CROWNE TRIVIA

Trivia

デビュー作『Kings in the North』の日本盤は2021年6月18日、品番 MICP-11629、2,970円(税込)でマーキー/アヴァロンから発売された。世界での発売と同じ日である。日本盤にはボーナス・トラックが1曲追加されており、その曲は収録曲「Unbreakable」のアコースティック・ヴァージョンだった。レーベルの告知文はこのバンドを、アート・ネイション、H.E.A.T、ヨーロッパ、プードルズ、ダイナスティという5つのバンドの名士が集まったスーパー・バンドとして紹介している。

出典: マーキー/アヴァロン 2021年6月リリース情報

『Wonderland』の日本盤は2025年8月22日、品番 GQCS-91655、3,080円(税込)でワードレコーズから発売された。作品ページは「世界同時発売」と明記している。仕様は日本語解説書の封入、歌詞の対訳、そして日本盤限定ボーナストラックで、そのボーナスは12曲目に置かれた「Waiting For You」のアコースティック・ヴァージョンである。同じページには通常のCDのほかに「CD+サインカード」という日本独自の形態も並んでいる。

出典: ワードレコーズ 作品ページ『Wonderland』(GQCS-91655)

CROWNE の日本盤には、3作を通じた共通点がある。いずれもアルバム収録曲のアコースティック・ヴァージョンが1曲、日本盤限定のボーナス・トラックとして加えられていることだ。デビュー作は「Unbreakable」、2作目は「Super Trooper」、3作目は「Waiting For You」で、しかも3作目からは日本での発売元がマーキー/アヴァロンからワードレコーズへ替わっているにもかかわらず、この作りは変わっていない。3枚とも世界での発売と同じ日に日本盤が出ている点も共通する。

出典: ワードレコーズ 作品ページ『Wonderland』(GQCS-91655)

CROWNE は、誰かが呼びかけて集めたバンドである。イタリアのレーベル Frontiers Music Srl が公式に出した紹介文によれば、スウェーデンのメロディック・ハード・ロック・シーンから選び抜かれた面々が一堂に会し、Frontiers Records の代表セラフィノ・ペルジーノの熱心な導きのもとで音楽的な構想を形にした——それがこのバンドの成り立ちだという。日本のレーベル、マーキー/アヴァロンの記述はさらに踏み込んで、ペルジーノがこのスーパー・バンドの結成に尽力し、献身的な助言を送ってアルバムの完成へ導いた、と書いている。バンドの拠点はストックホルムである。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Kings in the North』作品ページ

デビュー作『Kings in the North』でギターを弾いているのは、多くの人が思うのとは違う人物である。Frontiers の公式紹介文によれば、このアルバムの主要なギターを弾いたのは H.E.A.T のヨナ・ティーで、彼はプロデュースとキーボードも兼ねている。DYNAZTY のラヴ・マグヌソンが担当したのはギター・ソロだけだった。マーキー/アヴァロンのクレジット表記もこれに沿っており、ヨナ・ティーを「KEY, G, BACK VO」、ラヴ・マグヌソンを「SOLO GUITARS」としている。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Kings in the North』作品ページ

ソロだけを弾いていたラヴ・マグヌソンは、2作目『Operation Phoenix』から正式メンバーになった。Frontiers の公式紹介文は彼を「新しいフルタイム・メンバーのギタリスト」として紹介しており、ここで CROWNE は5人組として固まる。デビュー作でヨナ・ティーが兼ねていた主要ギターの役割が本職のギタリストに移ったことになり、招集された企画から常設のバンドへ、編成の意味が変わった作品でもある。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Operation Phoenix』作品ページ

デビュー作『Kings in the North』を締めくくる「Save Me From Myself」は、CROWNE のオリジナルではない。マーキー/アヴァロンの作品情報によれば、原曲はギリシャの歌手サキス・ルーヴァスが2010年のアルバム『Parafora』に収録した「Nekros Oceanos」で、ギリシャ語で歌われていたものを英語に置き換えてカヴァーしている。ルーヴァスはユーロヴィジョン・ソング・コンテストにギリシャ代表として出場したことのある人物である。スウェーデンのメロディック・ハード・ロックのスーパー・バンドが、デビュー作の最後にギリシャのポップ・ソングを据えたことになる。英語圏の資料でこの点に触れているものは、このセッションで開いた範囲では見当たらなかった。

出典: マーキー/アヴァロン CROWNE アーティスト・ページ

3作目『Wonderland』の「Warlords of the North」には、外部の作曲者が1人加わっている。SAXON のフロントマン、ビフ・バイフォードである。Frontiers の公式紹介文はこの曲をアルバムの中でも際立つ1曲として挙げ、この共作が曲に壮大さを加え、アルバムで最も印象的な瞬間の一つにしていると書いている。北欧のメロディック・ハード・ロックのスーパー・バンドに、イギリスの NWOBHM を代表する声の主が曲づくりで加わったことになる。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Wonderland』作品ページ

『Operation Phoenix』の日本盤は2023年1月27日、品番 MICP-11763、3,000円(税込)でマーキー/アヴァロンから発売された。ここでも世界での発売と同じ日である。日本盤のボーナス・トラックは12曲目に置かれた「Super Trooper」のアコースティック・ヴァージョンで、レーベルの作品ページは全曲にカタカナの曲名を併記している。この時点でのメンバー表記は、ラヴ・マグヌソン(ギター)、ジョン・レヴィン(ベース)、アレクサンダー・ストランデル(ヴォーカル)、クリスティアン・ルンドクヴィスト(ドラム)である。

出典: マーキー/アヴァロン 作品ページ『Operation Phoenix』(MICP-11763)

ワードレコーズが日本盤に添えた解説によれば、CROWNE の結成は2020年である。翌2021年にデビュー作『Kings in the North』を出すと、メロディック・ハード・ロックのファンのあいだで瞬く間に話題になり、2023年に2作目『Operation Phoenix』、2025年に3作目『Wonderland』と続いた。5年で3枚という間隔は、全員が本来のバンドを別に持っている集団としては速い部類である。

出典: ワードレコーズ 作品ページ『Wonderland』(GQCS-91655)

マーキー/アヴァロンは日本の読者に向けて、CROWNE のメンバーを一人ずつ代表作で紹介している。アレクサンダー・ストランデルは『リベレーション』でのデビュー以来その楽曲の質で人気を得たアート・ネイションのヴォーカリスト。ラヴ・マグヌソンは『ファイナル・アドヴェント』がヒットしたダイナスティの曲作りの中心人物。ジョン・レヴィンは『ファイナル・カウントダウン』で世界的ブレイクを果たし今もスウェーデンのトップ・バンドに君臨するヨーロッパのベーシスト。クリスチャン・ルンドクヴィストはスウェーデン国内で国民的な人気を持ち、アルバムを出せばトップ10の常連というプードルズのドラマー。そしてヨナ・ティーは、若手筆頭格 H.E.A.T のメンバーとして「まとめ役」で参加している、という書き方である。

出典: マーキー/アヴァロン CROWNE アーティスト紹介(現行サイト)

Frontiers の公式紹介文は、アレクサンダー・ストランデルについて、2015年以降アート・ネイションがスカンジナビアで Gain / Sony Music から3枚のアルバムを成功させ、メロディック・ハード・ロック・シーンの期待株としての立ち位置を確立してきた、と説明している。2025年の『Wonderland』の紹介文になると、彼の肩書きにはアート・ネイションに加えて Lionville と Nitrate が並ぶ。CROWNE が3枚を出した5年のあいだに、彼自身の活動範囲も広がっていったことになる。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Kings in the North』作品ページ

ドラムのクリスチャン・ルンドクヴィストには「キッケン」という愛称があり、Frontiers の公式紹介文もバンド公式の Bandcamp もその名で呼んでいる。Frontiers は彼が所属していたプードルズを、21世紀のスウェーデンにおけるメロディック・ハード・ロックで最も成功したバンドの一つと位置づけている。ベースのジョン・レヴィンについては、伝説的バンド EUROPE の名前を挙げたうえで、紹介の必要がないほど知られた名前だと書き、彼が参加を承諾して盤石のリズム隊の一翼を担うことになった、と説明している。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Kings in the North』作品ページ

2作目『Operation Phoenix』は2023年1月27日に発売された。Frontiers の公式紹介文によれば、プロデュースは前作に続いてバンド内のヨナ・ティーが担当している。同文は彼の肩書きに H.E.A.T と New Horizon を併記しており、この作品を、メタルの影響を織り交ぜたメロディック・ハード・ロックの見事な力技だと説明する。2021年に評価とともに迎えられたデビュー作の土台の上に立ち、自分たちを超えるという当初の目標を果たした作品だ、というのがレーベル側の位置づけである。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Operation Phoenix』作品ページ

3作目『Wonderland』で、CROWNE の音は一段重くなっている。Frontiers の公式紹介文はこの作品を、これまでのメロディック・ロックの持ち味の上に、よりヘヴィでパワー・メタル寄りの音像を重ねたものと説明し、壮大な空気感、大合唱を呼ぶコーラス、演奏力を見せつけるテクニカルなソロを挙げている。同文はまた、この作品でバンドがメロディック・ヘヴィ・ロックとパワー・メタルの水準をさらに引き上げた、とも書いている。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Wonderland』作品ページ

CROWNE の3作はいずれもイタリアの Frontiers Music Srl から出ている。作品ページの製造者表記によれば、Frontiers Records Srl の所在地はナポリの Via Giulia Gonzaga 18 である。スウェーデンのミュージシャンだけで組まれたバンドを、イタリアのレーベルの代表が構想し、その代表の助言のもとでアルバムが仕上がる——このバンドの成り立ち自体が、メロディック・ハード・ロックというジャンルが国境をまたいで維持されている現在の形をそのまま映している。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Kings in the North』作品ページ

バンド自身が運営する Bandcamp のページは、デビュー作『Kings in the North』のリリース日を2021年6月18日とし、自分たちの拠点をストックホルムとしている。同じページが作品に付けたタグは hard rock、metal、rock、heavy metal、power metal、symphonic metal と幅広い。レーベルがメロディック・ハード・ロックの一語で紹介した作品を、バンド自身はもう少し広い範囲に置いていることになる。

出典: CROWNE 公式 Bandcamp『Kings In The North』

レーベルの公式クレジットを3作分並べると、このバンドが企画から常設の編成へ移っていった様子がそのまま読み取れる。2021年のデビュー作の紹介文はヨナ・ティーを「ギター/キーボード/プロデューサー」とし、クリスチャン・ルンドクヴィストを The Poodles のドラマーとしていた。2025年の『Wonderland』の紹介文では、ギターはラヴ・マグヌソンの担当として書かれ、ヨナ・ティーは鍵盤の名手として紹介され、ルンドクヴィストの肩書きは「元 The Poodles」に変わっている。同じレーベルが同じバンドを紹介する文章で、4年のあいだに肩書きが動いている。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Wonderland』作品ページ

Frontiers がこのバンドを発表したとき、アルバムにはまだ題名が付いていなかった。デビュー作のページに載っている紹介文は、メンバーの顔ぶれを明かしたうえで、アルバムの題名は数週間のうちに明らかにすると書いている。つまり最初に世に出たのは作品ではなく、誰と誰が集まったかという事実の方だった。スーパー・バンドという売り方の順序が、そのまま文章に残っている。

出典: Frontiers Music Srl 公式ストア『Kings in the North』作品ページ