BURNING RAIN
1990年代後半の Los Angeles (ロサンゼルス)の音楽シーンは、かつて隆盛を極めた「ヘア・メタル」や「グラム・メタル」の狂騒が過ぎ去り、グランジ・ブームやオルタナティブ・ロックの台頭によって既存のハードロック・バンドが存亡の危機に瀕していた時代であった。
Biography
BURNING RAIN (バーニング・レイン)
現代ハードロックシーンにおける正統派の系譜とその変遷
1. 世紀末のロサンゼルスにおけるハードロックの復権
1990年代後半の Los Angeles (ロサンゼルス)の音楽シーンは、かつて隆盛を極めた「ヘア・メタル」や「グラム・メタル」の狂騒が過ぎ去り、グランジ・ブームやオルタナティブ・ロックの台頭によって既存のハードロック・バンドが存亡の危機に瀕していた時代であった。多くのギタリストやボーカリストがスタイルを模索し、あるいは音楽業界からの撤退を余儀なくされる中、1970年代のブリティッシュ・ハードロックの伝統――すなわち、ブルースに根ざした感情豊かなギターワークと、ソウルフルで力強いヴォーカル、あるいは重厚なグルーヴを頑なに守り、現代的な解釈で再構築しようとする動きが水面下で生まれていた。その最も純粋で強力な結晶こそが、BURNING RAIN (バーニング・レイン)である。
本バンドの中核を成すのは、Lion (ライオン) や Bad Moon Rising (バッド・ムーン・ライジング)での活動を通じて日本市場で絶大な支持を得ていたギタリスト Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)と、Montrose (モントローズ)での活動で知られる実力派ボーカリスト Keith St. John (キース・セント・ジョン)である。BURNING RAINの結成は、Led Zeppelin (レッド・ツェッペリン)や Whitesnake (ホワイトスネイク)、Deep Purple (ディープ・パープル) といった巨人が築き上げた「王道」を、世紀末という混迷の時代に継承し、次世代へと繋ぐための重要なマイルストーンであったと言える。
2. 結成前夜: 異なる道が交差するまで
2.1 Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)の初期キャリアと日本との絆
Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)の名前がハードロック界で広く知られるようになったのは、1980年代中盤に結成された Lion (ライオン)での活動に遡る。Kal Swan (カル・スワン) というカリスマ的なボーカリストと共に活動したLion (ライオン)は、映画『Transformers (トランスフォーマー)』のテーマ曲を提供するなどの実績を残したが、何よりも日本のハードロック・ファン、とりわけ 「ギターヒーロー」を愛好する層から熱狂的な支持を受けていた。
彼のプレイスタイルは、Gary Moore (ゲイリー・ムーア)を彷彿とさせる情熱的なチョーキングと、Randy Rhoads (ランディ・ローズ)の影響を感じさせる構築美溢れるレガート・フレーズの融合であり、当時の「早弾きブーム」の中で一線を画す「歌心のあるテクニシャン」として評価されていた。
Lion (ライオン) 解散後、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)はHurricane (ハリケーン)や House of Lords (ハウス・オブ・ローズ)への参加を経て、再び Kal Swan (カル・スワン) とタッグを組み Bad Moon Rising (バッド・ムーン・ライジング)を結成する。このバンドは、グランジ・ブームが吹き荒れるアメリカ本国での商業的成功よりも、日本やヨーロッパでの活動に主軸を置いていた。特に日本での人気は凄まじく、彼らは頻繁に来日公演を行い、日本のファンとの絆を深めていった。しかし、1998年にBad Moon Rising (バッド・ムーン・ライジング)が解散を迎えると、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)は自身の音楽的ルーツである「ブルース・ハードロック」をより純粋に追求できる新たなパートナーを模索し始めることとなる。
2.2 Keith St. John (キース・セント・ジョン)の台頭
一方、Keith St. John (キース・セント・ジョン)は、アメリカン・ハードロックの伝説的ギタリスト Ronnie Montrose (ロニー・モントローズ)にその才能を見出され、Montrose (モントローズ)のフロントマンとしてキャリアを重ねていた。彼のボーカルスタイルは、Sammy Hagar (サミー・ヘイガー)のようなエネルギッシュなシャウトと、Paul Rodgers (ポール・ロジャース) や David Coverdale (デヴィッド・カヴァーデイル)に通じるブルージーな深みを併せ持っており、正統派ハードロック・シンガーとしての資質は疑いようのないものであった。
Keith St. John (キース・セント・ジョン)は、常に「曲のために歌う」ことを信条としており、テクニックをひけらかすことよりも、楽曲の持つ感情やグルーヴを増幅させることに重きを置いていた。この姿勢は、ギターソロを楽曲の一部として有機的に機能させようとする Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)の美学と強く共鳴するものであった。
3. バイオグラフィ: 炎と雨の軌跡
3.1 運命の邂逅とバンドの始動(1998年)
1998年、Bad Moon Rising (バッド・ムーン・ライジング)の解散直後、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)は共通の知人であるベーシスト、Ian Mayo (イアン・メイヨ) (ex-Hericane Alice (ヘリケーン・アリス), Bangalore Choir (バンガロール・クワイア))の紹介によって Keith St. John (キース・セント・ジョン) と出会うこととなる。Ian Mayo (イアン・メイヨ)は当時、双方のミュージシャンと別々のプロジェクトで関わりを持っており、二人の音楽的志向が完璧に合致することを確信していたという。
Keith St. John (キース・セント・ジョン)は後のインタビューで、この出会いについて次のように語っている。「イアンが俺たち二人を引き合わせてくれたんだ。『お前ら二人は絶対に会うべきだ』ってね。電話で話して、実際に会って、すぐに3~4曲のデモを作ったんだ。そうしたら、あっという間に日本の Pony Canyon (ポニーキャニオン)との契約話が進んでいったんだ」。
このエピソードは、当時の日本のレコード会社がいかに Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)の動向に注目していたか、そして彼らのデモテープがいかに高品質であったかを如実に物語っている。バンド名は「BURNING RAIN (バーニング・レイン)」と名付けられた。これは「激しさ(Burning)」 と 「憂い (Rain)」 という、BURNING RAINの音楽性が持つ二面性を象徴するものであった。
初期ラインナップ:
- Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ): Guitars
- Keith St. John (キース・セント・ジョン): Vocals
- Ian Mayo (イアン・メイヨ): Bass
- Alex Makarovich (アレックス・マカロヴィッチ): Drums (ex-Steelheart (スティールハート))
ドラマーの Alex Makarovich (アレックス・マカロヴィッチ)は、Steelheart (スティールハート) 時代に『Tangled in Reins』などの作品で、その手数の多いテクニカルかつパワフルなドラミングを披露しており、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)の求めるアグレッシブなリズムを具現化できる稀有な存在であった。
3.2 衝撃のデビュー作 『Burning Rain』(1999年)
1999年、デビューアルバム 『Burning Rain (バーニング・レイン)』 がリリースされた。日本では Pony Canyon (ポニーキャニオン) から3月3日に先行発売され、欧州ではZ Records (Zレコード)からリリースされた。このアルバムは、当時世界を席巻していたダウン・チューニングやラップ・メタルといったトレンドには一切目もくれず、80年代の Whitesnake (ホワイトスネイク) や Blue Murder (ブルー・マーダー)を彷彿とさせる、洗練されたメロディとテクニカルな演奏が詰まった傑作であった。
特にオープニング・ナンバーの「Smooth Locomotion」 や 「Superstar Train」で見られるドライヴ感、そしてバラード「Heaven's Garden」 で見せる叙情性は、日本のファンの期待を大きく上回るものであった。また、日本盤にはボーナストラックが収録されることが常となり、これが日本のファンにとっての「特別感」を醸成する一因となった。
3.3 進化と深化:『Pleasure to Burn』 (2000年)
デビュー作の成功を受け、バンドは休む間もなく次作の制作に着手する。2000年にリリースされた2ndアルバム 『Pleasure to Burn (プレジャー・トゥ・バーン)』は、前作の延長線上にありながら、よりヘヴィでダーク、かつブルージーな色彩を強めた作品となった。
「Fireball」のようなネオ・クラシカル的な高速リフを持つ楽曲から、「Cherie Don't Break My Heart」のようなキャッチーなアンセムまで、楽曲の幅は大きく広がった。
この時期、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)のギターサウンドは完成の域に達しつつあった。彼の愛機である Gibson Les Paul Goldtop (ギブソン・レスポール・ゴールドトップ)と、改造された Marshall (マーシャル) アンプから繰り出されるトーンは、太く、粘りがあり、かつピッキングのニュアンスを忠実に再生するものであり、多くのギターキッズの憧れの的となった。
しかし、この2ndアルバムのリリース後、バンドは大きな転換期を迎えることとなる。Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)の圧倒的な才能が、ハードロック界の「神」たちの目に留まったのである。
3.4 巨星たちへの貢献と活動休止(2001年-2012年)
2001年、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)は、ヘヴィメタル界のゴッドファーザー、Ronnie James Dio (ロニー・ジェイムス・ディオ)率いる Dio (ディオ)にギタリストとして抜擢される。アルバム 『Killing the Dragon』への参加とその後のツアーでのパフォーマンスは、彼の名を世界的なものとした。さらに2003年には、かつて Whitesnake (ホワイトスネイク)を率いたDavid Coverdale (デヴィッド・カヴァーデイル) から直々のオファーを受け、再結成 Whitesnake (ホワイトスネイク)に加入することとなる。
Whitesnake (ホワイトスネイク) において Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)は、単なるギタリストに留まらず、David Coverdale (デヴィッド・カヴァーデイル)の作曲パートナーとして、バンドの核となる役割を担った。アルバム『Good to Be Bad』 や 『Forevermore』といった作品での貢献は計り知れず、彼は名実ともに世界のトップ・ギタリストの仲間入りを果たしたのである。
一方、Keith St. John (キース・セント・ジョン)もまた、Montrose (モントローズ)での活動に加え、Lynch Mob (リンチ・モブ)のツアー・ボーカリストや、Kingdom Come (キングダム・カム)への参加など、自身のキャリアを着実に積み上げていた。
この二人の主要メンバーがそれぞれのビッグ・プロジェクトに忙殺されたため、BURNING RAIN (バーニング・レイン)の活動は事実上の凍結状態 (ハイアット)となった。しかし、二人の間の友情と信頼関係が途切れることはなく、インタビューなどでも互いに「いつか必ずバンドを動かす」と公言し続けていた。この「長い雨宿り」の期間こそが、後の復活作における爆発的なエネルギーを蓄積する期間となったのである。
3.5 復活の狼煙:『Epic Obsession』(2013年)
Whitesnake (ホワイトスネイク)での活動が一段落し、自身の創造性を再び自身のバンドで発揮したいという欲求が高まった2013年、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)は BURNING RAIN (バーニング・レイン)の再始動を決断する。13年ぶりとなる3rdアルバム『Epic Obsession (エピック・オブセッション)』の制作にあたり、リズム隊は一新された。
- Sean McNabb (ショーン・マクナブ): Bass (ex-Dokken (ドッケン), Great White (グレイト・ホワイト))
- Matt Starr (マット・スター): Drums (ex-Ace Frehley (エース・フレーリー))
この強力な布陣で制作された『Epic Obsession (エピック・オブセッション)』は、イタリアの Frontiers Records (フロンティアーズ・レコード)と契約し、世界規模でのリリースが実現した。アルバムには、BURNING RAINの音楽的ルーツの一つである Led Zeppelin (レッド・ツェッペリン)の名曲「Kashmir」のカヴァーも収録され(ボーナストラック等)、バンドの方向性を明確に示すものとなった。Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)のギターはより表情豊かになり、Keith St. John (キース・セント・ジョン)のヴォーカルは深みを増し、ベテランならではの風格を漂わせる作品として高い評価を得た。
3.6 新たなる黄金期:『Face the Music』 (2019年-現在)
2014年に Whitesnake (ホワイトスネイク)を脱退した後、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)は The Dead Daisies (ザ・デッド・デイジーズ) や Revolution Saints (レボリューション・セインツ)といったスーパーグループでの活動を精力的に行っていたが、2018年に再び BURNING RAIN (バーニング・レイン)へと回帰する。
今回もリズム隊のメンバーチェンジが行われたが、その顔ぶれはさらに豪華なものであった。
- Brad Lang (ブラッド・ラング): Bass (ex-Y&T (ワイ・アンド・ティー))
- Blas Elias (ブラス・エリアス): Drums (ex-Slaughter (スローター))
1990年代初頭に大ブレイクした Slaughter (スローター)のオリジナル・ドラマーであるBlas Elias (ブラス・エリアス)と、西海岸ハードロックの重鎮 Y&T (ワイ・アンド・ティー)を支えた Brad Lang (ブラッド・ラング)の加入は、バンドに「アリーナ・ロック」のスケール感と華やかさをもたらした。
こうして2019年にリリースされた4thアルバム 『Face the Music (フェイス・ザ・ミュージック)』は、タイトルが示す通り、BURNING RAINが自身の音楽と真摯に向き合った結果生まれた、極めて純度の高いブルース・ハードロック・アルバムとなった。先行シングル 「Midnight Train」や「Face the Music」で見られるグルーヴは、過去のどの作品よりも有機的で、バンドとしての結束の強さを感じさせるものであった。
2026年現在、バンドは依然として活動中であり、メンバー個々のプロジェクトと並行しながら、次なる展開が期待されている。Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)にとって、BURNING RAIN (バーニング・レイン)は「帰るべき場所」であり、彼の音楽的アイデンティティの根幹を成す存在であり続けている。
4. メンバー詳細プロフィール (Detailed Member Profiles)
4.1 現行メンバー (Current Members) [2019 - Present]
Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ) - Guitar
- 在籍期間: 1998年-2001年, 2013年-2014年, 2018年-現在
- 出身: アメリカ合衆国 ノースカロライナ州 Raleigh (ローリー)
- 使用機材: Gibson Les Paul, Marshall JMP/JCM800, Suhr Guitars (Whitesnake時代)
- バイオグラフィ補足: 11歳でギターを始め、Kiss (キッス) や Deep Purple (ディープ・パープル)に影響を受ける。ロサンゼルスに移住後、オーディションを経て Lion (ライオン)に加入。Lion (ライオン) 解散後はギター講師としても活動し、その教則ビデオは日本でも人気を博した。彼のプレイスタイルは、正確無比なピッキングと、感情の起伏をダイレクトに表現するヴィブラートに特徴がある。Whitesnake (ホワイトスネイク) 時代には、David Coverdale (デヴィッド・カヴァーデイル) から 「Goldielocks (ゴールディロックス)」の愛称で呼ばれ、全幅の信頼を寄せられていた。BURNING RAIN (バーニング・レイン)では、プロデューサーとしての役割も担い、サウンド全体の構築を行っている。
Keith St. John (キース・セント・ジョン) - Vocals
- 在籍期間: 1998年-2001年, 2013年-2014年, 2018年-現在
- 関連バンド: Montrose (モントローズ), Kingdom Come (キングダム・カム), Lynch Mob (リンチ・モブ), The Raiding Rock Vault (ザ・レイディング・ロック・ヴォルト)
- バイオグラフィ補足: Ronnie Montrose (ロニー・モントローズ)との長年の活動で培ったステージングは圧巻。ラスベガスで行われているロック・ミュージカル・ショー『Raiding the Rock Vault (レイディング・ザ・ロック・ヴォルト)』にも出演するなど、エンターテイナーとしての評価も高い。作詞面では、人生の苦悩や情熱、恋愛の機微をストレートな言葉で綴り、リスナーの共感を呼んでいる。
Brad Lang (ブラッド・ラング) - Bass
- 在籍期間: 2018年-現在
- 関連バンド: Y&T (ワイ・アンド・ティー), Foreigner (フォリナー), War & Peace (ウォー・アンド・ピース)
- バイオグラフィ補足: 指弾きとピック弾きを使い分け、楽曲のボトムを支える職人ベーシスト。Y&T(ワイ・アンド・ティー)のオリジナル・ベーシスト Phil Kennemore (フィル・ケネモア)が病に倒れた際、代役としてツアーに参加し、その後正式メンバーとなった経緯を持つ。その安定感は多くのミュージシャンから信頼されている。
Blas Elias (ブラス・エリアス) - Drums
- 在籍期間: 2018年-現在
- 関連バンド: Slaughter (スローター), Blue Man Group (ブルーマン・グループ), Trans-Siberian Orchestra (トランス・シベリアン・オーケストラ)
- バイオグラフィ補足: Slaughter (スローター)のデビューアルバム 『Stick It to Ya』がダブル・プラチナムを獲得し、一躍スターダムにのし上がった。長髪を振り乱しながら叩く派手なパフォーマンスがトレードマークだが、ラスベガスの Blue Man Group (ブルーマン・グループ)での活動経験もあり、パーカッション全般に対する造詣が深い。
4.2 過去の主要メンバー (Past Members)
Ian Mayo (イアン・メイヨ) - Bass
- 在籍期間: 1999年-2001年
- プロフィール補足: バンド創設のキーマン。Hericane Alice (ヘリケーン・アリス)では Atlantic Records (アトランティック・レコード) からメジャーデビューを果たしている。Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)とは Bad Moon Rising (バッド・ムーン・ライジング)のツアーメンバーとしても共演経験があり、あうんの呼吸を持っていた。
Alex Makarovich (アレックス・マカロヴィッチ) - Drums
- 在籍期間: 1999年-2001年
- プロフィール補足: Steelheart (スティールハート) の2ndアルバム 『Tangled in Reins』でのプレイは、ハードロック・ドラミングの教科書とも言える完成度であった。
- BURNING RAIN (バーニング・レイン) の初期2作においても、その手数の多さとパワフルなキックで、バンドのアグレッシブな側面を強調した。
Sean McNabb (ショーン・マクナブ) - Bass
- 在籍期間: 2013年-2014年
- プロフィール補足: 俳優としても活動するイケメン・ベーシスト。Dokken (ドッケン)や Great White (グレイト・ホワイト)、Quiet Riot (クワイエット・ライオット)といったL.A. メタルの重要バンドを渡り歩いた経歴を持つ。
Matt Starr (マット・スター) - Drums
- 在籍期間: 2013年-2014年
- プロフィール補足: Mr. Big (ミスター・ビッグ)の Pat Torpey (パット・トーピー)がパーキンソン病を患った際、彼の代役としてツアー・ドラマーを務めたことで日本での知名度を一気に上げた。コーラスワークにも定評がある。
5. ディスコグラフィ (Discography)
BURNING RAIN (バーニング・レイン)の作品は、日本盤と海外盤(欧州・米国)で収録曲や曲順が異なるケースが多い。ここではその違いを明確にしつつ、各アルバムの音楽的特徴を解説する。
5.1 Studio Albums Analysis
以下に、スタジオ・アルバムの基本データとトラックリストの比較を示す。
Release Date: 1999年3月3日 (Japan) / 1999年 (Europe)
Label: Pony Canyon (ポニーキャニオン) [Japan] / Z Records (Zレコード) [Europe]
Format: CD
Overview: 鮮烈なデビュー作。Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)のギターは全編にわたって冴え渡り、"Smooth Locomotion"のようなドライビング・ロックから、"Heaven's Garden" のようなパワー・バラードまで、ハードロックの魅力が凝縮されている。
| Track No. | Title (Original) | Title (Katakana) | Writer(s) / Notes |
|---|---|---|---|
| 1 | Smooth Locomotion | スムース・ロコモーション | Aldrich, St. John / 代表曲 |
| 2 | Superstar Train | スーパースター・トレイン | Aldrich, St. John |
| 3 | Jungle Queen | ジャングル・クイーン | Aldrich, St. John |
| 4 | Making My Heart Beat | メイキング・マイ・ハート・ビート | Aldrich, St. John |
| 5 | Fool No More | フール・ノー・モア | Aldrich, St. John |
| 6 | Cherry Grove | チェリー・グローヴ | Aldrich, St. John |
| 7 | Can't Cure The Fire | キャント・キュア・ザ・ファイア | Aldrich, St. John |
| 8 | Can't Turn Your Back On Love | キャント・ターン・ユア・バック・オン・ラヴ | Aldrich, St. John |
| 9 | Heaven's Garden | ヘヴンズ・ガーデン | Aldrich, St. John / 名バラード |
| 10 | Tokyo Rising | トーキョー・ライジング | Aldrich, St. John / 日本への敬意を表した曲 |
| 11 | Seasons Of Autumn | シーズンズ・オブ・オータム | Aldrich, St. John |
| Bonus | Smooth Locomotion (Acoustic) | スムース・ロコモーション (アコースティック) | 2013 Reissue / Some Japan Editions |
| Bonus | Can't Turn Your Back on Love (Acoustic) | キャント・ターン・ユア・バック・オン・ラヴ (アコースティック) | 2013 Reissue |
Insight: "Tokyo Rising" の収録は、Bad Moon Rising (バッド・ムーン・ライジング) 時代からの日本のファンへの感謝が込められており、BURNING RAINの日本市場重視の姿勢がデビュー当初から明確であったことを示している。
Release Date: 2000年9月20日 (Japan) / 2000年 (Europe)
Label: Pony Canyon (ポニーキャニオン) [Japan] / Z Records (Zレコード) [Europe]
Overview: 1stに比べ、よりアグレッシブでダークなサウンドプロダクションが施された。特にドラムサウンドがよりタイトになり、ギターのリフも重厚さを増している。"Fireball" は Deep Purple (ディープ・パープル)の同名曲とは異なるオリジナル曲だが、その疾走感は往年のハードロック・ファンを狂喜させた。
| Track No. | Title (Original) | Title (Katakana) | Notes |
|---|---|---|---|
| 1 | Fireball | ファイアボール | 高速ハードロックチューン |
| 2 | Love Emotion | ラヴ・エモーション | |
| 3 | Stone Cold n' Crazy | ストーン・コールド・ン・クレイジ | |
| 4 | Cherie Don't Break My Heart | シェリー・ドント・ブレイク・マイ・ハート | キャッチーなコーラスが特徴 |
| 5 | Shot Down | ショット・ダウン | |
| 6 | Love De Jour | ラヴ・ドゥ・ジュール | |
| 7 | Faithfully Yours | フェイスフリー・ユアーズ | |
| 8 | Sex Machine | セックス・マシーン | ファンキーなグルーヴ |
| 9 | Metal Superman | メタル・スーパーマン | |
| 10 | Judgement Day | ジャッジメント・デイ | |
| 11 | Devil Money | デヴィル・マネー | |
| Bonus | Live for That Rush (Demo) | リヴ・フォー・ザット・ラッシュ(デモ) | 2023 Reissue Bonus |
| Bonus | Cherie Don't Break My Heart (Acoustic) | シェリー・ドント・ブレイク・マイ・ハート(アコースティック) | 2013 Reissue Bonus |
Region Note: 欧州Z Records盤の一部プレスでは、曲順が大幅に入れ替わっているバージョンが存在する(例: "Sex Machine"が2曲目など)が、アーティストの意図した本来の曲順は日本盤のものであるとされる。
Release Date: 2013年5月15日(Japan) / 2013年5月17日 (Europe)
Label: Warner Music Japan (ワーナーミュージック・ジャパン) [Japan] / Frontiers Records (フロンティアーズ・レコード)
Overview: 13年の時を経てリリースされた復活作。Whitesnake (ホワイトスネイク)で培ったソングライティングのノウハウが注入され、楽曲の構成力が飛躍的に向上している。プロダクションも現代的になり、音圧と分離の良さが際立つ。
- Sweet Little Baby Thing
- The Cure
- Till You Die
- Heaven Gets Me By
- Pray Out Loud
- Our Time Is Gonna Come
- Too Hard To Break
- My Lust Your Fate
- Made For Your Heart
- Ride The Monkey
- Out In The Cold Again
- When Can I Believe In Love
Bonus Tracks Variations:
| Edition | Bonus Track Title | Japanese Title |
|---|---|---|
| Japan | Fell Outta Love (Demo) | フェル・アウタ・ラヴ(デモ) |
| Japan | Made For Your Heart (Candlelight Version) | メイド・フォー・ユア・ハート (キャンドルライト・ヴァージョン) |
| Japan | When Can I Believe In Love (Acoustic) | ホエン・キャン・アイ・ビリーヴ・イン・ラヴ(アコースティック) |
| Int'l | Kashmir | カシミール |
Insight: 日本盤には3曲ものボーナストラックが収録されるという破格の待遇であり、これは日本市場がいかに重要視されていたかの証左である。一方、インターナショナル盤のボーナスである"Kashmir" (Led Zeppelin cover)は、BURNING RAINの音楽的ルーツをダイレクトに示す重要なテイクである。
Release Date: 2019年3月6日 (Japan) / 2019年3月22日 (World)
Label: Marquee Inc. / Avalon (マーキー・インコーポレイティド/アヴァロン) [Japan] / Frontiers Records (フロンティアーズ・レコード)
Overview: 現時点での最新作。ブルース回帰を鮮明にし、70年代のオーガニックな響きを追求した意欲作。"Face the Music" (現実を受け入れる、報いを受ける)というタイトルは、ベテランバンドとしての覚悟を感じさせる。
- Revolution (レヴォリューション)
- Lorelei (ローレライ)
- Nasty Hustle (ナスティ・ハッスル)
- Midnight Train (ミッドナイト・トレイン)
- Shelter (シェルター)
- Face The Music (フェイス・ザ・ミュージック)
- Beautiful Road (ビューティフル・ロード)
- Hit And Run (ヒット・アンド・ラン)
- If It's Love (イフ・イッツ・ラヴ)
- Hideaway (ハイドアウェイ)
- Since I'm Loving You (シンス・アイム・ラヴィング・ユー)
Bonus Track (Japan):
• Shelter (Acoustic Version) (シェルター [アコースティック・ヴァージョン])
Insight: 日本での発売元がワーナーから、ハードロック/ヘヴィメタル専門レーベルとして名高い Marquee / Avalon (マーキー / アヴァロン)に変更された。これにより、よりコアなファン層へのリーチが可能となった。
5.2 Singles & Compilations
- My Lust Your Fate (2013) - Digital Single
- Midnight Train (2019) - Digital Single / Music Video
- If It's Love (2019) - Digital Single
- Face the Music (2019) - Digital Single
6. 日本市場における受容と評価 (Reception in Japan)
6.1 "Big in Japan" の文メントと Burrn! 誌の役割
BURNING RAIN (バーニング・レイン)は、いわゆる"Big in Japan" (日本で特に人気がある洋楽アーティスト)の系譜に連なるバンドの一つである。これには、日本のハードロック専門誌 Burrn! (バーン!)の存在が大きく関与している。同誌は、アメリカ本国でグランジ旋風が吹き荒れていた90年代においても、メロディアスなハードロックを擁護し続けた。
Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)はLion (ライオン) 時代から同誌の表紙を飾るほどのアイドル的存在であり、彼の新バンドというだけで大きな話題となった。インタビュー記事は頻繁に掲載され、アルバムレビューでも常に高得点を獲得している。例えば、アルバム発売時には、編集部員がわざわざ海外 (ニューヨークなど)まで赴いてインタビューを行うなど、破格の扱いを受けていた記録がある。
6.2 ファンベースの特徴
日本のファンは、Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)の「泣きのギター」と Keith St. John (キース・セント・ジョン)の「熱いヴォーカル」を愛してやまない。また、BURNING RAINが来日公演で見せる真摯な態度や、日本文化への敬意 ("Tokyo Rising" のような楽曲制作)も、長年にわたるロイヤリティの高いファンベースを維持する要因となっている。
2019年の『Face the Music (フェイス・ザ・ミュージック)』 リリース時も、日本先行発売が行われ、タワーレコードやディスクユニオンといった主要CDショップでは大々的に展開された。これは、CDという物理メディアが依然として強い力を持つ日本市場ならではの現象であり、バンド側もそれを十分に理解した戦略をとっている。
7. 燃え続ける情熱の雨
BURNING RAIN (バーニング・レイン)の歴史は、トレンドに流されることなく、自らが信じる「ハードロックの美学」を貫き通した歴史である。Doug Aldrich (ダグ・アルドリッチ)という稀代のギターヒーローと、Keith St. John (キース・セント・ジョン) という稀代のフロントマンのパートナーシップは、数々の困難や活動休止を乗り越え、四半世紀近くにわたって維持されてきた。
BURNING RAINの音楽は、Led Zeppelin (レッド・ツェッペリン)が切り拓き、Whitesnake (ホワイトスネイク)が洗練させたブルース・ハードロックの正統なる後継として、現代において極めて重要な価値を持っている。特に日本においては、BURNING RAINの音楽は単なる「洋楽」を超え、ある種の「様式美」を愛するファンにとっての拠り所となっている。
現在、メンバーはそれぞれ多忙なキャリアを送っているが、BURNING RAIN (バーニング・レイン) という母艦が消滅することはないだろう。雨が炎を消すことができないように、BURNING RAINの情熱もまた、燃え尽きることはない。