AMARANTHE TRIVIA
Trivia
AMARANTHEの初来日公演は2011年7月、原宿ASTRO HALLで行われ、国内盤が出るより前に即日ソールド・アウトしている。同じ年にはLOUD PARK 11にも出演した。デビュー作1枚の段階で、日本での関心はすでにその水準にあった。
AMARANTHEの始まりを、公式サイトは2008年の秋としている。バンドはこの音楽を、エクストリーム・メタルとエレクトロニックという伝統的に相容れない二つの世界をつなぐ試みだと説明しており、その姿勢は最初の作品から一貫している。
デビュー作『Amaranthe』は、配信の時代の入口でいきなり数字を残している。公式サイトによれば、この作品は全ジャンルを合わせた世界のSpotifyで84番目に多く再生されたアルバムだった。
AMARANTHEを他と分けているのは、リード・ヴォーカルが3人いることである。デビュー当時の内訳はエリーゼ・リードとジェイクEによる男女のクリーン・ヴォーカルに、アンディのデス・ヴォイスを加えた形だった。歌の役割が3つに分かれている編成は、1曲の中で歌い手が入れ替わるという構造そのものをバンドの個性にしている。
オリジナル・メンバーのジェイクEは2017年2月に脱退を表明した。彼が理由として挙げたのは、アルバムでもライヴでも自分の役割が減っていったこと、そして自分が余分な存在に思え、次第にバック・シンガーのように感じられるようになったことである。脱退後の彼は、元IN FLAMESのピーター・アイワースとイェスパー・ストロムブラード、ドラムのアレックス・ランデンブルクとCYHRAを結成している。
『Helix』という題名について、メルクは前2作の題名が見ればすぐ意味の分かる直接的なものだったのに対し、今度は言葉そのものに物語を含ませたかったと説明している。ひとつの読み方はDNA分子の螺旋構造で、バンドは自分たちの本当のDNA――AMARANTHEのサウンドの中核――を見つけようとしていた。1作目以来やっていなかった要素も入れており、だからこの作品はAMARANTHEのDNAだと言っていい、というのが彼の言い分である。
2021年11月に発表されたシングル「PvP」は、eスポーツの世界選手権におけるスウェーデン代表チームの公式アンセムだった。題名はゲーム用語の「Player Versus Player」の略である。ミュージック・ビデオを監督したのはポーランドのGrupa13で、同社はAMARANTHEの「Archangel」と「BOOM!1」の映像も手がけている。
『The Catalyst』でAMARANTHEは初めてシンフォニックな方向へ踏み込んでいる。メルクによれば、これまでこのバンドが本格的にオーケストラを使ったことはなく、今回は「やれるのだからやろう」という判断だったという。演劇的にやりすぎたのではないかとメンバー全員が自問したとも述べているが、そもそも最初のミュージック・ビデオの冒頭が大爆発だったのだから、このバンドは元からそういうものだった、というのが彼の見方である。
2度目の来日は2013年5月で、渋谷CLUB QUATTROと梅田CLUB QUATTROの2公演が行われた。2ndアルバム『The Nexus』の直後にあたる時期である。
AMARANTHEを最初に世に出したのは、フィンランドに拠点を置くスパインファーム・レコーズだった。セルフ・タイトルのデビュー作は2011年4月に発売され、スウェーデンとフィンランドのチャートで高い位置に入っている。
AMARANTHEの制作の拠点は、デンマークのリーベにあるハンセン・スタジオである。公式サイトはここを「創作上の我が家」と呼び、デビュー作が形になった場所だと記している。バンドはデビュー作を携えた92公演を終えたあと、この場所に戻って次の作品を作り始めた。
AMARANTHEにとって最初の大きなシングル・ヒットは、2014年10月の3作目『Massive Addictive』に入った「Drop Dead Cynical」だった。公式サイトが同作について挙げているのはこの一点である。
2020年、AMARANTHEはスウェーデンのSABATONによる「THE GREAT TOUR」に参加し、ヨーロッパ22公演を回った。ニュークリア・ブラストが契約時に予告していた、APOCALYPTICAを交えたこのツアーである。
そのスタジオの主であるヤコブ・ハンセンは、1作目から一貫してAMARANTHEのアルバムをプロデュースしている。オロフ・メルクによれば、彼が最初にハンセンと組んだのは自身の別バンドNIGHTRAGEでのことで、デモを聴かせるだけで制作方法もエンジニアリングも即座に見えてしまう人物だという。わざわざ打ち合わせをしなくても求めている音が伝わる相手であり、メルクは彼を家族のような存在だと述べている。
『The Nexus』の発売後、AMARANTHEは2013年3月からフィンランドのSTRATOVARIUSとヨーロッパを回り、同じ年の夏にはSweden RockやTuska Open Airといったフェスティバルに出演している。
『Maximalism』(2016年10月、スパインファーム)でもプロデュースはヤコブ・ハンセンが手がけ、マスタリングはスヴァンテ・フォルスベックが担当した。フォルスベックはRAMMSTEIN、APOCALYPTICA、DRAGONFORCEなどの作品を手がけてきたエンジニアである。
エリーゼ・リードは、ジェイクEの脱退を予想していなかったと述べている。自分にとってこのバンドは我が子のようなもので、自分なら決して離れないだろう――だからこそ衝撃だった、というのが彼女の説明である。同時に、彼が別の音楽的な考えを持っているのなら理解できるし、誰も誰かに何かを強いることはできない、とも語った。
後任のニルス・モリンがDYNAZTYから加入したことが正式に発表されたのは2017年7月である。それ以前の2016年から2017年前半にかけては、SMASH INTO PIECESのクリス・アダム・ヘドマン・ソルビエが代役として何度かステージに立っていた。モリン自身も同年3月にスウェーデンでの3公演に参加し、以後ライヴの一員になっている。
モリンの加入は、発表の1年前にはすでに決まっていた。オロフ・メルクによれば、すぐに発表したくなかったので時期を見計らったのだという。ジェイクEのような家族同然のメンバーが抜けた以上、単なる代役ではなく、才能があり、ジェイクの複製ではない独自のスタイルを持ち、なおかつ相性のいい歌い手でなければならないと考えていた。SMASH INTO PIECESのクリス・アダムを含む複数の候補に声をかけたうえで、モリンにはライヴにゲスト参加してもらう形で試したのだと語っている。
メルクとモリンの縁は2012年にさかのぼる。一緒にツアーを回ったのがきっかけで、メルクが挙げているのは2012年5月にイギリスで行われた公演である。以後ずっと親密だったわけではないが、連絡は取り続けていたのだという。
5作目『Helix』の制作日程は明確に区切られている。メルクによれば曲作りの開始が2018年1月5日、スタジオ入りが3月5日。先にツアーへ出てから録音する選択肢もあったが、それだと発売が2019年にずれ込む。集中して先に全部終えておけば、問題が出たときに発売を後ろへ動かせる――そう考えて前者を選んだのだという。
AMARANTHEの曲作りは、長らく二人一組で行われてきた。メルクによれば、3人そろって書いたことは無く、常にジェイクEとメルクか、エリーゼ・リードとメルクの組み合わせだった。「Drop Dead Cynical」「The Nexus」「1.000.000 Lightyears」はリードとの共作で、「Hunger」や「Amaranthine」はジェイクとの共作である。
新加入のニルス・モリンは『Helix』の曲作りには関わっていない。メルクの説明では、これは意図的な判断だった。加入直後に曲作りへ入ってもらうのはまだ早く、この作品ではAMARANTHEのサウンドに忠実でいたかったので、その段階で入れるのはリスクが大きいと考えたのだという。将来的に一緒に作る意思はあるとも述べている。
2019年10月、AMARANTHEはニュークリア・ブラストとの契約を発表した。メルクはこのレーベルについて、1990年代半ばに十代の自分たちが真新しいCDを手にしていた相手であり、以来ずっとメタル・シーンに最良のものを届けてきた存在だと述べ、その彼らと組めるのは夢が叶ったようなものだと語っている。
ニュークリア・ブラストが2019年の契約時に挙げたAMARANTHEの実績は、Spotifyでの累計再生が1億回を超えていること、スウェーデン・ヨーテボリのリセベリで1万人を前に演奏したことがあること、そして2018年の『Helix』がバンド史上でも高いチャート順位を記録したことである。
ハーシュ・ヴォーカルを担ってきたヘンリック“GG6”エングルンド・ヴィルヘルムソンは、2022年6月8日に自身のSNSで脱退を表明した。理由として彼が挙げたのは、コロナ禍で2年間家にいるうちに家族と過ごす時間の大切さに気づいたこと、子どもたちから離れる時間をこれ以上増やしたくないと思うようになったこと、そしてツアー生活が次第に楽しめなくなり、仕事のように感じられるようになっていたことである。
ヴィルヘルムソンの後任として、ハーシュ・ヴォーカルにはミカエル・セーリンが入った。2023年時点の編成はエリーゼ・リード(ヴォーカル)、ミカエル・セーリン(グロウル)、オロフ・メルク(ギター、キーボード)、ヨハン・アンドレアセン(ベース)、モーテン・ロヴェ・セーレンセン(ドラム)、ニルス・モリン(ヴォーカル)の6人で、これは2026年時点で公式サイトが掲げている編成と同じである。
7作目『The Catalyst』は2024年2月23日にニュークリア・ブラストから発売された。オロフ・メルクはこの作品について、過去のどのAMARANTHEのアルバムよりも手をかけたと述べ、最も多彩で幅の広い一枚だとしている。レーベル資料はこれをバンド史上もっとも一貫した構想を持つ作品とし、主題は変容と啓示だと説明した。