LACUNA COIL TRIVIA
Trivia
LACUNA COILは、最初からこの名前だったわけではない。バンドが2001年に公式サイトで公開していた年表によれば、1996年5月、彼らはETHEREALの名で2曲入りのデモを録音し、ヨーロッパ各地のレーベルに送った。Century Mediaとの契約が決まったが、ETHEREALという名前はすでにギリシャのバンドのものだったため、LACUNA COILに改めたのである。デビューEP『Lacuna Coil』は1997年10月、ドイツのハーゲンにあるWoodhouse Studioで、ヴァルデマー・ソリシュタのプロデュースにより録音された。
LACUNA COILが初めて人前で演奏したのは、1997年12月、レーベル・メイトのMOONSPELLのサポートとして回ったヨーロッパ・ツアーだった。バンド自身の年表は、不安と舞台への恐れ、高ぶる感情が重なって、ツアーの途中でバンドが分裂してしまったと包み隠さず書いている。急場をしのげたのは、KREATORから来た1人がドラムを、TIAMATから来た1人がギターを引き受けてくれたからだった。1998年1月にギターのクリスティアーノ・ミリオーレとドラムのクリスティアーノ・モッツァティが加わり、2月にはリスボンのコロシアムでMOONSPELLの前座として4000人の前に立った。それほど大きな観客を前にしたのは初めてだったという。同じ年の8月、初めて出たフェスティヴァルがWacken Open Airで、メイン・ステージでフェスティヴァルの幕を開けている。
1999年5月、LACUNA COILはMY INSANITY、GRIP INC.、SAMAELと組んだ「Into the Darkness」ツアーを回り、そのままGRIP INC.のサポートとして東欧へ向かった。バンドの年表は、友人でありプロデューサーでもあるヴァルデマー・ソリシュタや、憧れのデイヴ・ロンバードと同じツアーで演奏できたことを喜びとともに記している。この道中で初出演したDynamo Open Airでは、満員のテントを2万人近い観客が埋め、最前列のファンがイタリア国旗を掲げた。6月には地元イタリアのGods of Metalに出演し、METALLICAやMONSTER MAGNETと同じフェスティヴァルの舞台で、2万5000人を超える観衆を前に演奏した。
EP『Halflife』は2000年1月、リグーリアの海辺の町ヴェンティミーリアにあるDamage Inc. Studiosで、ヴァルデマー・ソリシュタとともに録音された。5曲入りのこの作品で、バンドは初めてデジタルの手法を取り入れ、初めてイタリア語の歌詞を書き、初めてカヴァー曲にも取り組んだ。発売は2000年3月である。収録曲の「Senzafine」は、同じ年の10月にWoodhouse Studioで録音された『Unleashed Memories』にも、9曲の新曲と並んで別のヴァージョンで収められた。
Billboard 200でLACUNA COILが記録した最高位は、2012年2月11日付で15位に入った『Dark Adrenaline』である。2009年の『Shallow Life』の16位がこれに次ぐ。最も長くチャートにとどまったのは『Karmacode』で、発売第1週にアメリカで3万4000枚弱を売って2006年4月22日付で28位に初登場し、9週間ランクインした。その後も『Broken Crown Halo』が27位、『Delirium』が33位、『Black Anima』が87位を記録している。
『Sleepless Empire』には2人のゲスト・シンガーが参加している。「Hosting the Shadow」で歌うLAMB OF GODのランディ・ブライについて、アンドレア・フェローは、2004年のOzzfestで同じステージに出たのをきっかけに友情が始まり、その後も数えきれないツアーやフェスで一緒になって、今では家族のような存在だと話す。共演は自然な流れであると同時に、友人であるだけでなくファンでもある自分たちにとって大きな光栄だったという。「In The Mean Time」に招いたNEW YEARS DAYのアッシュ・コステロについては、きれいすぎず、シンフォニックでもなく、火のある「ロック」の声を探していて、彼女の声がまさにそれだったとフェローは説明している。
『Sleepless Empire』のジャケットを描いたのは、ナポリのイラストレーターRoberto Todericoである。クリスティーナ・スカビアはコミックのコンヴェンションで彼と出会い、すべてが手描きの作品に惹かれたという。スカビアは、技術そのものに反対しているわけではないが、AIが何か新しいものを生み出しているかのように言われることには同意できず、技術を人の内側から生まれる創造と取り違えることに異を唱えている。手で描かれたジャケットを選んだのは、その思いの表れでもある。数量限定のデラックスCDボックスには占いのゲームが仕込まれていて、バンドはファンが見つけられるようにそれをブックレットの中に隠した。Century Mediaの商品説明は、これを象徴的なサイコロの占いと呼んでいる。
2002年の『Comalies』は、時間をかけて火がついたアルバムである。2004年7月にはアメリカのSoundScanで10万枚を超え、Century Mediaの全世界での売上記録を塗り替えて、TIAMATの『Wildhoney』やICED EARTHの『Something Wicked This Way Comes』を上回った。発売から2年近くたった2004年8月7日付のBillboard 200に初めて登場し、8月28日付で最高178位を記録して、4週にわたってチャートに入っている。2006年4月の時点で、アメリカでの売上は23万枚を超えていた。
LACUNA COILをアメリカで知らしめた「Heaven's a Lie」は、ボストンの1局から広がった。クリスティーナ・スカビアの回想では、今はもうないラジオ局WAAFがこの曲をかけ始めると、ほかの局も次々に後を追い、その反響を受けてMTV2からビデオを求められた。こうしてアメリカ向けに作ったビデオが、のちにヨーロッパでも流れるようになったという。2004年夏のレーベルの発表によれば、この曲はR&RのActive RockチャートでTop 50入りし、全米で100局近い商業局がかけていた。ビデオは音楽チャンネルFuseの視聴者投票番組「Oven Fresh」で1位となり、ブリトニー・スピアーズ、P!NK、MAROON 5を抑えている。
「Heaven's a Lie」に続いてシングルとなった「Swamped」は、MTV2の「Headbanger's Ball」で世界初公開され、そのときバンドは生のアコースティック演奏も放送で披露した。2004年のレーベルの発表によれば、番組が前年に再開されてから、生のアコースティック演奏が放送されたのはこれが初めてだった。この曲は映画『Resident Evil: Apocalypse』のサウンドトラックにも選ばれている。クリスティーナ・スカビアは、映画そのものではないにせよ、自分たちの曲が映画に関わったのはこれが初めてで、SLIPKNOTのような大物と並べたことは、まだ新しいイタリアのバンドにとって本当にうれしい出来事だったと振り返る。「Swamped」は2004年のゲーム『Vampire: The Masquerade – Bloodlines』にも使われ、『Rock Band』シリーズのダウンロード曲にもなった。
LACUNA COILはOzzfestに2度出ている。2004年は第2ステージで、クリスティーナ・スカビアは当時、Ozzfestに出る最初のイタリアのバンドになれてうれしいと語っていた。2006年にはメイン・ステージに格上げされている。アンドレア・フェローによれば、2004年のヘッドライナーはBLACK SABBATH、2006年は自身のバンドを率いたオジー・オズボーンで、2006年はひと夏の間、毎晩その演奏を観ることができたという。フェローはオズボーンを「our godfather」と呼び、イタリアのバンドに北米の市場へ食い込む特別な機会をくれた人だったと振り返っている。スカビアも2025年の取材で、最初のOzzfestがアメリカでの人気に火をつけたと話している。
2004年のOzzfestでヘッドライナーを務めたBLACK SABBATHとは、ケータリングで一緒に過ごすうちに打ち解け、LACUNA COILはドラムのビル・ワードと大の仲良しになった。アンドレア・フェローによれば、ワードはカリフォルニアの大学ラジオで番組を持っていて、そこで彼らの曲をかけており、いつも流しているよと声をかけてくれたという。ツアー中にバンドがPearl Drumsとエンドース契約を結ぶと、ワードはツアー・バスのトレーラーまでやって来て、バンドのドラマーと一緒に新しいキットを組み、ヘッドや配置を試してくれた。フェローは、あのビル・ワードがすぐ隣でドラムの話をしている光景を、現実とは思えない瞬間だったと振り返っている。
『Karmacode』に収めたDEPECHE MODEの「Enjoy the Silence」のカヴァーは、クリスティーナ・スカビアの発案だった。DEPECHE MODEが大好きなスカビアが狙ったのは、原曲を知らない人が聴けばLACUNA COILの曲だと思うような仕上がりだったという。スカビアによれば、DEPECHE MODE本人たちもこのカヴァーを気に入り、ミュージック・ビデオを作ることまで許してくれた。カヴァー曲の録音は作者をクレジットすれば誰にでもできるが、公式のビデオは原曲のバンドの許しがなければ作れない。スカビアは、これはあまり知られていない話だと語っている。
『Karmacode』からの最初のシングル「Our Truth」は、アルバムより先に、映画『Underworld: Evolution』のサウンドトラックで世界に初めて披露された。同じサウンドトラックにはPUSCIFER、LINKIN PARKのチェスター・ベニントン、SLIPKNOTらが名を連ねている。ミュージック・ビデオはロサンゼルスで撮影された。クリスティーナ・スカビアの記憶では、日が暮れてから丘の上に登っての撮影で、周りではオオカミの声が聞こえて少し怖く、メイクと衣装の変更に延々と時間がかかったうえ、とにかく寒かったという。
2009年の『Shallow Life』は、うわべだけの暮らしを笑い飛ばすつもりで作ったアルバムだった。クリスティーナ・スカビアは、ファッションの都ミラノに暮らしていると、メディアに出るものは何もかも完璧に輝いていなければならず、勝ち組になるにはぴかぴかの車が要るかのようで、それがアルバム全体のきっかけになったと説明している。ところが皮肉は伝わらず、イメージを変えた、魂を売った、ポップ・バンドのようだと批判されたという。初めて違うプロデューサー、ドン・ギルモアと組んだ作品でもある。リード・シングル「Spellbound」のビデオは、ミラノにあるDolce & Gabbanaのレストラン「Gold」で撮影された。鏡と金で埋め尽くされた店は無償で使わせてもらえたといい、スカビアはまさにアルバムの描く世界そのものだったと話す。監督は、その後も多くのビデオを手がけるRoberto Cinardi(Saku)だった。
LACUNA COILには、亡くした仲間に捧げた曲が2つある。『Dark Adrenaline』の「My Spirit」は、TYPE O NEGATIVEのピーター・スティールが亡くなったその夜に書かれた。メンバーはそろってTYPE O NEGATIVEの大ファンで、一緒にツアーを回ったこともあり、クリスティーナ・スカビアは、愛した音楽の向こうにいたのも素晴らしい人たちだったと振り返る。『Broken Crown Halo』の「One Cold Day」は、1995年から1998年までバンドにいたギタリストのクラウディオ・レオに捧げられた。レオは2013年1月に亡くなっている。アンドレア・フェローによれば、レオとは16、17歳の頃から同じメタル・バーに入り浸った仲で、歌詞には雨のような自然の力のイメージを込め、生と死はどちらも同じゲームの一部だという思いを託したという。
ギターのクリスティアーノ・ミリオーレとドラムのクリスティアーノ・モッツァティの脱退が発表されたのは、2014年2月14日、バレンタイン・デーだった。クリスティーナ・スカビアは、わざわざこの日を選んだのは、決断の根っこにまだたくさんの愛があるからだと説明し、けんかもエゴもない穏やかな別れなので、Blabbermouthに怒りの記事が載ることはないと冗談を添えた。メッセージは「NOTHING STANDS IN OUR WAY」の一言で締めくくられている。直後の「The Hottest Chicks in Hard Rock Tour」は5人編成で回り、ギターはマルコ・ビアッツィが1人で受け持ち、ドラムには2012年と2013年のツアーの大半でも叩いたライアン・ブレイク・フォールデンが座った。発表から30分で25人からオーディションを受けたいというメッセージが届いたが、オーディションはしないとスカビアは話している。
『Broken Crown Halo』のリード・シングル「Nothing Stands in Our Way」を、クリスティーナ・スカビアはバンドのアンセムと呼び、ツアーには必ず持っていく曲だと話す。中でも大切なのは「we fear nothing」という一節だという。アンドレア・フェローによれば、曲はヨーロッパの経済が崩れていくニュースが続き、職を失う人が相次いでいた頃に書かれた。ミラノで始めた頃、イタリアのロックやメタルのバンドが国外で成功した前例はなかったとフェローは振り返る。2017年8月に発表されたバンド初の本も、同じ『Nothing Stands in Our Way』を題名にしている。メンバー自身の言葉で20年の歩みを語り、貴重な写真で埋めた公式の歴史本で、通常版と数量限定のSignature版が用意され、早めに登録したファンには本に名前が載るチャンスもあった。のちにロンドンのRocket 88から出たペーパーバック版は、『Black Anima』の制作やパンデミックの日々、『Live From The Apocalypse』まで話を広げている。
2016年の『Delirium』は、架空の療養所を舞台にしたアルバムである。各曲は入院患者それぞれの視点で語られる物語になっていて、ステージでもメンバーは患者を思わせる衣装をまとった。クリスティーナ・スカビアは制作にあたり、すでに閉鎖された療養所や精神科病院を数多く訪ねたという。冒頭の「The House of Shame」は、幽霊が出ると噂されたアメリカの実在の療養所の話から生まれ、敷地をさまよう霊の立場で歌われる。アルバムの題名は、「delirium」という言葉を何度も繰り返すタイトル曲から来ているとアンドレア・フェローは明かしている。
ベースでメイン・ソングライターのマルコ・コッティ・ゼラッティ(Maki)は、LACUNA COILの音だけでなく見た目も形づくっている。2015年12月から2016年2月にかけてミラノのBRX Studioで録音された『Delirium』では自らプロデュースを担い、ジャケットのアートワークも、イタリアの写真家であるAlessandro Olgiatiが撮った雰囲気のある写真をもとに作り上げた。2016年12月に出た曲「Naughty Christmas」のジャケットとロゴの文字もコッティ・ゼラッティの手によるものである。2025年の『Sleepless Empire』でも制作はバンドの内側で行われ、コッティ・ゼラッティが舵を取ったうえ、ベースに加えてギターとシンセサイザーも弾いている。
「Blood, Tears, Dust」と「You Love Me 'Cause I Hate You」の2本のビデオは、どちらもCosimo Alemàが監督と編集を手がけ、制作会社Borotalcoが作った。2017年3月に「Blood, Tears, Dust」が公開されたとき、クリスティーナ・スカビアは、メンバーが本当の意味で演技をしたのはこれが初めてで、このビデオはもっと大きな計画の一部にすぎないと予告していた。続く「You Love Me 'Cause I Hate You」では、スカビアが若い女性の失踪と殺人を追う2人の捜査官の1人を演じ、相棒を俳優のAndrew Harwoodが務め、ほかのメンバーもさまざまな役で姿を見せる。アンドレア・フェローは、ドラマ『True Detective』からの影響に加えて、『Twin Peaks』や『Resident Evil』のような空気も込めたと話し、2本はほとんど1つの作品として見てほしいと語っている。
2018年6月11日、ロンドンのIndigo at The O2で開かれたMetal Hammer Golden Godsで、LACUNA COILはファン投票による「Best Live Band」に選ばれた。司会はHATEBREEDのジェイミー・ジャスタで、同じ夜にはARCH ENEMYが「Best International Band」を受賞している。ファンの支持はこれが初めてではない。2004年には、Metal Edge誌の読者投票で「the next big thing」に選ばれ、クリスティーナ・スカビアは「female performer of the year」にも選ばれていた。
2018年はデビューから20周年にあたり、LACUNA COILは1月19日、ロンドンのO2 Forum Kentish Townで一夜限りの記念公演を開いた。ステージにはイギリスのサーカス集団Incandescenceが加わり、キャリア全体から選んだ曲目には、それまで一度もライヴで演奏したことのない曲も含まれていた。バンドはこの夜を、誕生日のパーティーであり、記念日の祝いであり、何より20年をともに歩んだ人たちへの大きな「ありがとう」だったと語っている。公演は撮影・録音され、ライヴ作品『The 119 Show - Live In London』になった。
パンデミックの間、LACUNA COILは地元ミラノで、観客のいない会場に向けて最新作を演奏した。2020年9月、Alcatrazから配信したライヴで『Black Anima』を全曲演奏したもので、この公演は『Live From The Apocalypse』として作品になり、CDとレコードにはボーナスDVDが付いた。それまでAmazon限定のスタジオ録音だった「Bad Things」も、このライヴ版でどの配信サービスでも聴けるようになった。2021年2月には、イタリアのおよそ130組のアーティストが参加した「L'Ultimo Concerto?」に加わり、それぞれ別々の会場のステージに上がって、演奏せずにただ黙って立つ姿を映した。国内の会場が閉ざされてから1年がたったことを刻む試みだった。彼らが観客の前に戻ったのは2022年4月7日、アトランタのMasqueradeでのAPOCALYPTICAのサポートで、2年以上ぶりの有観客公演だった。
アルバム『Comalies』の題名は、「coma(昏睡)」と「lies(嘘)」を組み合わせたものである。クリスティーナ・スカビアによれば、録音中のバンドは創作が爆発したような状態にあり、まるで昏睡の中、別の次元にいるかのように作業していた。初めは「coma」という言葉だけを使うつもりだったが、それでは何かが足りず、2つの言葉で遊んでみたのだという。
2022年の『Comalies XX』は、20年前の『Comalies』をそのまま録り直したものではない。現在のメンバーが曲をいったん解体し、2022年へと運び直した作品で、クリスティーナ・スカビアは、リブートでもスピンオフでもなく、20年前に生まれた曲に2022年の服を着せたのだと説明した。発売翌日の2022年10月15日には、ミラノのFabriqueで一夜限りの公演を開き、『Comalies』を全曲演奏している。スカビアは、パンデミックの間は創作をまったく止めていたが、この作業が曲作りへの愛をよみがえらせたと話す。バンドの公式バイオグラフィーも、次作『Sleepless Empire』の本当の始まりは『Comalies XX』の発売と重なっていたと書いている。
クリスティーナ・スカビアは2018年、Rai2のゴールデンタイムに放送された『The Voice of Italy』の第5シーズンでコーチを務めた。司会はCostantino della Gherardesca、ほかのコーチはJ-Ax、Al Bano、Francesco Rengaだった。スカビアによれば、自分から応募したのではなく、思いがけず届いた話で、バンドのライヴや進めている計画との兼ね合いをよく考えてから引き受けたという。タレント番組に出れば魂を売ったと見る人もいるだろうと覚悟していたが、エクストリームなメタルの仲間からも、『The Voice』はアメリカでよく知られた大好きな番組だから思い切りやってこいと背中を押されたと話している。番組の後には、すでに決まっていたLACUNA COILの公演が控えていた。
クリスティーナ・スカビアは、SLIPKNOTのメンバー4人が2008年の『All Hope Is Gone』の制作と並行して別に録っていたアルバム『Look Outside Your Window』の2曲で歌っている。長く眠っていたこの作品は、2026年4月18日のRecord Store Dayにようやく世に出た。スカビアによれば、正式に頼まれたわけではなかった。コリィ・テイラー、ジム・ルート、ショーン・クラハン、シド・ウィルソンがスタジオの向かいの建物で思うままに曲を作る、穏やかで創造的な空気の中で、気づけば楽しみのためにハーモニーを歌い、声を録っていたという。「Christina」ではクラハンが書いた詩を彼女がイタリア語に訳して朗読している。クラハンがイタリア語の響きを気に入ったからだという。もう1曲の「Is Real」では、テイラーの歌にバッキング・ヴォーカルを重ねている。
自らを筋金入りのナードと呼ぶクリスティーナ・スカビアは、「Closer」が『Rock Band』と『Guitar Hero』の両方に収録されると聞いて、心から喜んだという。2021年には、Blizzard Entertainmentから『Diablo II: Resurrected』の発売に合わせた曲作りを頼まれ、ギタリストでYouTuberのMark the Hammerと「Start Again」を作った。スカビアによれば、『Diablo II』はLACUNA COILのツアーの思い出と結びついている。当時のギタリストがすっかり夢中になり、パソコンを持ち歩いて毎日のように遊んでいて、ほかのメンバーは横で眺めるだけで満足していたのだという。曲の前半はゲーム音楽の「Tristram Village」をもとにしており、歌詞はスカビアが、ゲームのマニュアルに載っていた2部構成の詩「The Initiate」から着想を得て書いた。
LACUNA COILが生まれたのは、ミラノのアルタグアルディア通りのクラブ、Midnightだった。クリスティーナ・スカビアが2025年の取材でそう振り返っている。そのスカビアは2024年10月、Sperling & Kupferから本『Il diavolo mi ha venduto l'anima』を出した。ミラノ郊外から世界中のステージまでの道のりをたどる一冊だが、版元のページに掲げられた一文は、これは伝記ではないと告げる。本の中では、主人の契約を取り戻そうとするいたずら好きの悪魔Devoが、読者の気を散らしにやって来るという仕掛けもある。版元の著者紹介は、スカビアを歌手であるだけでなく、ゲーマーであり、絵を描き、日本の文化を愛する人だとも紹介している。