HIBRIA
HIBRIA(ヒブリア)は、1996年にブラジル南部リオグランデ・ド・スル州の州都ポルト・アレグレで結成されたヘヴィ/パワー・メタル・バンドである。
Biography
HIBRIA Biography
プロフィール
1996年結成 / ブラジル・ポルト・アレグレ / Power Metal, Heavy Metal
メンバー
| メンバー | 担当 |
|---|---|
| Ângelo Parisotto | Vocal |
| Abel Camargo | Guitar |
| Vicente “Velles” Telles | Guitar |
| Benhur Lima | Bass |
| William Schuck | Drums |
2026年のアルバム『On the Shortness of Life』時点の編成。ヴォーカルのアンジェロ・パリゾットは2025年3月に加入し、5月4日のBangers Open Air出演がこの体制の初ステージとなった。ベースのベニュール・リマは2010年から2016年まで在籍したのち復帰した人物である。創設メンバーで唯一在籍が途切れていないのはアベル・カマルゴ(Gt)。
Biography
HIBRIA(ヒブリア)は、1996年にブラジル南部リオグランデ・ド・スル州の州都ポルト・アレグレで結成されたヘヴィ/パワー・メタル・バンドである。高速で刻まれるリフ、変拍子と転調を織り込んだ構築的な曲作り、そして突き抜ける高音域のヴォーカル——この三つを軸に、シンフォニックな装飾やブラジル音楽の要素へ寄り道せず、ドイツやアメリカのパワー/スピード・メタルの直系として振る舞ってきた。同郷の先行者であるANGRAやSHAMANとは明確に異なるその姿勢が、国外、とりわけ日本での評価につながっている。
結成から最初のアルバムまでには8年を要した。1997年のデモ『Metal Heart』、1999年のデモ『Against the Faceless』を経て、5か国29公演におよぶヨーロッパ・ツアーを行い、2004年11月17日、ドイツのRemedy Recordsからデビュー作『Defying the Rules』を発表する。冒頭の「Steel Lord on Wheels」はいまなおバンドの代表曲であり、以後20年変わらない設計図がこの一枚ですでに示されていた。
2作目『The Skull Collectors』(2008年12月10日)は、スピリチュアル・ビーストから日本先行で発売された。これを機に2009年10月17日の幕張メッセ「LOUD PARK 09」へ出演し、日本での認知が一気に広がる。以後、日本はこのバンドにとって最も反応の早い市場であり続けた。3作目『Blind Ride』(2011年1月26日)、4作目『Silent Revenge』(2013年6月26日)はいずれも国内盤が世界に先行して発売されている。2011年5月の東京・品川プリンス ステラボール公演は撮影・録音され、翌年『Blinded by Tokyo – Live in Japan』として発表された。バンド初の本格的なライヴ作品であり、創設ギタリストのジエゴ・カスペル最後の参加作でもある。
2015年にはバンド名を冠した5作目『Hibria』で音を素の状態まで削ぎ落とし、翌2016年には結成20周年を記念する『XX』を発表した。しかし2017年12月、イウリ・サンソン(Vo)、エドゥアルド・バウド(Dr)、レナート・オゾリオ(Gt)、イヴァン・ベック(Ba)が同時に脱退することが発表される。すでに録音を終えていた6作目『Moving Ground』は2018年2月28日に発表され、結果として1996年以来続いた第一期HIBRIAの幕引きとなった。21年にわたってバンドの声だったサンソンは、その後リスボンへ移り、Eternity's Endなどで活動している。
残った創設メンバーのアベル・カマルゴは、2018年10月にヴィクトル・エメカを新ヴォーカリストとして迎え、バンドを組み直した。約2年ぶりの復帰公演は2019年12月7日、ポルト・アレグレのBar Opinião。そして2022年2月23日、7作目『Me7amorphosis』を発表する(国内盤はアヴァロン/マーキー、その他の地域はVoiza Records)。ギターはブルーノ・ゴジーニョが担当した。同作の「Tribal Mark」にはイウリ・サンソン、ジエゴ・カスペル、レナート・オゾリオという歴代メンバー3人が客演し、過去を切り捨てない再出発であることを示している。2024年10月には通算7度目となる来日ツアーを行い、渋谷ストリームホールの「Evoken Fest 2024」に出演。これに合わせてキングレコードが『Defying the Rules』(KICP-4083)と『The Skull Collectors』(KICP-4084)をリマスター再発した。
2024年12月にヴィクトル・エメカとオタヴィオ・キローガが脱退し、2025年3月、アンジェロ・パリゾットを新ヴォーカリストに迎えた現ラインナップが発表された。結成30年にあたる2026年8月5日、マーキー・アヴァロンから8作目『On the Shortness of Life』を国内発売。ローマの哲学者セネカの『人生の短さについて』を主題に据えた作品である。同年10月25日には、横浜・ぴあアリーナMMで開催される「FULL METAL JAPAN 2026 - POWERED BY WACKEN」のDAY 2に、イウリ・サンソンとレナート・オゾリオを迎えた特別編成「HIBRIA (FEATURING IURI SANSON & RENATO OSORIO)」として出演する。通算8度目の日本であり、POWERWOLF、ANGRA(featuring Kiko Loureiro & Edu Falaschi)、PRETTY MAIDS、LOUDNESSと並ぶ一日である。
音楽性と様式
HIBRIAの音楽は、速度と構築の両立で成り立っている。ギターは休符を細かく使った高速のリフを刻み、リズム隊は変拍子をまたいでもテンポの体感を落とさない。曲は3分台の短距離走から8分を超える長尺まで幅があり、後者では転調と場面転換を重ねながら散漫にならない構成力を見せる。技巧を前面に出すバンドでありながら、サビは繰り返しで覚えられる形に整えられている点が、同時代のプログレッシヴ寄りのバンドとの違いである。
ヴォーカルはこのバンドの識別点だった。イウリ・サンソンの、金属的で減衰しない高音域は『Defying the Rules』から『Moving Ground』までの6作を貫いており、日本の専門誌BURRN!の世界のヴォーカリスト投票で30位以内に入ったこともある。2018年から2024年まで在籍したヴィクトル・エメカはより太く低い重心から歌い、2025年に加入したアンジェロ・パリゾットは荒々しさと押し出しを持ち込んだ。声が三度替わってなおバンドの輪郭が保たれているのは、リフと構成という骨格の側が動いていないためである。
歌詞の主題は、内省と抵抗に集約される。恐怖、後悔、盲目的な同調、そしてそこから抜け出す意志——「Nonconforming Minds」「Blinded by Faith」「Silence Will Make You Suffer」といった曲名が示すとおり、神話や幻想ではなく、生きている人間の状態を扱ってきた。2026年の『On the Shortness of Life』でストア哲学を正面から題材にしたのは、その延長線上にある。
メンバー詳細プロフィール
Ângelo Parisotto(Vocal)——2025年3月加入。3人目のヴォーカリストとして『On the Shortness of Life』でスタジオ作に初参加した。
Abel Camargo(Guitar)——1996年の結成メンバーで、唯一在籍が途切れていない人物。2018年以降のバンド再建を主導した。
Vicente “Velles” Telles(Guitar)——2022年、ブルーノ・ゴジーニョの後任として加入。アベル・カマルゴに6年間ギターを師事していた。
Benhur Lima(Bass)——2010年から2016年まで在籍し、『Blind Ride』『Silent Revenge』『Hibria』に参加。2026年のアルバム期に復帰した。
William Schuck(Drums)——2025年発表の現ラインナップのドラマー。
Iuri Sanson(Vocal, 1996–2017)——結成から21年間バンドの声を務めた。脱退後はリスボンへ移り、Eternity's Endなどで活動。2026年のFULL METAL JAPAN公演に特別参加する。
Diego Kasper(Guitar, 1996–2012)——創設メンバーで、デビュー作以来プロデュースも担った。最後の参加作は『Blinded by Tokyo』。
Renato Osorio(Guitar, 2012–2017)——『Silent Revenge』『Hibria』『Moving Ground』に参加。『On the Shortness of Life』ではプロデューサーとして関わり、2026年のFULL METAL JAPAN公演にも特別参加する。
Victor Emeka(Vocal, 2018–2024)——2代目のヴォーカリスト。『Me7amorphosis』で唯一のスタジオ作を残し、2024年12月にドラマーのオタヴィオ・キローガとともに脱退した。
ディスコグラフィ
| 発売年 | タイトル | 区分 |
|---|---|---|
| 1997 | Metal Heart | デモ |
| 1999 | Against the Faceless | デモ |
| 2004 | Defying the Rules | 1stアルバム(11月17日/Remedy Records) |
| 2008 | The Skull Collectors | 2ndアルバム(12月10日/日本先行・スピリチュアル・ビースト) |
| 2011 | Blind Ride | 3rdアルバム(1月26日/日本先行・キングレコード) |
| 2012 | Blinded by Tokyo – Live in Japan | ライヴ作品(2011年5月の東京公演を収録) |
| 2013 | Silent Revenge | 4thアルバム(6月26日/日本先行・キングレコード/AFM Records) |
| 2015 | Hibria | 5thアルバム(7月22日/キングレコード、8月7日/Test Your Metal Records) |
| 2016 | XX | 結成20周年記念ミニ・アルバム(新曲+ライヴ音源) |
| 2018 | Moving Ground | 6thアルバム(2月28日/キングレコード) |
| 2022 | Me7amorphosis | 7thアルバム(2月23日/アヴァロン/マーキー、Voiza Records) |
| 2026 | On the Shortness of Life | 8thアルバム(8月5日/マーキー・アヴァロン) |
METAL BOOSTでは、上記のうちスタジオ・アルバム8作を個別ページとして掲載している。
日本との接点
HIBRIAにとって日本は、デビュー作が輸入盤として評価された時点から一貫して主要な市場であり続けてきた。2作目『The Skull Collectors』(2008年)以降、『Blind Ride』(2011年)、『Silent Revenge』(2013年)と国内盤が世界に先行して発売され、いずれもボーナス・トラックを追加収録している。レーベルはスピリチュアル・ビースト、キングレコード、アヴァロン/マーキーと移りながらも途切れていない。
ライヴでは2009年10月17日の「LOUD PARK 09」(幕張メッセ)が最初の大きな舞台となり、同年の来日ではメガデスの名古屋公演の前座も務めた。2011年5月の品川プリンス ステラボール公演はライヴ作品『Blinded by Tokyo – Live in Japan』として記録され、2012年10月には「LOUD PARK」へ再出演している。2024年10月の「Evoken Fest 2024」(渋谷ストリームホール)は、バンド自身が通算7度目の来日ツアーと発表したもので、『Defying the Rules』発表20年を記念する内容だった。2026年10月25日の「FULL METAL JAPAN 2026 - POWERED BY WACKEN」DAY 2は、通算8度目の日本となる。
総括
HIBRIAは、ブラジルという出自を音楽的な看板に使わなかったバンドである。同郷のANGRAが交響性とブラジル音楽を取り込んで独自の位置を築いたのに対し、HIBRIAは速度と刻み、そして高音域の歌という古典的なヘヴィ・メタルの語彙だけで勝負し続けた。その潔さは、2017年に主要メンバーを一度に失ってなお、残った一人がバンドを組み直せた理由でもある。声が三度替わり、レーベルが四度替わっても、『Defying the Rules』の最初の4分で示された設計図は30年後の『On the Shortness of Life』まで生きている。
Trivia
結成は1996年、ブラジル南部リオグランデ・ド・スル州のポルト・アレグレである。日本のレーベルの記述によれば、彼らは2本のデモを作ったのち、ユーリ・サンソン(ヴォーカル)、アベル・カマルゴ(ギター)、ディエゴ・カスペル(ギター)、マルコ・パニーキ(ベース)、サヴィオ・ソルディ(ドラム)という編成でデビュー作『Defying the Rules』を出した。
バンドの人気を決定づけた曲として、レーベルが名指しするのが「Tiger Punch」である。2008年の2作目『The Skull Collectors』に収められたこの曲を最大のヒットとして、彼らは次世代のブラジリアン・パワー・メタルの代表格という位置を得た。
日本での足取りには、はっきりした年が入る。単独での初来日は2009年で、レーベルはこれを「早くも」と書いている。2012年にはLoud Parkで再来日した。バンド自身が2026年に公表したバイオグラフィーによれば、これまでに日本を6度ツアーしており、ほかにカナダ、中国、韓国、台湾、ドイツ、オランダ、ベルギー、ポーランド、チェコを回ってきた。
バンド自身のバイオグラフィーは、日本での立ち位置をはっきり書いている。日本では彼らのリリースが繰り返し売上チャートの首位に達し、メディアの注目を集め、大きな会場をソールドアウトさせてきたという。実際、これまでに東京で録音されたライヴ・アルバムと、同じく日本で収録されたDVDを出している。ロック・イン・リオやラウドパークといったフェスに出演し、メタリカ、ブラック・サバス、オジー・オズボーン、メガデスと同じステージにも立ってきた。
2017年末に一人残されたアベル・カマルゴは、実際に新しい面々を集めた。2022年の『Me7amorphosis』を作ったのは、彼に加えてヴィクター・エメカ(ヴォーカル)、ブルーノ・ゴジーノ(ギター)、ティアゴ・バウムガーテン(ベース)、オタヴィオ・キロガ(ドラム)という編成である。レーベルはエメカを、ユーリ・サンソンに劣らないハイトーンを持ち過去の名曲も難なく歌える逸材とし、キロガについては当時20歳でありながら相当な技術の持ち主だと紹介した。
その『Me7amorphosis』には、新旧が一度だけ交わる曲がある。「Tribal Mark」で、ここにユーリ・サンソン、ディエゴ・カスペル、レナート・オゾリオという元メンバー3人がゲストとして参加した。レーベルはこれを、新旧のメンバーが一堂に会するファン垂涎のトラックだと紹介している。
8作目『On the Shortness of Life』は2026年8月5日に発売された。バンドにとって結成30周年にあたる年である。日本盤はマーキー/アヴァロンから出ており、ボーナス・トラックが1曲加えられているほか、メンバー全員によるライナーノーツが付いた。レーベルはこの作品の主題を、人生は長さではなくいかに情熱的に生きるかだ、と説明している。演奏しているのはアンジェロ・パリゾット(ヴォーカル)、アベル・カマルゴとヴェレス(ギター)、ベンハー・リマ(ベース)、ウィリアム・シュック(ドラム)である。
新作を作った場所と、その制作を仕切った人物にも縁がある。録音はポルト・アレグレのブラック・ストーク・スタジオで行われた。ティアゴ・カウリオが所有するスタジオである。そしてプロデュースを手掛けたのは、レナート・オゾリオだった。2017年にバンドを離れたギタリストであり、2026年10月のFULL METAL JAPANで限定復帰する2人のうちの1人でもある。ミックスとマスタリングは、ベースのベンハー・リマがアングリー・ピック・スタジオで手掛けた。