PINK CREAM 69

PINK CREAM 69は、1980年代後半のジャーマン・メタルおよびメロディック・ハード・ロック・シーンにおいて極めて重要な位置を占めたバンドであり、そのキャリアは35年以上に及ぶ。

Biography

PINK CREAM 69
軌跡、音楽的進化、遺産

1. 欧州メロディック・ハード・ロックにおける位置づけ

PINK CREAM 69は、1980年代後半のジャーマン・メタルおよびメロディック・ハード・ロック・シーンにおいて極めて重要な位置を占めたバンドであり、そのキャリアは35年以上に及ぶ。

PINK CREAM 69の音楽的特質は、アメリカン・ハード・ロックの持つ開放的なグルーヴと、(特にドイツ) 特有の緻密な構成美、そして哀愁を帯びたメロディの融合にある。この独自のスタイルは、後に「メロディック・ロック」や「ユーロ・ハード」と呼ばれるジャンルの雛形の一つとなった。

また、本バンドは単なる一過性の成功に留まらず、メンバー各人がプロデューサーやマネージャー、あるいは他の著名なバンド (Helloween、Unisonic、Place Vendomeなど) の主要メンバーとして活躍することで、世界のメタル・シーン全体に巨大な影響力を及ぼしえ続けてきた「人材輩出機関」としての側面も持つ。

2. 第1章: 黎明期と黄金時代の到来 (1987年-1993年)

2.1 結成と「Metal Hammer」コンテストでの勝利 (1987-1988)

PINK CREAM 69の歴史は、1987年にドイツ南西部の都市 Karlsruhe (カールスルーエ) で幕を開けた。結成時のオリジナル・ラインナップは、以下の4名である。

  • Andi Deris (アンディ・デリス): Vocals
  • Alfred Koffler (アルフレッド・コフラー): Guitar
  • Dennis Ward (デニス・ワード): Bass
  • Kosta Zafiriou (コスタ・ザフィリオ): Drums

PINK CREAM 69は結成当初から、当時のドイツの主流であったスピード・メタルやスラッシュ・メタルとは一線を画す、よりメロディアスでアメリカ市場を意識したハード・ロックを志向していた。この方向性は、Andi Deris (アンディ・デリス) の持つ独特のポップ・センスと、Alfred Koffler (アルフレッド・コフラー) のブルースに根ざしたギター・プレイの融合によって確立されたものである。

バンドの運命を決定づけたのは、結成からわずか1年後の1988年、ルートヴィヒスブルク (Ludwigsburg) で開催された著名な音楽雑誌『Metal Hammer (メタル・ハマー)』主催の新人バンド・コンテストであった。このコンテストにおいてPINK CREAM 69は圧倒的なパフォーマンスを見せて優勝を果たし、多数のレーベルからの注目を集めることとなる。この勝利は、PINK CREAM 69が大手メジャー・レーベルであるEpic Records (エピック・レコード) との多作契約を獲得する直接的な契機となった。

バンド名「PINK CREAM 69」の由来については、長年にわたり様々な憶測 (性的なニュアンスを含むものや、カクテルの名前など) が飛び交ったが、この挑発的かつ記憶に残りやすい名称は、PINK CREAM 69の「パーティー・ロック」的な初期のイメージ戦略に合致しており、瞬く間にシーンに浸透していった。公式には「単に語感が面白く、覚えやすい名前を狙った」とされている。

2.2 デビューと即座の成功: 『PINK CREAM 69』 (1989)

1989年、セルフ・タイトルのデビュー・アルバム 『PINK CREAM 69 (ピンク・クリーム69)』 がリリースされた。このアルバムは、新人バンドとしては異例の完成度を誇り、ヨーロッパ全土で好意的なレビューを獲得した。特にシングル・カットされた「One Step Into Paradise (ワン・ステップ・イントゥ・パラダイス)」は、キャッチーなコーラスとポジティブなエネルギーに満ちており、バンドの代表曲として定着した。

この時期のPINK CREAM 69のサウンドは、Helloween (ハロウィン) のようなパワー・メタル要素と、Van Halen (ヴァン・ヘイレン) やBon Jovi (ボン・ジョヴィ) のようなアリーナ・ロックの要素が絶妙なバランスで共存しており、これが日本市場においても熱狂的に受け入れられる要因となった。

2.3 『One Size Fits All』と日本市場での爆発的受容 (1991)

1991年にリリースされた2作目のアルバム 『One Size Fits All (ワン・サイズ・フィッツ・オール)』 は、バンドのキャリアにおける一つの頂点を示す作品となった。本作は、ドイツ国内のみならず、日本や他のヨーロッパ諸国のチャートでも上位にランクインした。

この時期、バンドは集中的なツアー活動を展開し、国際的な知名度を高めた。特に日本における人気は凄まじく、1992年初頭に行われた来日公演 (東京・川崎クラブチッタなど) はソールド・アウトを記録した。この時の熱狂的なパフォーマンスの模様は、後に映像作品 『Size It Up - Live in Japan '92 (サイズ・イット・アップ ライヴ・イン・ジャパン '92)』 としてリリースされており、全盛期のPINK CREAM 69のステージ・アクションを確認できる貴重な記録となっている。

アルバム収録曲の「Talk to the Moon (トーク・トゥ・ザ・ムーン)」や「Livin' My Life for You (リヴィン・マイ・ライフ・フォー・ユー)」といった楽曲は、日本のメタル専門誌『BURRN!』の読者人気投票などでも常に上位にランクインし、Andi Deris (アンディ・デリス) はアイドル的な人気を博した。

2.4 『Games People Play』とAndi Derisの離脱 (1993-1994)

1993年、3作目のアルバム 『Games People Play (ゲームス・ピープル・プレイ)』 がリリースされた。このアルバムは前2作の路線を踏襲しつつも、より成熟したソングライティングと多様な音楽的アプローチ (アコースティック要素や民族音楽的なリズムの導入など) が見られた。

しかし、この頃からバンド内部、特に音楽的な方向性を巡っての緊張が高まりつつあった。さらに、ドイツのメタル・シーン全体を揺るがす大きな事件が勃発する。当時、メンバー間の不和と音楽的迷走により解散の危機に瀕していたジャーマン・メタルの巨頭 Helloween (ハロウィン) が、マイケル・キスク (Michael Kiske) の後任ボーカリストを探していたのである。

1994年、Andi Deris (アンディ・デリス) はPINK CREAM 69を脱退し、Helloweenに加入するという決断を下した。DerisのHelloweenへの加入は、結果として『Master of the Rings』の成功をもたらし、Helloweenを復活へと導いたが、残されたPINK CREAM 69にとっては、バンドの「顔」であり主要ソングライターを失うという壊滅的な打撃となった。

3. 第2章: 変革と再構築 - David Readmanの時代 (1994年-2002年)

3.1 新たな声の探求とDavid Readmanの加入 (1994)

Derisの脱退後、残されたAlfred Koffler (アルフレッド・コフラー)、Dennis Ward (デニス・ワード)、Kosta Zafiriou (コスタ・ザフィリオ) の3人は、バンドを存続させるという困難な道を選んだ。彼らは新たなフロントマンを探すために広範なオーディションを実施した。

1994年8月、イギリス出身のボーカリスト、David Readman (デヴィッド・リードマン) が正式に加入した。Readmanは、Derisのようなハイトーン主体の「ジャーマン・メタル・ボイス」とは異なり、David Coverdale (デヴィッド・カヴァデール) やPaul Rodgers (ポール・ロジャース) を彷彿とさせる、ブルージーでソウルフルな中低域の豊かな声質を持っていた。この人選は、バンドが単なる「Derisの模倣」を探していたのではなく、新たな音楽的アイデンティティを確立しようとしていたことを示唆している。

3.2 グランジ旋風と『Change』による実験 (1995)

Readman加入後の第一弾アルバム 『Change (チェンジ)』 (1995年) は、そのタイトル通り、バンドの劇的な変化を象徴する作品となった。制作はアメリカのカリフォルニアで行われ、当時世界中のロック・シーンを席巻していたグランジ/オルタナティブ・ロックの影響を色濃く反映していた。

ダウン・チューニングを多用したギター・リフ、乾いたドラム・サウンド、そして内省的な歌詞は、初期の華やかなパーティ・ロック・サウンドとは対極にあるものだった。この音楽的転換は、多くの既存ファン (特に日本や欧州の伝統的なメロディック・ロック・ファン) を戸惑わせたが、同時にバンドの音楽的懐の深さと、Readmanのボーカリストとしての適応力の高さを示すものでもあった。

3.3 メロディック・ハードへの回帰: 『Food for Thought』から『Sonic Dynamite』 (1997-2000)

『Change』での実験を経て、バンドは徐々に自身の強みである「メロディ」への回帰を図っていく。

  • 『Food for Thought (フード・フォー・ソート)』 (1997): 前作のモダンな要素を残しつつも、よりフックのあるメロディを取り戻した過渡的な作品。
  • 『Electrified (エレクトリファイド)』 (1998): 完全に吹っ切れたかのように、疾走感とキャッチーなコーラスが復活したアルバム。オープニング・トラックの「Shame (シェイム)」は新たなライブ・アンセムとなり、ファンや批評家から「PINK CREAM 69の完全復活」として絶賛された。
  • 『Sonic Dynamite (ソニック・ダイナマイト)』 (2000): メロディック・ハード・ロックの完成形とも言える作品であり、SPVレーベル移籍後の代表作となった。Readmanの声質に合わせた楽曲作りが完全に定着し、ジャーマン・メタル的な構築美とブリティッシュ・ロックの渋みが融合した独自のスタイルを確立した。

3.4 プロデューサー Dennis Wardの台頭

この時期のもう一つの重要なトピックは、ベーシストである Dennis Ward (デニス・ワード) のプロデューサーとしての才能の開花である。彼は自バンドのアルバム・プロデュースを手掛けることでスキルを磨き、そのクリアでパワフル、かつ各楽器の分離が良いサウンド・プロダクションは業界内で高く評価されるようになった。後に彼は、Angra、Primal Fear、Krokusといった著名バンドのプロデュースも手掛けるようになり、「Dennis Wardサウンド」は2000年代以降のメロディック・メタルの標準的な音像の一つとなった。

4. 第3章: 試練と進化 - 5人編成への移行 (2003年-2011年)

4.1 Alfred Kofflerの病気とUwe Reitenauerの加入 (2003)

2000年代初頭、バンドは深刻な危機に見舞われた。創設メンバーでありギタリストの Alfred Koffler (アルフレッド・コフラー) が、神経疾患である局所性ジストニア (Focal Dystonia) と診断されたのである。この病気は、意思とは無関係に筋肉が収縮・硬直し、精密な動作が困難になるもので、ギタリストとしての演奏能力に致命的な影響を及ぼす可能性があった。特にKofflerの場合、左手の運指に支障をきたしたとされている。

バンドはKofflerを解雇するのではなく、彼をサポートする形での体制強化を選択した。2003年、セカンド・ギタリストとして Uwe Reitenauer (ウヴェ・ライトナウアー) が加入し、バンドは歴史上初めて5人編成 (ツイン・ギター体制) となった。Reitenauerは高度なテクニックを持つギタリストであり、ライブにおいてはKofflerの負担を軽減しつつ、スタジオ作品においてはより厚みのあるギター・オーケストレーションを可能にした。

4.2 『Thunderdome』と『In10sity』 (2004-2007)

5人編成となって初のフル・アルバム 『Thunderdome (サンダードーム)』 (2004年) は、ツイン・ギターの利点を活かしたヘヴィかつダイナミックな作品となった。Kofflerのリフ・メイキングのセンスは健在であり、Reitenauerのテクニカルなリード・プレイがそれを補完する形で見事な相乗効果を生み出した。

続く2007年の 『In10sity (インテンシティ)』 は、デビュー20周年 (および通算10作目のリリース関連) を記念する作品として、イタリアのメロディック・ロック専門レーベル Frontiers Records (フロンティアーズ・レコード) からリリースされた。このアルバムは、Dennis Wardのプロデュース・ワークが冴え渡り、非常にモダンで洗練されたメロディック・メタルの傑作として評価された。

5. 第4章: 現代、そして終焉への道 (2012年-2023年)

5.1 Kosta Zafiriouの脱退とChris Schmidtの加入 (2012)

2012年3月、結成以来ドラマーとしてバンドのリズムを支えてきた Kosta Zafiriou (コスタ・ザフィリオ) が脱退を発表した。脱退の理由は、彼が経営するマネージメント会社「Bottom Row」の業務多忙と、元HelloweenのMichael Kiske (マイケル・キスク) やKai Hansen (カイ・ハンセン)、そしてDennis Wardと共に結成したスーパーバンド Unisonic (ユニソニック) の活動に専念するためであった。

後任には、長年バンドのドラム・テックを務め、メンバーとも旧知の仲であった Chris Schmidt (クリス・シュミット) が迎えられた。Schmidtは、既にDennis WardのプロジェクトであるSunstormなどでの演奏経験もあり、バンドへの統合はスムーズに行われた。

5.2 『Ceremonial』と『Headstrong』 (2013-2017)

新体制で制作された 『Ceremonial (セレモニアル)』 (2013年) は、バンドの変わらぬ質の高さを証明した。さらに2017年には、デビュー30周年を記念するアルバム 『Headstrong (ヘッドストロング)』 をリリース。このアルバムには、新曲群に加え、地元ルートヴィヒスブルクでのライブ音源を収録したボーナス・ディスクが付属し、PINK CREAM 69の長きにわたるキャリアを総括する内容となっていた。

5.3 相次ぐメンバーの離脱とバンドの終焉 (2019-2023)

『Headstrong』以降、バンドの活動ペースは鈍化し、中心メンバーの離脱が相次いだ。

  • 2019年: 長年にわたりバンドの音楽的支柱でありプロデューサーでもあったベーシストの Dennis Ward (デニス・ワード) が脱退を発表。彼はMagnum (マグナム) への加入や自身のプロジェクトに専念することとなった。
  • 2020年: ギタリストの Uwe Reitenauer (ウヴェ・ライトナウアー) も脱退。

バンドは存続を図るため、新たなベーシストにRoman Beselt (ローマン・ベセルト)、ギタリストにMarco Wriedt (マルコ・リート) (元Axxis, 21 Octayne) を迎えた。この新ラインナップで散発的なライブ活動やリハーサルが行われたものの、新しいスタジオ・アルバムがリリースされることはなかった。

そして2023年、唯一のオリジナル・メンバーとしてバンドを守り続けてきた Alfred Koffler (アルフレッド・コフラー) が引退を発表。公式な「解散宣言」こそ出されていないものの、Kofflerの引退とソーシャルメディアの更新停止 (2023年6月以降) をもって、PINK CREAM 69は事実上その36年の歴史に幕を下ろしたと見なされている。

6. ディスコグラフィ (Discography)

以下に、PINK CREAM 69の主要作品を詳述する。日本盤独自のボーナス・トラックや、当時の邦題・帯 (オビ) の表記なども可能な限り網羅した。

6.1 スタジオ・アルバム (Studio Albums)

発表年 タイトル (原題) タイトル (邦題) レーベル 分析・備考・日本盤ボーナス
1989 PINK CREAM 69 ピンク・クリーム69 Epic 【衝撃のデビュー作】
キャッチーなリフとDerisのハイトーンが特徴。「One Step Into Paradise」収録。日本盤はEpic Sonyよりリリース。
1991 One Size Fits All ワン・サイズ・フィッツ・オール Epic 【日本でのブレイク作】
より洗練された楽曲群。「Talk to the Moon」収録。
日本盤ボーナス: "White Men Do No Reggae (Live)", "Detroit Rock City (Live)"
1993 Games People Play ゲームス・ピープル・プレイ Epic 【Deris在籍最終作】
音楽的冒険心に溢れた作品。「Face in the Mirror」など収録。
日本盤ボーナス: "A Good Waste of Time"
1995 Change チェンジ Epic 【Readman加入第一弾】
グランジ色の強いモダン・ヘヴィネス路線。賛否両論を呼んだが、現在はそのグルーヴ感が高く評価されている。
日本盤ボーナス: "20th Century Boy" (T.Rex cover)
1997 Food for Thought フード・フォー・ソート High Gain 【原点回帰への序章】
ハード・ロックへの回帰が見られる。「Passage to Hope」などのバラードも秀逸。
1998 Electrified エレクトリファイド SPV 【完全復活】
メロディック・パワー・メタルの疾走感が戻った。「Shame」、「Break the Silence」収録。
日本盤ボーナス: "Gone Again"
2000 Sonic Dynamite ソニック・ダイナマイト SPV 【メタル・サイドの強化】
リフの鋭さと疾走感が増した快作。
日本盤ボーナス: "King of My World"
2001 Endangered エンデンジャード Massacre 【4人編成最後のアルバム】
The Whoのカバー 「Pinball Wizard」を収録。
日本盤ボーナス: "Pinball Wizard"
2004 Thunderdome サンダードーム SPV 【5人編成デビュー】
Uwe Reitenauer参加によりギター・サウンドが分厚くなった。
日本盤ボーナス: "Carved in Stone"
2007 In10sity インテンシティ Frontiers 【Frontiers時代の傑作】
モダンでクリアなプロダクションが際立つ。「Children of the Dawn」収録。
日本盤ボーナス: "Last Train to Nowhere"
2013 Ceremonial セレモニアル Frontiers 【Schmidt加入】
安定したソングライティング。「Wasted Years」のライブ音源などを収録。
日本盤ボーナス: "Wasted Years (Live)"
2017 Headstrong ヘッドストロング Frontiers 【30周年記念盤】
Dennis Wardプロデュースの集大成。ライブ盤付き。
日本盤ボーナス: "The Other Man"

6.2 ライブ・アルバム & ビデオ (Live Albums & Videos)

  • Size It Up - Live in Japan '92 (サイズ・イット・アップ・ライヴ・イン・ジャパン '92) (1992/1993)
    フォーマット: VHS, Laserdisc (日本限定)
    内容: 1992年1月31日、川崎クラブチッタでの公演を収録。全盛期のAndi Derisのパフォーマンスが確認できる貴重な映像。「Take Those Tears」やKISS ofのカバー「Detroit Rock City」などを収録。
    再発: 2009年のDVD『Past & Present』に収録された。
  • Live in Karlsruhe (ライヴ・イン・カールスルーエ) (2009)
    フォーマット: CD, DVD
    内容: 2009年1月24日、地元カールスルーエで行われた20周年記念ライブを完全収録。新旧織り交ぜたセットリストで、バンドの歴史を総括する内容となっている。

6.3 EP & ミニ・アルバム

  • 49°/8° (1991)
    タイトルの数字はカールスルーエの緯度と経度を示す。アコースティック・バージョンやリミックスを収録した企画盤。
  • 36°/140° (1991)
    日本独自企画のEP。タイトルは東京の緯度経度を示唆していると思われる。「I Only Wanna Be For You」のリメイクなどを収録。
  • PINK CREAM 69's Mixery (ピンク・クリーム69ズ・ミキサリィ) (2000)
    ファン向けの企画盤。Readmanによる「One Step Into Paradise」の再録音バージョン (Version 2000) やMötley Crüeのカバー「Looks That Kill」を収録。

6.4 コンピレーション (Compilations)

  • Platinum Edition (プラチナム・エディション) (2003)
    『Sonic Dynamite』、『Endangered』、そしてEP『Mixery』をセットにした3枚組ボックスセット。

7. メンバー詳細プロフィール (Member Biographies)

オリジナル・メンバー (Original Members)

Andi Deris (アンディ・デリス)
  • 担当: Vocals (1987-1993)
  • 人物: バンドの初代「顔」。甘いルックスと、キャッチーなメロディを生み出す卓越したソングライティング能力で人気を博した。
  • 脱退後: 1994年に Helloween (ハロウィン) に加入。Michael Kiske脱退後の混乱期にあったバンドを立て直し、メイン・ソングライターとして『Power』や『Sole Survivor』などの名曲を生み出した。現在もHelloweenの不動のフロントマンとして活躍中。
Alfred Koffler (アルフレッド・コフラー)
  • 担当: Guitars (1987-2023)
  • 人物: バンドの創設者であり、最後まで残ったオリジナル・メンバー。AC/DCやClassic Rockに影響を受けた、グルーヴ感のあるリフ・ワークが特徴。
  • 闘病: 2000年代にミュージシャン生命を脅かす局所性ジストニアを発症したが、プレイスタイルを工夫し、相棒のUwe Reitenauerの助けを借りて20年以上活動を続けた不屈のギタリスト。
Dennis Ward (デニス・ワード)
  • 担当: Bass, Backing Vocals (1987-2019)
  • 人物: アメリカ出身。ベーシストとしてだけでなく、プロデューサー、エンジニア、バック・ボーカリストとしてバンドのサウンド・プロダクションの要を担った。
  • 関連プロジェクト: Place Vendome (プレイス・ヴァンドーム) (Michael Kiskeとのプロジェクト)、Unisonic (ユニソニック)、Magnum (マグナム) (2019年加入)、Gus G. (ガス G.) のバンドなど。彼の作り出す「クリアで太い」サウンドは、欧州メロディック・ロックの品質基準となった。
Kosta Zafiriou (コスタ・ザフィリオ)
  • 担当: Drums (1987-2012)
  • 人物: パワフルかつ安定したドラミングでバンドの屋台骨を支えた。また、マネージメント会社「Bottom Row」の設立者としても知られ、HelloweenやAxxisなどのマネージメントも手掛けるビジネスマンでもある。
  • 脱退後: Unisonicでの活動を経て、現在は音楽業界の裏方として重鎮となっている。

途中加入メンバー (Later Members)

David Readman (デヴィッド・リードマン)
  • 担当: Vocals (1994-2023)
  • 人物: イギリス出身。WhitesnakeやDeep Purpleの流れを汲む、ブルージーで湿り気のある歌声が特徴。彼の加入により、バンドはより成熟したハード・ロック・バンドへと進化した。
  • 関連プロジェクト: Voodoo Circle (ヴードゥー・サークル) (Alex Beyrodtとのバンド)、Almanac (アルマナック) (元RageのVictor Smolskiのバンド)、Adagio (アダージョ) など、多岐にわたる。
Uwe Reitenauer (ウヴェ・ライトナウアー)
  • 担当: Guitars (2003-2020)
  • 人物: Kofflerのサポートとして加入したが、そのテクニカルで正確なプレイにより不可欠なメンバーとなった。
  • 関連プロジェクト: Sunstorm (サンストーム) (Joe Lynn Turnerのプロジェクト) など。
Chris Schmidt (クリス・シュミット)
  • 担当: Drums (2012-2023)
  • 人物: 長年のドラム・テックからの昇格。Kostaのスタイルを継承しつつ、よりモダンなアプローチも取り入れた。
Marco Wriedt (マルコ・リート) & Roman Beselt (ローマン・ベセルト)
  • 担当: Guitar / Bass (2019/2020-2023)
  • 人物: バンド末期を支えた新メンバー。Wriedtは Axxis (アクシス) や 21 Octayne (トゥエンティワン・オクテイン) での活動で知られる実力派。

8. 日本市場との深い絆 (The Japanese Connection)

PINK CREAM 69を語る上で、日本市場の存在は無視できない。

  1. 雑誌『BURRN!』の影響: 1980年代後半から90年代にかけて、日本のヘヴィ・メタル専門誌『BURRN!』はPINK CREAM 69を強力にプッシュした。特にAndi Derisのルックスと、日本人の琴線に触れる「哀愁のメロディ」は高く評価され、アイドル的な人気を獲得した。
  2. 日本独自企画盤: 前述の『36°/140°』や、各アルバムの日本盤ボーナス・トラックの充実は、日本のファンの購買意欲を維持するために不可欠であった。これらの日本盤は帯 (OBI) が付いていることから、現在でも世界中のコレクターの間で高値で取引されている。
  3. Katakana表記のブランド化: 日本盤の帯に書かれた「ピンク・クリーム69」というカタカナ表記は、バンドのビジュアル・アイデンティティの一部として認識されている。また、メンバー名のカタカナ表記 (アンディ・デリスなど) も、日本のファンにとっては親しみやすさの象徴であった。

9. Conclusion

PINK CREAM 69は、単なる「Helloweenのボーカリストがかつて在籍していたバンド」ではない。PINK CREAM 69は、グランジ旋風によるメタルの冬の時代を生き抜き、主要メンバーの難病という危機を乗り越え、常に高品質なメロディック・ハード・ロックを提供し続けた「生存者 (サバイバー)」である。

Dennis Wardによる洗練されたプロダクション、Alfred Kofflerの不屈のギター・ワーク、そしてAndi DerisとDavid Readmanという稀代の2人のボーカリストによって紡がれた楽曲群は、欧州のハード・ロック史における重要な遺産である。2023年の活動停止は一つの時代の終わりを意味するが、PINK CREAM 69が残した遺伝子は、Helloween、Unisonic、Voodoo Circleといった数多くの関連バンドを通じて、今もなお世界のメタル・シーンに息づいている。

Albums

Headstrong CD
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重量感あるリフと洗練されたコーラスを両立させる、PINK CREAM 69の力強いハード・ロック作。

Ceremonial CD
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洗練されたコーラスと硬質なギターで、PINK CREAM 69のメロディック・ハード・ロックを磨き上げた一枚。

In10sity CD
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強靭なギターと洗練されたフックで、PINK CREAM 69がメロディック・ハードの強度を見せた第10作。

Thunderdome CD
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硬いギターと大きなフックを前面に置き、PINK CREAM 69が現代的なメロディック・ハードを鳴らした一枚。

Endangered CD
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洗練されたメロディとシャープなギターを結び、PINK CREAM 69が成熟したハード・ロックを描いた7作目。

Sonic Dynamite CD
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ピンク・クリーム69が重厚なギターと大きなコーラスを組み合わせた、攻めのメロディック・メタル作。

Electrified CD
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太いギターと伸びやかな歌を前面に出し、PINK CREAM 69がメロディック・ハードの強度を示した一作。

Food for Thought CD
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太いギターと洗練されたサビを両立し、PINK CREAM 69がメロディック・ハード・ロックの力強さを示した一作。

Change CD
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デヴィッド・リードマンを迎え、PINK CREAM 69が重いギターと新しい声で再出発した第3作。

Games People Play CD
/

太いギターと洗練されたコーラスを結び、PINK CREAM 69がメロディック・ハードの強度を示した第3作。

One Size Fits All CD
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鋭いギターと伸びやかなコーラスを結び、PINK CREAM 69がメロディック・メタルの強度を高めた第二作。

Pink Cream 69 CD
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アンディ・デリスの歌声と洗練されたフックで、PINK CREAM 69がメロディック・ハードの新星として登場したデビュー作。