AMORAL TRIVIA
Trivia
AMORAL が初めて日本で演奏したのは2006年である。マーキー/アヴァロンのバイオによれば、2005年10月に2作目『Decrowning』を出した翌年に初来日公演を行っており、デビューからわずか2年での来日だった。ワードレコーズの解説も、日本では当初からメタル・ファンの支持が高く、CHILDREN OF BODOM に続くべき期待の新星と見られていた、と当時の受け止めを書き残している。
『Show Your Colors』の日本盤は2009年7月22日、品番 MICP-10852、2,700円(税込)でマーキー/アヴァロンから発売された。注目すべきはその名義で、レーベルの作品ページはこの作品を「アリ・コイヴネン with アモラル」として紹介している。バンド名だけでなく新加入のシンガーの名前を前に出す売り出し方は、彼のフィンランドでの知名度を考えれば理解できるが、他の国のリリースには見られないものである。日本盤にはボーナス・トラックが1曲追加され、その曲は先行シングルのカップリングだった MISFITS のカヴァー「Dig Up Her Bones」だった。
『In Sequence』の日本盤ボーナス・トラックのひとつは THE OFFSPRING の「All I Want」のカヴァーだが、これは予定されていたものではなかった。ベン・ヴァロンが BARKS の取材で明かしたところによれば、ドラムのユハナ・カールソンの仕事が異様に早く、スタジオでのドラム録音が予定より半日ほど早く終わってしまったのだという。スタジオ代は払ってあり、ほぼ丸1日が空いた。何か録ろう、何かクールなものを弾こう、となったとき、全員が昔からこの曲を好きだったと気づいた。史上最高のパンク・ソングの1つだと彼は言う。数年前に一度ライヴで演奏したこともあったので、インターネットで一度聴いて確認し、覚えている、大丈夫だ、と判断してそのまま録音した。
AMORAL の始まりは1997年、フィンランドの首都ヘルシンキである。日本のレーベル、マーキー/アヴァロンのバイオによれば、もともと学友だったベン・ヴァロン(ギター)とユハナ・カールソン(ドラム)が中心となって結成し、後にシルヴァー・オッツ(ギター)が加わった。この3人はしばらくカヴァー曲を練習しながらバンドを続けている。より本格的な活動に切り替わったのは2000年で、オリジナルの曲を書き始めたのもこの頃、そしてバンド名を AMORAL と名乗るようになったのもこの時期である。つまり1997年の結成から3年ほど、彼らはまだこの名前ではなかった。
AMORAL の初期を決定づけたシンガー、ニコ・カリオヤルヴィは、もともと代役だった。マーキー/アヴァロンのバイオによれば、当時のヴォーカリストはマッティ・ピトカネンで、バンドは最初のデモ『DESOLATION』をシルヴァー・オッツがベースを兼任する形で作っていた。ライヴを始めようとブッキングを進めていたところ、デビュー・ライヴの直前になって、兵役中だったマッティが出演できなくなる。急遽シルヴァーの伝手で頼み込んだのがニコで、そのステージでの出来が良かったことから、そのまま正式メンバーになった。ライヴ用にベースを助けていたMOONSORROWのヴィレ・ソルヴァリも、この時期に正式加入している。
アリ・コイヴネンの加入がフィンランドで大きなニュースになったのには理由がある。マーキー/アヴァロンのバイオによれば、彼は2007年のフィンランドのアイドル発掘番組『Idols』で優勝し、同年発表のデビュー・アルバム『Fuel For The Fire』はフィンランドのアルバム・チャートで初登場1位、しかも12週連続で首位を守った。国内アーティストとしては初の記録で、それまでこのチャートで12週連続1位だったのはBON JOVIの『Cross Road』だったという。翌2008年の2作目『Becoming』も1位を獲得している。その歌手がデス/スラッシュ・メタル・バンドに入るという発表だったからこそ、国内で一大センセーションになった。
2008年11月25日、AMORAL は新しいシンガーとしてアリ・コイヴネンの加入を発表した。バンドが出した声明によれば、ニコ・カリオヤルヴィの脱退が伝わってから世界中の歌い手から膨大な応募が届いており、彼らが探していたのは、旧曲のグロウルをこなせるうえに強いメロディックな声も持つ人物だった。そこへ最も強い候補として残ったのがアリだったという。バンド自身、これほどの逸材に行き着くとは思っていなかったと書いている。しかも意外だったのは、メロディックな歌で名を知られた彼が、誰にも引けを取らないグロウルもできたことだった。
2011年、AMORAL は自分たちの音楽を「21世紀のクラシック・ロック」と呼び始めた。Blabbermouth によれば、これはバンドのサウンドを説明するために差し出されるジャンル名の窮屈さに飽きた結果である。舌はしっかり頬の内側に入っていたが、言い分自体は筋が通っていた——PINK FLOYD、LED ZEPPELIN、QUEEN、BLACK SABBATH がいずれもクラシック・ロックという看板の下でまるで違う道へ踏み出せたのなら、自分たちがそれ以下で収まる理由はない、というものである。
6作目『Fallen Leaves & Dead Sparrows』はコンセプト・アルバムである。ベン・ヴァロンによれば、その方針は曲作りの途中で固まった——歌詞のアイデアが互いに絡み合い始め、曲の側も大きな絵を描き出していたからだという。テーマを最も単純に言えば、取り返しのつかない一つの大きな過ちについての作品である。人はやり直しの機会という考えを好むが、それが選択肢にならない場合もある、後戻りできない地点や、決して取り消せない決断がある、と彼は述べた。歌詞は薬物依存の物語としても、ひどくこじれた関係としても、過ぎた日々への未練としても、老いへの恐れとしても読める——最後の二つが自分にとっては一番身近だ、と彼は笑いながら付け加えている。
初期のシンガー、ニコ・カリオヤルヴィが AMORAL に戻ってきた経緯を、ベン・ヴァロンは BARKS の取材でこう説明している。ニコが辞めたのは8年前だが、その後も関係は良好なままだった。彼が抜けたのはギターを弾くことと学校でギターを学ぶことに集中したかったからで、その後もヘルシンキでのショウには何度か飛び入りしていたという。そして〈Tuska Open Air Festival 2014〉での共演で、ヴァイブが戻ったのを実感した。世界屈指のグロウラーであるニコと、世界屈指のクリーン・ヴォーカリストであるアリが同じバンドにいて、しかもギタリストが1人増えれば、クレイジーなパートもやれる——そう考えたヴァロンはまず他のメンバーに相談し、全員が賛成したうえでニコに話をした。ワードレコーズによれば、復帰が公表されたのは2015年3月である。
最後のアルバムとなった『In Sequence』の物語には、実話の出どころがある。ベン・ヴァロンが BARKS の取材で語ったところによれば、父親の友人から聞いた話が元になっている。その人はアルコール依存や精神の病を抱えた人たちのための施設で働いていて、ある病室から毎日心地よいギターの音色が聴こえてきた。ところが、その音が聞こえなくなったと思ったら、その患者は自ら命を絶っていた。直接会ったことはないが、若いギター弾きだったという。ヴァロンはこの話を2年ほど忘れられずにいて、やがて、名前も顔も知らない相手のことをこれだけ考え続けているのなら新作の主人公にふさわしいのではないかと考えるようになった。何が彼をそこまで追い詰めたのか、親は彼の居場所を知っていたのか——そう考えていくうちに物語が広がっていき、収録曲の1つは父親の視点から書かれている。
AMORAL の最後の公演は2017年1月5日、ヘルシンキの Tavastia で行われた。解散を決めた理由を、ベン・ヴァロンはこう説明している。『In Sequence』を書いている間も、録音している間も、ミックスしている間も、解散するとは思っていなかった。決断はアルバムが仕上がった後に下されたもので、全員のスケジュールなどの事情から、まともなツアーがほとんど不可能だと分かったからだという。アリ・コイヴネンは1年の大半を演劇の仕事で押さえられており、ユハナ・カールソンも、長いツアーを何本もこなすのは今後難しくなると明言していた。ヴァロンは、ツアーごとに違う人間を入れて回すバンドにはしたくなかった、バンドはバンドであるべきで、観客はレコードで聴いたのと同じ編成を観たいはずだ、と述べている。1年かけて書いて録ってエネルギーを注いだ作品を、大々的にツアーで届けないのは自分には筋が通らなかった——それが、AMORAL は役目を終えたのではないかという考えが忍び込んできた理由だった。
『Wound Creations』の日本盤は2005年3月24日、品番 MICP-10501、2,476円+税でマーキー/アヴァロンから出ている。マーキー/アヴァロンの作品情報によればエンハンスドCD仕様で、パソコンに入れると「OTHER FLESH」のビデオ・クリップが観られる。この曲は、彼らがレコード契約を得るきっかけになった2本目のデモと同じ題名を持つ曲である。
『Beneath』の日本盤は2011年10月19日に、品番 MICP-11012、2,571円+税で発売された。マーキー/アヴァロンの作品情報にははっきり「日本先行発売」と記されており、日本盤にはボーナス・トラックが1曲、「Staying Human」が追加されている。同じ年、日本ではデジタル・シングルも2枚出ていて、5月17日に「Same Difference」、9月19日に「Silhouette」——後者にはアコースティック・ヴァージョンも併せて収められた。
『In Sequence』の日本盤は2016年1月29日、品番 GQCS-90092、2,750円(税込)でワードレコーズから発売された。世界のほかの地域での発売は2月5日なので、日本が1週間ほど先行したことになる。日本盤には歌詞の対訳と日本語の解説書が封入され、ボーナス・トラックが加えられた。これが AMORAL の最後のアルバムになり、日本での発売はマーキー/アヴァロンからワードレコーズへ移っていた。
デビュー作『Wound Creations』の権利は、発売の直後に持ち主が変わっている。マーキー/アヴァロンのバイオによれば、2本目のデモ『OTHER FLESH』がきっかけでイギリスの Rage Of Achilles Records と契約し、そこから2004年にこのアルバムを出したものの、レーベルは間もなく倒産した。権利はフィンランド最大手 Spinefarm Records の傘下レーベル Spikefarm Records へ移り、『Wound Creations』はそこから再リリースされる。この再発がメディアで好評を得たことで、バンドはライヴの規模をフィンランドの外へ広げ、その勢いのまま2作目の制作に入った。なおレコーディング後にヴィレ・ソルヴァリが脱退し、後任にエルッキ・シルヴェンノイネンが加わっている。
『Reptile Ride』の後、AMORAL のリズム隊とヴォーカルが立て続けに入れ替わった。マーキー/アヴァロンのバイオによれば、まずベースのエルッキ・シルヴェンノイネンが脱退し、2008年5月に後任としてペッカ・ヨハンソンが加入する。その直後の7月、今度はシンガーのニコ・カリオヤルヴィが抜けた。Blabbermouth はニコの脱退理由を他のプロジェクトに集中するためとし、バンドとしての最後の出演は2008年8月23日、フィンランド・タンメラで行われたフェスティバル〈Thrashia Läpi Yön〉だったと伝えている。ここからバンドは、自ら「ドラスティック」と呼ぶ変化に向かう。
誰が誰に声を掛けたのか、という点についてはもう一つの説明がある。ワードレコーズが日本盤に添えた解説によれば、アリ・コイヴネンはニコ・カリオヤルヴィの脱退を知り、かねてよりバンドのファンだったことから自分から「加わりたい」とアプローチした。バンド側もヴォーカルとメロディの面でより多彩なスタイルを目指していたため、その申し出を受けたのだという。バンド自身の声明が「応募してきた中で最も強い候補だった」と書いているのと矛盾はしないが、動いたのはアリの側だった、という点まで踏み込んでいるのはこちらである。同じ解説は、デス/スラッシュ・メタル・バンドにアイドル歌手が加わるというニュースに否定的な反応も寄せられたことにも触れている。
アリ・コイヴネンを迎えた AMORAL は順調にツアーを続けていたが、2009年秋に創設期からのギタリスト、シルヴァー・オッツが脱退を表明する。マーキー/アヴァロンのバイオによれば、バンドは残りの日程をヴァルテリ・ヒルヴォネンをゲストに迎えてこなし、次作のレコーディング直前となる2011年初頭に、後任ギタリストとしてマシ・フカリの加入を発表した。この編成で作られたのが『Beneath』である。
2007年の3作目『Reptile Ride』は、フィンランドのアルバム・チャートに5位で初登場している。Blabbermouth によれば、このアルバムはフィンランド・ハメーンリンナの Sound Supreme Studios で、ヤンネ・サクサがプロデュース・録音・ミックスを担当した。ジャケットのアートワークはアキ・シルタラによるもので、彼はこの後も『Fallen Leaves & Dead Sparrows』『In Sequence』とバンドのジャケットを手がけ続けることになる。
2007年6月、AMORAL は Spikefarm Records からインターネット限定で「Leave Your Dead Behind」を出している。Blabbermouth によればこのリリースのボーナス・トラックは、スウェーデンのポップ・シンガー、パンドラの「The Naked Sun」のカヴァーだった。同じ2007年5月には、それまでの2枚——2004年の『Wound Creations』と2005年の『Decrowning』——がデジタル配信に回されている。まだ配信が当たり前ではなかった時期に、旧譜とネット限定リリースを並行して動かしていたことになる。
新シンガーの発表と同時に、AMORAL は古参のファンに向けて先回りの断りを入れている。バンドの声明はこう書いた——旧来のファンに地獄行きを宣告される前に言っておくが、パワー・メタルをやるわけではない。トレードマークのリフも、ちょっとした風変わりさも、「全員くたばれ」的な態度もそのまま残っている、と。そのうえで、すでに『Reptile Ride』の時点でよりメロディックな方向へ音楽を押し進めたがっていたのは明らかであり、ヴォーカルでそこまで行き切るのが自然な次の一歩だった、と説明している。声明が出た時点で4作目の素材はほぼ書き上がっており、録音は翌月から1月いっぱいまで、発売は夏より前という見通しだった。
アリ・コイヴネンを迎えた AMORAL が公式に初めてステージに立ったのは、2009年2月6日、フィンランド・ラハティで開かれたフェスティバル〈Frostbite〉である。この5日後の2月11日には、新しい編成での第1弾シングル「Year Of The Suckerpunch」がフィンランドで発売された。デス・メタル時代からのファンと、テレビ番組で彼を知った聴き手の両方が同じ場所に集まる、というのがこの時期のバンドが置かれた状況だった。
アリ・コイヴネンを迎えた第1弾シングル「Year Of The Suckerpunch」は、フィンランドの全国チャートに19位で初登場した。Blabbermouth によれば、この曲を書いたのはギターのベン・ヴァロンである。そしてカップリングには、MISFITS の「Dig Up Her Bones」のカヴァーが収められた。この時点でアルバムはまだ無題のままハメーンリンナの Sound Supreme Studios で録音を終え、5月の発売に向けてミックス中だった。
アリ・コイヴネンを迎えて最初のアルバム『Show Your Colors』は、フィンランドのアルバム・チャートに19位で入っている。奇しくも先行シングルと同じ順位だった。発売はフィンランドが2009年5月6日、アメリカが6月9日で、アメリカ盤は Spinefarm Records から Fontana の流通で出た。録音は前作から続けてハメーンリンナの Sound Supreme Studios である。
2009年10月7日から11月7日にかけて、AMORAL は AMORPHIS のヨーロッパ・ツアーにサポートとして帯同している。同じ日程には BEFORE THE DAWN も名を連ねており、フィンランド勢3組で回る形だった。新しいシンガーを迎えて半年あまり、国外の大きな会場で新体制を披露する最初の機会になった。
『Beneath』はハメーンリンナの Sound Supreme Studios で録音され、ヤンネ・サクサとベン・ヴァロンの共同プロデュースで仕上げられた。ヴァロンはこの作品を、3歩進んで1歩戻る、という言い方で説明している。長い曲、込み入ったリフ、グロウル——過去への目配せは随所にあるが、主眼はあくまで前作『Show Your Colors』と同じく、強いメロディと大きなコーラス、耳に残るリフに置かれている、というのが彼の説明である。
『Beneath』は新ギタリスト、マシ・フカリの初録音でもある。Blabbermouth によれば、彼が加入したのは曲作りがかなり進んだ後だったにもかかわらず、すぐにベン・ヴァロンと2曲を共作し、その両方がアルバムに入った。そしてこの作品から、AMORAL はリード・ギターを弾く人間を2人抱えることになる。ヴァロンは、マシをリズム・ギタリスト止まりにするのは罪だっただろうと述べ、バンド史上初めてリードの掛け合いができるようになったこと、アルバムのギターの聴きどころの多くが彼によるものであることを挙げている。
『Beneath』を録り終えた AMORAL は、数か月に及んだライヴ休止を1本の単発公演で終わらせている。2011年6月3日、ヘルシンキの On The Rocks。Blabbermouth によれば、この日の狙いは2つで、新しいギタリストを実戦に慣らすことと、まだ誰も聴いていない新曲を何曲かステージで試すことだった。
『Beneath』は評価と反応の両方を連れてきた作品でもあった。Blabbermouth によれば、このアルバムは高い評価と大きなファンの反応を得て、それに伴うツアーはヨーロッパから日本まで及び、アメリカと中国では初公演も実現している。デビューから10年足らずで、フィンランドのバンドが4大陸に足跡を残したことになる。この経験がそのまま次作の方向を決めた——ツアーで演奏していて最も楽しかったのが『Beneath』の表題曲のような長くプログレッシヴな曲であり、バンドが最も良い状態にあると感じられたのもその種の曲だった、とベン・ヴァロンは説明している。
『Fallen Leaves & Dead Sparrows』は、それまでの Spinefarm を離れ、イギリスのレーベル Graphite Records から出た最初の作品である。Blabbermouth によれば発売は2014年3月31日。プロデュースを担当したのはベン・ヴァロン自身で、歌詞も彼が書いたが、音楽の側はマシ・フカリとの共同作業だった。マシは2010年、『Beneath』のレコーディング直前に加入した人物で、今回は曲作りの最初から一緒にいられたことをヴァロンは良かったと述べている。
『Fallen Leaves & Dead Sparrows』の告知に合わせて、AMORAL は「Amoral Times」という月刊のニュースレターを始めている。Blabbermouth が伝えた案内によれば、これはメンバー自身が毎月書くもので、近況、ツアーの知らせ、写真、動画、思いつくままの雑談——バンドが AMORAL のファンの興味を引きそうだと考えたものなら何でも、という内容だった。登録は amoralweb.com のアドレスへメールを送る方式である。バンドが自分の言葉で月に一度届ける、という発想がまだ手作業で成り立っていた時期の記録である。
7作目『In Sequence』の制作方針を、ベン・ヴァロンはイングヴェイ・マルムスティーン的な心構え——多いほど良い——という言い方で説明している。ニコ・カリオヤルヴィが戻ってヴォーカル2人・ギター3人の6人組になったところから曲作りが始まり、それは彼にとってこれまでで最も刺激的な作業のひとつだったという。ギター・パートが増え、キーボードが増え、クリーンな歌とグロウルの行き来も増えた。ヴァロンはこの作品を『Fallen Leaves & Dead Sparrows』の論理的な続きと位置づけ、ニコの復帰が新しい素材に初期の AMORAL の空気を持ち込んだこと、実話に基づくコンセプトのぶんだけ少し重くなったことを挙げている。
『In Sequence』では、AMORAL として初めて多数のゲスト・ミュージシャンが招かれている。Blabbermouth によれば、パーカッションのテホ・マヤマキ、INDICA のシンガー、ヨンス、そして ACYL のシンガーで中心人物のアミン・ベノトマヌらが参加した。ベン・ヴァロンによれば、彼らが持ち込んだのはパーカッション、女性ヴォーカル、アナログ・シンセ、そしてウード——アラブ圏の撥弦楽器である。ゲストが曲を次の段階へ引き上げてくれた、というのが彼の評価だった。
『In Sequence』の1曲目「Rude Awakening」は、復帰したニコ・カリオヤルヴィがヴォーカリスト兼ギタリストとして自ら紹介した曲でもある。彼はこの曲を、1曲で聴きどころの多いアルバムの入口だと説明し、壮大でありながら足取りは軽く、幾重にも重ねたギターと引き締まったリズムに乗って、バンドの2人のシンガーが同じ曲の中で初めて一緒に聴けるようになった、と述べている。
アリ・コイヴネンの歌い方は、AMORAL の4枚のあいだに変わっている。ベン・ヴァロンが BARKS の取材で語ったところによれば、彼はアリの少し低めの声域が好きで、1枚目の『Show Your Colors』、おそらく2枚目の『Beneath』でも、アリはかなり高い声で歌っており、曲もその高さに合わせて書かれていた。しかし『In Sequence』では7弦ギターをBまで下げてチューニングしており、そのぶん幽霊のような低い声が随所で聴けるようになった、という。ヴァロンはそれがこの音楽によく合っているとも述べている。
解散が決まってから振り返ると、最後のアルバムは誰も意図しないまま最後にふさわしい形になっていた——ベン・ヴァロンはそう述べている。彼が挙げたのは、同時性を扱った作品であること、ニコ・カリオヤルヴィがバンドに戻ったこと、シルヴァー・オッツにも演奏を頼んだこと、そして最後の曲の題名が「From The Beginning」であることだった。この曲はバンド史上最も長く最も大きな曲で、終盤に向けてどんどん膨らみ、ソロも合唱もオーケストラも入って、そこから先に行く場所が文字どおり残っていない。円環が閉じたようで不気味なほどだ、自分は無意識に分かっていたのかもしれない、と彼は書いている。そのうえで彼はもう一つ理由を添えた——ディスコグラフィにアルバムが7枚というのは完璧な数字で、6枚や8枚よりずっと収まりがいい。
AMORAL のジャケットを長く手がけてきたアキ・シルタラは、フィンランドで最もよく知られたタトゥー・アーティストの1人でもある。Blabbermouth は『In Sequence』の記事でも『Fallen Leaves & Dead Sparrows』の記事でもこの肩書きに触れており、彼が『Decrowning』と『Reptile Ride』のジャケットも担当していたことを伝えている。バンドの音楽性が初期のテクニカル・デス・メタルからプログレッシヴなヘヴィ・メタルへ移っていっても、視覚面の担い手は変わらなかったことになる。
AMORAL のアルバムがどれも大きく違って聴こえるのは、意図された結果である。ベン・ヴァロンは BARKS の取材で、新しい可能性を持つことはどのバンドにとっても重要だと述べ、自分はアルバムを作るたびに何か新しいこと、何か違うことを試したいのだと語っている。才能のある人間がもう1人増えた今は、それがさらに多くやれるようになった、次に何が起こるかは誰にも分からない、とも。そして彼は、自分たちがいつも自分たちに挑戦し続けているのは、飽きないためだと言い添えた。利己的ではあるけれど、このアルバムは自分たちのために作っている——楽しんでくれる人が他にもいてくれたら嬉しい、というのがその続きである。