ARMAGEDDON

ARMAGEDDONの詳しいBiographyと全作品のディスコグラフィ。アルバムごとの個別ページも掲載するMETAL BOOSTのアーティストページ。

Biography

ルビコンの向こう側
クリストファー・アモットとARMAGEDDONの音楽的軌跡

1. メロディック・アグレッシブ・ミュージックの構築者

スウェーデンが誇る「メロディック・デスメタル (Melodic Death Metal)」、通称「ヨーテボリ・サウンド (Gothenburg Sound)」の歴史において、クリストファー・アモット (Christopher Amott) はその技巧と作曲能力において特異な地位を占めている。彼は実兄であるマイケル・アモット (Michael Amott) と共にアーチ・エネミー (ARCH ENEMY) を創設し、その世界的成功に貢献したことで知られるが、彼の音楽的探究心と個人的な芸術性を最も純粋な形で体現していたのは、彼自身のプロジェクトである「アルマゲドン (ARMAGEDDON)」であった。

2. バンド・バイオグラフィー (History & Biography)

2.1. 第1章: 創世記とルビコン川の渡河 (1996年~1997年)

2.1.1. 結成の背景: 日本からの熱狂

ARMAGEDDONの物語は、1996年のARCH ENEMYのデビューアルバム『Black Earth (ブラック・アース)』の日本における爆発的な成功に端を発する。当時、スウェーデンのデスメタルシーンは過渡期にあったが、アモット兄弟の奏でる叙情的なツインリードギターと暴虐的なリズムの融合は、日本のメタルファンの琴線に触れた。

当時まだ18歳から19歳という若さであったクリストファー・アモットのギタープレイに注目した日本のレコード会社「トイズファクトリー (Toy's Factory)」は、彼に対しソロ・アルバムの制作を打診した。クリストファーはこのオファーを単なるインストゥルメンタルのギターアルバムとしてではなく、フルバンドによる「歌モノ」のプロジェクトとして実現させることを決意する。これがARMAGEDDONの始まりである。

2.1.2. 1997年の「スーパーグループ」結成

クリストファーは、自身の理想とする「SF的でテクニカルなメロディック・デスメタル」を具現化するために、当時のスウェーデン・シーンにおける若手実力派ミュージシャンを招集した。そのラインナップは、後から振り返れば「スーパーグループ」と呼ぶにふさわしいものであった。

  • クリストファー・アモット (Christopher Amott): ギター (Guitars)。
  • ヨナス・ニレン (Jonas Nyrén): ボーカル (Vocals)。
    バンド「イン・ザイ・ドリームス (In Thy Dreams)」のボーカリスト。ARCH ENEMYのヨハン・リーヴァ (Johan Liiva) のような低音のグロウルとは異なり、鼓膜をつんざくようなハイピッチのスクリーム (絶叫) を持ち味としていた。この声質が、初期ARMAGEDDONの「宇宙的・未来的」な冷徹な雰囲気を決定づけた。
  • マーティン・ベントソン (Martin Bengtsson): ベース (Bass)。
    クリストファーの幼馴染であり、後にARCH ENEMYのアルバム『Stigmata (スティグマータ)』にも参加することになる信頼の置けるプレイヤーである。
  • ピーター・ウィ尔多アー (Peter Wildoer): ドラムス (Drums)。
    後に「ダーケイン (Darkane)」や「ジェイムズ・ラブリエ (James LaBrie)」のソロバンドで活躍することになる超絶技巧ドラマー。彼のジャズ・フュージョン由来の複雑なフレージングと正確無比なツーバス連打は、ARMAGEDDONのサウンドを単なるデスメタル以上の「プログレッシブ」な領域へと押し上げた。

このメンバーで「スタジオ・フレッドマン (Studio Fredman)」に入り、名プロデューサーであるフレドリック・ノルドストローム (Fredrik Nordström) の指揮のもと、デビューアルバム『Crossing the Rubicon (クロッシング・ザ・ルビコン)』がレコーディングされた。

1997年5月にリリースされたこのアルバムは、日本で大ヒットを記録した。しかし、ヨーロッパでの配給元であった「W.A.R. Records (ロング・アゲイン・レコード)」がリリース直後に倒産・活動停止してしまったため、この傑作は長らく欧米市場では入手困難な「幻のアルバム」となり、カルト的な人気を博すこととなった。

2.2. 第2章: 沈黙と変節 (1998年~2002年)

2.2.1. ARCH ENEMYへの集中とメンバーの流出

『Crossing the Rubicon』リリース後、ARMAGEDDONとしてのツアー活動は行われなかった。ピーター・ウィ尔多アーとマーティン・ベントソンはARCH ENEMYに吸収され、1998年の『Stigmata』の制作に参加したためである。クリストファー自身もARCH ENEMYの世界的なブレイク(特にアルバム『Burning Bridges』と初来日公演)に忙殺され、ARMAGEDDONは一時休眠状態となった。

2.2.2. 『Embrace the Mystery』における劇的な転換 (2000年)

2000年、クリストファーは再びARMAGEDDONを始動させるが、そこで提示された音楽性はファンの予想を裏切るものであった。デスメタルの暴虐性は影を潜め、代わりに70年代~80年代のハードロック、ヘヴィメタル、パワーメタルへの傾倒が顕著に表れたのである。

この変化に伴い、メンバーも一新された。

  • リッカード・ベントソン (Rickard Bengtsson): ボーカル。
    「ラスト・トライブ (Last Tribe)」のシンガー。ヨナス・ニレンのスクリームとは対極にある、朗々とした中音域のクリーンボイスとメロディアスな歌唱スタイルを持つ。彼の起用により、バンドは完全に「正統派メタル」へと舵を切った。
  • ディック・ロウグレン (Dick Lövgren): ベース。
    「イン・フレイムス (In Flames)」のツアーメンバーなどを経て、後に「メシュガー (Meshuggah)」に加入する技巧派。
  • ダニエル・アーランドソン (Daniel Erlandsson): ドラムス。
    ARCH ENEMYのドラマーであり、クリストファーの盟友。

このラインナップで制作された2ndアルバム『Embrace the Mystery (エンブレイス・ザ・ミステリー)』は、日本ではトイズファクトリーからリリースされたが、欧米での正式リリースは見送られた。デスメタル・ファンからは賛否両論があったものの、クリストファーのメロディメーカーとしての才能が遺憾なく発揮された作品として、メロディック・メタル・ファンの間では高く評価された。

2.2.3. トリオ編成と『Three』 (2002年)

2002年、バンドはさらに編成を縮小し、3ピースバンド(トリオ)となった。特筆すべきは、クリストファー・アモット自身がリード・ボーカル (Vocals) を兼任した点である。

  • クリストファー・アモット: ボーカル、ギター。
  • トビアス・グスタフソン (Tobias Gustafsson): ベース。
    「ユーカリスト (Eucharist)」や「ネザーバード (Netherbird)」での活動で知られる。
  • ダニエル・アーランドソン: ドラムス。

3rdアルバム『Three (スリー)』は、前作のメロディアスな路線を継承しつつ、よりシンプルで骨太なヘヴィメタル・サウンドを展開した。クリストファーのボーカルは技術的には未熟ながらも、ジェイムズ・ヘットフィールド (METALLICA) やデイヴ・ムステイン (MEGADETH) を彷彿とさせる「ギタリスト兼ボーカリスト」特有の哀愁と攻撃性を帯びていた。

2.3. 第3章: 長い冬とソロ活動 (2003年~2013年)

『Three』のリリース後、ARMAGEDDONは10年以上の長い活動休止期間に入る。この間、クリストファーはARCH ENEMYにおいて『Anthems of Rebellion』(2003年)や『Doomsday Machine』(2005年) といった重要作をリリースし、キャリアの頂点を極めた。しかし、創造性の欠如や個人的な理由から2005年に一度脱退、2007年に復帰するも、2012年に再び脱退するという激動の時期を過ごした。

この期間、彼は自身の名義 (Christopher Amott) でソロアルバム『Follow Your Heart』(2010年)や『Impulses』(2012年) をリリースしている。これらはメタルという枠組みすら超え、ブルース、ファンク、アンビエントなどの要素を取り入れた実験的な作品であり、彼が「メタル・ギタリスト」というパブリック・イメージからの脱却を図っていたことが窺える。

また、2009年には「センチュリー・メディア・レコード (Century Media Records)」が、これまで日本でしか流通していなかった『Embrace the Mystery』と『Three』をセットにしたコンピレーション・アルバムを欧米でリリースし、ようやく世界中のファンが第2期・第3期の音源に触れることが可能となった。

2.4. 第4章: アメリカでの復活と原点回帰 (2014年~2016年)

2.4.1. 渡米と新体制の構築

2012年のARCH ENEMY脱退後、クリストファーはスウェーデンを離れ、アメリカ合衆国(ニューヨーク州およびコネチカット州周辺)に移住した。アメリカの環境と現地のミュージシャンとの交流が、彼の中にある「ヘヴィメタルへの情熱」を再燃させた。彼はARMAGEDDONを単なるプロジェクトではなく、継続的にツアーを行う「バンド」として再始動させることを決意する。

彼は現地の若手ミュージシャンを発掘し、全く新しいラインナップを構築した。

  • マット・ハルクイスト (Matt Hallquist): ボーカル。
    コネチカット州出身。強烈なグロウルとクリーンボイスを使い分ける。
  • ジョーイ・コンセプシオン (Joey Concepcion): ギター。
    クリストファーがギターレッスンを通じて出会った若き天才。クリストファーと互角に渡り合うシュレッド(速弾き)能力を持ち、ツインリードの相方として抜擢された。後にARCH ENEMYのライブサポートや「ダーク・トランキュリティ (Dark Tranquillity)」のメンバーとしても活躍する。
  • サラ・クラウディウス (Sara Claudius): ベース。
    本来はギタリストであったが、ベーシストとして加入。歌詞の共作も行い、バンドの視覚的・概念的なコンセプト作りに貢献した。
  • マートン・ヴェレス (Márton Veress): ドラムス。
    ハンガリー出身のドラマー。モダンでタイトなドラミングで新生ARMAGEDDONの屋台骨を支えた。
2.4.2. 『Captivity & Devourment』と日本ツアー

2015年、13年ぶりとなる4thアルバム『Captivity & Devourment (キャプティビティ・アンド・ディバウアメント)』をリリース。音楽性は『Embrace the Mystery』のパワーメタル路線から一転、初期のメロディック・デスメタルへと回帰した。ただし、チューニングはより低いダウンチューニング(7弦ギターの使用など)となり、モダンなアメリカン・メタルの要素が融合されていた。

アルバムリリース直後、ボーカルのマット・ハルクイストが個人的な事情で離脱。後任として、元「ナイトレイジ (Nightrage)」のアントニー・ハマライネン (Antony Hämäläinen)が加入した。新体制となったバンドは、2015年の「LOUD PARK 15 (ラウドパーク15)」に出演するために来日。クリストファーにとっては「故郷」とも言える日本のステージで、完全復活をアピールした。この時のライブでは、かつての代表曲と新曲が披露され、ジョーイ・コンセプシオンとの超絶技巧ツインギターが観客を圧倒した。

2.4.3. 『Crossing the Rubicon』の再録音 (2016年)

2016年、バンドはデビューアルバム『Crossing the Rubicon』の全面再録音盤『Crossing the Rubicon (Revisited)』をリリースした。これは、オリジナル盤の原盤権を持つレーベル (W.A.R. Records) との権利関係の問題を解消し、現在のライブメンバーでの演奏を記録として残すための措置でもあった。アントニーの深みのあるグロウルと、現代的なプロダクションにより、名盤が新たな姿で蘇った。

2.5. 第5章: 解散とその後 (2017年~現在)

2017年以降、クリストファー・アモットの関心は再び別の場所へと移っていった。彼は「ダーク・トランキュリティ (Dark Tranquillity)」にギタリストとして正式加入 (2020年加入、2023年脱退) し、ARMAGEDDONの活動は事実上の休止状態となった。

取り残された形となったジョーイ・コンセプシオン、アントニー・ハマライネン、サラ・クラウディウス、そして後期ベーシストのアンドリュー・ペヴニー (Andrew Pevny) は、ARMAGEDDONの音楽性を継承する精神的後継バンド「ドーター・カオス (Daughter Chaos)」を結成した。

クリストファー・アモットは現在もスウェーデンに戻り、独自のペースで音楽活動を続けているが、ARMAGEDDONが再び動き出すか否かは、彼の「衝動 (Impulses)」次第であると言えるだろう。

3. ディスコグラフィ (Discography)

ARMAGEDDONのディスコグラフィーは、音楽性の変遷によって明確に分類できる。ここでは各アルバムの詳細データ、トラックリスト、および日本盤ボーナストラックについて記述する。

3.1. 1st Album: Crossing the Rubicon (クロッシング・ザ・ルビコン)

  • リリース年: 1997年5月
  • レーベル: Toy's Factory (日本), W.A.R. Records (欧州)
  • ジャンル: メロディック・デスメタル / ネオクラシカル・メタル
  • プロデューサー: フレドリック・ノルドストローム (Fredrik Nordström)

【解説】 メロディック・デスメタルの金字塔。ARCH ENEMYの『Black Earth』と比較すると、よりSF的なテーマ(宇宙、小惑星、終末)が扱われており、キーボードを効果的に使用したインストゥルメンタル・パートが多いのが特徴。クリストファーのギタープレイは若さに任せた疾走感と、イングヴェイ・マルムスティーン直系のクラシカルなフレーズが融合しており、特にインスト曲における構成力は圧巻である。

【トラックリスト】
No. 曲名(英語) 曲名(カタカナ/邦題) 備考
120222022イントロダクション
2Godforsakenゴッドフォーセイクン疾走感溢れる代表曲
3The Juggernaut Divineザ・ジャガーノート・ディヴァイン
4Astral Adventureアストラル・アドベンチャー
5Funeral in Spaceフューネラル・イン・スペースインストゥルメンタル
6Asteroid Dominionアステロイド・ドミニオン宇宙的スケールの名曲
7Galaxies Awayギャラクシーズ・アウェイインストゥルメンタル
8Faithlessフェイスレス
9Children of the New Sunチルドレン・オブ・ザ・ニュー・サンインストゥルメンタル
10Into the Sunイントゥ・ザ・サン
11Nothing Is Nothingナッシング・イズ・ナッシング日本盤ボーナストラック
12Forbidden Zoneフォービドゥン・ゾーン日本盤ボーナストラック (インスト)

3.2. 2nd Album: Embrace the Mystery (エンブレイス・ザ・ミステリー)

  • リリース年: 2000年11月 (日本先行)
  • レーベル: Toy's Factory (日本)
  • ジャンル: パワーメタル / メロディック・ヘヴィメタル
  • 制作: Bluetuned Studio / Studio Fredman

【解説】 音楽性が一変した問題作にして意欲作。リッカード・ベントソンのハイトーン・ボーカルと、キャッチーなサビのメロディは、完全に「歌モノ」としての完成度を追求している。アートワークは「ダーク・トランキュリティ」のニクラス・サンディン (Niklas Sundin) が担当。日本盤にはアイアン・メイデン (Iron Maiden) のカヴァーなどが収録される場合がある。

【トラックリスト】
No. 曲名(英語) 曲名(カタカナ/邦題) 備考
1Awakeningアウェイクニングインストゥルメンタル
2The Broken Spellザ・ブロークン・スペルパワーメタル全開のOP曲
3Blind Furyブラインド・フューリー
4Worlds Apartワールズ・アパート
5Cry of Fateクライ・オブ・フェイト
6Illusions Taleイリュージョンズ・テイル
7Moongate Climberムーンゲート・クライマーインストゥルメンタル
8Embrace the Mysteryエンブレイス・ザ・ミステリータイトル曲
9Sleep of Innocenceスリープ・オブ・イノセンス
10Grain of Sandグレイン・オブ・サンド
11Glory of the Worldグローリー・オブ・ザ・ワールド日本盤ボーナストラック (版により異なる)
12Die With Your Boots Onダイ・ウィズ・ユア・ブーツ・オンIRON MAIDENのカヴァー

3.3. 3rd Album: Three (スリー)

  • リリース年: 2002年6月 (日本)
  • レーベル: Toy's Factory (日本)
  • ジャンル: ヘヴィメタル / ハードロック
  • メンバー: Christopher Amott (Vo/Gt), Tobias Gustafsson (Ba), Daniel Erlandsson (Dr)

【解説】 トリオ編成によるソリッドなアルバム。クリストファー自身のボーカルは荒削りだが、それがかえって楽曲にロックンロール的なダイナミズムを与えている。楽曲構成はシンプルになり、ギターリフの強度が前面に押し出されている。日本盤にはマーシフル・フェイト (Mercyful Fate) のカヴァーが収録されており、アモット兄弟のルーツが垣間見える。

【トラックリスト】
No. 曲名(英語) 曲名(カタカナ/邦題) 備考
1Gathering of the Stormギャザリング・オブ・ザ・ストームインスト
2Burn the Sunバーン・ザ・サン
3Strangleholdストラングルホールド
4Heart of Iceハート・オブ・アイス
5Well of Sadnessウェル・オブ・サッドネス哀愁漂うバラード
6Rainbow Serpentレインボー・サーペント
7Winter Skiesウィンター・スカイズ
8Final Destinationファイナル・デスティネーション
9Spirit Kissスピリット・キスインスト
10The Contractザ・コントラクト
11Winter Skies (Demo)ウィンター・スカイズ (デモ)日本盤ボーナストラック
12Sands of Time (Demo)サンズ・オブ・タイム (デモ)日本盤ボーナストラック
13Desecration of Soulsデシクレーション・オブ・ソウルズMERCYFUL FATEのカヴァー

3.4. 4th Album: Captivity & Devourment (キャプティビティ・アンド・ディバウアメント)

  • リリース年: 2015年1月
  • レーベル: Listenable Records (世界), Trooper Entertainment (日本)
  • ジャンル: メロディック・デスメタル
  • プロデューサー: Fredrik Larnemo

【解説】 13年の時を経て、メロディック・デスメタルへと回帰した作品。アメリカで結成された新メンバーによる演奏は極めてタイトであり、7弦ギターを用いた重厚なリフワークと、クリストファーとジョーイによるテクニカルなギターバトルが聴きどころ。アートワークはパオロ・ジラルディ (Paolo Girardi) による油彩画で、バンドの世界観を象徴している。

【トラックリスト】
No. 曲名(英語) 曲名(カタカナ/邦題) 備考
1Captivity & Devourmentキャプティビティ・アンド・ディバウアメント
2Locked Inロックド・インPV制作曲
3Renditionレンディション
4Fugitive Dustフュージティブ・ダストPV制作曲
5Conquerコンカー
6Thanatronサナトロン
7Background Radiationバックグラウンド・ラディエーションインスト
8The Watcherザ・ウォッチァー
9Equalizerイコライザー
10Giantsジャイアンツ
11The Forsakenザ・フォーセイクン日本盤ボーナストラック

3.5. Re-recording: Crossing the Rubicon (Revisited) (クロッシング・ザ・ルビコン・リヴィジテッド)

  • リリース年: 2016年10月
  • レーベル: Listenable / Trooper Entertainment
  • メンバー: C. Amott, A. Hämäläinen, J. Concepcion, A. Pevny, M. Veress

【解説】 1stアルバムの完全再録音盤。曲順はオリジナルに準拠しているが、ボーカルがアントニー・ハマライネンに変わったことで、より現代的でブルータルな印象を与える。ギターソロの一部はジョーイ・コンセプシオンによって再解釈されている。日本盤にはさらにボーナストラックが追加されている。

4. メンバー詳細プロフィール (Comprehensive Member Biography)

ARMAGEDDONの歴史は、クリストファー・アモットという才能の周りに集まった優れたミュージシャンたちの歴史でもある。

4.1. 中心人物

  • クリストファー・アモット (Christopher Amott): Guitars, Vocals.
    1977年11月23日、スウェーデン・ハルムスタッド (Halmstad) 生まれ。マイケル・アモットの実弟。マイケル・シェンカー (Michael Schenker) のような泣きのギターと、イングヴェイ・マルムスティーンのような速弾き、そしてアラン・ホールズワース (Allan Holdsworth) のようなフュージョン的アプローチを併せ持つ。一時期、日本(兵庫県や東京都)に居住していたことでも知られる親日家である。

4.2. 歴代ボーカリスト (Vocalists)

  • ヨナス・ニレン (Jonas Nyrén): (1997)
    その悲痛なスクリームは、初期ARMAGEDDONの「冷たい宇宙空間」を表現するのに不可欠であった。
  • リッカード・ベントソン (Rickard Bengtsson): (2000)
    メロディックな歌唱でバンドの可能性を広げた功労者。
  • マット・ハルクイスト (Matt Hallquist): (2014-2015)
    『Captivity & Devourment』のレコーディングに参加。モダンなメタルコア的アプローチを持ち込んだ。
  • アントニー・ハマライネン (Antony Hämäläinen): (2015-2018)
    フィンランド系アメリカ人。元「ナイトレイジ (Nightrage)」のフロントマン。深みのあるグロウルと圧倒的なステージ・プレゼンスで、再結成後のツアーを支えた。

4.3. 歴代ギタリスト (Guitarists)

  • ジョーイ・コンセプシオン (Joey Concepcion): (2014-2018)
    コネチカット州出身の若きヴィルトゥオーソ。クリストファーに「自分と音楽的言語が同じ」と言わしめた才能。彼とクリストファーのツインリードは、かつてのクリストファー&マイケルの兄弟コンビに匹敵するコンビネーションを見せた。

4.4. リズムセクション (Rhythm Section)

  • ピーター・ウィ尔多アー (Peter Wildoer): Drums (1997)
    変拍子やポリリズムを多用するテクニカルなドラミングが特徴。
  • ダニエル・アーランドソン (Daniel Erlandsson): Drums (2000-2002)
    ARCH ENEMYの屋台骨。安定感とパワーを兼ね備える。
  • マートン・ヴェレス (Márton Veress): Drums (2014-Present)
    ハンガリーのバンド「ポコルゲップ (Pokolgép)」出身。非常にタイトでモダンなドラミングが持ち味。
  • サラ・クラウディウス (Sara Claudius): Bass (2014-2016)
    ベーシストとしてだけでなく、作詞面でも大きく貢献。バンドのビジュアル・コンセプトにも影響を与えた。後に「Daughter Chaos」を結成。
  • アンドリュー・ペヴニー (Andrew Pevny): Bass (2016-2018)
    後期ツアーメンバーとして加入。

5. 考察: 日本市場との特異な関係性 (Insights: The Japanese Connection)

ARMAGEDDONというバンドの存続と歴史において、日本市場は決定的な役割を果たしてきた。以下の3点は、その特異な関係性を象徴している。

  1. トイズファクトリー (Toy's Factory) の功績: 90年代後半から00年代初頭にかけて、日本のレーベルであるトイズファクトリーは、欧米のレーベル (Century MediaやNuclear Blastなど) が及び腰であったスウェーデンのソロ・プロジェクト群に対して積極的な投資を行った。もしトイズファクトリーの支援がなければ、『Embrace the Mystery』や『Three』といった実験的なアルバムは制作費を捻出できず、世に出なかった可能性が高い。
  2. 「日本限定」というステータス: 長らくの間、ARMAGEDDONのアルバムは「日本盤でしか手に入らない(あるいは日本盤がオリジナルである)」という状況が続いた。これにより、欧米の熱心なコレクターの間で、ARMAGEDDONのCDは高値で取引されるコレクターズ・アイテムとなった。この「飢餓感」が、2009年のCentury Mediaによる世界再発盤や、2014年の再結成時の注目度を高める要因となった。
  3. LOUD PARK (ラウドパーク) への出演: 2015年の再結成時、バンドがいきなり日本の大規模フェスである「LOUD PARK 15」で大きな注目を集めたことは、日本におけるアモット兄弟の神格化された人気を物語っている。アメリカでは小さなクラブでのツアーが主であったのに対し、日本ではアリーナクラスでの歓迎を受けるという、典型的な「Big in Japan」の現象が見られた。

6. Conclusion

ARMAGEDDONは、単なる「ARCH ENEMYのギタリストのサイドプロジェクト」という枠組みを超えた、クリストファー・アモットという一人の音楽家の成長と探究の記録である。兄マイケル・アモットがARCH ENEMYという巨大な戦艦の舵取りとして、一貫したスタイルとブランド維持に努めたのに対し、弟クリストファーはARMAGEDDONという小舟を使って、デスメタルの激流 (Rubicon) を渡り、パワーメタルの大海原を航海し、最終的には再び激流へと戻るという自由な冒険を繰り広げた。

その音楽的遺産は、テクニカルでありながら叙情的、攻撃的でありながら哀愁に満ちており、今なお多くのギタリストやメタルファンに影響を与え続けている。そしてその歴史の大部分が、日本のファンとレコード会社の支援によって支えられていた事実は、日本の洋楽メタルシーンの豊かさを証明するものでもある。

Albums

Captivity & Devourment CD
/

鋭いメロディック・デスの攻撃性と叙情性を、緻密なギターで描き出す一作。

Three CD
/

重厚なリフとドラマティックな展開で、ARMAGEDDONがダークなメロディック・メタルを描いた作品。

Embrace the Mystery CD
/

アーマゲドンがメロディック・メタルの劇性とジェフ・スコット・ソートの歌を前面に出した作品。

Crossing the Rubicon CD
/

鋭いリフと叙情的なリードを交差させ、ARMAGEDDONが北欧メロディック・デスの熱量を描いたデビュー作。