7作。

Seven Seals CD
/

鋭いリフとラルフ・シーパースのハイトーンを武器に、PRIMAL FEARが正統派メタルの攻撃性を磨いた第六作。

Devil's Ground CD
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強靭なリフとハイトーンを核に、PRIMAL FEARが正統派ヘヴィ・メタルの迫力を磨き上げた第五作。

Black Sun CD
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鋭いリフと高音ヴォーカルで、PRIMAL FEARが硬派なパワー・メタルを磨き上げた作品。

Nuclear Fire CD
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鋼鉄のリフとラルフ・シーパースの強烈なハイトーンで、PRIMAL FEARが正統派メタルの精度を高めた3作目。

Jaws of Death CD
/

鋭いリフと強烈なハイトーンで、PRIMAL FEARが重厚な正統派メタルを押し出した一作。

Primal Fear CD
/

ハイトーンと重量級リフを正面からぶつけ、PRIMAL FEARの正統派メタル像を打ち立てたデビュー作。