FIREWIND

現代のパワー・メタル (Power Metal) シーンにおいて、ギリシャ出身のバンド FIREWIND (ファイアーウインド)ほど、ジャンルの伝統を継承しつつ、絶え間ない変化と進化を続けてきた存在は稀有である。

Biography

炎の旋律
FIREWINDの歴史と音楽的変遷

1. ヘヴィ・メタルの聖火を守る者たち

現代のパワー・メタル (Power Metal) シーンにおいて、ギリシャ出身のバンド FIREWIND (ファイアーウインド)ほど、ジャンルの伝統を継承しつつ、絶え間ない変化と進化を続けてきた存在は稀有である。ギリシャ第二の都市 Thessaloniki (テッサロニキ)で産声を上げたこのプロジェクトは、単なる一過性のバンドではなく、稀代のギター・ヴィルトゥオーゾ (達人)である Gus G. (ガス・G、本名: Konstantinos Karamitroudis / コンスタンティノス・カラミトルディス)の音楽的ビジョンを具現化するための不変の器として機能してきた。

2. Biography: 炎と試練の年代記

FIREWINDの歴史は、安定とは無縁の、常に変化し続ける激動の物語である。それはGus G.という一人の天才ギタリストの成長の記録でもあり、変化する音楽業界の中で「メロディック・ヘヴィ・メタル (Melodic Heavy Metal)」というジャンルがいかに生き残りを図ってきたかを示すケーススタディでもある。

2.1 創世記: バークリーからのデモ・テープ (1998-2001)

FIREWINDの起源は、1998年のアメリカ合衆国ボストンに遡る。当時、弱冠18歳であった Gus G.(ガス・G)は、世界最高峰の音楽教育機関である Berklee College of Music (バークリー音楽大学)に入学するために渡米していた。彼の父はパートタイムのシンガーであり、家には Pink Floyd (ピンク・フロイド) や Santana (サンタナ)、Eagles (イーグルス)などのレコードコレクションがあった。特に、父が持っていた Peter Frampton (ピーター・フランプトン)の『Frampton Comes Alive』が、彼にギターを手に取らせるきっかけとなったとされる。

バークリーでの生活の中で、Gus G.は自身のギタープレイをレコードレーベルに売り込むためのデモ制作を決意する。このプロジェクトは、当初バンドとして構想されたものではなく、あくまで彼の技術を披露するためのショーケース (Showcase)であった。友人のミュージシャンたち、ボーカルの Brandon Pender (ブランドン・ペンダー)、ドラムのMatt Scurfield (マット・スカーフィールド) らの協力を得て、デモテープ 『Nocturnal Symphony (ノクターナル・シンフォニー)』が録音された。

「FIREWIND」というバンド名は、Gus G.が最も敬愛するギタリストの一人である Uli Jon Roth (ウリ・ジョン・ロート) 率いる Electric Sun (エレクトリック・サン) のアルバム『Fire Wind』に由来している。このデモは、ギター・ヴィルトゥオーゾとして知られる David T. Chastain (デヴィッド・T・チャステイン)が運営する Leviathan Records (レヴィアタン・レコード)の目に留まり、Gus G.はプロフェッショナルなキャリアへの切符を手に入れることとなる。

しかし、Gus G.はその後バークリーを中退し、実践の場へと身を投じる。彼はDream Evil (ドリーム・イーヴル)、Mystic Prophecy (ミスティック・プロフェシー)、Nightrage (ナイトレイジ) といったバンドに参加し、パワー・メタルからメロディック・デス・メタル (Melodic Death Metal) に至るまで幅広いジャンルでその才能を開花させた。これらの活動を経て、FIREWINDは単なるデモプロジェクトから、正式なバンドとしての実体を持ち始めるのである。

2.2 黎明期の衝撃:『Between Heaven and Hell』 (2002)

2002年、FIREWINDはデビュー・アルバム 『Between Heaven and Hell (ビトゥイーン・ヘヴン・アンド・ヘル)』をリリースし、シーンにその名を轟かせた。この時期のラインナップは、Gus G.に加え、アメリカ人ボーカリストのStephen Fredrick (ステファン・フレドリック)、ドラマーの Brian Harris (ブライアン・ハリス)、ベーシストのKonstantine (コンスタンティン) という構成であった。

このアルバムは、当時隆盛を極めていたパワー・メタル・リバイバルの波に乗りつつも、より伝統的なヘヴィ・メタルの重厚さを備えていた。特にStephen Fredrickの声質は、このジャンルに多い高音域偏重のスタイル (ハイトーン・スクリーマー) とは一線を画す、中音域に太さのあるグリッティ (Gritty) なものであり、これが初期FIREWINDの独自のアイデンティティとなった。

日本市場においてはEMI (EMIミュージック・ジャパン)からリリースされ、欧州とは異なるジャケットアートワークが採用された。アルバムには Scorpions (スコーピオンズ)のカバー曲「Pictured Life」が収録されており、Gus G.のルーツに対する深い敬意が示されている。

2.3 試練の時: 『Burning Earth』 とラインナップの流動化 (2003)

デビュー作の成功を受け、バンドは翌2003年に2作目『Burning Earth (バーニング・アース)』を発表する。このアルバムの制作において、リズム隊の刷新が行われた。ベーシストとして Petros Christo (ペトロス・クリスト)が、ドラマーとしてノルウェー出身の Stian L. Kristoffersen (スティアン・クリストファーセン)が加入したのである。特にPetros Christoの加入は重要であり、彼はその後、Gus G.に次ぐバンドの最古参メンバーとして、長きにわたり FIREWINDのボトムラインを支えることとなる。

しかし、この時期バンドは最初の大きな壁に直面する。アルバムリリース後、バンドは Rob Rock(ロブ・ロック)との日本ツアーを計画したが、ボーカルのStephen Fredrickがツアーに参加できない (あるいはその準備ができていない) という事態が発生した。Gus G.は「ツアーに出られないバンドはあり得ない」という信念のもと、ライブ活動のための代役ボーカルを探すことを余儀なくされ、これがFredrickの脱退へとつながった。

2.4 キーボードの魔術師の到来:『Forged by Fire』 (2005)

Fredrickの後任として迎えられたのは、スリランカ出身のボーカリスト Chity Somapala (チティ・ソマパラ、別名 Chitral Somapala)であった。さらに、この時期にバンドのサウンドを決定づける重要なメンバーが加入する。キーボーディスト兼ギタリストのBob Katsionis (ボブ・カティオニス)である。

Bob Katsionisの加入は、FIREWINDの音楽性を劇的に拡張した。彼はキーボードだけでなくギターの名手でもあり、ライブにおいてはGus G. とのツイン・リードギターや、キーボードとギターのユニゾン・ソロ (Unison Solo) を披露し、バンドの技術的な見せ場を倍増させた。

2005年にリリースされた3作目 『Forged by Fire (フォージド・バイ・ファイア)』は、名門レーベル Century Media Records (センチュリー・メディア・レコード) からの最初のリリースとなり、バンドの世界的な認知度を一気に高めた。しかし、ボーカルのChity Somapalaは「音楽的・個人的な相違」により、わずか一年足らずでバンドを去ることとなる。この「短命なボーカリスト」という問題は、その後もFIREWINDを悩ませ続けることとなる。

2.5 黄金時代: Apollo Papathanasioと商業的成功(2006-2009)

2006年、FIREWINDは新たなボーカリストとしてApollo Papathanasio (アポロ・パパサナシオ)を迎える。彼はギリシャの血を引くスウェーデン人であり、そのソウルフルでハスキーな歌声は、David Coverdale (デヴィッド・カヴァデール) や Jørn Lande (ヨルン・ランデ)を彷彿とさせ、バンドのメロディアスな楽曲に深みを与えた。また、ドラマーには元Helloween (ハロウィン)、Metalium (メタリウム) の Mark Cross (マーク・クロス) が加入し、演奏面でも鉄壁の布陣が完成した。

『Allegiance』でのブレイク

2006年7月にリリースされた4作目『Allegiance (アリージャンス)』は、バンドにとって最大の商業的成功をもたらした作品の一つである。このアルバムはギリシャのアルバムチャートにランクインし、シングル「Falling to Pieces」はヒットを記録した。この成功により、Gus G.はそれまで並行して活動していた他のバンド (Dream Evil等)を脱退し、FIREWINDに専念することを決意する。

『The Premonition』 と安定期

2008年リリースの5作目 『The Premonition (ザ・プリモニション)』では、バンド史上初めて前作と同じラインナップでのレコーディングが実現した。Gus G.自身も 「『Allegiance』の勝利のチームを維持した」と語っており、バンド内の化学反応が最高潮に達していた時期である。スウェーデンの名門スタジオ Studio Fredman (スタジオ・フレッドマン) で録音された本作は、映画『フラッシュダンス』の主題歌である 「Maniac」のカバーを含む、キャッチーかつパワフルな楽曲が並び、ファンや批評家から高い評価を得た。

2.6 オジー・オズボーンへの加入と葛藤 (2009-2012)

2009年、FIREWIND、そしてGus G.の運命を大きく変える出来事が起きる。Gus G.が、ヘヴィ・メタル界のゴッドファーザーである Ozzy Osbourne (オジー・オズボーン)のバンドのリード・ギタリストに抜擢されたのである。長年オジーの右腕を務めた Zakk Wylde (ザック・ワイルド)の後任という重責を担うことになった彼は、一躍世界的な「ギター・ヒーロー」としての地位を確立した。

しかし、この栄誉はFIREWINDにとっては諸刃の剣であった。Gus G.のスケジュールはオジーのワールドツアーやアルバム制作 (『Scream』)に占有され、FIREWINDの活動は制限されることとなった。

『Days of Defiance』

この多忙な時期に制作されたのが、2010年の『Days of Defiance (デイズ・オブ・ディファイアンス)』である。制作途中でドラマーのMark Crossが脱退し、後任として Michael Ehré (ミヒャエル・エーレ)が加入するなど、再びメンバーの流動化が始まった。アルバム自体は前作の路線を踏襲した高品質なメロディック・メタルであったが、バンドを取り巻く環境は複雑化していた。

『Few Against Many』 と音楽的実験

2012年、Gus G.がオジーのツアー経験を経て制作した『Few Against Many (フュー・アゲインスト・メニー)』は、従来のスタイルからの逸脱を見せた作品となった。ダウンチューニングを多用し、よりグルーヴ重視でダークなサウンドへと変化したこのアルバムは、一部のファンを戸惑わせた。また、ドラマーにはベルギー出身の若手 Johan Nunez (ヨハン・ヌネス)が加入した。

2.7 Apolloの脱退と活動休止 (2013-2016)

2013年1月15日、長年バンドの顔を務めたボーカルのApollo Papathanasioが脱退を表明した。脱退の理由は、音楽的な不一致よりもむしろ、プロのツアー・ミュージシャンとしての過酷な生活と、彼自身の私生活 (家族や定職)との両立が困難になったためとされている。

バンドはツアーの代役として Kelly Sundown Carpenter (ケリー・サンダウン・カーペンター)を起用したが、その後FIREWINDは事実上の活動休止状態 (Hiatus) に入る。Gus G.はこの期間を利用してソロ・キャリアを始動させ、アルバム『I Am the Fire』などをリリースしたため、解散説も囁かれた。

2.8 復活のコンセプト・アルバム: 『Immortals』 (2017)

約5年の沈黙を破り、2017年に発表されたのが『Immortals (イモータルズ)』である。新ボーカリストには、かつてツアー・サポートを務めた経験のある実力派、元MetaliumのHenning Basse (ヘニング・バッセ) が正式に加入した。

本作はバンド初のコンセプト・アルバムであり、古代ギリシャのペルシア戦争、特に「テルモピュライの戦い (Battle of Thermopylae)」とスパルタ王レオニダス (King Leonidas)をテーマにしている。プロデューサーに Dennis Ward (デニス・ワード)を迎えたこの作品は、かつてのスピードとメロディを取り戻した「原点回帰」として高く評価された。

2.9 新たなる体制: Herbie Langhansの加入 (2020-現在)

『Immortals』での復活も束の間、2020年には再びボーカルのHenning Basseが脱退。さらに、長年の功労者であるBob Katsionisも、自身のスタジオワークやプロデュース業に専念するため、バンドを離れる(あるいはツアー活動から退く) こととなった。

Gus G.はバンドを4人編成(キーボードは同期演奏またはGusがスタジオで担当)に再編し、新ボーカリストとしてドイツのパワー・メタル・シーンのベテラン、Herbie Langhans (ハービー・ラングハンス: 元 Sinbreed, Avantasia) を迎え入れた。

『FIREWIND』 (2020) と 『Stand United』 (2024)

2020年のセルフタイトル・アルバム 『FIREWIND (ファイアーウインド)』、そして2024年の最新作『Stand United (スタンド・ユナイテッド)』は、この新体制で作られた。Herbieの声質はApolloに近い中低音の力強さを持ちつつ、よりハードロック的なアプローチが可能であり、近年のFIREWINDは 「80年代アリーナ・ロック」と「ヨーロピアン・パワー・メタル」の融合を推し進めている。特に最新作『Stand United』では、戦争やパンデミック、環境破壊といった現代社会の分断に対し、「団結 (Stand United)」を呼びかけるメッセージ性の強い作品となっている。

3. Discography

以下に、FIREWINDのスタジオ・アルバム10作および主要なライブ作品について記述する。

3.1 Nocturnal Symphony (Demo) (1998)

  • 形式: デモ・テープ/CD-R
  • 解説: バンドの前身となるインストゥルメンタル主体のデモ。この作品がLeviathan Recordsとの契約のきっかけとなった。
  • 参加メンバー: Gus G., Brandon Pender (Vo), Matt Scurfield (Dr)

3.2 Between Heaven and Hell (2002)

  • 邦題: ビトゥイーン・ヘヴン・アンド・ヘル
  • リリース日: 2002年7月30日
  • レーベル: Leviathan (US), Massacre (EU), EMI/Toshiba (Japan)
  • 概要: 衝撃のデビュー作。荒削りながらも、クラシカルな速弾きと正統派メタルのリフが融合している。
  • 参加メンバー: Gus G., Stephen Fredrick, Konstantine, Brian Harris
  • 日本盤ボーナス: "End of an Era"

収録曲(Standard):

  1. Between Heaven and Hell
  2. Warrior
  3. World of Conflict
  4. Destination Forever
  5. Oceans (Instrumental)
  6. Tomorrow Can Wait
  7. Pictured Life (Scorpions Cover)
  8. FIREWIND Raging
  9. I Will Fight Alone
  10. Northern Sky (Instrumental)
  11. Fire
  12. Who Am I?

3.3 Burning Earth (2003)

  • 邦題: バーニング・アース
  • リリース日: 2003年11月10日
  • レーベル: Leviathan (US), Massacre (EU), Toshiba-EMI (Japan)
  • 概要: 前作の路線を継承しつつ、よりバンドとしてのまとまりを見せた作品。この作品から Petros Christoが参加。
  • 参加メンバー: Gus G., Stephen Fredrick, Petros Christo, Stian L. Kristoffersen
  • 主要曲: "I Am the Anger", "Steal Them Blind"
  • 日本盤ボーナス: "Still the Winds"

3.4 Forged by Fire (2005)

  • 邦題: フォージド・バイ・ファイア
  • リリース日: 2005年1月24日 (EU)
  • レーベル: Century Media Records
  • 概要: メジャーレーベルへの移籍第一弾。Bob Katsionisが加入し、サウンドの厚みが増した。ゲストとして Marty Friedman, James Murphyが参加。
  • 参加メンバー: Gus G., Chity Somapala, Bob Katsionis, Petros Christo, Stian L. Kristoffersen
  • 主要曲: "Tyranny", "The Forgotten Memory"
  • 日本盤ボーナス: "Burning the Earth (Live)" 等

3.5 Allegiance (2006)

  • 邦題: アリージャンス
  • リリース日: 2006年7月24日 (EU)
  • レーベル: Century Media
  • 概要: Apollo Papathanasio加入後の初作品であり、バンドの代表作。キャッチーなメロディと疾走感が完璧なバランスで融合している。
  • 参加メンバー: Gus G., Apollo Papathanasio, Bob Katsionis, Petros Christo, Mark Cross
  • 日本盤ボーナス: "Healing Tool", "Demon Nights"

収録曲:

  1. Allegiance
  2. Insanity
  3. Falling to Pieces
  4. Ready to Strike
  5. Breaking the Silence
  6. Deliverance
  7. Till the End of Time
  8. Dreamchaser
  9. Before the Storm (Instrumental)
  10. The Essence
  11. Where Do We Go from Here?

3.6 The Premonition (2008)

  • 邦題: ザ・プリモニション
  • リリース日: 2008年3月21日
  • レーベル: Century Media
  • 概要: 『Allegiance』 と同じメンバーで制作された安定感のある傑作。ポップスの名曲「Maniac」のメタル・カバーが話題となった。
  • 主要曲: "Mercenary Man", "Head Up High", "Maniac"
  • 日本盤ボーナス: "Ride to the Rainbow's End"

3.7 Days of Defiance (2010)

  • 邦題: デイズ・オブ・ディファイアンス
  • リリース日: 2010年10月25日
  • レーベル: Century Media
  • 概要: Gus G. がオジー・オズボーン・バンドに参加した直後の作品。ドラムはMark Crossがレコーディングしたが、リリース時にはMichael Ehréに交代していた。
  • 主要曲: "World on Fire", "Embrace the Sun"
  • 日本盤ボーナス: "Wild Rose"

3.8 Few Against Many (2012)

  • 邦題: フュー・アゲインスト・メニー
  • リリース日: 2012年5月21日
  • レーベル: Century Media
  • 概要: 重厚なグルーヴとダウンチューニングを取り入れた意欲作。Apocalypticaをゲストに迎えたバラード 「Edge of a Dream」も収録。
  • 参加メンバー: Gus G., Apollo Papathanasio, Bob Katsionis, Petros Christo, Johan Nunez
  • 日本盤ボーナス: "Battleborn"

3.9 Immortals (2017)

  • 邦題: イモータルズ
  • リリース日: 2017年1月20日
  • レーベル: Century Media
  • 概要: Henning Basseをボーカルに迎えたコンセプト・アルバム。スパルタの戦士たちを描いた勇壮な世界観が特徴。
  • 主要曲: "Ode to Leonidas", "Hands of Time"
  • ボーナス: "Vision of Tomorrow"

3.10 FIREWIND (2020)

  • 邦題: ファイアーウインド
  • リリース日: 2020年5月15日
  • レーベル: AFM Records
  • 概要: Herbie Langhans加入第一弾。原点回帰しつつも、よりハードロック色を強めたサウンド。
  • 日本盤ボーナス: "Longing to Know You (Acoustic Orchestral Mix)"

収録曲:

  1. Welcome to the Empire
  2. Devour
  3. Rising Fire
  4. Break Away
  5. Orbitual Sunrise
  6. Longing to Know You
  7. Perfect Stranger
  8. Overdrive
  9. All My Life
  10. Space Cowboy
  11. Kill the Pain

3.11 Stand United (2024)

  • 邦題: スタンド・ユナイテッド
  • リリース日: 2024年3月1日
  • レーベル: AFM Records / King Records (Japan)
  • 概要: 『FIREWIND』 と同じ4人編成で制作された作品。The Romanticsの「Talking in Your Sleep」をヘヴィ・メタル風にカバーしている。

収録曲:

  1. Salvation Day
  2. Stand United
  3. Destiny Is Calling
  4. The Power Lies Within
  5. Come Undone
  6. Fallen Angel
  7. Chains
  8. Land of Chaos
  9. Talking in Your Sleep
  10. Days of Grace

日本盤仕様: 日本盤(KICP-4063)には、さらなるボーナス・トラックが含まれる場合がある。

4. メンバー変遷と主要人物

FIREWINDのメンバー史は複雑であり、Gus G. とPetros Christoがバンドの核となっている。以下に主要なメンバーの変遷を表にまとめる。

期間 ボーカル (Vocals) ギター (Guitars) ベース (Bass) ドラム (Drums) 鍵盤 (Keyboards)
1998 Brandon Pender Gus G. Gus G. Matt Scurfield Gus G.
2002-03 Stephen Fredrick Gus G. Konstantine Brian Harris Gus G.
2003-04 Stephen Fredrick Gus G. Petros Christo Stian Kristoffersen Gus G.
2004-05 Chity Somapala Gus G. Petros Christo Stian Kristoffersen Bob Katsionis
2006-10 Apollo Papathanasio Gus G. Petros Christo Mark Cross Bob Katsionis
2010-11 Apollo Papathanasio Gus G. Petros Christo Michael Ehré Bob Katsionis
2011-13 Apollo Papathanasio Gus G. Petros Christo Johan Nunez Bob Katsionis
2016-20 Henning Basse Gus G. Petros Christo Johan Nunez Bob Katsionis
2020- Herbie Langhans Gus G. Petros Christo Jo Nunez (Gus G.)

主要メンバーのプロフィール

Gus G. (ガス・G)
  • 本名: Konstantinos Karamitroudis (1980年9月12日 テッサロニキ生まれ)
  • 役割: リードギター、作曲、リーダー。
  • 特徴: 正確無比なオルタネイト・ピッキングと情感豊かなヴィブラート。オジー・オズボーン・バンドでの活動(2009-2017)により、世界的な知名度を得る。ESPギターとBlackstarアンプを使用。
Petros Christo (ペトロス・クリスト)
  • 役割: ベース、バッキング・ボーカル。
  • 経歴: 2003年の『Burning Earth』制作時から参加。数多のメンバーチェンジの中で唯一、Gus G.と共にバンドに残り続けている「静かなる守護者」。
Bob Katsionis (ボブ・カティオニス)
  • 役割: キーボード、リズムギター (2004-2020)。
  • 重要性: バンドの黄金期を支えたマルチプレイヤー。ライブでの「ギターとキーボードの同時演奏」は彼のトレードマークであった。
Apollo Papathanasio (アポロ・パパサナシオ)
  • 役割: ボーカル (2006-2013)。
  • 重要性: バンドの最も成功した時期のフロントマン。現在はSpiritual Beggarsなどで活動。
Herbie Langhans (ハービー・ラングハンス)
  • 役割: ボーカル (2020-現在)。
  • 特徴: ドイツ出身。中低音の効いたパワフルな声質を持ち、近年のハードロック路線にマッチしている。Avantasiaのライブメンバーとしても知られる。

5. 音楽的スタイルと影響

FIREWINDの音楽性は、European Power Metal (ヨーロピアン・パワー・メタル)の疾走感と叙情性を基盤としつつ、80年代の正統派 Heavy Metal (ヘヴィ・メタル) や Hard Rock (ハード・ロック)の要素を色濃く反映している。

ネオ・クラシカルのDNA

初期の作品、特に『Between Heaven and Hell』においては、Yngwie Malmsteen (イングヴェイ・マルムスティーン) や Uli Jon Roth (ウリ・ジョン・ロート)の影響が顕著であり、ハーモニック・マイナー・スケールやスウィープ奏法を多用したネオ・クラシカルなアプローチが主軸であった。これはGus G.のバークリーでの教育や、彼が影響を受けた70年代のプログレッシブ・ハードロック (Electric Sun、Scorpions)に起因する。

現代的なヘヴィネスへの進化

『The Premonition』以降、特に『Few Against Many』 や近作 『Stand United』では、よりリフ (Riff) 主体の楽曲構造へと変化している。これは、Gus G.がアメリカのメタルシーン(Ozzy Osbourne, Arch Enemy等)での経験を通じて、楽曲のグルーヴ感やアンセムとしてのキャッチーさを重視するようになった結果と推測される。シンセサイザーの使用も、かつての速弾きキーボード・ソロから、楽曲の雰囲気を盛り上げるためのテクスチャとしての使用へと変化しており、80年代のAOR (Adult Oriented Rock) 的なアプローチも見られる。

6. Conclusion

ギリシャのテッサロニキから始まった FIREWIND (ファイアーウインド)の旅は、四半世紀を経てなお続いている。FIREWINDは、音楽業界の激変、主要メンバーの離脱、そしてリーダーである Gus G. (ガス・G) のオジー・オズボーン・バンドへの参加という巨大な変化を乗り越えてきた。

第10作『Stand United』において、FIREWINDは分断された世界に向けて「団結」を叫んでいる。それはまた、幾多のメンバーチェンジを経て現在の4人体制に辿り着き、強固な結束を手に入れたバンド自身の姿を投影しているようでもある。FIREWINDは、単なる「ギター・ヒーローのソロ・プロジェクト」という枠を超え、メロディック・ヘヴィ・メタルの聖火を守り続ける重要な制度 (Institution)として、その歴史を刻み続けているのである。

News

KING DIAMOND、Andy La Rocqueが脱退 — 後任はGus G.

1985年から40年以上在籍した盟友ギタリストが離脱。後任は元OZZY OSBOURNE/FIREWINDのGus G.。

出典: Blabbermouth(2026年7月25日)

ニュース一覧 →

Albums

Stand United CD
/

叙情的なメロディと疾走感を両立した、正統派パワー・メタル。

Firewind CD
/

新ヴォーカリストを迎え、FIREWINDがギター主導のメロディック・パワーを再確認したセルフタイトル作。

Immortals CD
/

神話的な物語とギリシャ的なメロディ感を、疾走感あるパワー・メタルへまとめたFIREWINDの一作。

Few Against Many CD
/

切れ味鋭いギターと力強い歌で、FIREWINDの正統派パワー・メタルを引き締めた一枚。

Days of Defiance CD
/

メロディックな疾走感とギターの閃きで、FIREWINDのパワー・メタルを磨き上げた一作。

The Premonition CD
/

叙情的なリードと硬質なリフを重ね、FIREWINDがメロディック・パワー・メタルの充実を示した一作。

Allegiance CD
/

鋭いギターと大きなメロディを結び、FIREWINDがパワー・メタルの直進力を高めた第三作。

Forged by Fire CD
/

鋭いギターと大きなメロディを結び、FIREWINDが正統派パワー・メタルの推進力を磨いた第二作。

Burning Earth CD
/

重いリフとネオクラシカルなギターを結び、FIREWINDが硬質なパワー・メタルを築いた第二作。

Between Heaven and Hell CD
/

鋭いギターと正統派の疾走感で、FIREWINDが若々しいパワー・メタルの勢いを示した初期作。