2025年11月21日に発表された、TREATの10作目。前作『The Endgame』から3年を経て完成した本作は、80年代初頭から現在までのバンド史を、音楽面と言葉の両方で一本の時間軸として描く作品だ。大きく開くコーラス、重ねられたハーモニー、歯切れのよいギター・リフ、鍵盤のきらめきというTREATの王道を守りながら、単なる懐古に終わらない理由は、各曲が異なる時代の記憶と現在進行形の熱を結び付けている点にある。
幕開けの「Out With A Bang」から、曲はスタジアム級の高揚とコンパクトなメロディック・ハードの切れ味を両立させる。「1985」はバンドにとって転機となった年を振り返る曲であり、「Back To The Future」「Adam & Evil」なども、過去を飾るだけでなく、その経験が今の演奏へどうつながっているかを伝える。ロバート・アーンドルンドの力強く伸びる歌、アンダース・ヴィクストロムのギター、厚いコーラスと鍵盤の配置は、長い活動で培われた個性を鮮明にする。
全13曲を通して感じられるのは、キャリア総括の落ち着きではなく、まだ次の扉を開けるバンドの前向きな勢いだ。ピーター・マンソンのプロデュース/ミックスによる引き締まった音像も、フックとバンド感を両立させる。本作はTREATの歩みを祝うと同時に、メロディック・ハード・ロックが現在も胸を高鳴らせる音楽であることを、晴れやかに証明する一枚である。