SAXON
NWOBHMを率いたイギリスのヘヴィ・メタル・バンド、SAXON(サクソン)のバイオグラフィとディスコグラフィ。1979年のデビュー作から2027年の『Gods of Thunder』まで、全27作品を収録曲・CD情報・ライナーノーツつきで作品ごとに掲載。METAL BOOST。
Biography
SAXON
バイオグラフィー
SAXON(サクソン)は1975年11月、イングランド・ヨークシャー州バーンズリーで結成されたヘヴィ・メタル・バンドである。ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)を率いた一組として知られ、1980年代だけでイギリスのアルバム・チャート40位以内に8作、うち4作を10位以内、2作を5位以内に送り込んだ。結成から半世紀を経た現在もビフ・バイフォードを中心に活動を続けている。
SON OF A BITCH——バーンズリー(1975〜1978年)
バンドはバーンズリーでSON OF A BITCHの名のもとに集まった。ヴォーカルのビフ・バイフォード、ギターのグラハム・オリヴァーとポール・クイン、ベースのスティーヴ・ドーソンという4人は、どの資料も一致して挙げている。結成の年とドラマーについては出典が分かれており、英語版Wikipediaは1975年11月・ジョン・ウォーカー、バンド自身の公式バイオグラフィは1977年・ピート・ギルとしている。ここでは片方を採らず、両方を記しておく。
バンド名がSAXONに改められたのは、フランスのカレラ・レコードと契約した時期のことである。レーベルは、それまでの名前ではラジオで扱いにくいと判断した。時期についても出典は分かれ、Wikipediaは1978年7月、公式バイオグラフィは1979年としている。
NWOBHMの先頭へ(1979〜1981年)
1979年5月、カレラからデビュー作『Saxon』が発売される。翌1980年4月3日の『Wheels of Steel』はイギリスで5位に達し、シングル「747 (Strangers in the Night)」と「Wheels of Steel」を生んだ。同じ年の11月7日には『Strong Arm of the Law』が続き、イギリス11位。年に2枚を出すこの速度が、NWOBHMという波の先頭にバンドを押し出した。
1981年9月25日の『Denim and Leather』はヨーロッパ各国でゴールドを獲得する。表題曲は当時の聴き手の装いをそのまま歌にしたもので、「Princess of the Night」「And the Bands Played On」とともに、以後のステージから外れない曲になった。ドラムのピート・ギルはこの年、手の負傷でバンドを離れ、ナイジェル・グロックラーが加わっている。
1981年の〈Strong Arm of the Law〉ツアーには、ハリー・シアラーが観察者として同行した。彼はこのときの見聞を、1984年の映画『This Is Spinal Tap』のデレク・スモールズという人物に反映させている。
カレラからEMIへ(1983〜1988年)
1983年3月の『Power & the Glory』はイギリス15位。プロデュースはジェフ・グリクスマンで、録音はロサンゼルスのレコード・プラント、バンドにとって初めてのアメリカ録音だった。1984年1月30日の『Crusader』はカレラでの最後のアルバムで、SWEETの「Set Me Free」を取り上げている。
1985年からはEMIに移り、9月2日に『Innocence Is No Excuse』を発売。プロデュースはシンプル・マインズやU2を手がけたサイモン・ハンフリーで、バンドの音は磨き上げられ、アメリカ市場を意識したものになった。スティーヴ・ドーソンが参加した最後の作品でもある。1986年9月の『Rock the Nations』にはエルトン・ジョンがピアノで客演した。
1988年3月の『Destiny』はEMIでの最後のアルバムとなり、これを最後にバンドはレーベルを離れることになる。ドラムはナイジェル・ダラム、ベースはニブス・カーターで、カーターはこれ以後ずっとバンドのベーシストである。
ヴァージン時代とメンバーの入れ替わり(1991〜1997年)
1991年、ヴァージン系のCBHから『Solid Ball of Rock』が出る。ナイジェル・グロックラーが復帰し、ドイツで31位に入った。1992年の『Forever Free』は、結成時からのギタリスト、グラハム・オリヴァーが参加した最後のフル・アルバムである。
1995年9月の『Dogs of War』を最後にオリヴァーはバンドを去る。1980年のライヴ音源をバンドの許可なく売りに出す動きを主導したためだった。空いたギターの席にはダグ・スカラットが座り、1997年5月の『Unleash the Beast』が彼を迎えた最初の作品になる。この席は以後変わっていない。
バンド名をめぐる争い(1999〜2003年)
1999年、グラハム・オリヴァーとスティーヴ・ドーソンはSAXONの名を商標として登録し、その独占的な権利を主張した。2003年、高等法院はビフ・バイフォードと現役のメンバーの側を認め、名前は彼らのものであると判断している。オリヴァーとドーソンはその後、Oliver/Dawson Saxonを名乗って活動した。
SPV/スチームハマーからUDRへ(1999〜2015年)
1999年の『Metalhead』からバンドはSPV/スチームハマーに移る。ドラムはフリッツ・ランドウ。2001年の『Killing Ground』はドイツで26位、2004年9月20日の『Lionheart』はイェルク・ミヒャエルがドラムを叩いた唯一のスタジオ作となった。
2005年にナイジェル・グロックラーが再び戻り、2007年の『The Inner Sanctum』から現在まで席を守っている。2009年1月9日の『Into the Labyrinth』はイギリスのロック/メタル・チャートで6位、ドイツで23位。2011年6月3日の『Call to Arms』からはUDRに移り、2013年3月の『Sacrifice』ではアンディ・スニープが初めてプロデュースを手がけた。2015年10月16日の『Battering Ram』はイギリスのロック/メタル・チャート3位である。
シルヴァー・ライニング・ミュージック(2018年〜)
2018年2月2日の『Thunderbolt』からはシルヴァー・ライニング・ミュージックに移り、ドイツで5位に入った。収録曲「They Played Rock and Roll」は、2015年に亡くなったレミー・キルミスターを悼んでMOTORHEADに宛てた曲である。
2021年3月19日には初のカヴァー集『Inspirations』、2023年3月24日にはその続編『More Inspirations』を発表。その間の2022年2月4日に出た『Carpe Diem』はイギリスで17位に達し、1983年の『Power & the Glory』以来もっとも高い順位となった。
2022年からはDIAMOND HEADのブライアン・タトラーがギターに加わっている。ポール・クインは2023年3月にツアーからは退いたが、バンドの一員であることに変わりはない。2024年1月19日の『Hell, Fire and Damnation』に続く25作目は、2027年1月22日発売の『Gods of Thunder』である。
現在のメンバー
バンド自身の公式バイオグラフィが現行メンバーとして挙げているのは次の5人である。ポール・クインは1975年からのギタリストで、2023年3月にツアーからは退いた。英語版Wikipediaは彼を現メンバーに数え、公式サイトの一覧には名前が無い。ここでは公式サイトの記載に従い、クインについては本文でこう記しておく。
| メンバー | 担当 | 在籍 |
|---|---|---|
| ビフ・バイフォード | リード・ヴォーカル | 1975年〜 |
| ナイジェル・グロックラー | ドラム | 1981〜1999年、2005年〜 |
| ニブス・カーター | ベース | 1988年〜 |
| ダグ・スカラット | ギター | 1996年〜 |
| ブライアン・タトラー | ギター | 2022年〜(DIAMOND HEAD) |
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバムは25作、これにカヴァー集2作を加えた27作が、このサイトに登録されている。
| # | アルバム | 発売 | レーベル | 曲数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Saxon | 1979 | カレラ | 8 |
| 2 | Strong Arm of the Law | 1980 | カレラ | 8 |
| 3 | Wheels of Steel | 1980年4月3日 | カレラ | 9 |
| 4 | Denim and Leather | 1981年9月25日 | カレラ | 9 |
| 5 | Power & the Glory | 1983 | カレラ | 8 |
| 6 | Crusader | 1984年1月30日 | カレラ | 10 |
| 7 | Innocence Is No Excuse | 1985 | EMI | 10 |
| 8 | Rock the Nations | 1986 | EMI | 9 |
| 9 | Destiny | 1988 | EMI | 10 |
| 10 | Solid Ball of Rock | 1991 | ヴァージン | 11 |
| 11 | Forever Free | 1992 | ヴァージン | 10 |
| 12 | Dogs of War | 1995 | ヴァージン | 10 |
| 13 | Unleash the Beast | 1997 | ヴァージン | 11 |
| 14 | Metalhead | 1999 | SPV/スチームハマー | 11 |
| 15 | Killing Ground | 2001 | SPV/スチームハマー | 11 |
| 16 | Lionheart | 2004年9月20日 | SPV/スチームハマー | 11 |
| 17 | The Inner Sanctum | 2007 | SPV/スチームハマー | 10 |
| 18 | Into the Labyrinth | 2009年1月9日 | SPV/スチームハマー | 13 |
| 19 | Call to Arms | 2011年6月3日 | UDR | 11 |
| 20 | Sacrifice | 2013 | UDR | 10 |
| 21 | Battering Ram | 2015 | UDR | 11 |
| 22 | Thunderbolt | 2018年2月2日 | シルヴァー・ライニング・ミュージック | 11 |
| 23 | Inspirations | 2021年3月19日 | シルヴァー・ライニング・ミュージック | 11 |
| 24 | Carpe Diem | 2022年2月4日 | シルヴァー・ライニング・ミュージック | 10 |
| 25 | More Inspirations | 2023年3月24日 | シルヴァー・ライニング・ミュージック | 10 |
| 26 | Hell, Fire and Damnation | 2024年1月19日 | シルヴァー・ライニング・ミュージック | 10 |
| 27 | Gods of Thunder | 2027年1月22日 | シルヴァー・ライニング・ミュージック | 10 |
日本公演
直近の来日は2025年4月の3公演で、〈Hell, Fire And Damnation ~天誅のヘル・ファイア~ JAPAN TOUR 2025〉と題された。25日に大阪のYogibo META VALLEY、26日に代官山UNIT、27日に渋谷ストリームホール。いずれも18時開場、19時開演で、チケットは前売15,000円、当日15,500円(ドリンク代別)だった。もともとは2024年11月の予定で、BURRN! ONLINEが2024年11月10日に振替日程を伝えている。
出典について
ここに記した事実は、英語版Wikipediaのバンド記事と各アルバムの記事およびディスコグラフィ表、発売日・レーベル・曲順についてはMusicBrainzのリリース情報、アルバムの同定についてはSpotifyの埋め込み情報、そして2025年の日本公演についてはUNIT(unit-tokyo.com)の公演ページとBURRN! ONLINEの記事、今後の日程についてはSongkickに拠っている。いずれも2026年9月28日に閲覧した。
Trivia
SAXONの直近の来日は2025年4月で、25日に大阪のYogibo META VALLEY、26日に代官山UNIT、27日に渋谷ストリームホールの3公演だった。代官山UNITの公演ページによれば、開場18時・開演19時、チケットは前売15,000円・当日15,500円で、いずれもドリンク代別である。ツアーの名義は出典によって異なり、会場側は〈Hell, Fire And Damnation ~天誅のヘル・ファイア~ JAPAN TOUR 2025〉、BURRN! ONLINEは〈Hell, Fire And Steel Tour JAPAN 2025〉と記している。
2025年4月の来日公演は、もともと2024年11月に予定されていたものの振替である。BURRN! ONLINEは2024年11月10日に、あらためて決まった日程を伝えている。
ナイジェル・グロックラーがSAXONに加わったのは、『Denim and Leather』の成功を受けた長期ツアーに出ようとしていた矢先のことだった。ドラムのピート・ギルが手を負傷して離脱し、代役として呼ばれたグロックラーは、TOYAHにいた人物である。公式バイオグラフィによれば、彼はセットの全曲を1日半で覚えなければならなかった。そのまま今日までバンドに留まっている。
『Power & the Glory』のジャケットを手がけたのは、映画監督のリドリー・スコットである。公式バイオグラフィはこの作品を、その時点までで世界的にもっとも売れたアルバムだと記している。
1980年8月16日、SAXONは第1回モンスターズ・オブ・ロックに出演した。公式バイオグラフィによれば、その反応の良さは翌年の「And the Bands Played On」という曲になっている。この日の演奏は録音されていたが、正式に発表されたのは2000年になってからだった。バンドは1982年にも同フェスに出演し、二度出た最初のバンドになった。
『Strong Arm of the Law』からはシングルが2枚切られた。表題曲と「Dallas 1PM」で、後者はアメリカ大統領ジョン・F・ケネディの暗殺を扱った曲である。
『Rock the Nations』でベースを弾いているのはビフ・バイフォードである。前作のあとのワールド・ツアーを終えてスティーヴ・ドーソンがバンドを離れ、8作目にあたるこの録音では、バイフォード自身がベース・パートを担当した。同じ作品にはエルトン・ジョンがピアノで2曲に客演している。
SAXONは1980年代だけでイギリスのアルバム・チャート40位以内に8作を送り込み、うち4作が10位以内、2作が5位以内に入った。公式バイオグラフィは、世界での総売上を1,300万枚以上としている。
News
SAXON、25作目『Gods Of Thunder』を2027年1月22日に発売 タイトル曲のミュージック・ビデオを公開
Silver Lining Musicから2027年1月22日発売で全10曲。プロデュースはBiff Byford、ミックスはAndy Sneapが担当した。
MVを再生Current Members / 現メンバー
公式サイトで確認した現行ラインナップです。2026-09-28時点。
Albums
SAXONの24作目。2024年1月19日発売。DIAMOND HEADのブライアン・タトラーが2本目のギターを弾き、冒頭の布告をブライアン・ブレッスドが読んでいる。
SAXON2枚目のカヴァー集。2023年3月24日発売。ANIMALS、ALICE COOPER、WHO、RAINBOW、CREAMなど10組の曲を演っている。
SAXONの22作目。2018年2月2日発売。「They Played Rock and Roll」はMOTORHEADに宛てた曲で、ドイツ5位、イギリスのロック/メタル・チャート2位。
SAXONの18作目。2009年1月9日発売。イギリスのロック/メタル・チャート6位、ドイツ23位。「Coming Home」はボトルネックで演り直した版である。