MINISTRY
1981年にシカゴで始まったインダストリアル・メタル・バンド、MINISTRY(ミニストリー)のバイオグラフィとディスコグラフィ。1983年の『With Sympathy』から2026年の最終作『Hate To Go - Take Out Or Delivery』まで、全17作品を編成・収録曲・ライナーノーツつきで作品ごとに掲載。METAL BOOST。
Biography
MINISTRY
バイオグラフィー
MINISTRY(ミニストリー)は、1981年にシカゴで始まったインダストリアル・メタル・バンドである。中心にいるのはアル・ジョーゲンセンで、バンドの公式サイトは彼をこのバンドの「visionary」と呼ぶ。エレクトロ・ポップから出発し、インダストリアルへ全面的に踏み込み、やがてそこへ「ロック」を接合してひとつのジャンルを作り出した。2026年10月30日の17作目『Hate To Go - Take Out Or Delivery』をもって、45年の活動に区切りをつける。
出発点——Special Affectと『With Sympathy』(1970年代後半〜1983年)
アル・ジョーゲンセンの音楽的な道のりは、1970年代後半のパンク・バンドSpecial Affectから始まっている。MINISTRY名義の活動が始まるのは1981年、シカゴでのことである。
1983年、アリスタからデビュー作『With Sympathy』が出された。公式のバイオグラフィはこの時期を「磨き上げられたエレクトロ・ポップ」と表現している。のちのMINISTRYを知る耳には、同じバンドの作品とは思えない手触りの一枚である。ジョーゲンセン自身も、活動の終わりを告げる場で「『With Sympathy』から今日まで、自分が歩んできた道のりには驚かされる」と述べている。
インダストリアルへ——『Twitch』から『詩篇69』へ(1986〜1992年)
1986年の2作目『Twitch』で、バンドはインダストリアルへ全面的に踏み込む。公式のバイオグラフィはこれを「hammering industrialへの完全な没入」と記している。以後、出発点のエレクトロ・ポップへ戻ることはなかった。
1988年の3作目『The Land Of Rape And Honey』について、同じ資料は「ポスト・パンクの軸そのものを引き直した」と述べている。続く1989年の『The Mind Is a Terrible Thing to Taste』はその方向をさらに押し進めた作品である。
そして1992年、『詩篇69』がインダストリアルの騒音に「-rock」という接尾辞を加え、まったく新しいジャンルを作り出し、熱心な聴き手の層を生んだ——というのが、バンド自身による要約である。このアルバムはMINISTRYの作品の中で最も広く聴かれたものになった。
ワーナー期の終わりと空白(1996〜1999年)
1996年の『Filth Pig』と1999年の『Dark Side of the Spoon』は、ワーナー・ブラザースから出された。ジョーゲンセンはのちに、自分の作品を並べたとき政治的な主題から外れる例外として『With Sympathy』『Filth Pig』『Dark Side of the Spoon』の三枚を挙げている。
『Dark Side of the Spoon』をもって、1986年の『Twitch』から続いたサイア/ワーナー系列との関係は終わる。次作が出るまでには4年が空いた。
「Bush三部作」とその後(2003〜2021年)
2003年の『Animositisomina』はサンクチュアリからの発売である。続く『Houses Of The Mole』(2004年)、『Rio Grande Blood』(2006年)、『The Last Sucker』(2007年)の三枚は、公式に「Bush三部作」と呼ばれている。当時の合衆国の対外政策と国内政治が、題にも歌詞にもそのまま現れた時期である。
2012年の『Relapse』と2013年の『From Beer to Eternity』にはギタリストのマイク・スカーシャが参加した。彼は2012年12月22日、テキサス州フォートワースでの公演中に倒れ、47歳で亡くなっている。
『AmeriKKKant』(2018年)と『Moral Hygiene』(2021年)でも照準は変わらない。ジョーゲンセンは「自分は30年間同じことを言い続けてきたが、何も変わらなかった」と述べている。幼少期にキューバから退避した経験を持つ人物の言葉である。
ボックス・セットとしては、2011年の『Original Album Series』(Sire時代の作品を収めたライノの5枚組)も出ている。
最終作『Hate To Go』と引退(2024〜2027年)
2024年の『Hopiumforthemasses』に続く17作目は、Cleopatra Recordsから2026年10月30日発売の『Hate To Go - Take Out Or Delivery』である。バンドはこれを最後のアルバムと明言している。
制作は2025年、ジョーゲンセンの自宅スタジオで始まった。エンジニアはJustin LeeahとMichael Rozon。長年のツアー・バンドであるギターのMonte PittmanとCesar Soto、ベースのPaul D'Amour、サンプラー/シンセのJohn Bechdel、ドラムのPepe Clarke Magañaが参加している。長年の盟友ポール・バーカーの復帰も告知された。
ジョーゲンセンの言葉は端的である。「突然『待った、アイデアが浮かんだ、もう一枚MINISTRYのレコードを作る』となる瞬間は来ない。I'm fucking done。やってきたことは誇りに思う。長い道のりだったが、終わることに完全に納得している。ヤギの世話をする時が来た」。引退ツアーの終わりは2027年とされている。
メンバー
公式サイトの表記にもとづく現行の編成は以下のとおりである。
- Al Jourgensen — ヴォーカル
- Monte Pittman — ギター
- Cesar Soto — ギター
- Paul D'Amour — ベース
- John Bechdel — サンプラー/シンセ
- Pepe Clarke Magaña — ドラム
公式サイトはこのバンドの歩みを、スタジオ作17枚、ライヴ盤8枚、派生プロジェクト8組、5大陸にわたるツアー、自伝1冊、ドキュメンタリー2本、そして「最後の儀式」が三度施されたこと、として数えている。
ディスコグラフィ(当サイト登録分)
- With Sympathy(1983年)
- Twitch(1986年)
- The Land of Rape and Honey(1988年)
- The Mind Is a Terrible Thing to Taste(1989年)
- Psalm 69: The Way to Succeed and the Way to Suck Eggs(1992年)
- Filth Pig(1996年)
- Dark Side of the Spoon(1999年)
- Animositisomina(2003年)
- Houses of the Molé(2004年)
- Rio Grande Blood(2006年)
- The Last Sucker(2007年)
- Original Album Series(2011年、ボックス・セット)
- Relapse(2012年)
- From Beer to Eternity(2013年)
- AmeriKKKant(2018年)
- Moral Hygiene(2021年)
- Hopiumforthemasses(2024年)
- Hate To Go - Take Out Or Delivery(2026年)
出典について
本稿の事実関係は、バンド公式サイトのBIOGRAPHY(ministryband.com)、Cleopatra Recordsの商品情報、最終作の発表を報じたLoudwireの記事、およびMusicBrainzの登録情報にもとづく。結成年と結成地はMusicBrainzの登録による。マイク・スカーシャの逝去はBlabbermouthおよびRolling Stoneの報道による。
Trivia
MINISTRYは1981年、シカゴで始まっている。中心にいるアル・ジョーゲンセンの音楽的な道のりは、それ以前、1970年代後半のパンク・バンドSpecial Affectから始まっていた。バンドの公式サイトは彼を、MINISTRYの「visionary」と呼んでいる。
1983年のデビュー作『With Sympathy』を、バンドの公式バイオグラフィは「磨き上げられたエレクトロ・ポップ」と表現している。のちのインダストリアルを知る耳には別のバンドのように聞こえる一枚だが、ジョーゲンセン自身は活動の終わりを告げる場で、この作品から今日までの道のりに驚かされると述べている。
エレクトロ・ポップからインダストリアルへの転換点は1986年の『Twitch』である。公式のバイオグラフィはこれを「hammering industrialへの完全な没入」と記している。以後、バンドが出発点へ戻ることはなかった。
1988年の『The Land Of Rape And Honey』について、公式のバイオグラフィは「ポスト・パンクの軸そのものを引き直した」と述べている。米国盤CDは11曲だが、ドイツのLP盤は「Hizbollah」と「I Prefer」を省いた9曲構成で出された。
公式のバイオグラフィによれば、1992年の『詩篇69』はインダストリアルの絶え間ない騒音に「-rock」という接尾辞を加えることに成功し、まったく新しいジャンルをひとつ作り出して、熱心な聴き手の層を生んだ。MINISTRYの作品の中で最も広く届いた一枚である。
2000年代半ばの3枚、『Houses Of The Mole』(2004年)、『Rio Grande Blood』(2006年)、『The Last Sucker』(2007年)は、バンドの公式サイトで「Bush三部作」と呼ばれている。当時の合衆国の政治が題にも中身にもそのまま現れた時期の作品群である。
アル・ジョーゲンセンは、自分の書いてきたものを並べたとき政治的な主題から外れる例外として、『With Sympathy』『Filth Pig』『Dark Side of the Spoon』の三枚を挙げている。引退ツアーの選曲のため55曲を並べていて、35年から40年、ほぼ同じことを言い続けてきたと気づいた、という文脈での発言である。
最終作『Hate To Go - Take Out Or Delivery』は2025年、ジョーゲンセンの自宅スタジオで形になり始めた。エンジニアはJustin LeeahとMichael Rozon。長年のツアー・バンドであるMonte PittmanとCesar Soto(ギター)、Paul D'Amour(ベース)、John Bechdel(サンプラー/シンセ)、Pepe Clarke Magaña(ドラム)が参加している。
News
MINISTRYのAl Jourgensen、「MINISTRYは役目を終えたと思う」 最終作『Hate To Go (Take Out Or Delivery)』のツアーを最後に活動を終える決断を語る
『Hit Parader』のインタビューで語ったもの。
MINISTRY、10月28日にロサンゼルスのViper Roomで新作『Hate To Go』のリリース・パーティー Al Jourgensenとのミート&グリート、「Crickets」MVの世界初公開
そっくりさんコンテスト、CD・アナログ販売も。前売20ドル/当日25ドル。
MINISTRY、最終スタジオ作『Hate To Go - Take Out Or Delivery』から第3弾「Singularity」を公開 10月30日発売
Cleopatra Recordsから発売される17作目で、Al Jourgensenは今度こそ最後のアルバムだとしている。フェアウェル・ツアーは来年まで続く。
MVを再生MINISTRY、最後のスタジオ作『Hate To Go (Take Out Or Delivery)』から新曲「We Hate」を公開
通算17作目にして最後のスタジオ・アルバムで、10月30日にCleopatra Recordsから発売される。
MVを再生Current Members / 現メンバー
公式サイトで確認した現行ラインナップです。2026-09-25時点。
Albums
MINISTRYの5作目。1992年にSireから発売された。アル・ジョーゲンセンとポール・バーカーの制作で、1991年3月から1992年5月にかけて録音されている。
MINISTRYの4作目。1989年11月14日発売。「Thieves」「Burning Inside」を収めた作品である。
BOX
ボックス・セットや複数枚組の記念盤・拡張盤を、アルバムとは別に掲載しています。
MINISTRYがSireに残した1986年の『Twitch』から1992年の『Psalm 69』までの4作に、1990年のライヴ盤を加えたRhinoの5枚組。