ALL ENDS

All Ends (オール・エンズ)を深く理解するためには、ALL ENDSが生まれた土壌であるイェーテボリの音楽的風土と、当時のIn Flames (イン・フレイムス)の立ち位置を詳らかにする必要がある。

Biography

ALL ENDS
イェーテボリ・サウンドの派生と商業的変容

1. スウェーデン・メタルシーンにおけるALL ENDSの位置づけ

1.2 イェーテボリ・シーンの文脈と「サイドプロジェクト」の力学

All Ends (オール・エンズ)を深く理解するためには、ALL ENDSが生まれた土壌であるイェーテボリの音楽的風土と、当時のIn Flames (イン・フレイムス)の立ち位置を詳らかにする必要がある。1990年代初頭、At The Gates (アット・ザ・ゲイツ)、Dark Tranquillity (ダーク・トランキュリティー)、そしてIn Flames (イン・フレイムス) といったバンド群は、デスメタルの攻撃性にアイアン・メイデン (Iron Maiden) 由来の叙情的なツインリードギターを融合させ、ヘヴィ・メタルの歴史に新たな潮流を生み出した。

2000年代に入ると、特にIn Flames (イン・フレイムス)は『Reroute to Remain』 (2002年)や『Soundtrack to Your Escape』(2004年) といったアルバムを通じて、よりモダンでアメリカ市場を意識したオルタナティヴなサウンドへと接近し始めた。All Ends (オール・エンズ)は、この「モダン化への志向」が極まった地点で発生したサイドプロジェクトであり、デスメタルのルーツを持つ作曲家たちが、グロウル(デスボイス)を排除し、ポップ・ミュージックのフックとヘヴィなリフを純粋に融合させようとした実験場であったと言える。

多くのサイドプロジェクトが一過性の実験で終わる中、All Ends (オール・エンズ)は大手レーベルとの契約を獲得し、独自のファンベースを築くことに成功した。これは、ビョーンとイェスパーという強力なソングライターの存在に加え、女性ツインボーカルという視覚的・聴覚的なインパクトが奏功した結果であると分析できる。

2. Biography: 結成から活動休止までの全史

2.1 創生期:イェーテボリの巨星たちによる実験 (2003年-2004年)

All Ends (オール・エンズ)の歴史は2003年に幕を開ける。当時、In Flames (イン・フレイムス)は世界的なメタルバンドとしての地位を確立しつつあり、過密なツアーとレコーディングのサイクルの中にあった。ギタリストのビョーン・イエロッテ (Björn Gelotte) とイェスパー・ストロムブラード (Jesper Strömblad)は、母体バンドでは表現しきれない、よりメロディアスで実験的な音楽的アイデアを形にするためのアウトレットを模索していた。

ALL ENDSのビジョンは、イェーテボリ・メタルの「泣き」のメロディを維持しつつ、それをポップ・ソングの構造に落とし込むことであった。このプロジェクトのために、ALL ENDSは非常にユニークな編成を選択した。それが「二人の女性ボーカリストによるデュエット」というスタイルである。通常、ゴシック・メタルなどで見られる「美女と野獣 (Beauty and the Beast)」 スタイル (女性ソプラノと男性デスボイス)ではなく、二人の女性シンガーが対等にハーモニーを奏でるという構成は、当時のメタルシーンにおいて新鮮であった。

初期ラインナップ (Demo Lineup):
  • ビョーン・イエロッテ (Björn Gelotte): ギター、作曲 (In Flames)
  • イェスパー・ストロムブラード (Jesper Strömblad): ギター、作曲(In Flames)
  • ジョセフ・"ジョーイ"・スカンソス (Joseph "Joey" Skansås): ドラムス
  • エマ・イエロッテ (Emma Gelotte): ボーカル
  • ティナ・カールスドッテル (Tinna Karlsdotter): ボーカル

特筆すべきは、ボーカルのエマ・イエロッテ (Emma Gelotte) がビョーン・イエロッテ (Björn Gelotte) の実妹であるという点である。この家族的な繋がりは、プロジェクトの初期段階において結束を強める要因となった。

この時期、ALL ENDSはイェーテボリ・サウンドの聖地とも言えるスタジオ・フレッドマン (Studio Fredman) にて5曲入りのデモテープを録音した。プロデューサーには、シーンの立役者であるフレドリック・ノルドストロム (Fredrik Nordström) とパトリック・J・ステン (Patrick J. Sten) が迎えられた。このデモ制作を通じて、ビョーンとイェスパーはプロジェクトのポテンシャルを確信したが、同時にIn Flames (イン・フレイムス)の多忙なスケジュールのため、自らがAll Ends (オール・エンズ)のプレイヤーとして活動を続けることは不可能であると判断した。ALL ENDSは「作曲家」および「メンター」としての立場に退き、楽曲を提供し続けることでバンドを支える道を選んだ。

2.2 バンドとしての確立とメンバーの刷新 (2005年-2006年)

プロジェクトを本格的なバンドとして始動させるため、2005年には創設者の二人に代わるプレイヤーの選定が行われ、大幅なラインナップの刷新が図られた。集められたメンバーは、いずれもスウェーデンのメタルシーンで実績のある手練れのミュージシャンたちであった。

  • 2005年春: ベース担当としてミカエル・ホーカンソン (Michael Håkansson)が加入。彼はEngel(エンゲル) やEvergrey (エヴァーグレイ)といった著名なバンドでの活動歴を持ち、安定したリズム隊の基盤を築いた。
  • 2005年春: ギター担当としてフレドリック・ヨハンソン (Fredrik Johansson)が加入。彼はDimension Zero (ディメンション・ゼロ)のリズムギタリストとしても知られており、In Flames (イン・フレイムス)の初期の名作『The Jester Race』にも関与している人物である。彼のアグレッシブかつタイトなリフワークは、ポップなメロディに金属的な強度を与える上で不可欠であった。
  • 2005年8月: 第二のギタリストとしてピーター・モードクリント (Peter Mårdklint)が加入。彼はEmbraced (エンブレイスド) やTenebre (テネブレ) といったバンドで活動しており、メロディックなリードプレイに定評があった。

この新体制(ツインボーカル、ツインギター、ベース、ドラムの6人編成)により、All Ends (オール・エンズ) は 「In Flamesのサイドプロジェクト」という枠を超え、独立したバンドとしてのアイデンティティを確立し始めた。ALL ENDSのサウンドと商業的ポテンシャルに注目したGUN Records (ガン・レコーズ: Sony BMG Music Entertainmentの一部門)は、バンドと世界契約を締結した。これはデビュー前のバンドとしては破格の待遇であり、業界からの期待の高さが窺える。

2.3 デビューと躍進: 『Wasting Life』 と 『All Ends』(2007年-2008年)

2007年はAll Ends (オール・エンズ)にとって飛躍の年となった。

EP『Wasting Life』 のリリースと初期の評価

2007年5月11日、デビューEP『Wasting Life (ウェイスティング・ライフ)』がリリースされた。このEPには、デモ時代の楽曲を新ラインナップで再録音したものが収録されており、ALL ENDSの名刺代わりの作品となった。表題曲「Wasting Life」は、キャッチーなサビとヘヴィなギターリフが同居する、まさにバンドのコンセプトを体現した楽曲であり、ラジオ・フレンドリーな魅力を持っていた。

ファースト・アルバム 『All Ends』の完成

同年11月7日、待望のセルフタイトル・フルアルバム 『All Ends (オール・エンズ)』がリリースされた。当初はスウェーデン国内での先行リリースであったが、翌2008年にはボーナストラックを追加した再発盤や日本盤が世界中で展開された。アルバム制作において、楽曲の多くは引き続きビョーン・イエロッテ (Björn Gelotte) とイェスパー・ストロムブラード (Jesper Strömblad) によって書かれており、In Flames (イン・フレイムス) 特有の哀愁を帯びたメロディセンスが、女性ボーカルというフィルターを通して、より普遍的なポップ・ロックへと昇華されていた。アルバムには「Still Believe (スティル・ビリーヴ)」や「Walk Away (ウォーク・アウェイ)」 といったシングル曲が含まれ、これらはバンドの代表曲となった。

『Apologize』のカバーによるブレイク

バンドの知名度をメタルシーンの外へ大きく広げた決定打となったのが、OneRepublic (ワンリパブリック)の大ヒット曲 「Apologize (アポロジャイズ)」のカバーである。ティンバランド (Timbaland) のリミックスで世界的に知られるこのR&Bバラードを、All Ends(オール・エンズ)はダウンチューニングされたギターとドラマティックなコーラスワークで重厚なロック・バラードへと再構築した。このカバーはシングルとしてリリースされ、ミュージックビデオも制作された。原曲の切なさを残しつつ、ゴシック・メタル的な荘厳さを加えたアレンジは、ポップスのリスナーとメタルファンの双方から高く評価された。

ライブ活動とフェスティバル出演

この時期、バンドは精力的にライブ活動を行った。特筆すべきは2007年の「Earthshaker Roadshock Tour (アースシェイカー・ロードショック・ツアー)」への参加である。このツアーでALL ENDSは、フォーク・メタルのFinntroll (フィントロール)、シンフォニック・メタルのAfter Forever (アフター・フォーエヴァー)、ヘヴィ・メタルのTarot (タロット)、Die Apokalyptischen Reiter (ディー・アポカリプティシェン・ライター)、Machine Men (マシーン・メン)といった、スタイルが全く異なるバンド群と共演した。この異種格闘技的なツアー環境は、All Ends (オール・エンズ)が自身の「ポップ・メタル」というスタイルを聴衆にアピールし、差別化を図る絶好の機会となった。また、スウェーデン最大のロックフェスである「Sweden Rock Festival (スウェーデン・ロック・フェスティバル)」にも出演し(2007年6月6日-9日)、その存在感を確固たるものにした。

2.4 メンバーチェンジと 『Sonic and the Black Knight』(2009年)

バンドが順調にキャリアを積み重ねていた2009年、内部体制に大きな変化が訪れる。

エマ・イエロッテの脱退とヨナ・サイロンの加入

創設メンバーの一人であり、In Flames (イン・フレイムス) との最大のリンクであったボーカルのエマ・イエロッテ (Emma Gelotte) が脱退を表明した。彼女は公式声明の中で「過去6年間、All Endsとそのメンバーは私の全てだった」と語りつつも、個人的な理由によりバンドを離れる決断を下したことを明かした。姉妹的な絆で結ばれていたティナとのデュエットがバンドの核であったため、この脱退はファンに衝撃を与えた。しかし、バンドは解散を選ぶことなく、後任としてスウェーデンのシンガー、ヨナ・サイロン (Jonna Sailon) を迎えた。ヨナはエマとは異なる、よりモダンでポップな声質を持っており、バンドのサウンドに新たな色彩を加えることとなった。

ベース奏者の交代: アンダース・ヤンファルクの加入

また、この時期にベーシストのミカエル・ホーカンソン (Michael Håkansson) もバンドを離れ、新たにアンダース・ヤンファルク (Anders Janfalk)が加入した。アンダースは技術的に優れたベーシストであり、Emberstorm (エンバーストーム) などのプログレッシブなプロジェクトにも関わっていた経歴を持つ。彼の加入により、リズムセクションはよりテクニカルかつタイトになった。

ソニック・シリーズへの参加:「With Me」

2009年3月、セガ (SEGA) から発売されたWii用ゲームソフト 『Sonic and the Black Knight (邦題:ソニックと暗黒の騎士)』のサウンドトラックに、All Ends (オール・エンズ)が参加したことは、ゲーム業界およびゲーム音楽ファンの間で大きな話題となった。ALL ENDSはメインテーマの一つであり、最終ボス戦 (Dark Queen戦) で使用される楽曲 「With Me (ウィズ・ミー)」のボーカルを担当した。クレジット上は "Emma Gelotte & Tinna Karlsdotter from All Ends" と表記されることもあるが、実質的なバンドとしてのコラボレーションであった。Crush 40 (クラッシュ・フォーティ) の瀬上純 (Jun Senoue) が作曲したこの楽曲は、疾走感のあるハードロック・ナンバーであり、エマとティナの力強いボーカルがゲームの壮大なファンタジー世界と完全にマッチしていた。この楽曲への参加により、従来のメタルファン層以外にもバンドの名前が広く知られる契機となった。

2.5 セカンド・アルバム 『A Road to Depression』 と活動休止 (2010年-2016年)

新体制となったバンドは、セカンド・アルバムの制作に着手した。プロデューサーには、In Flames (イン・フレイムス)の作品も手掛けたロベルト・ラギ (Roberto Laghi)が起用された。

『A Road to Depression』のリリースと音楽的進化

2010年10月15日、セカンド・アルバム 『A Road to Depression (ア・ロード・トゥ・デプレッション)』が、ドイツの大手メタルレーベル Nuclear Blast (ニュークリア・ブラスト) および日本のSony Music Japan (ソニー・ミュージック・ジャパン) からリリースされた。アルバムタイトル(「鬱への道」の意)は以前よりもダークなトーンを暗示していたが、音楽的には前作の路線を継承しつつ、ヨナ・サイロン (Jonna Sailon) の加入によりさらに洗練されたモダン・ロック・サウンドを展開した。「Generation Disgrace (ジェネレーション・ディスグレイス)」 や 「I'm a Monster (アイム・ア・モンスター)」といった楽曲は、ヘヴィなリフとエレクトロニックな要素、そしてキャッチーなサビが融合した、2010年代のオルタナティヴ・メタルの良作であった。

活動の停滞と終焉

しかし、このアルバムのリリース後、バンドの活動は徐々に沈静化していく。2012年10月2日、バンドはFacebook上で「我々は生きている。人生の視野を広げるために少し休憩しているだけだ (We are alive, guys. Just on a break to broaden life's views a little bit)」というメッセージを発信し、解散は否定したものの、実質的な活動休止状態に入ったことを示唆した。その後、目立った活動再開のニュースはなく、ファンを待たせ続ける状況が続いた。そして2016年、かつての創設者であるIn Flames (イン・フレイムス)のビョーン・イエロッテ (Björn Gelotte) がインタビューにおいて「プロジェクトは実質的に死んでいる (project is essentially dead)」と発言したことで、All Ends (オール・エンズ)の歴史に事実上の終止符が打たれたことが確認された。公式な「解散宣言」は出されていないものの、2025年現在に至るまで再結成や新作のリリースは行われていない。

3. Member Profiles: メンバー詳細と音楽的背景

All Ends (オール・エンズ)のサウンドを形成したのは、異なるバックグラウンドを持つメンバーたちの化学反応である。ここでは、各メンバーの経歴とバンド内での役割について詳述する。

3.1 最終ラインナップ (Final Lineup)

ティナ・カールスドッテル (Tinna Karlsdotter)
  • 担当: ボーカル (Vocals)
  • 在籍期間: 2003年-活動休止まで
  • 概要: バンドの創設時からのオリジナル・メンバーであり、All Ends (オール・エンズ)の「声」を象徴する存在。エマ・イエロッテ (Emma Gelotte) と共にフロントマンを務め、エマ脱退後はヨナ・サイロン (Jonna Sailon) とコンビを組んだ。彼女の声は中低域に厚みがあり、力強くエモーショナルな表現力に長けている。ソングライティングにも関与しており、バンドのアイデンティティの核であった。
ヨナ・サイロン (Jonna Sailon)
  • 担当: ボーカル (Vocals)
  • 在籍期間: 2009年-活動休止まで
  • 概要: エマ・イエロッテ (Emma Gelotte) の後任として加入。加入前からのソロキャリアもあり、よりポップで艶のある歌唱スタイルを持ち込んだ。『A Road to Depression』におけるサウンドの変化、特にメロディラインのモダン化に大きく貢献した。
ジョセフ・"ジョーイ"・スカンソス (Joseph "Joey" Skansås)
  • 担当: ドラムス (Drums)
  • 在籍期間: 2003年-活動休止まで
  • 概要: 創設メンバーの一人。バンドのリズム面を支え続けた大黒柱であり、度重なるメンバーチェンジの中でもバンドに留まり続けた。ドラムプレイだけでなく、アートワークのコンセプト作りやソングライティングにも関与するなど、クリエイティブ面でも重要な役割を果たした。
フレドリック・ヨハンソン (Fredrik Johansson)
  • 担当: ギター (Guitars)
  • 在籍期間: 2005年-活動休止まで
  • 概要: 元Dimension Zero (ディメンション・ゼロ)のギタリスト。Dimension ZeroはIn Flames (イン・フレイムス) のイェスパーが結成したよりアグレッシブなプロジェクトであり、フレドリックはそのリズムギターを担当していた。また、In Flamesの初期においてもサポートなどで関与しているイェーテボリ・シーンの重要人物である。All Ends (オール・エンズ)においては、ポップなメロディに対して攻撃的で切れ味鋭いリフを提供し、サウンドに「メタル」としての説得力を与えた。
ピーター・モードクリント (Peter Mårdklint)
  • 担当: ギター (Guitars)
  • 在籍期間: 2005年-活動休止まで
  • 概要: 愛称は"Texas" (テキサス)。Embraced (エンブレイスド) やTenebre (テネブレ)といったバンドでの活動を経て加入。フレドリックと共に鉄壁のツインギターチームを構成した。彼のプレイはメロディックであり、All Ends (オール・エンズ)の楽曲に叙情性を加えた。
アンダース・ヤンファルク (Anders Janfalk)
  • 担当: ベース (Bass)
  • 在籍期間: 2008年-活動休止まで
  • 概要: ミカエル・ホーカンソン (Michael Håkansson)の後任として加入。テクニカルなプレイスタイルを持ち、Emberstorm (エンバーストーム) などのプログレッシブなプロジェクトにも参加していた。彼の加入により、バンドのボトムエンドはより強固なものとなった。

3.2 旧メンバー (Past Members)

エマ・イエロッテ (Emma Gelotte)
  • 担当: ボーカル (Vocals)
  • 在籍期間: 2003年-2009年
  • 概要: In Flames (イン・フレイムス) のビョーン・イエロッテ (Björn Gelotte)の妹。初期All Ends (オール・エンズ)の顔であり、ティナとの絶妙なハーモニーはバンドの最大の武器であった。彼女の存在が、In Flames ファンをAll Endsへと誘導する大きな要因となっていた。
ミカエル・ホーカンソン (Michael Håkansson)
  • 担当: ベース (Bass)
  • 在籍期間: 2005年-2008年
  • 概要: 初期のベースラインを支えた。Evergrey (エヴァーグレイ) やEngel (エンゲル)での活動でも知られ、スウェーデンのメタルシーンにおける実力派プレイヤーの一人である。
ビョーン・イエロッテ (Björn Gelotte)
  • 担当: ギター (Guitars) ※初期デモのみ、以降は作曲・プロデュース
  • 概要: In Flames (イン・フレイムス)のギタリスト。バンドの発起人であり、メインソングライターの一人。彼のメロディセンスがAll Endsの楽曲の骨格を作った。
イェスパー・ストロムブラード (Jesper Strömblad)
  • 担当: ギター (Guitars) ※初期デモのみ、以降は作曲・プロデュース
  • 概要: In Flames (イン・フレイムス)の創設者。ビョーンと共にAll Ends (オール・エンズ)の音楽的基盤を作り上げた。後にアルコール問題などでIn Flamesを脱退することになるが、All Endsへの楽曲提供は彼のポップ・センスが遺憾なく発揮された場であった。

4. Discography: 作品詳細および分析

All Ends (オール・エンズ)のディスコグラフィは、EP1枚、フルアルバム2枚、および数枚のシングルで構成されている。以下にその詳細を記述する。特に日本盤(Japanese Edition) に関する情報は、コレクターや日本のファンにとって重要であるため、カタログ番号やボーナストラック情報を含めて詳細に記載する。

4.1 Studio Albums (スタジオ・アルバム)

1st Album: All Ends (オール・エンズ)
  • Release Date:
    • Sweden: 2007年11月7日
    • Europe: 2008年
    • Japan: 2008年2月20日
  • Label: GUN Records / Sony BMG / BMG Japan
  • Format: CD, Digital Download
  • Catalog No. (Japan): BVCP-21588 (BMG Japan)
  • Charts: Sweden #40 (approx)

概要: バンドのセルフタイトル・デビューアルバム。プロデューサーにはクリスチャン・ウルフ (Christian Wolff) らが関わっている。アルバム全体を通して、哀愁漂うメロディとモダンなヘヴィネスが貫かれており、「イェーテボリ・サウンドのポップ的解釈」として完成度が極めて高い。ジャケットアートワークは、メンバーの写真や退廃的なイメージを組み合わせたもので、バンドの「美と闇」の二面性を表現している。

楽曲分析: オープニングの 「Walk Away」 や 「Still Believe」は、強力なフックを持つラジオ・フレンドリーな楽曲であり、シングルとしても機能した。「Wasting Life」などのEPからの再録曲も、プロダクションが向上し、よりクリアでパワフルなサウンドになっている。後半の「Just A Friend」などは、よりエモーショナルなバラード的側面を見せる。

日本盤(BVCP-21588) トラックリスト: 日本盤は 「Enhanced CD (エンハンストCD)」仕様となっており、PCで再生可能なビデオコンテンツが含まれている場合がある。また、豪華なボーナストラックが追加されている。

Track No. Title (Katakana/Japanese)
Title (English)
Length Notes
1 スティル・ビリーヴ
Still Believe
3:01 Single
2 ウォーク・アウェイ
Walk Away
4:03 Single
3 ウェイスティング・ライフ
Wasting Life
3:17 EP Title Track
4 ファースト・タイム
First Time
2:46
5 リグレッツ
Regrets
2:59
6 I'm Sorry
アイム・ソーリー
2:41
7 プリティー・ワーズ
Pretty Words
3:34
8 スペンド・マイ・デイズ
Spend My Days
3:30
9 ジャスト・ア・フレンド
Just A Friend
3:51
10 クローズ・マイ・アイズ
Close My Eyes
2:57
11 ウィ・アー・スルー
We Are Through
3:05
12 レディ・トゥ・ゴー・バック
Ready To Go Back
2:36 Bonus Track
13 アローン
Alone
2:50 Bonus Track (From Wasting Life EP)
14 アム・アイ・インセイン
Am I Insane
3:43 Bonus Track (From Wasting Life EP)
15 ウェイスティング・ライフ (ビデオ)
Wasting Life (Video)
Enhanced CD Content

詳細分析: 日本盤には、EP『Wasting Life』にのみ収録されていた名曲 「Alone」や「Am I Insane」、さらにアルバム未収録曲 「Ready To Go Back」が追加されている。これにより、日本のファンはこの1枚で初期のスタジオ音源の大部分を網羅することができた。帯(Obi) には「イン・フレイムスの血脈を受け継ぐ・・・」 といったキャッチコピーが踊り、メタルファンの購買意欲を煽った。

2nd Album: A Road to Depression (ア・ロード・トゥ・デプレッション)
  • Release Date:
    • Europe: 2010年10月15日
    • Japan: 2010年10月19日 (approx)
  • Label: Nuclear Blast / Sony Music Japan
  • Format: CD, Digital Download
  • Catalog No. (Japan): SICP-2836 (Sony Music Japan)

概要: ボーカルがヨナ・サイロン (Jonna Sailon) に交代してからの唯一のフルアルバム。レーベルをドイツの巨大メタル・レーベル Nuclear Blast (ニュークリア・ブラスト) に移籍してのリリースとなり、よりメタルシーンへの訴求力が強まった。プロデューサーにロベルト・ラギ (Roberto Laghi)を迎え、サウンドプロダクションは前作以上に厚みと深みを増している。アルバムのテーマはタイトル (「鬱への道」の意)が示す通り、内面的な葛藤や痛みを扱ったものが多く、歌詞の世界観はシリアスである。曲調は依然としてキャッチーであり、エレクトロニックなシーケンス音 (シンセサイザー)の導入など、モダンなアレンジが際立つ。

日本盤(SICP-2836) トラックリスト:

Track No. Title (English) Title (Katakana/Japanese) Length Notes
1 Obvious オブヴィアス 3:58
2 Generation Disgrace ジェネレーション・ディスグレイス 2:47 Single. ヘヴィなリフが特徴。
3 I Know Who I Am アイ・ノウ・フー・アイ・アム 3:48
4 I'm A Monster アイム・ア・モンスター 4:21
5 Hear Me Now ヒア・ミー・ナウ 4:06 ビョーン・イエロッテがギターで参加。
6 Area 1 (Hope And Fear) エリア・ワン(ホープ・アンド・フィア) 2:38
7 Don't Be Scared ドント・ビー・スケアード 4:33
8 Nobody's Story ノーバディーズ・ストーリー 4:18 ピアノにマイク・ガーソン(Mike Garson)参加。
9 Stupid People ステューピッド・ピープル 3:06
10 Wretch レッチ 3:54
11 Road To Depression ロード・トゥ・デプレッション 6:25 6分超の大作。アルバムのクライマックス。
12 Blame ブレイム 3:24 Japan Bonus Track
13 Make My Day メイク・マイ・デイ 3:45 Japan Bonus Track

詳細分析: 日本盤には 「Blame」 と 「Make My Day」の2曲がボーナストラックとして収録されている。また、クレジットにはビョーン・イエロッテ (Björn Gelotte)が「Hear Me Now」 でギターを弾いていることや、デヴィッド・ボウイ (David Bowie) のバックバンドで知られるピアニスト、マイク・ガーソン (Mike Garson) が「Nobody's Story」に参加していることなどが記載されており、制作陣の豪華さが窺える。

4.2 Extended Plays (EPs)

Wasting Life (ウェイスティング・ライフ)
  • Release Date: 2007年5月11日
  • Label: GUN Records
  • Format: CD

トラックリスト:

  1. Wasting Life (3:19)
  2. Alone (2:51)
  3. Am I Insane (3:43)
  4. Close My Eyes (2:59)
  5. The Day Has Come (4:07)

解説: デビュー作。後に1stアルバムに再録される曲 (Wasting Life, Close My Eyes)と、このEP(および日本盤ボーナス)でしか聴けないバージョンや楽曲が混在している。「The Day Has Come」はアルバム通常盤には未収録の楽曲であり、コアなファンからの人気が高い。プロデュースはクリスチャン・ウルフとResetti兄弟によるもので、モダンでタイムレスなサウンドを目指して制作された。

4.3 Notable Singles (主なシングル)

All Ends (オール・エンズ)はいくつかのシングルをリリースしているが、特に「Apologize」の成功は特筆に値する。

  1. Wasting Life (2007) - デビューシングル。EPからのカット。
  2. Still Believe (2008) - アルバムからのリードトラック。ミュージックビデオも制作された。
  3. Walk Away (2008) - エモーショナルなバラード調の楽曲。
  4. Apologize (2008) - OneRepublic (ワンリパブリック)のカバー。
    • Format: CD Single, Enhanced CD
    • Tracklist (European Enhanced CD):
      1. Apologize (Timbaland presents OneRepublic) ※原曲
      2. Apologize (All Ends Version)
      3. The Way I Are (OneRepublic remix)
      4. Apologize (Video)

    分析: このシングルは変則的な構成でリリースされることが多く、OneRepublicのオリジナルバージョンと抱き合わせで販売されることもあった。これはGUN Recordsの販売戦略であり、原曲のヒットに乗じてAll Endsのバージョンをプロモーションする意図があったと思われる。

  5. What Do You Want (2009) - デジタルシングル等でリリース。
  6. Generation Disgrace (2010) - 2ndアルバムからの先行シングル。

4.4 Soundtracks & Compilations (サウンドトラック・コンピレーション)

Sonic and the Black Knight (ソニックと暗黒の騎士) Original Soundtrack
  • Song: With Me (ウィズ・ミー)
  • Artist Credit: Emma Gelotte & Tinna Karlsdotter from All Ends / SEGA / Jun Senoue
  • Album Title: Sonic and the Black Knight: Face to Faith (Vocal Trax) / Sonic and the Black Knight: True Blue: The Best of Sonic the Hedgehog等
  • Context: ゲーム本編のクライマックス、Dark Queen (ダーク・クイーン)とのボスバトルおよびエンディング付近で使用される。

楽曲分析: ソニックシリーズの音楽監督である瀬上純 (Jun Senoue) による作曲。彼の得意とするアメリカン・ハードロック・スタイルのギターリフと、All Ends (オール・エンズ)の女性ツインボーカルの力強さが融合し、シリーズ屈指の人気ボーカル曲となっている。歌詞は「絆」や「共闘」をテーマにしており、ゲームのストーリーと深くリンクしている。この楽曲はAll Endsのオリジナルアルバムには収録されていないため、ゲームのサウンドトラックが入手の主な手段となる。

5. 考察:All Endsの遺産と現代メタルシーンへの影響

5.1 「ポップ・メタル」の先駆者として

All Ends (オール・エンズ)が登場した2000年代中盤、メタルシーンには「ニュー・メタル (Nu-Metal)」のブームが去り、よりメロディアスでコマーシャルな「メタルコア (Metalcore)」や「エモ (Emo)」が台頭していた。その中で、In Flames (イン・フレイムス)のDNAを受け継ぎつつ、アヴリル・ラヴィーン (Avril Lavigne) やエヴァネッセンス (Evanescence) のようなポピュラーな魅力を兼ね備えたAll Ends (オール・エンズ)の試みは、非常に野心的かつ先駆的であった。

ALL ENDSのスタイル――ヘヴィなダウンチューニングされたギターリフに、キャッチーな女性ポップボーカルを乗せ、シンセサイザーで装飾する――は、後のAmaranthe (アマランス)などのバンドに直接的な影響を与えたとは断言できないまでも、同時代のスウェーデンのシーンにおいて「ポピュラリティとヘヴィネスの融合」 という土壌を耕したことは間違いない。特にAmarantheのオロフ・モルク (Olof Mörck) もイェーテボリ周辺の出身であり、シーンの空気感を共有していたことは想像に難くない。All Endsは、いわば「In FlamesからAmarantheへと至るミッシングリンク」の一つとして位置づけることができる。

5.2 「In Flamesのサイドプロジェクト」という呪縛と恩恵

All Ends (オール・エンズ)は、常に「In Flames (イン・フレイムス)のギタリストによるプロジェクト」という枕詞と共に語られた。これは初期の注目を集める上で絶大なプロモーション効果を発揮したが、同時に「メタルバンドとしての真正性 (Authenticity)」を問われる要因ともなった。ALL ENDSの音楽が極めてキャッチーであり、ルックスも洗練されていたがゆえに、硬派なメロディック・デスメタルファンからは「商業的すぎる」 「In Flamesのポップ化の象徴」として敬遠されることもあった。しかし、ALL ENDSが残した楽曲の質の高さは、そうした偏見を乗り越える力を持っていた。特にビョーンとイェスパーのソングライティング能力が、デスメタルというジャンルに縛られない普遍的なメロディセンスを持っていることを証明した点で、All Ends (オール・エンズ) の存在意義は大きい。

5.3 日本市場との親和性と受容

日本において、北欧メタル(Nordic Metal) は特別な人気を誇るジャンルである。In Flames (イン・フレイムス)、Arch Enemy (アーチ・エネミー)、Soilwork (ソイルワーク)といったバンドが絶大な支持を得ている土壌があり、All Ends (オール・エンズ) もその恩恵を最大限に受けた。日本盤における豪華なボーナストラックの追加、帯 (Obi) による丁寧な解説、そしてソニックシリーズへの楽曲提供は、ALL ENDSが日本市場を重要視していた、あるいは日本のレーベル (Sony Music Japan / BMG Japan) がALL ENDSの日本での成功を確信していた証左である。実際に、日本盤CDは中古市場でも一定の流通があり、コアなファンによって愛聴され続けている。

6. Conclusion

All Ends (オール・エンズ)は、2枚のフルアルバムと1枚のEPという決して多くない作品数ながら、2000年代後半のスウェーデン・メタルシーンに鮮烈な印象を残した。ALL ENDSは、イェーテボリ・サウンドという偉大な遺産を継承しながらも、女性ツインボーカルという独自の武器で「ヘヴィ・メタルとポップ・ミュージックの境界線」を果敢に攻めたバンドであった。現在、バンドは活動を停止しており、ビョーン・イエロッテの言葉通り 「プロジェクトは終了した」と見るのが妥当である。しかし、その楽曲はストリーミングサービスやゲーム音楽を通じて新たなリスナーに発見され続けている。ALL ENDSが提示した「メロディアスで、ヘヴィで、どこか切ない」 サウンドは、イェーテボリ・サウンドの進化系の一つとして、そしてスウェーデン産ポップ・メタルの良質なサンプルとして、今後も記憶されるべき遺産である。

Albums

A Road to Depression CD
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女性ツイン・ヴォーカルと重いギターで、ALL ENDSのダークなメロディを深めた一作。

All Ends CD
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男女ヴォーカルの対比と重厚なギターで、ALL ENDSがメロディック・メタルに独自の陰影を与えたデビュー作。