GIANT
1980年代後半、アメリカの音楽シーンは商業的なハードロック、いわゆる「アリーナ・ロック」や「ヘア・メタル」が頂点を極め、同時にその飽和が始まりつつある変革の時期にあった。
Biography
GIANT(ジャイアント)
ナッシュビルの巨匠たちが築き上げたメロディック・ロックの金字塔とその全貌
1. Introduction
1.1. 背景
1980年代後半、アメリカの音楽シーンは商業的なハードロック、いわゆる「アリーナ・ロック」や「ヘア・メタル」が頂点を極め、同時にその飽和が始まりつつある変革の時期にあった。この時代において、ナッシュビル (Nashville) とロサンゼルス (Los Angeles) のスタジオ・セッション・シーンの最前線で活躍していた「職人」たちが集結し、極めて高度な演奏技術と洗練された楽曲構成力を武器に結成したバンドがGIANT(ジャイアント)である。
1.2. 1980年代末の音楽産業と「スーパー・グループ」の定義
GIANT(ジャイアント)を理解するためには、GIANTが「オーディションで選ばれたスター候補生」ではなく、「すでに業界内で伝説的な地位を築いていたプロフェッショナルたちの集合体(スーパー・グループ)」であったという文脈を把握することが不可欠である。TOTO(トト)やJourney (ジャーニー)に代表されるように、スタジオ・ミュージシャンが自らの芸術性を追求するためにバンドを結成する流れは1970年代から存在したが、GIANT(ジャイアント)はその「第2世代」あるいは「最終進化系」として位置づけられる。GIANTのサウンドは、完璧に計算されたプロダクションと、即興演奏の熱量が共存する稀有なものであった。
2. 結成前史: セッション・ワークの覇者たち (Pre-Formation History)
2.1. Dann Huff (ダン・ハフ): ナッシュビルの神童から世界のトップ・ギタリストへ
バンドの創設者であり、サウンドの核となる Dann Huff (ダン・ハフ)のキャリアは、GIANT (ジャイアント)結成以前にすでに一つの頂点に達していた。著名なクリスチャン・ミュージックの編曲家 Ronn Huff (ロン・ハフ)を父に持ち、音楽的な英才教育を受けた彼は、弟のDavid Huff (デヴィッド・ハフ)と共に、1980年代初頭のコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック (CCM) シーンを牽引したバンド、White Heart (ホワイト・ハート)の創設メンバーとして活動を開始した。1982年から1984年までの在籍期間中、彼はロックのダイナミズムとポップスの親しみやすさを融合させる独自のギター・スタイルを確立した。
White Heart (ホワイト・ハート) 脱退後、ダン・ハフはセッション・ミュージシャンとしてロサンゼルスとナッシュビルの両拠点で活動を展開する。彼が1980年代中盤に参加したプロジェクトは枚挙に暇がないが、特筆すべきは以下の世界的ヒット曲への貢献である。
- Kenny Loggins (ケニー・ロギンス): 『Footloose (フットルース)』や『Danger Zone (デンジャー・ゾーン)』といったサウンドトラック・ヒットにおいて、彼のリズム・ギターとリード・プレイは楽曲の推進力を決定づけた。
- Michael Jackson (マイケル・ジャクソン): アルバム 『Bad (バッド)』 や 『Man in the Mirror (マン・イン・ザ・ミラー)』でのセッション参加は、彼がR&Bやポップスの領域でも超一流であることを証明した。
- Whitesnake (ホワイトスネイク): 1987年の大ヒットアルバム 『Whitesnake (白蛇の紋章)』において、シングル・バージョン (ラジオ・ミックス)の「Here I Go Again (ヒア・アイ・ゴー・アゲイン)」のギター・パートを再録音したことは、当時のロック・ファンにとって衝撃的な事実であった。
- Madonna (マドンナ): 『Like a Virgin (ライク・ア・ヴァージン)』等のアルバムに参加。
これらの活動を通じ、ダン・ハフは「楽曲が必要とする音を瞬時に理解し、完璧なトーンで具現化する」能力において、Steve Lukather (スティーヴ・ルカサー) や Michael Landau (マイケル・ランドウ)と並ぶ 「ファースト・コール(最優先で指名される)」 ギタリストとしての地位を不動のものにした。
2.2. リズム隊と鍵盤の魔術師の合流
GIANT(ジャイアント)の結成は、ダン・ハフが自身の芸術的ビジョンを表現するための「バンド」を求めたことに端を発する。彼は、信頼できるリズム・セクションとして、実弟である David Huff (デヴィッド・ハフ)をドラムに、そしてナッシュビルのセッション仲間であり、そのグルーヴ感に定評のあった Mike Brignardello (マイク・ブリグナルデロ)をベースに迎えた。
そして、バンドのサウンドに洗練されたAOR (Adult Oriented Rock) の色彩を加える重要な役割を担ったのが、キーボーディストのAlan Pasqua (アラン・パスクァ)である。彼はロック・フィールドだけでなく、ジャズ・フュージョン界でも The New Tony Williams Lifetime (ニュー・トニー・ウィリアムス・ライフタイム) や Santana (サンタナ)での活動を通じて名声を博しており、その和声感覚とシンセサイザー・ワークは、GIANT(ジャイアント)を単なるハードロック・バンドとは一線を画す存在へと昇華させた。
3. 第1期: 黄金時代 (The Golden Era 1987-1992)
3.1. デビュー・アルバム 『Last of the Runaways』 (1989)
1987年に結成されたバンドは、A&M Records (A&Mレコード)と契約を結び、1989年にデビュー・アルバム『Last of the Runaways (ラスト・オブ・ザ・ランナウェイズ)』をリリースした。プロデューサーには、ブリティッシュ・ロックの重鎮 Terry Thomas (テリー・トーマス)が起用された。彼の起用は、アメリカ的なドライで抜けの良いサウンドに、英国的な湿り気と奥行きのある音響処理を加えることに成功した。
商業的成功と評価
アルバムからのリード・シングル 「I'm a Believer (アイム・ア・ビリーバー)」は、Billboard Mainstream Rock チャートで13位、Hot 100でも56位を記録し、バンドの知名度を一気に押し上げた。しかし、GIANTの名を永遠のものとしたのは、続くパワー・バラード「I'll See You in My Dreams (アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームス)」の大ヒットである。この楽曲は全米Hot 100でトップ20入り (最高20位)、Mainstream Rockチャートでは7位を記録した。
この楽曲の作曲には、ヒットメーカーである Mark Spiro (マーク・スピロ)が関わっており、ダン・ハフのソウルフルなボーカルと、後半に展開される情熱的かつテクニカルなギターソロの対比は、1980年代パワー・バラードの完成形の一つとして現在でも高く評価されている。
3.2. 日本市場における受容と 『Last of the Runaways』 期の活動
日本において、GIANT(ジャイアント)はデビュー当初から専門誌(『BURRN!』等)で大々的に取り上げられ、即座に熱狂的なファンベースを獲得した。特に、ダン・ハフの使用する James Tyler (ジェームス・タイラー) ギターや、複雑に構築されたラック・エフェクター・システムが生み出す「クリスタル・クリーン」と「分厚いディストーション」のサウンドは、当時の日本のアマチュア・ギタリストたちの憧れの的となった。
バンドはアルバムのプロモーションとサポートのため、大規模なツアーを敢行した。当時のセットリストには、アルバム収録曲に加え、メンバーのルーツを示すようなカバー曲(例えばExtremeなどの同時代のバンドとのツアーでの交流も示唆される) が含まれていた可能性があるが、GIANTのライブ・パフォーマンスは「スタジオ盤以上の再現度と迫力」として絶賛された。
3.3. 2ndアルバム 『Time to Burn』 (1992) とグランジの逆風
デビュー作の成功を受け、バンドはレーベルを Epic Records (エピック・レコード)に移籍し、1992年に2ndアルバム 『Time to Burn (タイム・トゥ・バーン)』を発表した。
この作品は、1stアルバムのきらびやかなAOR路線から、よりアーシーでブルージー、かつハードなロック・サウンドへと大きく舵を切った意欲作であった。特にオープニング・トラックの「Thunder and Lightning (サンダー・アンド・ライトニング)」や、タイトルトラック「Time to Burn (タイム・トゥ・バーン)」では、ダン・ハフのギター・プレイがさらに攻撃的になり、バンドとしてのアンサンブルも強固なものとなっていた。シングルカットされた「Chained (チェインド)」はMainstream Rockチャートで16位を記録し、7分を超える長尺曲ながらラジオでのエアプレイを獲得した。
1992年というリリース時期は、GIANTにとって不運であった。シアトルから勃興したNirvana (ニルヴァーナ) や Pearl Jam (パール・ジャム)に代表されるグランジ/オルタナティブ・ロックのムーブメントが世界を席巻し始め、GIANT(ジャイアント)のような「技術的に洗練された、産業的でゴージャスなロック」は、「時代遅れ」の烙印を押されつつあったのである。音楽的品質の高さにもかかわらず、セールスは前作を下回り、バンドはこのアルバムを最後に活動を停止することとなる。
アラン・パスクァはジャズ・フィールドへの回帰を選択し、ダン・ハフはスタジオ・ワークへと戻っていった。ここに、第1期GIANT(ジャイアント)の歴史は幕を閉じる。
4. 第2期: 沈黙と過渡期 (The Hiatus & Transitional Phase)
4.1. プロデューサー Dann Huff の誕生と成功
バンド解散後、ダン・ハフの活動拠点は完全にナッシュビルへと移行した。彼はギタリストとしての活動に加え、プロデューサーとしての才能を開花させる。1990年代後半から2000年代にかけて、彼は Faith Hill (フェイス・ヒル)、Keith Urban (キース・アーバン)、Rascal Flatts (ラスカル・フラッツ)、さらにはメタルの重鎮 Megadeth (メガデス) の 『Cryptic Writings』や『Risk』を手掛けるなど、ジャンルを超越したトップ・プロデューサーとして君臨した。この多忙さが、後のGIANT(ジャイアント) 再結成時において、彼がフルタイムのメンバーとして復帰できない最大の要因となる。
4.2. アルバム 『III』 (2001) のリリース
活動停止から約10年後の2001年、イタリアの新興レーベルであり、メロディック・ロックの復興を掲げる Frontiers Records (フロンティアーズ・レコード) の強い働きかけにより、3rdアルバム『III』がリリースされた。
このアルバムは、正式な再結成というよりは、ダン・ハフとデヴィッド・ハフが保存していた未発表デモや書き下ろしの楽曲を、マイク・ブリグナルデロと共に完成させたスタジオ・プロジェクト的な作品であった。アラン・パスクァは不参加であったが、ダン・ハフ本人が全曲でリード・ボーカルとギターを担当しており、その歌声とギター・トーンを待ち望んでいたファンからは熱狂的に迎えられた。楽曲「Combustion (コンバスチョン)」や「You Will Be Mine (ユー・ウィル・ビー・マイン)」には、カントリー・ミュージックの制作で培ったモダンな音響処理と、往年のハードロック・センスが融合しており、バンドの健在ぶりを示した。しかし、ツアー等の本格的な活動は行われなかった。
5. 第3期: 新体制による再生 (Resurrection & Evolution 2009-2024)
5.1. 『Promise Land』 (2010): Terry Brock の加入
2009年、Frontiers RecordsはGIANT (ジャイアント)の本格的な再始動を発表した。しかし、ダン・ハフのスケジュールはプロデュース業で埋まっており、バンドへの復帰は不可能であった。そこで、デヴィッド・ハフとマイク・ブリグナルデロは、新たなメンバーを迎えてバンドを存続させる決断を下す。
- Lead Vocals: Terry Brock (テリー・ブロック)
Strangeways (ストレンジウェイズ) や Seventh Key (セブンス・キー)での実績を持つ実力派。そのハスキーでエモーショナルな声質は、ダン・ハフの後任として最適な人選とされた。 - Guitars: John Roth (ジョン・ロス)
Winger (ウィンガー) や Starship (スターシップ)での活動で知られるギタリスト。
2010年にリリースされた4thアルバム 『Promise Land (プロミス・ランド)』は、ダン・ハフがメンバーとしてはクレジットされていないものの、ソングライティングに全面的に協力し、2曲(「Believer (Redux)」等)でギター・ソロを提供するなど、「公認」の体制で作られた。アルバムには「Promise Land (プロミス・ランド)」 や 「Our Love (アワー・ラヴ)」といった高品質なメロディック・ロック・ナンバーが収録され、バンドのブランドを見事に復活させた。
5.2. 『Shifting Time』 (2022): Kent Hilli の登場
前作からさらに12年の時を経て、2022年に5thアルバム 『Shifting Time (シフティング・タイム)』がリリースされた。この作品で、バンドは新たな「声」を獲得する。
- Lead Vocals: Kent Hilli (ケント・ヒリ)
スウェーデンのメロディック・ロック・バンド Perfect Plan (パーフェクト・プラン)のフロントマン。彼はJimi Jamison (ジミ・ジェイミソン) (Survivor) や Lou Gramm (ルー・グラム) (Foreigner) を彷彿とさせるパワフルかつソウルフルな歌唱力を持ち、現代AORシーンの最高峰シンガーの一人と目されている。
アルバムには、ダン・ハフがゲスト・ギターで参加した「Never Die Young (ネヴァー・ダイ・ヤング)」が含まれており、新旧メンバーのコラボレーションが実現した。この楽曲のミュージック・ビデオやアルバム全体のプロダクションは、デヴィッド・ハフと、Frontiers Recordsのハウス・プロデューサーである Alessandro Del Vecchio (アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ)が手掛け、現代的な音圧と80年代の哀愁を兼ね備えたサウンドに仕上がっている。
6. 第4期: 最新作『Stand and Deliver』と未来 (Current Era 2025-)
6.1. 新ギタリスト Jimmy Westerlund の加入
2025年、バンドは6枚目のスタジオ・アルバム 『Stand and Deliver (スタンド・アンド・デリバー)』のリリース (2025年5月16日予定)を発表した。この作品より、長年ギターを務めたジョン・ロスに代わり、フィンランドのバンド One Desire (ワン・デザイア)のギタリスト兼プロデューサーである Jimmy Westerlund (ジミー・ウェスタールンド)が加入した。
ジミー・ウェスタールンドは、演奏だけでなくミキシング・エンジニアとしての手腕も高く評価されており、本作のサウンド・メイキングにおいて中心的な役割を果たしている。彼の加入により、ギター・サウンドはよりエッジの効いた、北欧メタル的な透明感とアメリカン・ハードロックの粘りを併せ持つものへと進化した。
6.2. アルバム 『Stand and Deliver』の詳細分析
本作の最大の特徴は、ダン・ハフが過去に書き溜めていた未発表曲や、彼と亡き盟友たちとの共作曲が多数収録されている点である。
- 「Time To Call It Love (タイム・トゥ・コール・イット・ラヴ)」: ダン・ハフと、1stアルバムの名曲群を共作した故 Mark Spiro (マーク・スピロ)との共作。
- 「Holdin' On For Dear Life (ホールディン・オン・フォー・ディア・ライフ)」: ダン・ハフと、2ndアルバムで多くの曲を共作した故 Van Stephenson (ヴァン・スティーヴンソン) (BlackHawk)との共作。
- 「Paradise Found (パラダイス・ファウンド)」: 同じくヴァン・スティーヴンソンとの共作。
これらの楽曲の収録は、バンドが単に名前だけ存続しているのではなく、その音楽的ルーツと魂(ソウル)を正統に継承していることの証明であり、往年のファンにとって最大のギフトとなっている。アルバムのクローザーである「Pleasure Dome (プレジャー・ドーム)」は6分を超える大作であり、近未来的なSF映画のサウンドトラックを思わせる壮大なアレンジが施されている。
7. メンバー詳細プロフィール (Biography of Members)
7.1. 現在のメンバー (Current Members 2025)
Kent Hilli (ケント・ヒリ)
- 役割: Lead Vocals (2021-Present)
- 出身: スウェーデン
- 関連バンド: Perfect Plan
- 特徴: 元プロ・サッカー選手という異色の経歴を持つ。その歌声は「AORの理想形」と評され、広い音域と感情豊かな表現力を持つ。GIANT加入により、世界的な知名度を獲得した。
Jimmy Westerlund (ジミー・ウェスタールンド)
- 役割: Guitars, Backing Vocals (2024-Present)
- 出身: フィンランド
- 関連バンド: One Desire, Sturm und Drang (プロデュース)
- 特徴: テクニカルなプレイだけでなく、楽曲全体を俯瞰するプロデューサー視点でのアレンジに長ける。
Mike Brignardello (マイク・ブリグナルデロ)
- 役割: Bass, Backing Vocals (1987-1992, 2000-2002, 2009-Present)
- 出身: アメリカ・テネシー州ナッシュビル
- 特徴: 結成以来、一度もバンドを離れていないオリジナル・メンバー。セッション・ベーシストとして数千曲のレコーディングに参加しており、その堅実かつ歌心のあるベースラインはGIANTのサウンドの土台である。
David Huff (デヴィッド・ハフ)
- 役割: Drums, Backing Vocals (1987-1992, 2000-2002, 2009-Present)
- 出身: アメリカ
- 関連バンド: White Heart
- 特徴: ダン・ハフの実弟であり、バンドのリーダー的存在。ドラマーとしてだけでなく、エンジニア/プロデューサーとしても手腕を振るい、近年のGIANTのアルバム制作を統括している。
7.2. 過去の主要メンバー (Past Members)
Dann Huff (ダン・ハフ)
- 役割: Lead Vocals, Guitars, Keyboards (1987-1992, 2000-2002) / Guest & Songwriter (2010-Present)
- 重要性: バンドの創設者であり、そのサウンドの設計者。彼の引退 (バンド・メンバーとして)後も、精神的支柱として関わり続けている。
Alan Pasqua (アラン・パスクァ)
- 役割: Keyboards, Backing Vocals (1987-1992)
- 特徴: ジャズ・ピアニストとしてのバックグラウンドを持ち、ロック・バンドにおけるキーボードの役割を 「バッキング」から「リード楽器と対等な存在」へと引き上げた。
John Roth (ジョン・ロス)
- 役割: Guitars, Backing Vocals (2009-2024)
- 特徴: ダン・ハフの後任という重圧の中で長年バンドを支えた。
Terry Brock (テリー・ブロック)
- 役割: Lead Vocals (2009-2021)
- 特徴: 多くの著名バンドでバック・ボーカルを務めた実績を持ち、そのコーラスワークの構築能力は『Promise Land』 において遺憾なく発揮された。
8. ディスコグラフィ (Discography)
以下に、GIANT(ジャイアント) がリリースした主要スタジオ・アルバムの詳細データを記載する。
8.1. Studio Albums
1. Last of the Runaways (ラスト・オブ・ザ・ランナウェイズ)
Release Date: 1989
Label: A&M Records
Chart Positions: US Billboard 200 #80, US Mainstream Rock #7 (Single)
| 曲順 | 曲名 (English) | 曲名 (Katakana) | Songwriters | Time | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | I'm a Believer | アイム・ア・ビリーバー | D. Huff, D. Huff, A. Pasqua, M. Spiro, P. Naish | 5:45 | Mainstream Rock #13。オープニングを飾る疾走曲。 |
| 2 | Innocent Days | イノセント・デイズ | D. Huff, M. Spiro | 5:15 | Mainstream Rock #11。爽快なコーラスが特徴。 |
| 3 | I Can't Get Close Enough | アイ・キャント・ゲット・クロース・イナフ | D. Huff, M. Spiro | 6:06 | |
| 4 | I'll See You in My Dreams | アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームス | A. Pasqua, M. Spiro | 4:46 | US Hot 100 #20。バンド最大のヒット曲。 |
| 5 | No Way Out | ノー・ウェイ・アウト | D. Huff, T. Thomas, A. Pasqua, D. Huff | 4:04 | |
| 6 | Shake Me Up | シェイク・ミー・アップ | D. Huff, A. Pasqua, M. Brignardello, T. Thomas | 4:16 | |
| 7 | It Takes Two | イット・テイクス・ツー | A. Pasqua, M. Spiro | 4:59 | |
| 8 | Stranger to Me | ストレンジャー・トゥ・ミー | D. Huff, M. Brignardello, T. Thomas | 5:56 | |
| 9 | Hold Back the Night | ホールド・バック・ザ・ナイト | D. Huff, M. Spiro, A. Pasqua | 4:11 | |
| 10 | Love Welcome Home | ラヴ・ウェルカム・ホーム | D. Huff, M. Spiro, P. Naish | 4:51 | ゴスペル・ライクな展開を持つバラード。 |
| 11 | The Big Pitch | ザ・ビッグ・ピッチ | D. Huff, T. Thomas, A. Pasqua | 5:07 |
2. Time to Burn (タイム・トゥ・バーン)
Release Date: 1992
Label: Epic Records
Producer: Terry Thomas
| 曲順 | 曲名 (English) | 曲名 (Katakana) | Songwriters | Time | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Thunder and Lightning | サンダー・アンド・ライトニング | D. Huff, V. Stephenson | 4:23 | 攻撃的なギターリフが炸裂するハードナンバー。 |
| 2 | Chained | チェインド | A. Pasqua, D. Huff, M. Brignardello | 7:19 | Mainstream Rock #16。重厚なミッドテンポの大作。 |
| 3 | Lay It on the Line | レイ・イット・オン・ザ・ライン | D. Huff, M. Brignardello | 5:21 | |
| 4 | Stay | ステイ | A. Pasqua, D. Huff, V. Stephenson | 4:46 | 哀愁漂うパワー・バラード。シングルカットされた。 |
| 5 | Lost in Paradise | ロスト・イン・パラダイス | A. Pasqua, V. Stephenson | 5:30 | |
| 6 | Smoulder | スモルダー | D. Huff | 0:29 | インストゥルメンタル。 |
| 7 | Time to Burn | タイム・トゥ・バーン | A. Pasqua, D. Huff, M. Brignardello | 4:49 | 高度なテクニックが凝縮されたタイトル曲。 |
| 8 | I'll Be There (When It's Over) | アイル・ビー・ゼア | D. Huff, T. Thomas, J. Vallance | 4:28 | Bryan Adamsの共作者Jim Vallanceが参加。CD版ボーナストラック等として収録。 |
| 9 | Save Me Tonight | セイヴ・ミー・トゥナイト | A. Pasqua, D. Huff, M. Brignardello, T. Cerney | 6:00 | |
| 10 | Without You | ウィズアウト・ユー | D. Huff, J. Vallance, M. Brignardello | 4:25 | |
| 11 | Now Until Forever | ナウ・アンティル・フォーエヴァー | D. Huff, R.W. Johnson | 5:44 |
3. III
Release Date: 2001
Label: Frontiers Records
| 曲順 | 曲名 (English) | 曲名 (Katakana) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | Combustion | コンバスチョン | ダン・ハフのボーカルによるドライビング・ロック。 |
| 2 | You Will Be Mine | ユー・ウィル・ビー・マイン | |
| 3 | Over You | オーヴァー・ユー | |
| 4 | Don't Leave Me In Love | ドント・リーヴ・ミー・イン・ラヴ | Mark Spiroとの共作。 |
| 5 | Love Can't Help You Now | ラヴ・キャント・ヘルプ・ユー・ナウ | |
| 6 | The Sky Is The Limit | ザ・スカイ・イズ・ザ・リミット | |
| 7 | It's Not The End Of The World | イッツ・ノット・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド | |
| 8 | Oh Yeah | オー・イェー | |
| 9 | Can't Let Go | キャント・レット・ゴー | |
| 10 | Bad Case Of Loving You (Doctor, Doctor) | バッド・ケース・オブ・ラヴ・ユー | Robert Palmer等のヒットで知られる曲のカバー。 |
4. Promise Land (プロミス・ランド)
Release Date: 2010
Label: Frontiers Records
Lineup: Terry Brock (Vo), John Roth (Gt), David Huff (Dr), Mike Brignardello (Ba)
| 曲順 | 曲名 (English) | 曲名 (Katakana) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | Believer (Redux) | ビリーバー (リダックス) | 1stアルバム曲のリメイク。 |
| 2 | Promise Land | プロミス・ランド | |
| 3 | Never Surrender | ネヴァー・サレンダー | |
| 4 | Our Love | アワー・ラヴ | 日本盤にはアコースティックVer.が追加収録。 |
| 5 | Prisoner Of Love | プリズナー・オブ・ラヴ | |
| 6 | Two Worlds Collide | トゥー・ワールズ・コライド | |
| 7 | Plenty Of Love | プレンティ・オブ・ラブ | |
| 8 | Through My Eyes | スルー・マイ・アイズ | |
| 9 | I'll Wait For You | アイル・ウェイト・フォー・ユー | |
| 10 | Dying To See You | ダイング・トゥ・シー・ユー | |
| 11 | Double Trouble | ダブル・トラブル | |
| 12 | Complicated Man | コンプリケイテッド・マン | |
| 13 | Save Me | セイヴ・ミー | ボーナストラック。Dann Huffがソロで参加。 |
5. Shifting Time (シフティング・タイム)
Release Date: 2022年1月21日
Label: Frontiers Music SRL / Avalon (Japan)
Lineup: Kent Hilli (Vo), John Roth (Gt), David Huff (Dr), Mike Brignardello (Ba)
| 曲順 | 曲名 (English) | 曲名 (Katakana) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | Shifting Time | シフティング・タイム | |
| 2 | Let Our Love Win | レット・アワー・ラヴ・ウィン | |
| 3 | Never Die Young | ネヴァー・ダイ・ヤング | Feat. Dann Huff (Guitar Solo) |
| 4 | Don't Say a Word | ドント・セイ・ア・ワード | |
| 5 | My Breath Away | マイ・ブレス・アウェイ | |
| 6 | Highway Of Love | ハイウェイ・オヴ・ラヴ | |
| 7 | It's Not Over | イッツ・ノット・オーヴァー | |
| 8 | The Price Of Love | ザ・プライス・オヴ・ラヴ | |
| 9 | Standing Tall | スタンディング・トール | |
| 10 | Anna Lee | アンナ・リー | |
| 11 | Don’t Wanna Lose You | ドント・ウォナ・ルーズ・ユー | |
| 12 | I Walk Alone | アイ・ウォーク・アローン | |
| 13 | Anna Lee (Acoustic Version) | アンナ・リー (アコースティック) | 日本盤ボーナス・トラック |
6. Stand and Deliver (スタンド・アンド・デリバー)
Release Date: 2025年5月16日(予定)
Label: Frontiers Music SRL / Avalon (Japan)
Lineup: Kent Hilli (Vo), Jimmy Westerlund (Gt), David Huff (Dr), Mike Brignardello (Ba)
| 曲順 | 曲名 (English) | 曲名 (Katakana) | Songwriters / Details |
|---|---|---|---|
| 1 | It's Not Right | イッツ・ノット・ライト | 先行シングル的な位置づけの強力なロック。 |
| 2 | A Night To Remember | ア・ナイト・トゥ・リメンバー | |
| 3 | Hold The Night | ホールド・ザ・ナイト | |
| 4 | I Will Believe | アイ・ウィル・ビリーヴ | |
| 5 | Beggars Can't Be Choosers | ベガーズ・キャント・ビー・チューザーズ | |
| 6 | It Ain't Over Till It's Over | イット・エイント・オーヴァー・ティル・イッツ・オーヴァー | |
| 7 | Stand And Deliver | スタンド・アンド・デリバー | タイトル曲。 |
| 8 | Time To Call It Love | タイム・トゥ・コール・イット・ラヴ | Dann Huff & Mark Spiro 共作。 |
| 9 | Holdin' On For Dear Life | ホールディン・オン・フォー・ディア・ライフ | Dann Huff & Van Stephenson 共作 |
| 10 | Paradise Found | パラダイス・ファウンド | Dann Huff & Van Stephenson 共作 |
| 11 | Pleasure Dome | プレジャー・ドーム | 6:23の長尺曲。プログレッシブな展開。 |
| 12 | Paradise Found (Acoustic Version) | パラダイス・ファウンド (アコースティック) | 日本盤ボーナス・トラック |
9. GIANTの遺産と現在地 (Legacy & Conclusion)
GIANT(ジャイアント)の歴史は、アメリカの音楽産業が「アナログ・レコーディングの極致」から「デジタルとグランジの時代」へと移行する激動の時代を映し出す鏡である。GIANTは、1980年代のナッシュビルとロサンゼルスで培われた至高の演奏技術を、商業的なロックというフォーマットに昇華させた最後の守護者であった。
ダン・ハフという不世出のギタリスト/プロデューサーを排出した母体としての功績は計り知れないが、それ以上に、GIANTが残した 『Last of the Runaways』 と 『Time to Burn』という2枚のアルバムは、メロディック・ロックの教科書として、現在も世界中のミュージシャンに参照され続けている。そして2025年、デヴィッド・ハフとマイク・ブリグナルデロというオリジナル・リズム隊の執念と、ケント・ヒリという稀代のシンガー、ジミー・ウェスタールンドという新たな才能の融合により、GIANT(ジャイアント)は現在進行形のロック・バンドとして「Stand and Deliver (約束を果たし、期待に応える)」 し続けているのである。