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ARTIST
Thin Lizzy
LINER NOTES
LANGUAGE
『Thin Lizzy』は、フィル・ライノット、エリック・ベル、ブライアン・ダウニーによる三人が、後年のツイン・ギター期以前のデビュー作である。ここで鳴るのは完成された定型ではなく、ブルース、フォーク、サイケデリックな揺らぎ、アイルランドの空気を思わせる旋律を自由に行き来する音楽だ。ライノットのベースは低い土台を作るだけでなく、歌と同じように曲の表情を動かす。ベルのギターは鋭く切り込む場面と、柔らかく余韻を残す場面を使い分け、ダウニーのドラムは三人の会話を急がせず、曲ごとの呼吸を整える。
“The Friendly Ranger at Clontarf Castle”の物語的な始まり、“Honesty Is No Excuse”の切ない歌、“Diddy Levine”の長く揺れる展開、“Ray-Gun”の尖った感触、“Look What the Wind Blew In”の軽やかな推進力は、アルバムが一方向のロックではないことを伝える。“Eire”や“Return of the Farmer’s Son”に漂う素朴な響きも、後のTHIN LIZZYの都会的な強さとは異なる魅力だ。曲には粗さや迷いも残るが、それは未熟さを隠さないという意味で貴重である。ライノットが歌の中で人物や場所の気配を描き、三人がその周りに色を置いていく方法はすでに始まっている。大成前の記録でありながら、バンド固有の物語性と温度をはっきり聴かせる原点だ。
TRACK LIST
- 1.The Friendly Ranger at Clontarf Castle
- 2.Honesty Is No Excuse
- 3.Diddy Levine
- 4.Ray-Gun
- 5.Look What the Wind Blew In
- 6.Eire
- 7.Return of the Farmer's Son
- 8.Clifton Grange Hotel
- 9.Saga of the Ageing Orphan
- 10.Remembering (Part One)