OUTRAGE
1982年に名古屋で結成されたスラッシュ・メタル・バンド、OUTRAGE(アウトレイジ)のバイオグラフィとディスコグラフィ。1987年のデビューEPから2020年の『Run Riot』まで、全15作品を編成・収録曲・ライナーノーツつきで作品ごとに掲載。METAL BOOST。
Biography
OUTRAGE
バイオグラフィー
OUTRAGE(アウトレイジ)は、1982年に愛知県名古屋市で結成されたスラッシュ・メタル・バンドである。1987年に自主制作のEPでデビューし、以後、解散も活動休止も経ずに作品を重ねてきた。歌の橋本直樹、ギターの阿部洋介、ベースの安井義博、ドラムの丹下眞也という編成は1986年に固まったもので、1999年から2007年までの一時期を除き、現在まで同じ4人が続いている。
結成と自主制作EP(1982〜1987年)
バンドは1982年、名古屋で結成された。当初の顔ぶれは阿部洋介(ギター)、安井義博(ベース)、丹下眞也(ドラム)、伊藤千豊(ヴォーカル)の4人である。レパートリーはNWOBHMのカヴァーが中心で、地元のライヴハウスに出ていた。
1986年、伊藤が脱退し、別のバンドに在籍していた橋本直樹が加わる。これで現在まで続く4人が揃った。翌1987年、自主レーベル『Pile Driver Records』からデビューEP『OUTRAGE』が出される。ジャケットの意匠から、のちに「ペケレイジ」という愛称で呼ばれるようになった一枚である。
当時、日本国内でもスラッシュ・メタルは盛り上がりを見せ、優れたバンドが競い合っていた。その中でこのEPが投じた一石は、名古屋からMETALLICAへ向けた回答と評されている。ただし単なる模倣ではない。NWOBHM、70年代から80年代初頭のハードロックとヘヴィメタル、パンク、ハードコアを出自に持つがゆえに、結果としてそうした音が出たという見方である。「Step On It」のギター・ソロは、10代の少年が組み立てて弾いたものとは思えない構築を持つ。またスラッシュと言えば叫ぶ歌い方が当然とされていた時期に、荒々しくも旋律をしっかり歌う橋本の声は強く耳を引いた。
EPは早々に売り切れ、しばらく入手困難な状態が続いた。収録曲のうち「Under Control Of Law」と「Edge Of Death」は続く1作目で再録音され、4曲そのものは1997年の2枚組『IT'S PACKED!! - 10th Anniversary Live & Rare Edition』の2枚目としてCD化されている。
メジャー進出と初期3作(1988〜1990年)
1988年、1作目『BLACK CLOUDS』でメジャーに進む。EPで示した音楽性をそのまま広げた作品だが、わずか1年ほどの間に急激な進化を遂げており、日本で知名度の高かった欧米のスラッシュ・メタル勢の作品と並べても、音楽的に劣るところはなかった。FLOWER TRAVELLIN' BANDの「Slowly But Surely」を取り上げているのも本作の特徴である。
2作目『BLIND TO REALITY』(1989年)は、リフを畳みかける書き方によって音がさらに激化した。3作目『THE GREAT BLUE』(1990年)はその延長線上にありながら、若干の間を置いて歌を活かす音作りへと進んでいる。
『THE FINAL DAY』とドイツ録音(1991年)
1991年の4作目『THE FINAL DAY』は、バンドが初めて海外に出て録音した作品である。制作を担ったのは、当時元ACCEPTのドラマーとしても知られていたステファン・カウフマンで、録音はドイツで行われた。
それ以前、バンドはなかなか理想の音が得られずに悩んでいたが、この時は最初に試し録りをしただけでそれが解消されたという。結果として、過去最高の曲と演奏とサウンド・プロダクションが聴けるアルバムになった。スラッシュ・メタルの速さと攻撃性は保ちながら、『THE GREAT BLUE』以上に空間を増やし、ヴォーカルを中心に総ての楽器が活きるアレンジが施されている。
橋本はここでシンガーとしてのスタイルを大きく広げており、時にビリー・アイドルのような歌い方をするところも印象的である。収録された「River」はバンドにとって初の純粋なバラードで、橋本は当初これを録音することを拒んだと伝えられている。
90年代の変化(1993〜1997年)
5作目『SPIT』(1993年)、6作目『LIFE UNTIL DEAF』(1995年)、7作目『WHO WE ARE』(1997年)の3枚では、スラッシュ・メタルの範疇に止まらず様々な音楽の要素が取り込まれていく。同時に、メタルからグランジ/オルタナティヴへと移行していく時代の風も読まれており、音は作品ごとに更新されていった。
1997年にはデビュー10周年を記念した2枚組『IT'S PACKED!! - 10th Anniversary Live & Rare Edition』が出され、その2枚目に、長く入手困難だったデビューEPの4曲が収められた。
3人編成の時代(1999〜2004年)
1999年、橋本が脱退する。残った3人は後任を入れず、トリオで活動していくことを決めた。安井がメインでヴォーカルを取る編成である。EP『VOLUME ONE』(2001年)、EP『PLAY LOUD EP』(2002年)、8作目『24-7』(2002年)、9作目『CAUSE FOR PAUSE』(2004年)といったこの時期の作品は、橋本在籍時よりも作りが簡素で、メタルというよりヘヴィ・ロック、あるいはロックンロールと呼んだほうが近い手触りを持つ。
のちにメンバー自身も認めているとおり、今振り返ればこの変化はバンドにとって必要なものだった。もしそのまま4人で続けていたら解散していたかもしれない、というのが彼らの見方である。9作目に収められ、シングル・カットもされた「Deadbeat」は、橋本の復帰後も歌われ続けている。3人で書かれた曲を4人で演奏しても、まぎれもなくこのバンドの曲として響くことになった。
復帰と現在(2007年〜)
2007年9月2日、川崎・クラブチッタで行われたデビュー20周年を記念するライヴで橋本が復帰する。当初は期間限定の予定だったが、大きな反響を得たこともあって、2008年2月8日に公式サイトで正式な復帰が発表された。
2009年、バンドはスウェーデン・ヨーテボリのStudio Fredmanで録音に入る。制作を担ったのはスタジオの主であるフレドリク・ノードストロームで、同年11月25日に10作目『OUTRAGE』が出された。橋本在籍時の持ち味を集めたようなアルバムであり、オープニングの「Rise」は屈指の代表曲となっている。2010年には橋本の復帰に至る経緯を主軸にしたドキュメンタリー映画『SHINE ON -TRAVELOGUE OF OUTRAGE-』が公開され、翌2011年にDVD化された。
2013年の11作目『OUTRAGED』も『OUTRAGE』の延長線上にある作品である。2015年には、新曲と日本のロックの先人たちの曲のカヴァーで構成された特別盤『GENESIS I』が出された。2017年2月にはデビュー30周年を記念したボックス・セット『XXX BOX』、同年10月には12作目『Raging Out』が続く。丹下はこのアルバムを、橋本復帰後の3部作の最終作と捉えている。ミックスはPAINやHYPOCRISYを率いるピーター・テクレンが手掛けた。
2020年4月15日には13作目『Run Riot』が発売された。ミックスはジェイ・ラストン。末尾の2曲「White Lightning (respect for Paralex)」と「Red Skull Rock (respect for Tank)」は、題に添えられたとおりNWOBHMのバンドへ向けた敬意の表明であり、結成当初にカヴァーしていた音楽圏へ、38年を経て改めて向き直った形になっている。
メンバー
公式サイトの表記にもとづく現行の編成は以下のとおりである。
- NAOKI(橋本直樹) — ヴォーカル
- 阿部洋介 — ギター
- 安井義博 — ベース
- 丹下眞也 — ドラム
ディスコグラフィ(当サイト登録分)
- OUTRAGE(EP、1987年)
- BLACK CLOUDS(1988年)
- BLIND TO REALITY(1989年)
- THE GREAT BLUE(1990年)
- THE FINAL DAY(1991年)
- SPIT(1993年)
- LIFE UNTIL DEAF(1995年)
- WHO WE ARE(1997年)
- 24-7(2002年)
- CAUSE FOR PAUSE(2004年)
- OUTRAGE(2009年)
- OUTRAGED(2013年)
- GENESIS I(2015年)
- Raging Out(2017年)
- Run Riot(2020年)
出典について
本稿の事実関係は、バンド公式サイトのBIOGRAPHYおよびDISCOGRAPHY(outrage-jp.com)、ユニバーサル ミュージック ジャパンのディスコグラフィ、ならびにMusicBrainzの登録情報にもとづく。発売日は、日本盤の品番が確認できるものについては発売元の表記を優先した。
Trivia
OUTRAGEは1982年に名古屋で結成された。当初の編成は阿部洋介(ギター)、安井義博(ベース)、丹下眞也(ドラム)、そしてヴォーカルの伊藤千豊の4人で、レパートリーはNWOBHMのカヴァーが中心だった。現在まで続く顔ぶれが揃うのは1986年、伊藤が脱退し、別のバンドに在籍していた橋本直樹が加わってからである。
1987年に自主レーベル『Pile Driver Records』から出されたデビューEP『OUTRAGE』は、そのジャケット・デザインから、のちに「ペケレイジ」という愛称で呼ばれるようになった。
デビューEPは、名古屋からMETALLICAへ向けた回答と評されている。公式バイオグラフィは、これが単なる模倣ではないとも述べており、METALLICAと同じくNWOBHM、70年代から80年代初頭のハードロックとヘヴィメタル、パンク、ハードコアを出自に持つがゆえに、結果としてそうした音になったのだとしている。
デビューEPに収められた「Step On It」のギター・ソロについて、公式バイオグラフィは、10代の少年が考えて弾いたものとはとても思えない構築美に溢れていると記している。またスラッシュといえば叫ぶ歌い方が当然とされていた時期に、荒々しくも旋律をしっかり歌う橋本直樹の声が強く耳を引いたとも述べている。
デビューEPは早々に売り切れ、しばらく入手困難な状態が続いた。収録された「Under Control Of Law」と「Edge Of Death」は続く1作目『BLACK CLOUDS』で再録音され、EPの4曲そのものは1997年の2枚組『It's PACKED!! -10th Anniversary Live & Rare Edition』の2枚目としてCD化されている。
メジャー・デビュー作『BLACK CLOUDS』(1988年)には、FLOWER TRAVELLIN' BANDの「Slowly But Surely」が取り上げられている。日本のロックの先達から曲を引くという姿勢は、のちに新曲と先人たちのカヴァーで構成された『GENESIS I』(2015年)として、一枚の作品の形にまで育てられることになる。
4作目『THE FINAL DAY』(1991年)は、バンドが初めて海外に出て録音した作品である。ドイツでの録音で、制作を担ったのは当時元ACCEPTのドラマーとして知られていたステファン・カウフマン。それ以前は理想の音がなかなか得られず悩んでいたが、この時は最初に試し録りをしただけで「これだ!」という音が得られたという。
『THE FINAL DAY』に収められた「River」は、バンドにとって初めての純粋なバラードである。公式バイオグラフィによれば、橋本直樹は当初この曲を録音することを拒んだという。
News
【国内】OUTRAGEの阿部洋介と丹下眞也、10月17日にテアトル梅田で『マーダー・イン・ザ・フロント・ロウ』上映後のトーク&サイン会
10月17日(土)11:40の回の上映後に登壇(シアター4・111席)。料金は通常料金。オンライン予約はTCG会員先行が10月13日18:00、一般が同日21:00から、劇場窓口は10月14日から。名古屋・センチュリーシネマ(10月10日)に続く2か所目。
【国内】OUTRAGE、FM AICHI〈HEADBANGERS CLUB〉放送700回突破を記念し公開録音ライヴ〈OPEN REC〉のダイジェスト映像を期間限定公開
公開は10月4日正午〜12月31日23:59。番組発のHEADBANGERS CLUB BANDは丹下眞也(Dr)、阿部洋介(Gt)、安井義博(Ba)、Jekyll(Vo/JEKYLL★RONOVE)ほか。
MVを再生【国内】9月25日公開『マーダー・イン・ザ・フロント・ロウ』『デス・バイ・メタル』、マーティ・フリードマンらのコメント到着 写真展とトークショーも決定
コメントを寄せたのはマーティ・フリードマン(元MEGADETH)、SYU(GALNERYUS)、丹下眞也(OUTRAGE)、伊藤政則、大谷慎吾(UNITED)、川嶋未来(SIGH)、武田砂鉄ら。シネマート新宿では畔柳ユキ写真展を開催する。トークショーは9月25日 シネマリスに川嶋未来とJERO(ABIGAIL, MEDVED)、9月26日 池袋シネマ・ロサに大谷慎吾と小杉"GEESS"茂、9月27日 シネマート新宿に伊藤政則と武田砂鉄が登壇する。
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