AVANTASIA TRIVIA

Trivia

『Moonglow』の日本盤には、他の仕様に無いボーナス・トラック「ハート」が収録されている。通常盤はGQCS-90672、インストゥルメンタルCDを付けた初回限定盤はGQCS-90676〜7で、いずれも日本語解説書と歌詞対訳付き。さらに通信販売限定100セットには、トビアス・サメットの直筆サインカードが付いた。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

サメットが初めて日本を訪れたのは2002年である。2019年のBARKSの取材で彼は、それが素晴らしい経験で以来ずっと日本に行くのを楽しみにしていると述べ、日本のファンは音楽の質を見抜く力を持っていることで知られているとも語った。『Moonglow』に伴う来日公演は2019年5月9日、東京のマイナビBLITZ赤坂で行われている。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

2019年の『Moonglow』はドイツのチャートで1位を獲得している。AVANTASIAはこのほかにゴールド・ディスク、数億回規模のストリーミング再生、主要メタル・フェスティバルでのヘッドライナー公演、そして世界各地のソールドアウトのアリーナ公演を重ねてきた。

出典: アヴァンタジア公式サイト『Here Be Dragons』告知

AVANTASIAの発想はEDGUYのツアーバスの中で生まれている。トビアス・サメットの説明によれば、歌手は喉を守らなければならないのでツアー中もメンバーと騒ぐわけにいかず、バスで一人、口もきかずに横になっているしかなかった。バンドという日課の外で何か新しいことを試したい、視野を広げたいと考えるうちに、自分のヒーローが全員参加するアルバムを作るという思いつきに行き着いたのだという。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

その「ヒーローが集まるアルバム」は、最初から具体的な顔ぶれとして思い描かれていた。マイケル・キスク、カイ・ハンセン、マーカス・グロスコフがもう一度一緒に演奏する場である。当人たちがやらないのなら誰かが場を作るしかない、というのがサメットの言い分で、キスクには「Eagle Fly Free」のような曲を歌ってもらい、グロスコフにベースを弾いてもらい、ハンセンにもその場にいてほしかったのだという。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

AVANTASIAの1作目『The Metal Opera』(2001年)は、当時なかば隠居状態にあったマイケル・キスクをシーンに呼び戻した作品でもある。以後キスクは常連となり、2010年の時点で彼はAVANTASIAの全アルバムに参加していた。

出典: BARKS「アヴァンタジア、最新作『ムーングロウ』完成」

AVANTASIAはアルバム2枚で終わる予定だった。実際、『The Metal Opera Part II』(2002年)までで完結したものと受け止められていたが、反響が予想を上回り、2008年に再始動している。サメットはEDGUYが絶頂期にあったその年にAVANTASIAを動かし直し、以後はEDGUYと並行して2〜3年おきに作品を出すようになった。

出典: BARKS「アヴァンタジア、最新作『ムーングロウ』完成」

『Moonglow』はコンセプト・アルバムで、副題は「Narratives of a Misplaced Entity」である。サメットの説明によれば、主題はアウトサイダー、間違った環境、自分の居場所とうまくいっていないという感覚で、自分とつながりを感じられない場所に放り込まれた主人公の告白という形をとる。彼はアルジャーノン・ブラックウッドやアーサー・マッケンといったヴィクトリア朝ゴシックの作家、そしてエドガー・アラン・ポーやE.T.A.ホフマンからの影響を挙げ、歌詞は自分なりのそうした小説のようなものだと語っている。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

『Here Be Dragons』は、AVANTASIAの歴史で初めてコンセプトを持たないアルバムである。サメットの説明によれば、表題曲は前作からの持ち越しで、その題名は古い海図で未知の海域に付けられた警告――この先には想像もつかないものがいる――に由来する。彼はそれを警告ではなく招待のように感じ、物語という枷を外して独立した曲を書くことにしたのだという。

出典: Blabbermouth「AVANTASIA's TOBIAS SAMMET Feels Like 'Here Be Dragons' Is Another 'Record Of The Century'」(David E. Gehlke)

10作目『Here Be Dragons』は2025年2月28日に発売され、AVANTASIAにとってナパーム・レコーズからの最初の作品となった。全10曲はすべてトビアス・サメットが単独で書き、制作と録音をサメットとサシャ・ピートが、ミックスをピートが、マスタリングをミヒャエル・ローデンベルクが担当している。

出典: アヴァンタジア公式サイト『Here Be Dragons』告知

『Here Be Dragons』のジャケットは、イギリスのファンタジー画家ロドニー・マシューズが手がけている。限定仕様には96ページのハードカバー・アートブックを収めた3枚組があり、160点を超える図版とマシューズの素描、音楽と絵に添えた読み物が収められた。

出典: アヴァンタジア公式サイト『Here Be Dragons』告知

『The Metal Opera』を始めた時点で、サメットはすでにEDGUYで7年間活動していた。バンドは素晴らしいが、そこでの日課を破る自分自身の新しい試みがしたかった――それがAVANTASIAを立ち上げた動機だと本人は説明している。Blabbermouthはこのプロジェクトの始まりを1999年としており、同じ年にEDGUYがフランスでANGRAの前座を務めたことが、最初のゲスト起用にもつながっている。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

アンドレ・マトスがAVANTASIAに加わった経緯は1999年にさかのぼる。EDGUYがフランスでANGRAの前座を務めたときにサメットとマトスは出会い、サメットはその場で『The Metal Opera』1・2へのゲスト参加を持ちかけた。後年サメットの側もマトスの作品とDVDにゲスト参加しており、貸し借りは以後も続いた。

出典: Blabbermouth「ANDRÉ MATOS To Guest On New AVANTASIA Album」

2枚のメタル・オペラを作り終えたとき、サメットは「二度とやらない」と思ったという。あまりに大変だったからである。それでも数年たつと同じ考えが頭をもたげ、バンドも素晴らしいがAVANTASIAという冒険をもう一度やるべきかもしれない、と考え始めたのだと本人は語っている。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

2008年の再始動でAVANTASIAは初めて本格的なライヴ活動に踏み出し、ワールド・ツアーはヴァッケン・オープン・エアのヘッドライナー公演で頂点を迎えた。Blabbermouthが引くサメットの説明によれば、この日の観客は10万人を超えている。アンドレ・マトスもこのときのライヴ編成の一員だった。

出典: Blabbermouth「ANDRÉ MATOS To Guest On New AVANTASIA Album」

『The Scarecrow』(2008年1月25日発売)は、同月第4週のヨーロッパ全体で売上上位20作に入った。シングル「Lost in Space」はドイツでトップ10ヒットとなり、アルバムは15か国のチャートに入って、うち4か国でトップ10に達している。

出典: Blabbermouth「SYMPHONY X Frontman To Guest On AVANTASIA Album」

「Lost in Space」は2枚のEPに分けて発売され、ドイツのメディア・コントロール・チャートに9位で初登場した。Blabbermouthによれば、これはニュークリア・ブラスト・レコーズの歴史上もっとも高いシングル・チャート初登場順位だった。

出典: Blabbermouth「AVANTASIA: 'The Metal Opera - Gold Edition' Due In March」

最初の2作は2008年に『The Metal Opera - Gold Edition』としてまとめ直されている。AFMレコーズが3月7日に出した2枚組で、金色のディスクを収めた豪華デジブック仕様、40面のブックレット、ライナーノーツ、未発表写真、ボーナス素材が付いた。

出典: Blabbermouth「AVANTASIA: 'The Metal Opera - Gold Edition' Due In March」

『The Wicked Symphony』と『Angel of Babylon』が2枚同時になったのは、途中で分けたからではない。サメットによれば、2006年に作業を始めた時点ですでに20曲を超えるロック・オペラが書き上がっており、物語が2枚にまたがることは最初から分かっていた。その後も作曲を続けた結果、分量はさらに増えたのだという。

出典: Blabbermouth「SYMPHONY X Frontman To Guest On AVANTASIA Album」

この2枚組についてサメットは、これが自分に用意できる最後の大作になるかもしれないと述べていた。CDのコピーやダウンロードが広がる音楽産業の状況では、これほど多くのゲストとオーケストレーションと合唱を伴う制作予算を、伝統的なロックやメタルのバンドが将来も組めるとは思えない――だからこそ時間をかけ、これまでで最大の作品にしたかったのだという。

出典: Blabbermouth「SYMPHONY X Frontman To Guest On AVANTASIA Album」

この2枚組で女性ヴォーカルを務めたクラウディ・ヤンは、もともと本番の歌手を導くためのデモを歌っていた人物である。サメットによれば、そのデモでの歌が完璧だったので、彼女の歌をそのまま残すことにしたのだという。ヤンはアマンダ・サマーヴィルとともにAVANTASIAのワールド・ツアーでバッキング・ヴォーカルを務め、EDGUYの「Dragonfly」でも歌っていた。

出典: Blabbermouth「Female Singer Confirmed For AVANTASIA Project」

SAVATAGEのジョン・オリヴァは「Death Is Just A Feeling」という劇的な曲で歌っている。サメットはこの曲について、それ自体が小さな映画のようで、非常に不気味であり、ホラー・ミュージカルの一章になり得ると評した。クラウス・マイネとのデュエットは、ハノーファーにあるムッセTのペパーミント・パーク・スタジオで録音されている。

出典: Blabbermouth「JON OLIVA To Guest On AVANTASIA Album」

『The Wicked Symphony』と『Angel of Babylon』のジャケットは、トーマス・エーヴァーハルトが手がけている。エーヴァーハルトはEDGUYの『Hellfire Club』と、AVANTASIAの『The Scarecrow』のアートワークも担当した人物である。

出典: Blabbermouth「JON OLIVA To Guest On AVANTASIA Album」

7作目『Ghostlights』は2016年1月29日にニュークリア・ブラストから発売され、ドイツのチャートに2位で初登場した。全12曲で、制作はサメットとサシャ・ピートがドイツ・ヴォルフスブルクのゲイトスタジオで行い、エンジニアリングとミックスはピート、マスタリングはミヒャエル・ローデンベルクが担当している。

出典: Blabbermouth「AVANTASIA's 'Ghostlights' Enters German Chart At No. 2」

『Moonglow』が締切のない環境で作られたのには理由がある。2016年に『Ghostlights』のツアーが終わったあと、EDGUYもAVANTASIAもレコード会社との契約が無い状態になり、サメットは人生で初めてスケジュールもプランも無い時期を迎えた。曲を書いて2か月ほど寝かせ、聴き直して手を入れる――そういう作り方ができたのはそのためで、本人はこれが自分の作品でいちばん金のかかった一枚だとも述べている。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

『Moonglow』のジャケットを描いたアレクサンダー・ヤンソンを、サメットはインターネットの画像検索で見つけている。ロック・バンドと仕事をしたことのない絵描きを探していたのだという。名前も作品も知らなかったが、可愛らしさとグロテスクさが同居する絵に惹かれ、調べてみるとスウェーデンでは著名な絵本作家だった。サメットは1曲目「Ghost in the Moon」の歌詞を送り、主人公が抱える暗い感情を説明したうえで絵を依頼している。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

AVANTASIAで誰がどの曲を歌うかは、決め方が一通りではない。サメットによれば、特定の歌手を頭に置いて書く曲もあり――「Requiem for a Dream」は全編マイケル・キスクを想定して書かれた――逆に「こういうタイプの声が欲しい」とだけ考えて書き、出来上がってから歌える人を探すこともある。キャンディス・ナイトは後者で、曲が先にあり、彼女に行き着いたのはそのあとだった。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

ゲストの録り方も一様ではない。サメットの説明では、ジェフ・テイトやヨルン・ランデとは一緒にスタジオに入って録音するが、キャンディス・ナイトはニューヨークで録っている。送られてきた彼女の歌のファイルを聴いた瞬間について、サメットはクリスマスのようだったと述べ、思い描いていたとおりだったと語っている。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

ブラインド・ガーディアンのハンズィ・キアシュは『Moonglow』が初参加である。サメットは以前から彼に参加してほしいと思いながら実現できずにいた。ケルト音楽の要素を持つ「The Raven Child」には特別な声が必要だと考え、ブラインド・ガーディアンの「The Bard's Song」を念頭に置いて声をかけたのだという。二人は20年以上の友人である。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

クリエイターのミレ・ペトロッツァも『Moonglow』が初参加だが、話を受けたときに彼が最初に確かめたのは「これはボーナストラックじゃないよな」ということだった。以前EDGUYの『Hellfire Club』でゲスト参加した曲がボーナストラックだったからである。サメットは、その曲にはハンズィ・キアシュもヨルン・ランデもロニー・アトキンスも参加すると答えている。

出典: BARKS「【インタビュー】アヴァンタジア「自分は小さな奇妙な王国の王様」」(取材・文:川嶋未来)

『Here Be Dragons』にも例によってゲスト歌手が並ぶ。ジェフ・テイト(元クイーンズライク)、ロイ・カーン(コンセプション、元カメロット)、トミー・カレヴィク(カメロット)、ロニー・アトキンス(プリティ・メイズ)、マイケル・キスク(ハロウィン)、エイドリアン・コーワン(セヴン・スパイアーズ)ほか。テイトの参加はこれで4作目にあたる。

出典: Blabbermouth「AVANTASIA's TOBIAS SAMMET Feels Like 'Here Be Dragons' Is Another 'Record Of The Century'」(David E. Gehlke)

AVANTASIAはサメットの「サイド・プロジェクト」として始まったが、Blabbermouthは2025年の時点で、彼の中心にあるのはEDGUYではなくAVANTASIAのほうだと書いている。2008年の再始動から17年、その間に7枚のスタジオ・アルバムが積み上がった。

出典: Blabbermouth「AVANTASIA's TOBIAS SAMMET Feels Like 'Here Be Dragons' Is Another 'Record Of The Century'」(David E. Gehlke)