ARMAGEDDON TRIVIA
Trivia
デビュー作『Crossing the Rubicon』は、ヨーロッパと日本で別のレーベルから出ている。Blabbermouth によれば、ヨーロッパ盤は現在は存在しない W.A.R. Records から、日本盤はトイズファクトリーから発売された。トイズファクトリーは同じ時期に ARCH ENEMY の作品も手がけていた日本のレーベルである。この日本のレーベルとの関係は、以後の2作でさらに強くなっていく。
2作目『Embrace the Mystery』(2000年)は、日本でしか手に入らないアルバムだった。Blabbermouth によれば、この作品も日本のトイズファクトリーからのリリースで、国際的には一度も流通していない。音楽の方向も変わっており、メロディックで伝統的なメタルに寄った内容だったと同記事は書いている。日本の店頭にだけ並ぶスウェーデンのメロディック・メタル作、という状態がこの時点から10年近く続くことになる。
3作目もまた日本限定だった。2002年に出た『Three』について Blabbermouth は、これも日本でのみ発売されたと書いている。題名のとおり編成は3人組で、クリストファー・アモットがギターに加えてヴォーカルもすべて担当し、ドラムはダニエル・エランドソン、ベースには EUCHARIST のトビアス・グスタフソンが新たに加わった。デビュー作から数えて3作連続で、このバンドのアルバムは日本の外に出なかったことになる。
ARMAGEDDON は1997年、スウェーデンのハルムスタッドで、ライヴを前提としないスタジオ・プロジェクトとして始まった。中心にいたのは ARCH ENEMY のギタリスト、クリストファー・アモットである。Blabbermouth によれば、出発点はメロディック・デス・メタルのバンドで、デビュー作『Crossing the Rubicon』はSF的な主題を持つコンセプト・アルバムだった。ハルムスタッドは ARCH ENEMY が生まれた街でもある。
クリストファー・アモットが ARMAGEDDON を始めた理由は、別のジャンルをやりたかったからではない。Blabbermouth の記述によれば、彼は1995年に ARCH ENEMY の創設メンバーの一人として音楽のキャリアを始め、早い時期に成功を得たあと、同じジャンルの中で個人として自分を表現したいという欲求を抱いた。そこで ARMAGEDDON の名義でアルバムを書き始めたのだという。ARCH ENEMY が国際的に知られていく数年のあいだに、彼はこの名義で3枚を書き上げ、録音している。
『Crossing the Rubicon』に参加した2人は、この後 ARCH ENEMY に入っている。Blabbermouth によれば、ドラムのペーテル・ヴィルドエル(DARKANE、MAJESTIC、のちに PESTILENCE)とベースのマルティン・ベングトソンがそれで、二人はそろって ARCH ENEMY に加わり、1998年の『Stigmata』の録音・発売・ツアーを担った。弟のサイド・プロジェクトが、兄のバンドの次の編成を先に集めていたことになる。
ARMAGEDDON が人前で演奏したのは、日本でだけだった。Blabbermouth によれば、『Embrace the Mystery』の発売後、バンドは IN FLAMES と THE HAUNTED の日本ツアーにサポートとして帯同している。そしてこの記事が書かれた2009年時点で、それが ARMAGEDDON にとって唯一のライヴ活動だった。スタジオ・プロジェクトとして始まったバンドが、生涯に一度だけステージに上がった場所が日本だったことになる。
クリストファー・アモットが初めて歌を担当したのが、この3作目である。Blabbermouth の記述によれば、ARMAGEDDON の最後のアルバムで彼は自分のヴォーカル・スタイルを前面に出しており、これが彼にとって歌唱への最初の踏み出しであり、後年の音楽的な冒険への火種になった。日本でしか売られなかった1枚が、彼のキャリアの分岐点として書き残されていることになる。
日本でしか買えなかった2枚が国際的に発売されたのは、2009年のことである。Blabbermouth によれば、『Embrace the Mystery』と『Three』は2枚組『Embrace The Mystery & Three』としてまとめられ、2009年11月16日にヨーロッパで、翌2010年1月26日に北米で Century Media Records から発売された。アートワークは『Embrace the Mystery』のものを改訂したもので、手がけたのは DARK TRANQUILLITY、ARCH ENEMY、IN FLAMES のジャケットで知られるニクラス・スンディン。ボーナス・トラック6曲はデモとリハーサル音源に加え、IRON MAIDEN と MERCYFUL FATE のカヴァーで、ライナーノーツはクリストファー・アモット本人が書いている。全26曲、100分を超える内容だった。
2012年3月5日、クリストファー・アモットは ARCH ENEMY を離れることを表明した。ソロのキャリアを追うためであり、今後もあらゆるスタイルで音楽活動を続けていく、メタルを排除するわけではない、というのが彼の声明である。バンド側も舞台裏に揉め事はないとし、後任にはアメリカ人ギタリストのニック・コードル(ARSIS)を迎えると発表した。兄のマイケル・アモットはコードルについて、音楽性と技術に加えて人柄と献身の面でも条件を満たす第一候補だったと述べている。この離脱の2年後、ARMAGEDDON は10年以上の沈黙を破って動き出す。
2014年、ARMAGEDDON が動き出したとき、その拠点はスウェーデンではなくニューヨークだった。Blabbermouth によれば、1997年にスウェーデンのスタジオ・プロジェクトとして始まり、2000年と2002年に別々の編成と別々の音楽的方向で2枚を出したこのバンドは、オリジナル・メンバーとしてはアモットだけを残していた。それが今度は、ニューヨークを本拠にした演奏者たちを集めた形で再起動する。復活の告知は、アルバム表題曲「Captivity & Devourment」のリリック・ビデオとともに行われた。
2014年の ARMAGEDDON の編成には、後に ARCH ENEMY へ加わる人物がいた。Blabbermouth が挙げた顔ぶれは、リード・ヴォーカルにマット・ホールクイスト、ギターとクリーン・ヴォーカルにクリストファー・アモット、もう一人のギターにジョーイ・コンセプシオン、ベースにサラ・クラウディウス、ドラムにマールトン・ヴェレシュである。このジョーイ・コンセプシオンが、2023年末にジェフ・ルーミスの後任として ARCH ENEMY のギタリストになる。アモット兄弟の2つのバンドのあいだで人が行き来する、という ARMAGEDDON 初期からの構図が、20年近く経ってもう一度繰り返されたことになる。
『Captivity & Devourment』のジャケットは油彩画である。手がけたのはパオロ・ジラルディで、Blabbermouth によれば、彼はアルバムの歌詞と、ベースのクラウディウスが書いた物語を読んだうえでこの絵を描いた。描かれているのは、アルバム全体で語られる完全な破壊の光景である。バンドはこの起用について、近年よく見かける独創性のないデジタル合成のジャケットは絶対に避けたかった、これは音楽に触発された人間の手描きのヴィジョンだ、と説明している。
『Embrace the Mystery』の顔ぶれも豪華だった。Blabbermouth によれば、ヴォーカルは LAST TRIBE のリッカルド・ベングトソン、ベースはディック・ロヴグレン——のちに MESHUGGAH のメンバーとなる人物で、それ以前は EUCHARIST、ARCH ENEMY、IN FLAMES のツアー・ベーシストを務めていた——そしてドラムは ARCH ENEMY のダニエル・エランドソンである。エランドソンもまた EUCHARIST と IN FLAMES を経ており、現在は再結成した CARCASS の一員でもある。スウェーデンのシーンの人脈がそのまま1枚に集まっている。
2009年の国際リリースにあたって、クリストファー・アモットは自らコメントを出している。ヨーロッパとアメリカでこの2枚を初めて出せることを大きな喜びとしたうえで、メロディック・ハード・ロックと速弾きギターのファンなら聴いてみてほしい、この2枚には見事なインストゥルメンタルの演奏と壮大な曲が多く入っている、と述べた。2000年と2002年に録音した作品で、当時多くの手をかけたのだから、こうして世に出るのを見られてうれしい——というのが彼の言葉である。
2014年10月6日、ARMAGEDDON はフランスの Listenable Records との契約を発表した。4作目『Captivity & Devourment』の発売日は2015年1月26日と告知されている。クリストファー・アモットはこの契約について、レーベルの代表ローラン・メルルとは長い付き合いであり、彼とスタッフと組んで ARMAGEDDON を可能なかぎり最良のものにしていくのが楽しみだ、と述べた。1997年のデビュー作以来、このバンドが国際的なレーベルから新作を出すのは初めてのことだった。
『Captivity & Devourment』のミックスはフレドリック・ラルネモが Studio Recordia で担当し、マスタリングは Stockholm Mastering で行われた。収録は10曲で、Blabbermouth はこの作品を、重く、メロディックで、テクニカルで、グルーヴのある創造的なメタルの曲作りだと紹介している。バンドの拠点がニューヨークに移っても、音の仕上げはスウェーデンで行われていたことになる。
アルバムの完成からアメリカ・ツアーまでのあいだに、ARMAGEDDON はシンガーを入れ替えている。Blabbermouth によれば、レコーディングで歌ったマット・ホールクイストは2014年12月に個人的な事情でバンドを離れた。代わって2015年2月に始まるアメリカ・ツアーでフロントに立ったのが、NIGHTRAGE、NERVOSIA、MERIDIAN DAWN のアントニー・ハマライネンである。彼は同年3月6日に正式メンバーとして加入した。バンドは彼について、ステージの上でも下でも大きなエネルギーをもたらしてくれると述べている。
アントニー・ハマライネンは、加入前からアメリカとフィンランドの双方で活動してきた人物である。Blabbermouth によれば、彼は1990年代初頭からベース、ドラム、ヴォーカルで複数のバンドに関わり、アリゾナのデス・メタル・バンド SLAVES FOR SCORES で歌い、2007年に NIGHTRAGE に加入した。スウェーデン発のバンドがニューヨークを拠点に組み直され、そこへフィンランド出身のシンガーが加わる——4作目の ARMAGEDDON は、国籍という点でも初期3作とは違う集団になっていた。
再起動した ARMAGEDDON は、実際にステージにも立っている。Blabbermouth は2014年10月の記事に、同年9月6日にニューヨーク州アイランドパークの The Hub で「Equalizer」を演奏する様子を捉えたファン撮影の映像を添えた。2009年の時点では日本ツアーが唯一のライヴだったバンドが、15年近くを経てアメリカで演奏するようになったことになる。翌2015年2月には、マサチューセッツ州リヴィアやメイン州ポートランドを含むアメリカ・ツアーが組まれた。
クリストファー・アモットは2008年ごろから、それまでとは違う空気の曲を書き始めていた。Blabbermouth の記述によれば、技術的な高みよりも、コードを軸にしたブルース・ロック的な響きを土台に、ヴォーカルと歌詞をより前面に置く方向である。そこから生まれたのが、2010年に自身の名義で発表したソロ作『Follow Your Heart』だった。ARMAGEDDON の3作目で初めて歌ったことが、この流れの出発点にあたる。
クリストファー・アモットの活動範囲は、その後さらに広がっている。Blabbermouth が2020年2月に伝えたところによれば、彼はシンセウェイヴのアルバム『Electric Twilight』を発表した。数年かけて断続的に作ってきたもので、大部分はニューヨークの自宅スタジオで制作し、一部はスウェーデンで録音、全楽器とヴォーカルを彼自身が担当している。うち3曲——「Agenda」「Symphony Of Home」「Stellar Paths」——は兄のマイケル・アモットとの共作である。同記事はこの時点の彼を、元 ARCH ENEMY にして現 DARK TRANQUILLITY のギタリストと紹介している。
クリストファー・アモットが ARCH ENEMY を離れたのは2012年が初めてではない。2006年2月、ARCH ENEMY の公式ファンクラブによる取材に応じた彼は、当時の離脱について、音楽的に創造的だと感じられなくなり、楽しめなくなったのだと説明している。ARCH ENEMY はよく働くバンドでツアーも素晴らしいが、ショウを楽しめないのであれば意味がない、というのが彼の言い方だった。後悔しているかと問われて答えは「していない」。そのうえで彼は、ARCH ENEMY を世界のトップ5に入るメタル・バンドだと思うし、その一員だったことを誇りに思うとも述べ、自分はこの種の音楽から離れていったのだから、自分のことをやるほうが全員にとって良い、と語っている。