『Brotherhood』は、FMが英国AORの品の良さと、メロディック・ハード・ロックのしなやかな推進力を軸に磨き上げた、2025年の作品だ。ギターとキーボードは曲の空気を丁寧に整え、リズムは派手過ぎず安定した流れを生み出している。温かく表情豊かなスティーヴ・オーヴァーランドの歌が中心にあり、タイトルに込められた結束感を自然に伝えている。
“Do You Mean It”“Living On The Run”“Coming For You”“Because Of You”といった楽曲では、大げさな仕掛けよりも、良いメロディを長く聴かせるための余白とコーラスの配置が光っている。“Just Walk Away”“The Enemy Within”のような楽曲にも、バンドらしい端正な叙情が息づいている。“Raised On The Wrong Side”“Love Comes To All”“Don't Call It Love”“Chasing Freedom”といった楽曲でも、端正なメロディと洗練された演奏が結び付いている。デビューから約40年を経てなお、その品の良さと創作力は少しも衰えていない。サビの即効性だけでなく、ヴァースやブリッジで生まれる落ち着いた陰影にも味わいがある。派手さではなく持続力で魅了する本作は、長いキャリアを経てなお高い水準を保つ、FMらしい成熟したメロディック・ロック作品である。